TPPは医療の見直しも迫る。世界一うまく機能している今の日本の国民皆保険制度は
バラバラに解体され、アメリカの基準を押し付けられて、お金のある人だけが高度医療
を受けられるという医療格差の大きい不平等な保険体制となってしまう。
TPP交渉 米国の目標 医療制度見直しを要求 政府説明に矛盾 (10月25日)
米国政府が、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で確保する目標を列挙した資料で、公的医療保険制度の運用について「透明性と公平な手続きの尊重を求め る」と明記し、同制度の自由化を交渉参加国に要求するとの方針を示していたことが分かった。米国は既存の自由貿易協定(FTA)でも医療制度への市場原理 の導入を交渉相手国に迫り、一部の国ではその影響で既に薬価が上がっている。医療制度の自由化を目指す米国の方針が明らかになったことで、同制度を交渉の 対象外と説明してきた日本政府の情報の信頼性が問われそうだ。
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米国TPPの実態 議会の優先順位も低い (10月13日)
政府が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加の可否の節目としてきたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議まで1カ月を切った。貿易政策の 方向性を決める大きな局面を迎える。だが日本政府が議論を急ぐ一方で、違和感を感じるのは、米国の動きだ。米国農業団体と米国議会のTPPへの関心は高く ない。日本ではあたかも米国全体がTPP参加を日本に迫っているとの情報が流れているが、内実はそうではない。米国の実態を直視すべきだ。
米国でもTPPへの疑問の声が上がっている。日本はTPP交渉への参加議論をする前に、まず情報を冷静に分析し、公開するべきだろう。国民の議論なくして結論はあり得ない。
JA全中の萬歳章会長らJAグループの代表団は9月中旬、米国・ワシントンを訪れ、農業団体、政策の専門家、国会議員と相次いで会談した。狙いはTPPの本音を聞き 出すためだ。
代表団が会談したのは、全米最大の農業団体、米国ファームビューロー連盟と家族農業者が集まる米国ファーマーズユニオン、豚肉、米、生乳の品目別の団体。代表団は、関税撤廃を基本とするTPPに断固反対の立場を表明した。
それに対し、米国ファームビューロー連盟のストールマン会長は「TPPの米国経済へのメリットは多くない」と断言。さらに「日本の参加を望まないし、 (関税撤廃が基本の)今の状況で日本が参加できるとも考えていない」と述べた。TPPへの考え方は「静観」状態だという。むしろ、これまで締結した各国と の二国間交渉の合意内容がTPPで崩れることに危機感を示した。米国ファーマーズユニオンも「TPPは家族農業に悪影響を及ぼす」と懸念を表明。会談した いずれの農業団体も「交渉に参加するかどうかは日本の判断次第」と強調し、日本に参加を迫るような場面はなかった。
また、米国の農業政策の専門家は議会の動きをこう説明した。「米国議会の優先事項はパナマ、コロンビア、韓国との自由貿易協定(FTA)批准だ。農業法 の期限切れ、財政赤字削減の問題もあり、TPPどころではない。来年は大統領選挙を控えており、TPPの議会の批准は早くても2013年以降だ」。農業団 体も「オバマ大統領は、不景気で人気がない。TPPは人気回復手法の一つでしかない」と冷ややかに語った。
日本のTPP推進派は乗り合いバスに例え、「今(TPP号に)乗らなければ乗り遅れる」と繰り返し、参加を促す。だが、参加ありきではなく、24分野に 及ぶTPPの交渉経過とそのメリット、デメリットを早急に国民に示し、議論を深めることが先決である。一部の輸出企業だけにメリットがあり、地方経済に悪 影響を及ぼすようなTPPの交渉には絶対に参加をすべきではない。
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