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あ~あ~こんな国に生まれちゃったよ・・・・

アメリカ中間選挙の結果とアメリカ政治の分析をします・・・

2018-12-13 11:43:57 | 日記

 

 11月6日のアメリカの中間選挙の結果を受けてのアメリカ政治のこれからの動きについて話します。

 結果は、上院は共和党が勝って51から53になりました。民主党は49から45に減りました。下院議員が435人のうち過半数が218ですが、共和党は200、それに対して民主党が235になりました。

 それで今度のアメリカの政治の動きで重要なことは、ウィスコンシン州という州があって、ここは、日本人はどこにあるかもみんな知らないと思うんだけども、ミシガン湖という五大湖の左から二つ目、西側から二つ目のがあって、一番南にイリノイ州シカゴがあるんです。その北側です。ミルウォーキーというのを日本人は、札幌とミルウォーキーでビールをつくっている町で有名ですが、ここなんです。


五大湖周辺の地図

 このウィスコンシン州のスコット・ウォーカー(Scott Walker、1967年-)という有名な知事がいました。この人が負けちゃったんです。この人、スコット・ウォーカーというのはものすごくアメリカで人気のある政治家なんです。州知事なんですね。それが負けてしまって、そこが何か全体番狂わせにつながっていったようです。


スコット・ウォーカー

 このスコット・ウォーカーという人は、6年ぐらい前かな。このウィスコンシン州のウィスコンシン大学というのがあるんですけど、ここの大学労働組合というか、教職員の労働組合をたたき潰したんですね。College University Unionといいますが、一言で言うと日本でも評判の悪い日教組みたいな図式です。小中高校にもあります。この教職員組合が一番左翼的なので、給料の値上げの要求と待遇改善を厳しく言うわけですが、それに対してスコット・ウォーカーが負けなかったというか、ウォーカー自身が監禁されたような感じになっても戦いました。この教職員組合の労働者たち――教師たちなんですけれども、大学教授も入っています。

 それでものすごく人気が出て、全米でこの共和党のスコット・ウォーカーは大統領選にも出ました。でもトランプを応援するという形で、撤退したわけです。ところが今回負けてしまった。それでトニー・エバーズ(Tony Evers、1951年-)という教育委員会の幹部が州知事になった。これはもう完全にウィスコンシン州におけるというより、全米における教職員労働組合の側からの反撃で、それでこのエバーズという日本の日教組上がりのような人物が州知事になった。ひっくり返ったということです。


トニー・エバーズ

 このウィスコンシン州の動きが中西部に広がって、ミッドウエストというんですけど、アメリカのど真ん中のミシシッピ川沿いの広大な地域、このミッドウエストで本来、共和党がとるべきだった15席ぐらいがとれないという雰囲気が出てきたというのが決定的な今回の選挙の結果です。

 それで218が過半数だから220とっておけばよかったのに、15席ぐらい共和党がとるのを失敗した。それで下院議員選挙ではトランプの負けとなったんです。何でスコット・ウォーカー知事が人気があったのに負けたかというと、どうもフォックスコンという、アップルのスマホはほとんど中国でつくっているんですが、フォックスコンは鴻海精密工業というんだけど、中国の今はもう広東省によりも四川省の奥のほうでつくっているようですが、組み立てまでやっている。


ウィスコンシン工場の起工式の様子(真ん中はトランプ大統領)

 それをトランプがアメリカの本国でつくれという強い要求を出して、アップルも仕方なく、やっぱりアメリカ国内でスマホをつくろうということで、フォックスコンをこのウィスコンシン州に誘致して、そこで工場を建てているんですね。ところがここに税金がものすごくかかっちゃって、それでウィスコンシン州の州民が怒って、生産を始めたらしいんだけど、雇用が思ったより伸びなかったと。それで5万人ぐらいの採用予定が1万人ぐらいしか採用にならなかったということで、スコット・ウォーカーは評判が悪くなったということのようです。アメリカ国内に工場を戻せという運動の最先端のところですが、これがうまくいかなかったということです。

 それで、11月6日だけど、日本ではっきりしたのは8日の日です。後半になるとニューヨーク州とカリフォルニア州、この東海岸と西海岸の大きな州は人口も多いんだけど、ここがもう民主党の票が非常に強くて、共和党系の議員がたくさん負けたということです。

 それでも恐らく今度の選挙の性質としては、法律をトランプがたくさん通そうと思ったら、どうしても過半数の218票以上要るわけです。それで今回、何が起きたかというと、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi、1940年-)という下院議長を務めたカリフォルニアの北のほうの女性の議員がいまして、この人が元下院議長だから実力者なんです。


ナンシー・ペロシ

 どうもトランプがナンシー・ペロシにものすごくすり寄って、この2人で仲よくアメリカ政治をやっていこうという動きになっています。ナンシー・ペロシが再度下院議長になるのが当然だということをトランプが言って、ペロシも結構それに乗っていて、民主党内を押さえる。あんまり反トランプで激しい戦いをやらないで、アメリカ政治をうまくやっていくということで合意したようです。

 カリフォルニア州にはダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein、1933年-)という重量級の立派なおば様の上院議員がいるんです。これは前に私が講談社から出した『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』という本の後ろのほうに、ずっとこのファインスタイン女史の話を書きましたが、もう1人、バーバラ・ボクサーという女の議員もいました。この人はもう引退しました。前回、もう。この2人の上院議員がいたわけですが、ナンシー・ペロシとけんかしているというほどじゃないんだけど、実力者同士で女同士の戦いでもないな。カリフォルニア州をうまく政治家としては、この2人が分け合っている感じです。


ダイアン・ファインスタイン

 ナンシー・ペロシが今回、勝利したと非常に機嫌がよさそうにしていたんですが、それとトランプがうまい具合に喧嘩をしないでやっていこうということが、この後のアメリカ政治の大きな性質です。だからいざ法律を通そうというときには、過半数が必要だから、共和党としては218に対して15ぐらいを民主党から借りてこなきゃいけない。借りてくるというか、共和党の政策案に民主党としては反対でも、15人ぐらいの民主党議員が賛成すればいいわけです。アメリカはそういうことができます。党議拘束というのはあまりありません。ですから法案が通ればいいわけで、それで民主党も激しく厳しく統制しなければいいわけで、ナンシー・ペロシはその辺がわかっていて、穏やかにここの政治を進めようとしている。つまり、妥協政治をやるということです。

 ここでcompassionate conservativismという言葉を、私がアメリカ政治の重要な性質としてこの間、書きました。それは「思いやりのある保守主義」という意味なんですが、自分たち共和党というのは金持ちと経営者とそれから力のある人間たちの集団です。それに対して民主党を支えているのは貧乏な人たちと労働者と移民たちです。この人たちは、どうせかわいそうなんだと。かわいそうなんだから助けてあげなきゃいかんという思いやりのある、共感と哀れみを持った政治をやろうというのが、compassionate conservativismです。

 これをトランプも急に目覚めたようにやり始めまして、まず妥協して、南のメキシコの国境線のところで移民は絶対入ってくるなと、今も「壁をつくろう運動」をやって、軍隊まで1万5000人ぐらい出して、違法越境者たちを厳しく取り締まっているのですが、それでも合法的に申請して入ってくる移民たちは受け入れなければいけないということで、民主党が出す法案に妥協して内容をつくり変えながら、穏やかな、争い、もめごとを嫌がるアメリカ国民が賛成できる法律を通していこうという動きになっています。

 このナンシー・ペロシというおばさんは、実はおやじが相当、はっきり言ってしまえばマフィアの親分みたいな人で――お父さんがですね、その娘なんです。で、カリフォルニアの北のほうですね。全米のNational Construction Union、全米建設労働者組合というのがありまして、このナンシー・ペロシのお父さんがここの大親分だったんですね。

 だから全米建設業者労働者組合の大韓部の娘ですから、トランプもデベロッパーというか、大型商業ビル、高層ビルやら巨大ホテルをつくったりする専門家ですから、やっぱり関係が深くて、ペロシとうまくやっていこうというのはここの話なんですね。それに対してCarpenter Unionというのがあって、これはいわゆる大工さん組合ですが、大工組合は一戸建ての家が多くて、木造2階建てみたいな。豪邸もありますけれども、一戸建ての家が建っていて。このConstruction UnionとCarpenter Unionは仲が悪いんですね。だから全米の建設労働者組合と、それにかかわっている建設業の経営者たちも、共和党の支持母体なわけですから、建設会社ですね。それとこの労働者たちの考えが合うように、そのナンシー・ペロシとトランプでアメリカ国内の建設をやっていこうという動きになりました。

 だからもう一回言うけれども、やっぱり435人のうちの218とればいいわけだから、民主党の中のトランプ寄りというか、トランプの政策でいいよという議員たちの票を奪い取りを当て込んで、法律を通していくというやり方に変わります。

 この哀れみを持つ保守という考え方をトランプに対して一生懸命説得している長官たちがいるんですね。今のトランプ政権を支えている長官たちで、安全というか、もうやめたりしない人たちがいて、イレーン・ラン・チャオ(Elaine Lan Chao、1953年-)。台湾圏の人で、台湾のエバーグリーンという大きな船会社、飛行機会社もやっていますが――のオーナーの一族の人です。この人が今は運輸長官をやっている。このチャオとかリック・ペリー(Rick Perry、1950年-)というのがいて、リック・ペリーはテキサス州出身で今、エネルギー長官をやっています。このチャオが運輸長官。マティスという国防長官がいますが、マチィスはそう簡単には潰されないというか、辞めないと私は思います。


イレーン・ラン・チャオ


リック・ペリー

 それで彼らがトランプに、もうちょっと穏やかな優しい政治をやってくれと。そうしないとアメリカ国内がまとまらないからということで、トランプもわかったということで、思いやりのある妥協政治に方針を変えている。賢いやり方だと思います。

 それでウィルバー・ロス(Wilbur Ross、1937年-)商務長官が、自分の抱えているお金のスキャンダルがあって、辞めるとはっきりしました。恐らくウィルバー・ロスは日米交流団体であるジャパン・ソサエティーという親日派の団体の会長をずっとしていた人で、日本をよく理解していると言われているけど、本当はそうでもない。


ウィルバー・ロス

 ウィルバー・ロスが商務長官になった途端に日本に来て、財務省や経済産業省の官僚たちをどなり上げたらしいんです。そして、トランプ政権の言うことを聞けと。TPPなんてやめてしまえとか、激しい主張でどなり上げて、それで日本の官僚たちがへそを曲げて、もうウィルバー・ロスの言うことは一切聞かないと。日本に来るな、みたいになったんですね。だからロスはその後、来ていません。脅し上げれば日本は言うことを聞くと思ったんですが、あれは甘かった。

 ピーター・ナバロ(Peter Navarro、1949年-)という、対中国で厳しい政策を実行している局長クラスのカリフォルニア大学経済学部の教授なんだけど、中国封じ込め論というのを唱えてナバロとウィルバー・ロスはけんかになったようです。


ピーター・ナバロ

 それでもう1人ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer、1947年-)という、USTRですからアメリカの産業界を代表するキャビネット、一応閣僚メンバーなんだけど、本当はこのUSTRというのはアメリカ通商代表部の長官なんですけど、彼が今も中国や日本、ヨーロッパ各国との2国間の貿易交渉をやるわけです。日本はその片割れというか、相手方、カウンターパートは茂木敏充(1955年-)という衆議院から出ている、中堅を通り越してベテラン政治家になっている人です。これがこのライトハイザーと貿易交渉で関税問題を今からも議論して、ぎゅうぎゅうアメリカに締めつけられるわけです。


ライトハイザーと茂木


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