この、おかしな国、日本!どうやって生きていくのが楽しいか?

あ~あ~こんな国に生まれちゃったよ・・・・

アメリカ中間選挙の結果とアメリカ政治の分析します(2)…

2018-12-29 03:44:57 | 日記

アメリカ政治分析の第2回です。

 前回話したチャオの旦那さんは、ミッチ・マコーネル(Mitchell McConnell、1942年-、ケンタッキー州選出)です。この人は、共和党所属の上院議員の筆頭であるマジョリティー・リーダー(Majority Leader)ですね。日本語では、院内総務と訳しています。党の議員団のとりまとめ役です。

 院内総務の次が、マジョリティー・ホイップ(Majority Whip)です。院内幹事と訳します。ホイップは、鞭(むち)ですから、 牛たちを並ばせるカウ・ボーイの仕事に似せて、「議員ども、言うことを聞いて、ここに並べ。執行部(政権)に反対するな」という党内の調整役です。


ミッチ・マコーネルとイレーン・チャオ

 ジョン・コーヌン(John Cornyn、1952年-、テキサス州選出)がマジョリティー・ホイップです。来年からはジョン・スーン(John Thune、1961年-、サウスダコタ州選出)がなります。

 これに対して、野党のほうは、マイノリティー・リーダー(Minority Leader)とマイノリティー・ホイップ(Minority Whip)がいる。チャック・シューマー(Chuck Schumer、1950年-、ニューヨーク州選出)という議員が上院の民主党の代表(マイノリティ・リーダー)、院内総務です。院内幹事は、リチャード・ダービン(Richard Durbin、1944年-、イリノイ州選出)です。


共和、民主両党の上院議会指導部

 中国系 というよりも台湾系のアメリカ人の代表である、イレーン・チャオの旦那さんのミッチ・マコーネルを、うまいぐあいにトランプは取り込んでいる。なぜなら奥さんのイレーン・チャオは、運輸長官ですからね。

 チャオと、前回言ったリック・ペリー、彼はア、テキサス州知事上がりで、エネルギー長官をやっている。もうひとり、内務長官のライアン・ジンキ(Ryan Zinke、1961年-)。彼は、つい最近、内務長官(インテリア・セクレタリー)を辞任すると発表した。この件は、後述する。この3人で組んで、テキサスのヒューストンとダラスの間に、ようやく、日本の技術の新幹線を、どうしても通すという計画が進行中だ。 何とかかんとか、このダラス-ヒューストン間に、日本の新幹線を通したい。


ライアン・ジンキ

 現地に、この高速鉄道の建設計画に対して、反対運動があって。アメリカの場合は線路の敷地ではなくても、その周りに大牧場があって、そこを新幹線が通ると「牛の乳が出なくなる」とかいって、補助金をよこせとかいう激しい反対運動がある。これを何とか押さえ込んで合意して、テキサスにぐらいは、せめて高速鉄道、時速200キロ以上の高速鉄道をつくりたい。


計画中のテキサス高速鉄道の地図

 カリフォルニアは高速鉄道を作ってくれ、と長年、望んでも、作れない。ずっと計画は失敗している。 LAとサンフランシスコの間で、リフォルニアの州民たちは、毎日毎日、2時間も3時間も車の運転をしている。もう嫌だ、と。通勤線路をつくってくれと強く願っている。 同じように東海岸の、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントン(頭文字から、BOSNYWAG、ボスニワグという)にも高速鉄道を通してくれ、と言っても、できない。カリフォルニア(西海岸)も、東海岸も、両方とも。

 反対運動がいっぱいありますからね。アムトラックというのがある。だけど、このアムトラックがしょっちゅう事故を起こしている。旧式の鉄道だ。これで通勤で通っている人たちもいるのですけど、長距離で、だらだだと、長時間の通勤になってしまう。それを何とかしてくれというのがアメリカの現状なんです。


構想段階も含むアメリカ高速鉄道計画地図

 しかし自動車文化があまりにも発達し過ぎて、今さら用地買収をするのも大変で、通勤深圳を通すことさえできない。これが真実の、現実のアメリカだ。せめてテキサス州のダラス―ヒューストン間だけは、つくりたいと必死になってやっています。長官が3人も掛り切りで。テキサス州はアボットという州知事がいて、彼が頑張っています。

 昔、日本大使もしていた、ちびな男(身長160センチぐらい)トム・シーファー(Tom Schieffer、1947年-)という男がいました。実に泥臭い政治家だった。テキサス州選出の上院議員でした。後に日本大使になりました。このトム・シーファーが一緒懸命にテキサスに新幹線を通そうとしていた。その跡継ぎの人たちですね。今言った4人、5人は。


トム・シーファー

 さらに、テッド・クルーズ(Ted Cruz、1970年-)という人が今度、上院議員選挙で再選された。このテッド・クルーズも一緒になって、懸命にテキサスに新幹線をつくらなきゃとなっている。アメリカという国は、超大国なのに、たった一本の新幹線を通すだけでも、うまくいかないという、本当に先進国のトップですが、なかなか鉄道一つ敷けない国なんです。それでもやろうとはしている。


テッド・クルーズ

 テッド・クルーズは、ベト・オルーク(Beto O'Rourke、1972年-)と闘った。46歳の格好いい、ハンサムなのが、ふぁっと出てきて、下院議員なんだけど、このベト・オルークが勝つんじゃないかと言われていた。だけどベト・オルークは僅差で負けた。テッド・クルーズが424万票、ベト・オルークが402万票ぐらいの接戦でした。トランプが、現地に行って、テッド・クルーズを応援したのが、やはり効いた。これで、テッドは、トランプに借りが出来たから、頭が上がらなくなった。テッド・クルーズは、2016年の大統領選挙で、最後まで、共和党内の予備選挙で、トランプと競争し合った。


ベト・オルーク

 ベト・オルークは、格好いい男で、「ジョン・F・ケネディの再来」みたいに言われたが、それほど、そこまで人気が出るとは私は思わなかった。テッド・クルーズが受かってよかった。テッド・クルーズという人は、大統領選の時に、トランプとちょっとけんかになったんですね。トランプが共和党の候補に決まったときも、不愉快で、「私はトランプを応援します」と言わなかった。それでブーと、ブーイングが会場から起きたんですが、テッド・クルーズのところにトランプが応援演説に行って、何十万人もわいわい人がたくさん集まって、それで喜んで、テッド・クルーズはトランプの言うことを聞く人間になっただろう。自分が選挙で受かるのが何よりですから。政治家は、選挙に落ちたらただの人で、大変ですからね。


選挙期間中にクルーズを応援するトランプとメラニア夫人

 テッド・クルーズは、お父さんのラファエル(Rafael Cruz、1939年-)が、キューバ人なんですね。「亡命キューバ人」というのは、ものすごく暴力的なすごい人たちがたくさんいて、恐ろしい人たちだと言われている。亡命キューバ人については、また、話します。お母さんはアメリカ生まれのアイルランド系白人です。父親のラファエルは、カトリック教会からプロテスタントに改宗して、現在は牧師になっている。両親は石油会社で働くためにカナダに移住した。そこで、テッドは生まれた。


テッド・クルーズの父親ラファエル

テッド・クルーズが騒がれたのは、こいつはカナダ生まれだ、ということです。アメリカ大統領になる資格がない、と騒がれた。テッド・クルーズは、2014年にカナダ国籍を放棄した。それまでは、2重国籍だった。何でテッド・クルーズが大州であるテキストの上院議員になれたかというと、やっぱり怖い人たちというか、やっぱりキューバ人の血が流れているから。南米系のヒスパニック、ラティノスの人たちが、テキサスにはたくさんいて、その支持をテッド・クルーズは取れるからだ。

 だからこういうことがあって、今のアメリカ政治では、相当に人種の問題でまざっていないとだめだ、ということだ。ここがアメリカ政治の基本性質だ。今度だって、ミシガン州とミネソタ州で、民主党が勝った、2人のイスラム教徒がいる。ラシダ・タリーブ(Rashida Tlaib、1976年-、パレスチナ系)とイルハン・オマル(Ilhan Omar、1981年-、ソマリアの難民キャンプで生まれ12歳でアメリカに移住)だ。パレスチナ系、あるいはイラン系の人で下院議員になった人もいる。


ラシダ・タリーブ(左)とイルハン・オマル

 そういう女性たちがたくさん受かった。選挙線を報道する、ニューズ番組をじっと見ていると、みんな混血だ。白人と中東アラブ人の混血みたいな人たちで、元気な者が候補者として出てきている。どうも混血ぐらいの人が、ちょうど下院議員に受かりやすいというのが、今のアメリカ政治です。従来のような、白人の金持ち階級の立派な経歴の人が受かる、ということが減っている。

 だから微妙なところでアメリカ政治は動いている。フロリダ州では、選挙のあとも、ずっと再集計をやっていた。リアカウンティングといって、票の数え直しをやっていた。フロリダ州の上院議員で、リック・スコット(Rick Scott、1952年- )という、トランプに支えられて、その支持票を当てにした男が受かった。そのことで、大接戦だったので、ぐずぐずと票の数え直しをやった。相手はビル・ネルソンという男でした。有名な、何とか郡というのが、フロリダ南部の、大都市マイアミのほうに、2つあって、そこの票の集計がおかしいといって、トランプもツウイッターでわめいていました。だから、voter fraud(ヴォウター・フロード)というんですけど、インチキ選挙、不正選挙 が行われている、と大統領が自分で書くぐらいですから何かあるのだろう。


トランプとリック・スコット(右)

 ここのフロリダ州の南部のマイアミ地区は、デビー・ワッサーマン・シュルツ(Debbie Wasserman Schultz、1966年-)という恐ろしい下院議員の女がいるところで、反トランプ派の牙城だ。自分たちの目的のためだったら、人殺しでも何でもする者たちが、何人もいる。ヒラリー派の極悪人(ごくあくにん)たちが、このワッサーマンシュルツのように下院議員でいます。そういうところだ。つまりアメリカでも政治的に“最深部”で、凶暴なところだ。


デビー・ワッサーマン・シュルツとヒラリー・クリントン

 ジェブ・ブッシュ(Jeb Bush、1953年-)が、フロリダの州知事をずっとやっていました。ジョージ・W(ウオーカー)・ブッシュ元大統領の弟です。ジェブも、ブッシュ・ファミリーの“ブッシュ王朝”から、一応、大統領選で出たんですけど。彼は生来、悪い人間じゃないものだから、さっさとやめてしまいました。その息子で、ジョージ・P・ブッシュ(George P. Bush、1976年-)というのがいます、まだ40代だ。今、テキサスで下院議員をやっていて、選挙には難なく受かる。この ジョージ・P・ブッシュが、次の時代に出てくるんだろうけども、どういうやつかまだよくわかりません。ジェブの奥さんは、ヒスパニックですから、その息子だから、いかにも浅黒い南米系の顔立ちだ。だからこそ、この若い男が、次のブッシュ家を代表するのだ。アメリカ混血の時代のひとりだ。


ジェブ・ブッシュ(左)とジョージ・P・ブッシュ

  中西部(ミッドウエスト)の、オハイオ州が、上院選で、民主党に奪い返された。
オハイオ州が、トランプが2016年11月に当選するときの最大の決戦場でした。

 それに対して、トランプが何とかフロリダを押さえた、共和党のリック・スコットで勝った、ということで、トランプは機嫌がいいわけですよ。上院選挙と州知事選挙では、共和党のトランプ政権が勝ったと言われています。下院ではトランプが負けたわけですが。35議席、共和党は議席を減らした。前述した。

 オハイオ州のクリーブランド(5大湖のひとつエリー湖に面している)と、ミシガン州のデトロイト(“自動車産業の首都”)と、ペンシルバニア州のピッツバーグ(“鉄鋼の都”)の、あの辺がまさしく、ラストベルト(lust belt)、「錆(さ)びついた州」で、トランプ時代のアメリカの焦点になっている。ここは、5大湖の周辺の大都市だ。アメリカの中西部(ミッドウエスト)全体の北部一帯だ。石炭と鉄が取れたので、鉄鋼所が出来、そして、自動車産業が、1800年代のアメリカに、勃興して、これと、石油産業が合体して、アメリカが、“世界の工場”となり、ヨーロッパを圧倒していった。 

 1914年に、アメリカが、世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)をイギリスから、奪い取った。アメリカ合衆国の繁栄は、1930年代と1950年のふたつある。第1次大戦と第2次戦争に勝利したあとだ。ラストベルト「錆びついた州」の話は今日はもう、ここではしません。この 沈滞しきって、寂れまくって、失業者たちが溢(あふ)れている、これらの「錆びついた州」に、ですから、新しい半導体や、スマホ作りの工場を、どんどん、作らなければいけない。 

 だから、孫正義のソフトバンクも、それに使われるので、苦労している。ウイスコンシン州(下院議長だったが、トランプとウマが合わなかった、若いポール・ライアンの選挙区だった。彼は引退した)の アップルと フォックスコンの工場が、あまりうまく動いていない話は、前回した。

 前回言ったように、ナンシー・ペロシ下院議長と、トランプがうまいぐあいに妥協しながら、アメリカ政治、国家運営 をやっていく、というのが、このあと2年間の、2020年までのアメリカだ。2020年に、次の大統領選挙と議員たちの選挙がある。

 日本との関係で、一番、大事なのは1970年代、私は覚えているけど、日本も含めて貿易交渉、通商交渉、貿易戦争 が激しい時代があったということだ。

 この1970年代に、「アメリカは貿易赤字がひど過ぎる」と言って、ディック・ゲッパート(Dick Gephardt、1941年-)という有力な政治家がいた、民主党だ。彼は、十分に大統領になれると言われていた男だ。この民主党の大物のリチャード・”ディック“・ゲッパート議員が、一番厳しく外国からの輸入品を制限せよ、というのを言った。そして議会で法律を通した。それが「スーパー301」 通商法301条だ。これで、不公正な取引をしている国に対して、輸入を緊急に制限することや、懲罰関税(ピューニティブ・タリフ)や、報復関税(リタリアトリー・タリフ)を掛けることなどの、一連の法律の改正をやった。

 これを、ゲッパートを先頭にして民主党の議員たちが、やった。この動きは、アメリカの大労働組合の組合員たちでアル、労働者たちからの、強い、外国製品の輸入ラッシュへの反発、怒り を土壌にしていた。 それの頂点が、スーパー301条と言われているやつで、今回、それをトランプが発動したんですね。全く、そのまま、ゲッパート議員が、作った、法律をそのまま復活させてたのようにして、使った。 これに、諸外国の通商担当官たちが、驚いた。ゲッパートの亡霊が、アメリカに現れた。 ゲッパートは、まだ、77歳で、生きているようだが、アメリカ政治の表面には、もう出てこない。


ディック・ゲッパート

 それで25%のretaliatory tariffといって報復関税です。貿易不均衡(トレイド・インバラスス)の原因をつくっている、自分の国の市場を開放しない国に対しては、厳しい報復的な仕返し的なtariff(タリフ、関税)をかける、という貿易政策をゲッパートが始めた。実はトランプ自身が、1970年代の若い頃(まだ40代だった)に、自分が民主党員だったものだから、その頃の記憶があって、今、強力に、かつてのゲッパートの民主党路線(ゲッパート・デモクラット)に乗っかっているのです。


トランプとルドルフ・ジュリアーニ

 1970年にトランプは44歳です。このときトランプは、ニューヨーカーですからニューヨーク民主党だった。雰囲気として、彼は、今もニューヨーク民主党の体質を持っている。前回、話したウィルバー・ロスもそうだけど、もう1人重要なのは ルドルフ・ジュリアーニだ。彼は、今、トランプを一緒懸命に、トランプへの裁判攻撃で、守っているニューヨーク市長をしていた大物政治家だ。ジュリアーニも大統領選挙に出れば、当選する、と言われていた時期がある。 

 ルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani、1944年-)はイタリア系で、ニューヨークの名物市長だったが、警察の組織や、消防、とか、公務員たちの組織に、ものすごく力があった。彼自身が、NYの検事の頂点にいたNYの検事総長だった。トランプや、ジュリアーニ、ウィルバー・ロスたちは、ニューヨーカーで、70年代までは民主党だったんですね。ニューヨーカーは、威張っていて、他の州の連中のことを、田舎者だと、思っている。このことは、何故か、なかなか活字にはならない。 

 そして、80年代になると、“レーガン・デモクラット”という 大きな、国民潮流が、起きて、アメリカで民主党支持だった、多くが、共和党のレーガン大統領を支持して、「ソビエト・ロシア(の共産主義の体制)に対して、アメリカは、もっと強硬な態度を取ってもいい」という態度になって、民主党支持なのに、レーガン大統領の支持に回った、態度を変えた、という大きな政治変動が起きた。

 あの1980年の大統領選挙の時の、「レーガン・デモクラット」の動きが、今回の、トランプ政権の誕生に、同じことが起きた、と、鋭く観察しなければいけないのだ。
トランプたち自身が、こうやって、80年代に、共和党支持に変わっていった。公務員系の労働組合も、何となく、共和党の大統領を支持しても構わない、という態度に変わっていった。この分析が重要だ。

 ニューヨーカーは、「自分たちはアメリカ人の中でも、特権のある人間たちなのだ。地方の人間たちとは違うのだ」と思っている。このことが、実は、トランプという男を語る上では、大事なことが。あの、両手を広げて、大仰(おうぎょう)に、ペラペラとしゃべる感じは、ニューヨーカー独特なのだ。


この2ヶ月間の、株式の下落や金融市場についての、最近の新聞記事を数本、載せる・・・

2018-12-24 09:39:47 | 日記


〇  世界株安「弱気相場」の足音 日経平均、2万円割れ寸前

2018/12/21  日経新聞  

 あと6円67銭――。21日の東京株式市場では日経平均株価が節目の2万円割れギリギリに迫った。

 米景気減速への不安から前日の米株式相場が大幅下落したところにマティス米国防長官の辞任報道が重なり、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長再逮捕というニュースも加わった。不透明感を嫌った海外勢の売りが主導し、日経平均は4日続落。連日での年初来安値更新となった。

 終値は前日比226円39銭(1.11%)安の2万0166円19銭。午後には日銀による上場投資信託(ETF)買い入れの思惑などを支えに下げ幅を縮小する場面もあったが、4日間の下げ幅は1300円を超える。リスク許容度が低下した海外勢が日本株を売却。外国為替市場では安全通貨とされる円が買われ、1ドル=111円台前半まで円高・ドル安が進んだ。

「日本株について海外勢からの問い合わせが減ってきた」。JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは嘆く。海外勢の日本株への関心低下を裏付けるかのように21日の東京市場はトヨタ自動車やパナソニックが3%安となるなど主力株が軒並み下げた。

日本だけではない。一般に高値からの下落率が2割を超えると「ベア(弱気)相場」入りとされるが、欧米各国の主要株価指数が最近相次ぎこの節目に近づいている。

 ドイツ株価指数(DAX)は1月につけた高値比で22%安、イタリアのFTSE・MIBは5月高値比で24%下落した。20日には米ナスダック総合株価指数も一時、2割超下落。中国やトルコ、韓国などは既に軒並み2割以上下落している。投資マネーが株式から逃げ始めており、調査会社EPFRによれば、先進国の株式ファンドからは5週連続で資金が流出。流出額は累計659億ドルに上った。

 個別株でみても似た状況だ。QUICK・ファクトセットを使って世界の時価総額上位1000社を対象に調べたところ、546社が過去1年の高値から2割以上下落した。ゼネラル・エレクトリック(GE)が6割超下落したほか、半導体のエヌビディアも5割強下落した。

 背景にあるのが世界景気の減速懸念だ。米PIMCOは「2019年に世界経済の同時減速」がはじまると予測。米国が1年以内に景気後退入りする確率は30%に高まったとはじく。にもかかわらず、米連邦準備理事会(FRB)は19日、利上げ路線を堅持する考えを強調。市場の警戒感と逆行し、FRBの対話能力に疑問符がついた。

 世界景気を下支えしてきた日米欧英の中央銀行による流動性供給は19年に吸収額のほうが多くなる見通し。「次に景気減速が進む局面で中銀に頼ることができないことも市場の不安感を増幅している」(ニッセイアセットマネジメントの三国公靖上席運用部長)

 世界を見渡すと不安材料には事欠かない。英国で欧州連合離脱を巡る混乱が続くほか、フランスではデモが続き、イタリアは債務問題を抱える。シティグループ証券の村嶋帰一エコノミストは「景気減速が続く中国の影響が欧州に出始めており、欧州景気は厳しい状況が続く」とみる。

 米中貿易摩擦も足を引っ張る。中国が米国車への追加関税を一時停止するなど譲歩の動きもあるが産業政策そのものを改めるのは難しく衝突は続く可能性が高い。「緊張感の高まりが投資家のリスク許容度を下げる」(ブラックロック・ジャパンの福島毅チーフ・インベストメント・オフィサー)悪循環に陥っている。


〇 「 NY株、週間で6.9%安 10年ぶりの下落率に  金融政策や米中摩擦に懸念 」

 2018/12/22  日経新聞

【ニューヨーク=宮本岳則】 21日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が3日続落し、週間の下落率が6.9%安に達した。下落率はリーマン・ショック直後の2008年10月以来、約10年ぶりの大きさだ。

 米金融政策への懸念が強まり、投資家が株式などリスク資産の保有を一斉に減らした。「国境の壁」をめぐるトランプ大統領と民主党の対立や、米中貿易交渉の先行き不透明感も株価の重荷になった。

ダウ平均の21日終値は前日比414ドル23セント(1.8%)安の2万2445ドル37セントとなった。朝方は短期筋の買い戻しで米国株は高く始まった。ところが買いは長続きせず、午後はマイナス圏で推移した。

 日本経済新聞(電子版)がナバロ米大統領補佐官へのインタビュー記事で関税引き上げ猶予期間中の米中合意は「険しい」とする同氏の発言を伝えると、下げが加速した。「壁予算」をめぐる対立で米政府機関の閉鎖が現実味を帯びてきたことも嫌気された。

 投資家が今週、リスク回避姿勢を強めたのは米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言がきっかけだった。19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で量的緩和で買い入れた金融資産の残高を圧縮する方針に「変更はない」と説明。19年の想定利上げ回数も市場予想より多かった。米インバーネス・カウンセルのティム・グリスキー氏は「もはやFRBが相場を支えることはないと市場が理解した」と指摘した。


〇「 米FRBが利上げ、トランプ氏の圧力に対抗」  BBC

 Fed raises rates in defiance of Trump

2018年12/20(木) BBC

 米中央銀行の連邦準備理事会(FRB)は19日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、「年2.25~2.5%」にすると発表した。ドナルド・トランプ大統領はかねてから利上げに反対しているが、これを無視した格好だ。

 一方で、世界的な経済成長への懸念を受け、今後の利上げペースを緩和する可能性があるとしている。トランプ大統領は18日、FRBが「また新たな間違い」を犯して利上げすべきではないと警告し、代わりに「市場を感じる」べきだと話していた。また、金融危機後に導入した数十億ドル規模の経済刺激策を停止しないよう求めていた。

 トランプ氏は、FRBが市場不安定化の原因になっていると繰り返し批判し、関税引き上げなどを理由に挙げるアナリストの指摘を否定している。アメリカの大統領は通常、中央銀行の政治化を防ぐために表立ってFRBを批判することを避ける傾向にあるが、トランプ氏これまで繰り返し、FRBに圧力を掛けている。

 利上げ発表の前、トランプ大統領はツイッターで、「FRBの連中がまたしても間違いを犯す前に、きょうのウォール・ストリート・ジャーナルを読んでもらいたい。それからこれ以上、市場を流動化させてはいけない。無意味な数字に惑わされず、市場を感じろ。グッドラック!」とFRBをけん制した。

19日に開かれた記者会見でFRBのジェローム・パウエル議長は中銀の独立性を擁護し、政治的な圧力は政策金利をめぐる議論や決定に「全く影響しない」と話した。また、現在進めている国債および不動産担保証券のポートフォリオ縮小の方針を変える予定はないと付け加えた。

来年は利上げペースを減速FRBは金融危機時、経済活動促進に向け超低金利を設定したが、2015年以降、政策金利を徐々に引き上げている。

19日の利上げは大方の予想通りで、2015年の最初の利上げから9回目。
しかしこれにより、住宅など一部の産業では借り入れコストが拡大し、景気の減速につながっている。経済成長の減速も見通されている中、これ以上の利上げは経済活動を停滞させる危険性があると指摘する声もある。

FRBがこの日発表した経済予測では、アメリカの2019年の国内総生産(GDP)成長率は2.3%と、9月次点での2.5%から下方修正された。また、アメリカの金融市場の落ち込みや国内外の経済成長の減速への懸念を受け、利上げの想定ペースも来年は2回と、前回予想の3回から減る見込みとなった。

しかしパウエル議長は、見通しを下方修正した「逆流」にも関わらず、今年は3%成長すると予測されているアメリカ経済の力強さが、さらなる利上げを正当化したと話した。

「我々はこの利上げが、極めて健全な経済にとって適切だったと思っている。現時点での金利政策は協調的である必要はない」

FRBは公式発表で、政策金利の引き上げはアメリカ経済の拡大を継続させ、低い失業率を維持し、インフレ率を2%に保つのを助けると説明した。市場の反応は? 利上げ発表後、株価は反落し、ダウ工業株平均とS&P500は1.5%、ナスダック市場の総合指数は2%超、下げた。

 FRBが今後、利上げペースを落としていくというより強いサインを投資家は求めていたかもしれないと、アナリストは分析する。格付け会社フィッチ・レーティングスのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏は、「株式市場の落ち込みとFRBの発表にあった国際経済の否定的なニュースを見るに、FRBはアメリカ経済があと数回の利上げに耐えられると、かなり確信していることが伺える」と指摘した。

(転載貼り付け終わり)


金融市場は大丈夫。狼狽(うろた)えないで、安心して年を越しなさい。・・・

2018-12-24 09:05:31 | 日記



 日本もアメリカも、株価が、どんどん落ちて大変だ。投資家たちは、慌てふためいている。自分の大切な資金(おカネ)を、株式市場に突っ込んで、そして、「(諸般=しょはん=の事情で )逃げられなくなっている (売るに売れない)」人たちが、血相を変えている。

 だが、ここで、はっきり書いておきます。アメリカも、日本も、そしてヨーロッパも、今はまだ、金融市場が壊れる、崩壊を始める、ということはありません。

 あとで、最新の新聞記事を何本か貼り付けで載せます。
それほどの、パニックに陥る必要はありません。 今は、どうも、投資家、資産家の1部に、流言飛語(りゅうげんひご)のようなものが、飛び交っていて、「金融危機が、もうすぐ起きる」という、扇動言論が飛び交っているらしい。 

 さらには、金(きん、ゴールド)まで、暴落させられる、と、愚か極まりないことを、言って回っている(SNSとかに書き込んでいる)悪質な人間たちが、出て来ているそうです。気をつけて下さい。金(きん)価格が、暴落することなど、ありません。

 この不安定な状態では、” 実物資産(じつぶつしさん。タンジブル・アセット tangible asset)の王者”である 金(きん)は、じわじわと上がり続けます。 株式や、為替や、債券(ボンド))や投資信託の リスク・オン市場から、逃げ出して(リスク・オフ)、金の現物市場に、逃避、避難するのです。 

 私は、急いで、書きます。 安心しなさい。今、急に、金融危機が起きて、株式市場が崩壊を始める、ということはありません。 



今の、日、米そしてヨーロッパの、株崩れ程度で、ヒドく青ざめている人たちがいるらしい。こんなものは、水準訂正(すいじゅんていせい)と言って、これまでの2年間で、投機(スペキュレイシヨン)で、あまりに、急激に上がりすぎた株価が、元の状態に戻りつつあるだけだ。 今、パニック状態になって、慌てている人たちは、元々、危険な 投資などするべきではない人たちだ。

 かつ、真面目に、冷静に 本を読む能力の無い人たちだ。おかしな業界人たちの、ポジショントークに載せられて、付和雷同(ふわらいどう)して、バカな動きをする。その程度の、流言飛語で右往左往する程度の、愚かな人たちだ。

 本当の本読みで、自分で考える力があって、しっかり読む人たちは、こんな不様(ぶざま)な、狼狽(うろた)え方は、しません。

 私は、十分、余裕を持って、「ほら見なさい。私が、最近の金融本(11月始め刊)で書いたとおりの動きに、なっているではないですか。私が、予測、予言したとおりの株価の変動だ」と、書きます。 

 私の本を読みもしないで、噂(うわさ)話だけを耳にするか、SNSなどに、流れる、正体不明の、無責任な、言論(発言者が、誰だか、分からない)に、振り回される人たちだ。

どうも、ツウイッター twitter などのSNSで、  「日経平均は5000円まで下がり阿鼻叫喚の状態になるから、空売りなどの下げで儲けよう」 という、馬鹿げた、扇動文が広く出回っているらしい。 そういうデマ記事を信じて、愚かな行動に走って、また大損する、知能の足りない人たちが、たくさん出て来る。

 予測では、日経平均は、2万円少し NYダウは、2万2千ドルぐらいでズルズルと、このまま年を越します。 値下がりは、来年の1月よりも2月の下落がキツいだろう。

 だが、それでも、たいしたことはなく、このまま2020年の 次の大統領選挙まで、金融市場は、多少荒れながらも続いてゆきます。その翌年、2021年に、金融危機が、起きる。トランプたちが、対策を立てて、この程度の危機は、難なく、乗り切る。





 再選されたトランプが、次の3年間、自信を持って、何とかかんとか、政権を運営して、世界経済を安定させる。だが、それでも、本当に、危険なのは、2024年、トランプの任期(8年目)が切れる年にある、その次の大統領選挙の年だ。 

 ここで、世界は大恐慌に突入するだろう。そのときは、主要先進国の一斉での、国家財政(ざいせい)崩壊が起きて、それを原因に、大恐慌に突入するでしょう。それまで、あと6年あります。それまでに、私たちは、十分に準備できます。

 

 私が、この本を、書き上げた次の日(10月10日)から、NYで、株式が下落を始めた。それ以来の動きだ。 大丈夫、このまま、ずるずると行きますから。心配しないで、もう少しは、中長期(3年から5年)で、ものごとを考えなさい。 

 私、が、20年間、言い続け、本で書き続けて来たとおり、金(きん)は、金融危機、大恐慌の時にこそ、力を発揮する(すなわち、価格が大上昇する)。だから、今のうちに、金を買っておきなさい、と。 1929年10月の「NY発の大恐慌」(ブラック・ザーズデイ。魔の木曜日)の時 と違って、6年後には、アメリカは、もう、世界中の金(きん)の実物での価格を、動かす力を持ちません。金の値段は、ロンドンと上海の黄金市場で、現物(げんぶつ)の値段で決まる。

 その時には、 NYのコメックス、ナイメックス、そしてその親会社であるシカゴ・マーカンタイルの先物(さきもの)取引所(レオ・メラメッド名誉会長)の、商品先物市場(フューチャー・コモディテイ)は、壊れる(信用なくす)だろう。だから、現物の金価格を暴落させることは、出来ません。 所有者から取り上げることなど出来ません。

 アメリカ政府(ニューヨークの連邦銀行)は、もうほとんど金(きん)を持っていない。ほとんどは、中国とロシアや、インドなどに流れている。日本国内の保有高も、2000トンぐらいでたいしたことはない。

 どこのツウイッターやSNSで、そのような「金も暴落させられる」という、デマが流されているのか、私は、知りません。 どうぞ、安心して、これからも、どんどん、金を、現物(げんぶつ)で、買って、大事に出来るだけ、お手元で、それがダメなら、銀行の貸金庫ででも、大切に、保存、保管 してください、

 「 来週には日経平均(N225)の他に、NYダウ、ナスダックも急落し、日経も20000円割れが予想されます。 暴落時の空売りは有効でしょうか? 私は、先週、 財務状態が問題視されているソフトバンクGを空売りして、買い戻して、ある程度の利益を得ました。

 このまま株が下がり続けるなら空売りなどの投資戦略も 有効かもしれません。そこまで下がる事はあり得るのでしょうか? 土地、不動産なども今後4,5か月でかなり下がるとツイートされています」

 こういうことは起きません。 さらなる暴落を当込んで、空売りを掛けて、却(かえ)って、“踏み上げ” を喰らって大損する人が、これからは多いでしょう。私は、博奕打ち(ガンブラー)は、生まれ持っての、生来の才能だから、その人の、適正、能力に合った行動を取って下さい、としか、言いようがない。

孫正義(そんまさよし)の、インチキ商売の、12月19日の「ソフトバンク携帯」という会社の、無理矢理の上場は、これは、二重価格(にじゅうかかく)、bouble valuetion ダブル・ヴァリュエイション 「同一物の 2回評価」だ。インチキだ。 

 SBG(ソフトバンク・グループ)の株が、1株8000円ぐらいで上場(リステッド)されているのに、「スマホ携帯 の子会社の株、37%を放出して、上場する」で、”6兆円” の新たな 資金を手に入れた。 そうしたら、市場で、公開売り出し価格1500円 を下回る 1282円? の 下落値段が付いた。  このあと、何が何でも、野村證券は、1600円とかまで、1回は、つり上げるだろうが、また、崩れるだろう。 

こういう巨大な、インチキ、詐欺商売を、やっているから、本当に、やがて資本主義(キャピタリスムス)は壊れるのだ。 ダマされて、またしても、ヘンなのに出して、大損するのは、自分だ。痛い目に遭うのは自分だ。


アメリカ中間選挙の結果とアメリカ政治の分析をします・・・

2018-12-13 11:43:57 | 日記

 

 11月6日のアメリカの中間選挙の結果を受けてのアメリカ政治のこれからの動きについて話します。

 結果は、上院は共和党が勝って51から53になりました。民主党は49から45に減りました。下院議員が435人のうち過半数が218ですが、共和党は200、それに対して民主党が235になりました。

 それで今度のアメリカの政治の動きで重要なことは、ウィスコンシン州という州があって、ここは、日本人はどこにあるかもみんな知らないと思うんだけども、ミシガン湖という五大湖の左から二つ目、西側から二つ目のがあって、一番南にイリノイ州シカゴがあるんです。その北側です。ミルウォーキーというのを日本人は、札幌とミルウォーキーでビールをつくっている町で有名ですが、ここなんです。


五大湖周辺の地図

 このウィスコンシン州のスコット・ウォーカー(Scott Walker、1967年-)という有名な知事がいました。この人が負けちゃったんです。この人、スコット・ウォーカーというのはものすごくアメリカで人気のある政治家なんです。州知事なんですね。それが負けてしまって、そこが何か全体番狂わせにつながっていったようです。


スコット・ウォーカー

 このスコット・ウォーカーという人は、6年ぐらい前かな。このウィスコンシン州のウィスコンシン大学というのがあるんですけど、ここの大学労働組合というか、教職員の労働組合をたたき潰したんですね。College University Unionといいますが、一言で言うと日本でも評判の悪い日教組みたいな図式です。小中高校にもあります。この教職員組合が一番左翼的なので、給料の値上げの要求と待遇改善を厳しく言うわけですが、それに対してスコット・ウォーカーが負けなかったというか、ウォーカー自身が監禁されたような感じになっても戦いました。この教職員組合の労働者たち――教師たちなんですけれども、大学教授も入っています。

 それでものすごく人気が出て、全米でこの共和党のスコット・ウォーカーは大統領選にも出ました。でもトランプを応援するという形で、撤退したわけです。ところが今回負けてしまった。それでトニー・エバーズ(Tony Evers、1951年-)という教育委員会の幹部が州知事になった。これはもう完全にウィスコンシン州におけるというより、全米における教職員労働組合の側からの反撃で、それでこのエバーズという日本の日教組上がりのような人物が州知事になった。ひっくり返ったということです。


トニー・エバーズ

 このウィスコンシン州の動きが中西部に広がって、ミッドウエストというんですけど、アメリカのど真ん中のミシシッピ川沿いの広大な地域、このミッドウエストで本来、共和党がとるべきだった15席ぐらいがとれないという雰囲気が出てきたというのが決定的な今回の選挙の結果です。

 それで218が過半数だから220とっておけばよかったのに、15席ぐらい共和党がとるのを失敗した。それで下院議員選挙ではトランプの負けとなったんです。何でスコット・ウォーカー知事が人気があったのに負けたかというと、どうもフォックスコンという、アップルのスマホはほとんど中国でつくっているんですが、フォックスコンは鴻海精密工業というんだけど、中国の今はもう広東省によりも四川省の奥のほうでつくっているようですが、組み立てまでやっている。


ウィスコンシン工場の起工式の様子(真ん中はトランプ大統領)

 それをトランプがアメリカの本国でつくれという強い要求を出して、アップルも仕方なく、やっぱりアメリカ国内でスマホをつくろうということで、フォックスコンをこのウィスコンシン州に誘致して、そこで工場を建てているんですね。ところがここに税金がものすごくかかっちゃって、それでウィスコンシン州の州民が怒って、生産を始めたらしいんだけど、雇用が思ったより伸びなかったと。それで5万人ぐらいの採用予定が1万人ぐらいしか採用にならなかったということで、スコット・ウォーカーは評判が悪くなったということのようです。アメリカ国内に工場を戻せという運動の最先端のところですが、これがうまくいかなかったということです。

 それで、11月6日だけど、日本ではっきりしたのは8日の日です。後半になるとニューヨーク州とカリフォルニア州、この東海岸と西海岸の大きな州は人口も多いんだけど、ここがもう民主党の票が非常に強くて、共和党系の議員がたくさん負けたということです。

 それでも恐らく今度の選挙の性質としては、法律をトランプがたくさん通そうと思ったら、どうしても過半数の218票以上要るわけです。それで今回、何が起きたかというと、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi、1940年-)という下院議長を務めたカリフォルニアの北のほうの女性の議員がいまして、この人が元下院議長だから実力者なんです。


ナンシー・ペロシ

 どうもトランプがナンシー・ペロシにものすごくすり寄って、この2人で仲よくアメリカ政治をやっていこうという動きになっています。ナンシー・ペロシが再度下院議長になるのが当然だということをトランプが言って、ペロシも結構それに乗っていて、民主党内を押さえる。あんまり反トランプで激しい戦いをやらないで、アメリカ政治をうまくやっていくということで合意したようです。

 カリフォルニア州にはダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein、1933年-)という重量級の立派なおば様の上院議員がいるんです。これは前に私が講談社から出した『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』という本の後ろのほうに、ずっとこのファインスタイン女史の話を書きましたが、もう1人、バーバラ・ボクサーという女の議員もいました。この人はもう引退しました。前回、もう。この2人の上院議員がいたわけですが、ナンシー・ペロシとけんかしているというほどじゃないんだけど、実力者同士で女同士の戦いでもないな。カリフォルニア州をうまく政治家としては、この2人が分け合っている感じです。


ダイアン・ファインスタイン

 ナンシー・ペロシが今回、勝利したと非常に機嫌がよさそうにしていたんですが、それとトランプがうまい具合に喧嘩をしないでやっていこうということが、この後のアメリカ政治の大きな性質です。だからいざ法律を通そうというときには、過半数が必要だから、共和党としては218に対して15ぐらいを民主党から借りてこなきゃいけない。借りてくるというか、共和党の政策案に民主党としては反対でも、15人ぐらいの民主党議員が賛成すればいいわけです。アメリカはそういうことができます。党議拘束というのはあまりありません。ですから法案が通ればいいわけで、それで民主党も激しく厳しく統制しなければいいわけで、ナンシー・ペロシはその辺がわかっていて、穏やかにここの政治を進めようとしている。つまり、妥協政治をやるということです。

 ここでcompassionate conservativismという言葉を、私がアメリカ政治の重要な性質としてこの間、書きました。それは「思いやりのある保守主義」という意味なんですが、自分たち共和党というのは金持ちと経営者とそれから力のある人間たちの集団です。それに対して民主党を支えているのは貧乏な人たちと労働者と移民たちです。この人たちは、どうせかわいそうなんだと。かわいそうなんだから助けてあげなきゃいかんという思いやりのある、共感と哀れみを持った政治をやろうというのが、compassionate conservativismです。

 これをトランプも急に目覚めたようにやり始めまして、まず妥協して、南のメキシコの国境線のところで移民は絶対入ってくるなと、今も「壁をつくろう運動」をやって、軍隊まで1万5000人ぐらい出して、違法越境者たちを厳しく取り締まっているのですが、それでも合法的に申請して入ってくる移民たちは受け入れなければいけないということで、民主党が出す法案に妥協して内容をつくり変えながら、穏やかな、争い、もめごとを嫌がるアメリカ国民が賛成できる法律を通していこうという動きになっています。

 このナンシー・ペロシというおばさんは、実はおやじが相当、はっきり言ってしまえばマフィアの親分みたいな人で――お父さんがですね、その娘なんです。で、カリフォルニアの北のほうですね。全米のNational Construction Union、全米建設労働者組合というのがありまして、このナンシー・ペロシのお父さんがここの大親分だったんですね。

 だから全米建設業者労働者組合の大韓部の娘ですから、トランプもデベロッパーというか、大型商業ビル、高層ビルやら巨大ホテルをつくったりする専門家ですから、やっぱり関係が深くて、ペロシとうまくやっていこうというのはここの話なんですね。それに対してCarpenter Unionというのがあって、これはいわゆる大工さん組合ですが、大工組合は一戸建ての家が多くて、木造2階建てみたいな。豪邸もありますけれども、一戸建ての家が建っていて。このConstruction UnionとCarpenter Unionは仲が悪いんですね。だから全米の建設労働者組合と、それにかかわっている建設業の経営者たちも、共和党の支持母体なわけですから、建設会社ですね。それとこの労働者たちの考えが合うように、そのナンシー・ペロシとトランプでアメリカ国内の建設をやっていこうという動きになりました。

 だからもう一回言うけれども、やっぱり435人のうちの218とればいいわけだから、民主党の中のトランプ寄りというか、トランプの政策でいいよという議員たちの票を奪い取りを当て込んで、法律を通していくというやり方に変わります。

 この哀れみを持つ保守という考え方をトランプに対して一生懸命説得している長官たちがいるんですね。今のトランプ政権を支えている長官たちで、安全というか、もうやめたりしない人たちがいて、イレーン・ラン・チャオ(Elaine Lan Chao、1953年-)。台湾圏の人で、台湾のエバーグリーンという大きな船会社、飛行機会社もやっていますが――のオーナーの一族の人です。この人が今は運輸長官をやっている。このチャオとかリック・ペリー(Rick Perry、1950年-)というのがいて、リック・ペリーはテキサス州出身で今、エネルギー長官をやっています。このチャオが運輸長官。マティスという国防長官がいますが、マチィスはそう簡単には潰されないというか、辞めないと私は思います。


イレーン・ラン・チャオ


リック・ペリー

 それで彼らがトランプに、もうちょっと穏やかな優しい政治をやってくれと。そうしないとアメリカ国内がまとまらないからということで、トランプもわかったということで、思いやりのある妥協政治に方針を変えている。賢いやり方だと思います。

 それでウィルバー・ロス(Wilbur Ross、1937年-)商務長官が、自分の抱えているお金のスキャンダルがあって、辞めるとはっきりしました。恐らくウィルバー・ロスは日米交流団体であるジャパン・ソサエティーという親日派の団体の会長をずっとしていた人で、日本をよく理解していると言われているけど、本当はそうでもない。


ウィルバー・ロス

 ウィルバー・ロスが商務長官になった途端に日本に来て、財務省や経済産業省の官僚たちをどなり上げたらしいんです。そして、トランプ政権の言うことを聞けと。TPPなんてやめてしまえとか、激しい主張でどなり上げて、それで日本の官僚たちがへそを曲げて、もうウィルバー・ロスの言うことは一切聞かないと。日本に来るな、みたいになったんですね。だからロスはその後、来ていません。脅し上げれば日本は言うことを聞くと思ったんですが、あれは甘かった。

 ピーター・ナバロ(Peter Navarro、1949年-)という、対中国で厳しい政策を実行している局長クラスのカリフォルニア大学経済学部の教授なんだけど、中国封じ込め論というのを唱えてナバロとウィルバー・ロスはけんかになったようです。


ピーター・ナバロ

 それでもう1人ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer、1947年-)という、USTRですからアメリカの産業界を代表するキャビネット、一応閣僚メンバーなんだけど、本当はこのUSTRというのはアメリカ通商代表部の長官なんですけど、彼が今も中国や日本、ヨーロッパ各国との2国間の貿易交渉をやるわけです。日本はその片割れというか、相手方、カウンターパートは茂木敏充(1955年-)という衆議院から出ている、中堅を通り越してベテラン政治家になっている人です。これがこのライトハイザーと貿易交渉で関税問題を今からも議論して、ぎゅうぎゅうアメリカに締めつけられるわけです。


ライトハイザーと茂木


「安倍政権を支えているのは、国民への「嘲笑(ちょうしょう)だ」と、はっきりと断定する・・・

2018-12-10 08:16:21 | 日記



 

 「安倍政権を支えているのは、国民への 「嘲笑(ちょうしょう)」だ」と、はっきりと断定することで、安倍政権本質を喝破(かっぱ)しました。 安倍晋三たちの、 国会答弁の時の、 野党の議員たちの質問への、あの、人を小馬鹿にした、軽く鼻で嗤(わら)う感じの、嘲(あざけ)り笑いだ。「どうせ、お前らの考えてるようには、ならないんだよ。お前たちは、現実を知らない女子供(おんなこども)だ。

 俺たち、権力を握っている者たちの勝ちなんだよ」 と、 小さく、顔をゆがめて語る、あの「嘲笑」に、ある。  洞察と分析は、流石(さすが)でありました。

私たちに、出来ることは、彼ら、安倍晋三たちに対して、静かに、彼らの低い知性に向かって、嗤(わら)い返してやる、ことだそうです。これが本当に、一番、効き目がある。

安倍晋三は、アメリカ帝国(トランプ大統領)に対しては、F35戦闘機などの兵器をたくさん買うことで、ヘイコラして、何でも言うことを、聞いて、それで、自分たちの今の椅子、地位を、保証して貰っている。カネで、政権を買っているのだ。 

 安倍政権は、「F35を、1機100億円で(合計100機で)1兆円、アメリから買った」と、発表した。ところが、真実は、この3倍の、3兆円だ。 いろいろ装備すると本当は、1機200億円ぐらいするらしい。それと、イージス・アショアを 秋田?と 島根で、2機。 それから、オスプレイを、どれだけ買わされたか、分からない。 

 安部は、プーチンに対しても( 4島も、2島も返すもんか)、ヘラヘラと薄ら笑いをするだけだ。習近平に対しても、同じく複雑な薄ら笑いだ。 強国(帝国)に対しては、何にも言わない、言えない。生来、こういう卑屈な人間なのだ。

それなのに、日本国内で、弱い者いじめだけは、陰湿にする。 官僚どもを脅し上げて(再就職先で、締め上げてやる、で)、言うことを聞かせて、あの3人組の、鬼ような服部半蔵(はっとりはんぞう)の、警察官僚=政治警察の3人組、杉田、北沢、中村を使って。 法務省・検察庁・裁判官 のエリートどもに対してまで、警察官僚の方が、脅し挙げて言うことを聞かせている。 

 国民に対しては、押さえつければいい、軽く脅して、言うことを聞かせればいい、という態度だ。 これが、安倍晋三たちのやっていることだ。 みっともない、の、限りだ。