黒猫のつぶやき

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敷金差し引き、最高裁が初判断…具体的説明が条件 (読売新聞)

2005-12-19 19:15:24 | 時事
敷金差し引き、最高裁が初判断…具体的説明が条件 (読売新聞) - goo ニュース

 この読売新聞の記事,微妙に判決を誤解していますね。
 問題の最高裁判決は,敷引特約が法律上有効かどうかを判断する以前に,合意の成立要件自体をものすごく厳格に解釈して,そもそも合意自体を成立していないと判断したものであり,仮にこの要件を突破して合意の成立が認められたとしても,その合意が消費者契約法違反で無効になったりしないということは一言も言っていないんですね(そもそも,この事件は消費者契約法施行前の事件のようですが)。
 したがって,記事中「中川了滋裁判長は「入居者が負担する自然の損傷とはどのようなものかを、貸主が契約書に具体的に明記するか口頭で説明し、入居者がその内容を明確に認識して合意した場合に限り、差し引きは許される」との初判断を示した。」とあるのは,報道としては正確ではないような気がします。
 まあ,一般向けの新聞記事に「判旨を正確に報道しろ」と言っても無理があるのかも知れませんが。