愚公、山を移す

Wilsonです。
人間万事塞翁が馬 人間到る処青山あり

これから「正義」の話しをしよう マイケル・サンデル著

2022-02-27 23:58:56 | 日記
第2章では、ベンサム、ジョン・スチュアート・ミルが支持した「最大幸福原理」<功利主義原理>の概念を確認
した。第3章では、リバタリアニズム(自由至上主義)の考え方の提示があった。リバタリアン(=自由至上主義
者)は、制約のない市場を支持し、所得や富の再分配に反対し政府の規制に反対する立場を追求する。

これらの章を読むタイミングで、NHK BS1スペシャル マイケル・サンデル白熱教室「中国の友よ 君はそれでも幸
せなの」を視聴した。ハーバード大学サンデル教授が、米国学生(ハーバード大学)5名、日本学生(東大、慶大)
計6名、中国学生(上海復旦大学)6名を招き、討論する(意見を聞く)番組である。

リバタリアニズムに関わる問い掛けに対し、中国学生全員とも受け入れない姿勢を示した。共同富裕の考え方「寄
付を求める政府の政策に賛成か」の問いに対し、中国学生6名中6名が賛成し、日本学生6名中2名が賛成、米国学
生5名中3名賛成が賛成した。視点を変え、「自国の政府を信頼できるか」の問いに対しては、中国学生6名中6
名が信用しているとの回答に対し、日本学生6名中5名は信用していないと回答し、米国学生5名中4名も信用し
ていないと回答した。

公開番組につき社会(周囲)への同調意識も考慮する必要はあるが、中国学生は、自国の政策に対し、権利と義務
のバランスが取れており、政府を信頼し満足していると述べ、国家は人権にも配慮していると回答した。
   
物事を判断する時、功利主義を意識しようとしまいが、功利主義も踏まえ結論を出す。同じテーマに対し複数人
(地域)が判断する場合、当然の事のように意見の相違が生まれる。それぞれの功利主義と取り巻く環境は異な
るので、相入れない結論に対し折り合いを付けるとなると軋轢が生まれる。

リバタリアニズム(自由至上主義)の考え方は、自由を身勝手な行動と捉えると理解が難しくなるが、教育の義
務、勤労の義務、納税の義務以外の義務を課すとリバタリアンは反駁する。同じ行動(同調)を求められると個
人の判断が優先され、合意(統一行動)が難しくなる。

マイケル・サンデル白熱教室を含め、2章・3章から感じたことですが(少し飛躍しますが)、現状、日本が経済成
長を追求しても中国に圧倒的に敗北します。人口は日本の10倍。日本人が10人子供を産んでも追いつかない。
しかし、成長戦略は構築する必要はあります。成長なくして巨額の借金はどうするのか。矢野次官の声は消えて
しまっています。市民満足度にフォーカスを当てた価値観の構築、それも内向きではなく、外向き(交易)を目
指した価値観。しかし、なかなか出来ない。

余談
マイケル・サンデル白熱教室出演の中国学生は、全員英語で議論していました。日本の学生も英語で議論出来る
学生を出演させれば良い。その場合、帰国子女でしょうか。そうなると意見も変わる(米国学生と同意見?)。
もっとも、帰国者を雇用者は必ずしも望まない(なかなか出来ない)。


コメントを投稿