愚公、山を移す

Wilsonです。
人間万事塞翁が馬 人間到る処青山あり

これから「正義」の話しをしよう マイケル・サンデル著

2021-12-23 13:53:26 | 日記
第2章 最大幸福原理 - 功利主義

 南大西洋沖合で、嵐により沈没した船の乗員4人が、救命ボードで漂流した。船長・1等航海士・甲板員・雑用係の計4名。食料が尽きた時、船長・1等航海士・甲板員の3名は、体調を崩し弱っていた雑用係を殺害し食料として、生きながらえた。

 ジェレミー・ベンサム(1748~1832)英国の道徳哲学者、法制改革者。
ベンサムは、功利主義原理を確立した。道徳の至高の原理は、「幸福」<苦痛に対する快楽の割合を最大化する>にあり、「効用」という言葉で、快楽や幸福を生む全てのもの・苦痛や苦難を防ぐ全ての物を表した。「効用」の原理は、道徳の科学 <幸福を計算し合計し計算する> を提供するもので、科学は政治改革の基盤として役立つと考えた。「効用」を最大化すべきだという「功利主義原理」を支持した。
 マイケル・サンデルは、功利主義の問題点は、人間の尊厳と個人の権利を尊重していない事であり、基本的人権を侵害してまで、功利主義を主張するのは誤りとしている。

 ジョン・スチュアート・ミル(1806~1873)英国の哲学者、政治哲学者。政治哲学においては自由主義、晩年は社会主義者を名乗った。ベンサムの功利主義の継承者でもあった。
  ベンサムの「最大幸福原理」<功利主義原理>に対し二つの反論をする。「最大幸福原理」は、人間の尊厳と個人の権利を尊重していない事、そして、道徳的なことに対し、快楽と苦痛という尺度に還元することは誤りとした。

 第1章 米兵が羊飼い達に取るべき判断、及び、第2章 救命ボート内での苦渋の判断等、模範解答を作成する事は難しい。作成出来ても、その通りに判断することは難しい。今、判断が必要でない日常も、次には判断が必要な日常にも成り得る。