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「スミス・マルクス・ ケインズ よみがえる危機の処方箋」ウルリケ・ヘルマン著 みすず書房

2023-11-06 11:58:52 | 日記

「スミス・マルクス・ ケインズ よみがえる危機の処方箋」

            ウルリケ・ヘルマン著 みすず書房

 第7章 貨幣はどこに?! ― ジョン・メイナード・ケインズ

  ジョン・メイナード・ケインズは、1883年6月5日生れ~1946年4月21日死去。イングランド ケンブリッジ出身の経済学者、ジャーナリスト、貴族、投資家であった。本書の著者ヘルマン氏のケインズへの評価は高い。ケインズは新しい経済的世界観を構想したとその偉業を称えおり、この偉業は過去に、アダム・スミス、カール・マルクスだけが成し得たとしている。

 ケインズは、貨幣理論家であり経済問題に関与する政治家であり、証券取引所の相場師であり、実際に現通貨に換算すると2,200万ユーロ(3兆5286億円)の資産を残した。ケンブリッジ大学キングス・カレッジの会計官としてもカレッジ資産増にも貢献した。

 第一次世界大戦後、イギリスでは失業率10%時代が続く。100万人失業者の時代である。ケインズは1923年「貨幣改革論」を刊行。金本位制度を批判。その後、「赤字財政支出」論を提示する。新古典派経済学者と一線を画す。中央銀行の無力化に対し金融政策研究もを重ねる。

 世界恐慌(The Great Depression)が1929年より、アメリカ、欧州、全世界的に深刻な恐慌が起きる。ケインズは、『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)を刊行した。完全雇用政策に基づく経済不況の救済策を提唱。マクロ経済学理論とその実践を提唱し、各国政府の経済政策を根本的に変えた。ケインズは、景気循環理論を改良し、有効需要に基いてマクロ経済学を確立させることになる。

 第8章確実なのは不確実性だけ―「一般理論」(1936)で改めて検証することになるが、資本主義はやがて金融市場に支配されグローバルなカジノ的様相を呈して行く事になる。 

 この章では、ケインズが1925年頃結婚した頃のエッセイで、マルクスに対する言及が記されている。ケインズはマルクスの著作を読んでいないようであるが、「資本論は時代遅れの教科書で、それについて知っていることといえば、この著作が科学的に間違っているだけではなく、現代社会にとっての意義も適応可能性も持っていないという事だ。」と記されている。その真偽の程は如何なるものであろうか。

 

 

 



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