愚公、山を移す

Wilsonです。
人間万事塞翁が馬 人間到る処青山あり

スミス・マルクス・ケインズ よみがえる危機の処方箋 ウルリケ・ヘルマン著

2023-05-06 21:53:24 | 日記

スミス・マルクス・ケインズ よみがえる危機の処方箋

ウルリケ・ヘルマン著 

第2章 経済学を発見した哲学者-アダム・スミス

   アダム・スミスは、偉大な経済理論化といわれるが、経済学が自立した学問分野でなかった時代、自らを哲学者と考えていた。イギリスの産業革命は、1760年代から1830年代までという比較的長い期間にわたって漸進的に進行したといわれる。この新たな時代は、新たな理論を必要としていた。その最初の偉大な構想を提示したのがアダム・スミスであった。その生涯で、1759年道徳感情論、1776年国富論を完成させた。

   アダム・スミスは、1723年スコットランドのカーコーディで生まれた。父親の遺産により裕福な少年時代を過ごす。14歳の時、グラスゴー大学に入学。17歳の時、オックスフォード大学ベイリオル・カレッジで哲学を学ぶ。この時はスネル奨学金が支給されている。23歳の時、スコットランドのカーコーディに戻る。オックスフォードでの滞在がスコットランド訛りを消し去ることもあり、講演活動で収入を得ることになる。1751年28歳の時、グラスゴー大学の論理学と形而上学の教授に招聘される。

   1759年36歳の時、道徳感情論を発表。1766年45歳の時、年金生活者となり著作活動に専念し、1776年55歳の時、国富論を発表する。1778年スコットランド関税官に任命され、その後、著作活動に専念していない。1790年67歳で去る。

 イギリスの産業革命は、1760年代~1830年代まで長期にわたり進行した。産業革命の直前に、道徳感情論が出版され、産業革命の初期に国富論が出版されている。スミスは、カーコーディでの地域社会観察から、グラスゴーの経済環境の研究・有力商人との交流等や、その実務的才能からグラスゴー大学では大学理事会の簿記改善・建造物の改修・先端的書物の購入等、ジェームズ・ワットのための工房を大学内に新設する等、蒸気機関研究にも貢献している。経歴を改めて知ることで、分業論、労働者と資本家の関係等、時代を生きた学者の姿が見えて来る。

 

 

 

 


令和3年度情報通信白書序章

2023-05-06 16:07:01 | 日記

令和3年度情報通信白書序章「我が国におけるデジタル化の歩み」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n0000000.pdf

   2020年デジタル競争力ランキングでは、上位国には欧米だけではなく、2位シンガポール、5位香港、8位韓国等、アジアの国・地域も上位を占める中、我が国の順位は、2020年は63か国・地域のうち27位である。要因毎に見ると、知識、技術、将来への備えは、20位前後となっているが低下傾向にあり、人材に関する順位は46位、規制枠組みに関する順位は44位、ビジネスの俊敏性は56位である。日本は、過去、は世界有数の経済大国であった。ICT関連製造業についても、生産・輸出も1985年頃までは増加しており電子立国とも称されていた。

   日本がデジタル化で後れを取った理由として、①ICT投資の低迷 ②業務改革等を伴わないICT投資(外注化依存等) ③ICT人材の不足・偏在 ④過去の成功体験から、個別最適による業務改善が中心となり抜本的な変革ができない。 ⑤デジタル化への不安感・抵抗感(高齢者増)⑥情報セキュリティ・インターネット等の利用者のデジタルリテラシー不足。以上が考察される。

   2020年以降、コロナ禍の対応として、リモートワーク・オンライン教育・医療のオンライン化等、デジタル対応が急速に進展している。