愚公、山を移す

Wilsonです。
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デジタル社会の課題

2023-07-03 14:47:47 | 日記

  商業社会では、AI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善、新たなビジネスモデルを創出し、レガシーシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むなど、新しい資本主義の時代を迎えている。2009年から2019年の10年間で,デジタルテクノロジー(DT)を基盤とした企業(デジタル企業)の時価総額は大幅に増加し,全世界の時価総額上位企業のうちそれらの企業が7社を占めるようになっている(PricewaterhouseCoopers,2019)。通常のマーケティング領域でもDXに取り組むことが基本姿勢となっている。

  一方、労働市場の変化やグローバル化、テクノロジー・デジタル化の進展などの要因で、プレカリアートの問題が問われている。プレカリアートとは、長期の雇用契約や経済的安定性を持たず、一時的な雇用や非正規雇用、派遣労働、フリーランスなどの形態で働く労働者を指す言葉でイタリアの社会学者ギ・スタンコヴィッチによって提唱された。日本では、総務省「労働力調査」(2022年)によると、役員を除く雇用者のうち正規雇用者の割合は63.1%、非正規雇用者の割合は36.9%となっており、約4割が非正規雇用者であり、非正規雇用者2,101万人のうち、パート・アルバイトが1,474万人と約7割を占めている。正社員・正職員の賃金に対して、正社員・正職員以外の賃金は男女計で平均67.0%の金額となっている。経済的貧困者に対する生活保護政策や、ベーシックインカムの検討が議論される。ベーシックインカムとは最低限所得保障の一種で、政府が国民に対し決められた額を定期的に支給するという政策である。更に社会保障や教育などの現物給付が重要になる。医師や看護師などの医療従事者の不足、高齢化に対し多くの介護従事者が必要だということも分かっている。出生率引き上げのために,子ども・子育て政策の充実も必要だということも周知の事実である。ひとりひとりの幸福と全体的な経済の豊かさのためには教育と研究の充実が求められる。

  良い社会を作ろうと思う限り、テクノロジーは良い事に使われる。良い社会を作り上げるための有力な道具となる。効率を高め、生産性を向上させる。医療や健康分野での進歩をもたらし、疾病の予防・診断・治療の能力を向上させる。教育分野においても大きな変革をもたらす。オンライン教育プラットフォームや教育用アプリケーションを通じ幅広い人々が教育にアクセスし、自己学習やスキルの向上が可能となる。環境保護や持続可能な開発の促進にも役立つ。再生可能エネルギーの開発や効率的な資源利用のための技術革新は、気候変動や環境問題への取り組みを支援し、持続可能な社会への移行を促進する。テクノロジーの利用には潜在的なリスクや課題も存在する。デジタル格差やプライバシーの問題、労働市場の変化による雇用の不安定化などが挙げられる。従って、テクノロジーを活用する際には、公平性、倫理、持続可能性の観点から議論し、適切な規制やガバナンスを確立する必要がある。

  現在、テクノロジーの進化が急速に進んでいる。第4次産業革命 AI/IOT技術が改革するSociety5.0の時代である。デジタル革新=デジタル技術とデータの活用が進むことで、個人の生活や行政、産業構造、雇用などを含めて社会のあり方が大きく変わることに直面している。シンギュラリティ(Singularity)とは、アメリカの数学者、計算機科学者であるヴァーナー・ヴィンジが1980年代に提唱した人工知能(AI)やテクノロジーの進歩が指数関数的な速度で進む将来の時期を指す概念である。予測不可能なスピードで進行する時期が訪れるとAIが自己改善を繰り返し、人間の知性を超越する可能性が想定される。技術的特異点を通過してしまうと,法制度でシステムを抑え込むことが出来なくなる。望ましくない超知能と戦うための望ましい超知能を作るという可能性は残るかも知れない。技術は人間社会に便益をもたらすと同時に脅威ももたらして来たが,人間社会はその脅威を抑え込んで来た。したがって、これからも特にこれまでと変わった特別のことを考えなくて自然に何とかなっていくのではないか,というような考え方もありうる。



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