野に撃沈

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。ペンタックスK10Dをバッグに野山と路地を彷徨中。現在 野に撃沈2 に引越しました。

夏を迎える乙女高原

2007-07-18 | 野の花
 ほぼ2ヶ月前に訪れた時には、乙女高原はまだ長い冬から目が覚めたばかりだった。枯れ草が一面敷きつめられ草原には、スミレなどほんの2,3種類の花しか見られずがっかりしたものだった。標高1700mの所に位置する高原なので春の訪れは遅いのだが、今年はいつもの年より更に遅かったようだ。

 乙女高原へは秩父往還の窪平で左折し、焼山林道を通っていくのが普通だ。が先日来の雨で土砂崩れがあったようで、通行止めにされていた。やむを得ず金桜神社脇を通る迂回ルートで行った。建設中の琴川ダムの脇を通っていく道で、クリスタルラインと名づけられているようで、狭いがよく舗装された道路だった。

 着いたのは11時過ぎ、弱い雨が降っていてガスが濃かった。駐車場にいたのは一台の車だけだった。車を停め、登山靴にはき替えカッパを着込んで散策に出かけることにした。



 もう大分枯れてしまったようだがそれでもまだアヤメが咲き残っていた。野で見るアヤメは清新だ。


 対してヨツバヒヨドリはこれからだ。これが一杯咲く頃には高原一帯をアサギマダラが飛び回っていることだろう。


 見慣れない黄色の花の蕾があった。


 何の花だろうと思っていると、散策路のロープに吊り下げられた表示札にキンバイソウとあった。キンポウゲ科の花のようだ。


 緩やかな傾斜を登っていくとノハラアザミに蝶がとまっていた。


 網の目状の蕾がかわいい。


 丈高い草のもとにはヤマオダマキがひっそりと咲いていた。何時見てもまるで貴婦人を思わせる見目かたちの良い花だ。


 その隣には柳の葉のような細長いウラジロの葉を持つ、ヤナギランの蕾があった。ひょっとしたらもう咲き始めているのではと思っていたがまだ早かったようだ。


 この真紅の艶やかな花を見られる夏もあと少しだ。

 草原から林にかかる辺りで春の花アマドコロの実を見つけた。


 林を通り抜け急斜面にかかった辺りで、ユキノシタ科のチダケダサシに出会った。和名の乳茸刺はキノコをこの茎に刺して持ち運んだことからついたとか。名にあわず繊細な花だ。



 全体が桃白色を帯びた花も多い。


 シモツケは木本なのに背が低く、周囲の草本科の花々の陰に隠れている。


 背の高く、大きな花を持つシシウドにはたくさんの小虫が群がっていた。


 やっと色づき始めたクガイソウ。


 高原の斜面の上側にはヨツバヒヨドリが群生している。


 ぐるりと一周して再びスタート地点まで戻ってきた。
丈高い草のしたには目立たない幾つかの花が咲いている。
 この花はオオヤマフスマだろうか。


 おそらくウスユキソウの蕾。


 キンポウゲやタチフウロもまだ少し残っていた。




 時おり日が射すことはあったが、残念ながら殆ど高原一帯は濃い乳白色のガスでおおわれていた。それはそれでしっとり落ち着いた風情があって花探索にはいいのだが、今度は夏のすっきり晴れた日、高原を飛び回る蝶とともにマツムシソウやヤナギランなどの高山植物を愛でたいものだ。

ギンリョウソウ10態

2007-07-16 | 野の花
 ギンリョウソウはイチヤクソウ科に属する。山地の湿った腐植土の上に生える8~20cmほどの腐生植物だ。和名は銀竜草、別名ユウレイタケという気の毒な名前もつけられている。対して漢名では水晶蘭。

 地中からひょっこり。


 周りの白い羽のようなものが花弁で5枚ある。


 正面から失礼


 うつむいて


 クモが


 群れて


 ついて


 並んで

 
 そっぽを向いて 


 寄り添って


 <終わり>

大菩薩峠からの林道

2007-07-13 | 野の花
 大菩薩峠からは上日川峠までは、山道と林道を行ったりきたりしながら下っていった。ロッジ長兵衛からは雨で山道がぬかるんでいた事もあって、遠回りではあるが車道を歩くことにした。2時間余の道々見かけた花を上げておこう。

ツルアジサイ


 これはショウマの仲間までは分かるが、それ以上は……。


 ノリウツギ


 季節柄かこの時期に咲く花は白い花が多い。一見すると地味だが、よくよく見るとそれぞれ繊細な美しさを持っている。ヤグルマソウが崖からもたれかかるように咲いていた。


 木の根元の暗がりにに一塊に咲いているコアジサイをみつけた。山に咲くアジサイの中では、このコアジサイがどれよりも好きだ。薄いブルーの色合いが寂しげで何ともそそられる。


 図鑑を何度も捲ってみたのだが、この木の花の名は分からなかった。


 丈高い草の陰に隠れて咲いているキツリフネを見つけた。

 白い花が多い中、久しぶりに色のついた花を見ると嬉しくなる。

 沢の傍を通りかかったらヤワタソウに会った。野で見るのは初めてだ。タキノショウマとかタキノアオイとかの異名をもつユキノシカ科の花だ。ぎざぎざのある白い花弁が珍しい。


 ヨツバヒヨドリ。この花が咲くと、蜜を求めて大型蝶のアサギマダラが周囲を飛び回るようになる。



 この花は図鑑に載っておらず、ネット掲示板で尋ねて知ることが出来た。キバナハタザオ、アブラナ科の花だ。

 ヤマアジサイ。


エビガライチゴ。剛毛に蔽われた生命力あふれる花だ。咲きかけた花は星型をしていて海にいるヒトデのようだ。



 オカトラノオ。



 ヤマオダマキ、可憐な花だ。

 この花も初見の花。イケマという。ガガイモ科のつる性植物で、アイヌの人たちが昔獲物をしとめるため、この花の根塊を矢毒に使ったという。


 マムシグサの実。秋には毒々しいまでに真っ赤に熟す。


 帰りはのどの渇きを癒すためキイチゴの実を食べながら帰った。


 上日川峠から丸川分岐までは、登山道を歩くと一時間チョイで着くが、今回の車道歩きでは2時間以上かかってしまった。もっとも珍しい花が多かったので写真を撮るのに随分時間を要した所為もある。ただ車道とは言うものの交通量は極端に少ないので(2時間半近くの間通り過ぎた車は数台)ゆっくりと花を探しながら下ってくることが出来た。

 これはおまけの柳沢峠付近で見かけた鹿。親子だった。あまりの逃げ足の速さにぶれてしまったのが残念。

雨中の大菩薩嶺

2007-07-12 | 登山
 雨の中、大菩薩嶺を登ってきた。去年6月27日に登った時は花が少なくてがっかりしたので、今回は約2週間ずらして行った。変えたのは日付だけではなく、コースも丸川峠経由に変えてみた。このコースだとお手軽登山とは行かず半日以上かけての山行になるが、花は上日川峠コースより期待できる。

 山行概要;8時半 丸川分岐出発、暫く林道を歩く。
      8時50分 右に折れ登山道へ。急登続く
      11時10分 丸川峠着、青いトタンの丸川荘が見える
      12時15分 大菩薩嶺

      12時25分 雷岩、風雨強く素通り
      13時15分 賽の河原の避難小屋で小休止
      13時30分 大菩薩峠着、介山荘改修中。ここからは下山路。

      14時   福ちゃん荘通過
      14時16分 上日川峠。ここからは車道を歩くことにした。

      16時45分 丸川分岐駐車場着

      *山行中であった人は見事に0人でした。

  *尚、コースタイムは花を撮りながらなので参考程度にしてください。


 林道から登山道に取り付いて急な登りが始まった。

 雨は降ってはいるのだが、厚い広葉樹の葉が遮ってくれるので、今のところ傘もカッパも要らない。ガスが濃い。 


 ヤマハハコがおもしろい形をしている。


 キンポウゲも雨に濡れている。

 傾斜が緩くなったと思ったら草原に出た。一帯はお花畑になっているのだが咲いている花は少ない。前方に青い色のトタン壁の丸川荘が見えてきた。


 山道の左右には高山植物保護のためのロープが張られている。

 「峠の風コンサート」8月25日開催の告知がしてあった。

 山小屋の傍らに木彫りの仏像が置かれていた。


 ここから大菩薩嶺まではコメツガの鬱蒼と茂る道をジグザグに巻きながら登っていく。傾斜はそんなに急ではないので、楽に写真が撮れるのが嬉しい。

 
 ギンリョウソウが厚く積もった枯葉の中から顔を出している。


 これは珍しい花に出会った。トンボソウだ。野で見るのは初めてだ。

 ゴゼンタチバナは至る所で咲いていた。この花は秋に実る赤い実もかわいい。


 シロバナノヘビイチゴ。林床には白い地味な花が多い。


 名前の知れぬキノコの幼菌。


 丸川峠から1時間余、やっと大菩薩嶺に着いた。頂上に二等三角点はあるが眺望は木に遮られて全くきかない。


 雷岩まできた。晴れていると絶景に思わず声が出る場所だ。あいにく今日は周囲が白い闇に包まれて半径10m程度しか見えない。斜面には終わりかけのレンゲツツジが見える。


 チチブドウダンツツジも鈴なりだ。


 足元のササヤブの中に見慣れないラン科の花が咲いている。


 後で図鑑で調べてニョホウチドリと知れた。


 一向に雨風が止まないので賽の河原の避難小屋で小休止を入れた。


 親知らずの頭。


 時おりガスが薄らぐと視界がその分だけ広がるのが嬉しい。ここは晴れていると富士や南アルプス連峰の絶景が見られるところだが、今日は全く期待できない。
それはしょうがないと諦めがつくが、風も強くてカメラを出せないのは辛い所だ。

 再びガスが濃くなってきた。


 やっと介山荘が見えてきた。近づいてみると介山荘のあったとこにはブルーシートがかけられている。貼紙に現在改修中で完成は9月と書いてあった。ここで缶ビールを一杯と目論んでいたのだが……。
 ここからは下山だ。

アジサイ

2007-07-09 | 野の花
 今年は関東地方では本格的長雨もなく、何時の間にか梅雨が明けそうです。そのせいかハナショウブもアジサイも例年に比べ花の色が優れなかったように思えます。







 



 3番目の写真は立川にある昭和記念公園で撮ったもので、ほかは青梅の塩船観音で撮ったものです。