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上野の「黒田記念館」に行く

2023年10月10日 | 美術

先日藝大オペラ公演を観に行った際、時間があったので藝大の直ぐ近くにある「黒田記念館」に久しぶりに立ち寄ってみた。無料である。

黒田記念館は現在は国立博物館の管轄下に入っているが、元は画家の黒田清輝(1866-1924、57才没)の遺産と遺言(遺産を美術の奨励に役立てる)によって建てられたものである。

黒田清輝は慶応2年、薩摩藩士の子供として生まれ、東京外語学校を経てフランスに留学し法律を勉強していたが、パリで日本の画家や美術商と出会い、画家になること決意、ラファエル・コランに師事した。「読書」や「朝妝(ちょうしょう)」が展覧会で入賞し、1893年に帰朝、美術教育者として活躍を始める、印象派の影響を取り入れた外光派という作風を確立した。

その後、裸体像の1893年作「朝妝(ちょうしょう)」や1899年作「智・感・情」、1900年作「裸体婦人画像」などを国内の展覧会や博覧会に出品すると賛否両論の論争を巻き起こし、社会問題になった。当時の日本では裸体画は芸術ではなく猥褻物であるという認識があったためであろう。黒田の代表作である「智・感・情」と「湖畔」はともに1900年のパリ万国博覧会に出品されたが、博覧会で銀牌を得たのは裸体画である「智・感・情」の方だった。

1910年に帝室技芸員に選ばれ、1917年に子爵に、1920年貴族院議員になり栄達した。日本画壇の大御所と言えよう。

以前のこの記念館を訪問したとき、「智・感・情」を何回か観たことがあるが、今日は展示されていなかった。また、上に述べた「裸体婦人画像」は東京の静嘉堂@丸の内の所蔵であるが、公開された当時、警察によって咎められ、絵の下半分が布で覆われる「腰巻事件」となったことは今年静嘉堂文庫美術館を訪問してこの絵を初めて見たときのブログに記載した(こちらを参照)。

展示室は大きな部屋一室だけだが十分な作品が展示してあり、写真撮影もOKであった。オペラ鑑賞の前にゆっくりと日本の偉大な画家の作品を鑑賞できて有意義であった。



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