映画「教皇選挙」を観た、2024年、120分、米・英合作、原題Conclave、監督エドワード・ベルガー
ローマ教皇選挙の舞台裏や内幕に迫ったミステリー、第97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した作品
コンクラーベ(Conclave)はラテン語の「cum clave(鍵をかけて)」に由来し、外部からの干渉を防ぐために密閉された空間で行われる教皇選挙、密閉の様子が映画でも描かれていた、また、主人公であるレイフ・ファインズはConclave(kɑ'nkleiv | kɔ'ŋ-)を英語で「コンクレイブ」と発音していたが音声付ネットの辞書でもコンクレイブと発音している
全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会、その最高指導者でバチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった、新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする、票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく、選挙を執り仕切ることとなったイギリス出身のローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる
この映画を理解するためには教皇選挙の仕組みを事前に簡単に調べておく方が良いでしょう、私はそうはしなかったが、事後的に調べると概略以下の通りであった
選挙権:80歳未満の枢機卿のみが投票権を持つ(通常120名以内)
被選挙権:カトリックの男性なら誰でもOK、実際には枢機卿の中から選ばれる
投票の手順
- 「2回ずつ投票→開票」を繰り返す方式で行われる(この2回ずつの意味が?)
- 1日最大4回の投票が可能
- 投票は紙の用紙、各枢機卿が候補者の名前を書き折りたたんで投票箱に入れる
- 票を集計し候補者ごとの得票数が発表される
当選の条件
- 有効票の3分の2以上を獲得
- 投票が続いても決着しない場合、一定回数後に規則が変更されることがある
煙の合図
投票の結果はシスティーナ礼拝堂の煙突からの煙で示される
- 黒い煙:新しい教皇がまだ選出されていない
- 白い煙:新しい教皇が決定した
新教皇の発表
当選者が結果を受諾すると、新教皇名を選び、枢機卿団の長が外に向けて「Habemus Papam(我々は新しい教皇を持つ)」と宣言する
鑑賞した感想などを述べたい
- 日本ではあまり報道されないが、最近、現ローマ教皇が肺炎で長期間入院してカトリック教徒をやきもきさせたが先日めでたく退院できた、もう88才の高齢であるという、もしかしたら次の教皇選挙が近いかもしれないこの時期にこの映画が封切りされたのは単なる偶然か?
- レイフ・ファインズ(1962、英)は007シリーズなどいくつかの映画で見てきたが、今回の役回りは似合っていたと思う
- この映画でショッキングなこととして描かれる「バチカンを震撼させるある秘密」の内容は、そんなに大した内容とは思わなかった、というのも最近では各国の教会内で修道女らに対する性的虐待、性犯罪があったとのニュースが少なくないからだ、また、そのようなスキャンダルが教皇に告発されていたにもかかわらず、握り潰し、適切な対応をとってなかったことが映画で描かれているが、これもあり得ることだと思った
- 水面下の交渉でカギを握る枢機卿らとローレンス枢機卿との会話の中では、教皇はどういう人であるべきかの議論がされているのが興味深い、教皇はカトリック教徒のために働く存在ではなく、教会のために働く存在である、などの本音と建前のぶつかり合いが参考になった
- この映画では何人かの有力候補が出てくるが、その人らはリベラル的だったり保守的だったり、アメリカ出身だったりナイジェリアやカナダ、イタリア出身など多国籍にわたっているのが興味深かった、退院したばかりの現教皇のフランシスコ教皇もブエノスアイレス出身で地球環境保護を訴えたり、LGBTQ+、離婚問題などに対する柔軟な姿勢を示したりしており、リベラル派なのでしょう、やれやれだ
- 最後の結末だが「どうもなー、これかよー」という感想を持った、映画界もリベラルを気取っている人が多く、そういう傾向が出た結末だと思った、いい加減にしてくれ
事前に教皇選挙の仕組みなどちょっと調べてから見た方がより楽しめる映画でしょう
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