3RD EYE STUDiOS
街角の映像制作下請け零細業者のブログ




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僕は洋楽アーティストとの仕事が比較的多い。中でも僕にとって忘れられないロケがある。アメリカ人スタッフの強引さに呆れ、そのセンスのすごさとプロフェッショナルな仕事に心から感心したロケ。

某大物アーティストが日本でビデオクリップを撮影したことがある。彼らがロケしたのは日本だけでなく世界4ヶ国+NYという構成だった。ちょうど911テロ直後の晩秋だったと思う。HYPE WILLIAMSという有名監督がやってきて都内近郊で数シーンを撮影した。

僕の仕事は、そのアーティストを追いかけるアメリカ本国のドキュメンタリー番組の撮影&ディレクションだった。もちろん僕が担当するのは日本部分だけ。アメリカから番組プロデューサーがやってきて2日間付き合った。ディレクションと言っても単なる追っかけ。いわゆる僕の得意(?)な「メイキング」である。

HYPE WILLIAMSについて少し説明すると、当時TLCの「No Scrubs」(YouTube。クリックすると音が出ます)という曲のビデオクリップが大ブレイクし、印象的な色使いと斬新なカメラワークが特徴(と僕が勝手に思っている)の新進気鋭のクリエイターだった。特にHIPHOP系のアーティストに信頼され、HIPHOPらしいド派手なビデオを発表し続けている。

そもそも日本で撮影すると決まったのがクランクインの1週間前だったらしい。僕にドキュメンタリー撮影の依頼が来たのが確か3日前くらいだったように記憶している。とにかくすべてが突然だった。撮影まで1週間しか時間がないのに、いいロケ地が確保できるわけがない。監督の要望はエギゾチックな日本風な場所。急遽、日本のコーディネーターがロケ地を手配したが、予想通りというかなんというか、クランクイン前日に来日しロケ地の下見をした監督は、見事に全て却下してしまった。大困りした日本の制作スタッフは「とにかく明日ロケバスで都内を廻るから撮影できそうなところで撮影しましょう」と投げやりな対応でクランクインの日を迎えた。

いったいどこで何を撮るんだろう??何も決まってない。ロケ初日、そんなムチャクチャな状況なのに時差ぼけのアーティストを考慮して昼過ぎにホテルを出発した。都内をグルグル廻って監督が「ここ」って場所で撮影するという訳の分からないとんでもないロケだった。ちなみに、ロケバスの中で番組プロデューサーにムリヤリ「今のムチャクチャな状況を説明してくれ」と言われ、僕は自分が撮ってる番組に出演させられた…(そのカットが使われたかどうかは不明)。

もう何してるのかまったく分からない状態で撮影は進行した。夕方、監督が「ネオンが撮りたい」というので渋谷に向う。日が暮れるのを待つ間、監督が「まんだらけ」を見つけてしまい、「おおクールだ!最高だ!」と大騒ぎでなんと店内にこもって2時間ほど出てこなかった。「日本のアニメってアメリカで受けてるんだなあ」と僕が初めて実感した瞬間だった。ちなみにフィギュアやらなんやらいっぱい買ってましたよ。

さらに監督はネオンの輝きに感銘を受けて「こんな電球は見たことがない。欲しい!持って帰りたい!」といきなり言い出した。興味を持つポイントが全然違う!んで、なぜか僕に渋谷のさくらやに一緒に来いという。そして1万個くれと言うのだ!!ハア?ってな話です。店員さんは「そんなの無理です」と大慌て。結局アメリカのプロダクションの住所を教えて、ここに1万個送って欲しいという話を店員さんとつけた。いったい何に使ったのだろう…

そんなこんなで1日めが過ぎていった。

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