撮影監督と自分は、撮影監督が満足するルックを作るために二人三脚で仕事をする。彼のビジョンがポスプロで正確に再現されるように注意を払う。制作の段取りもしくはポスプロからのリクエストによっては、色調整したトランスコードファイルを渡すこともあるし、単純にCDL=Color Decision List(色決定リスト)やLUT=Look Up Table(参照表)を、現場で見たルックとともに渡すだけの場合もある。
Data Wrangling vs DIT / データ整理 vs. DIT データ管理はDITの主要業務だけど、ただマガジンからコピペする以上のことがDITにはある。ポスプロと話をせずに現場に行ってしまうととんでもない問題を起こしてしまうといつも感じている。ただデータを「無事に届ける」だけではなく、カラリストやエディターが仕事を始めるために最適な状態を用意してあげることが僕の役割だ。彼らが1日でも時間を短縮して、すぐにでも編集をスタートすることができれば、制作にも大きな意義があるんだ。
What department hires you?/どの部署がDITを雇うの? 主にプロダクションマネージャー(PM)に雇われる。PMに直接雇われることもあるし、第一撮影助手さんから指名を受けることもある。撮影部の一部として行動する。
※このあたりのハリウッドの職種分担は日本と違うし、僕は詳しくないので他を当たってください。
What is your role in working with the DP? / 撮影監督との関係は? 基本的にはDITはDPの補助になる。DPと会話することが仕事だ。たいてい「こんな絵が見えてるけど、これがやりたいことですよね?」「蛍光灯がちょっと緑がかっていて、すこし絞りすぎで、ちょっとフレアが入っています」とか。絶対に彼らの仕事に疑問を持ってはいけない。ただ確認を取って共通認識を持つだけだ。
What’s your relationship with post houses? / ポスプロとの関係は? 基本的に現場とポスプロの橋渡しの役目だ。撮影素材を最適な状態にしてポスプロに渡すのが僕の仕事。ロケ前に撮影内容が分かった段階で編集室に電話してどんな機材があるのかどうやって編集するのかを聞く。それに合わせて現場でトランスコードしていき編集用のファイルを作っていく。そしてそれをポスプロに持ち込み、彼らがトラブルや余計な時間をかけることなく即座に編集やグレーディングが始められるようにするんだ。
What kind of skill set would you recommend to people who are interested in this kind of work? / DITになるにはどんな能力が必要? この職業につく人で最も多いのが撮影部の第二撮影助手くらいの人だ。僕はポスプロの背景を持っている。12年ほどポスプロを経験して、現場の仕事に興味が出てきたときにちょうどデジタルシネマ、つまりREDへの移行が始まったんだ。そのころ混乱があって、フィルムの連中はデジタルを信頼していないし、その移行はかなりの難航だったんだ。
What do you enjoy the most about DIT work? / DITの何が好き? ポスプロ出身なので、暗い部屋に独りでいることが多かった。一日が長かった。現場にいると、暑いこともあるし雨で悲惨なこともある。でもその瞬間が楽しい。現場では創造性は瞬間で起こる。そして人と人、部署と部署とのコラボレーションがたくさん起こる。チームの一員になるのはとても楽しい。
ボクもぜんぜん詳しくないのでアレですが、日本では「CDL」は「しーでぃーえる」、「LUT」は「らっと」と云っているようです。あと DITという職業自体に関しては、日本では yamaqさんこと、山本久之さんが有名ですね。ちょうど一年ほど前に、PRONEWSさんとこに連載していたコラムで、コンパクトな内容ですが「DITとはなにか?」という概念を説明しておられました。
▶ PRONEWS : 今求められるDIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)とは?
http://j.mp/XA05tw
また REDが大好きなデビッド・フィンチャー監督とタッグを組み、現場のワークフローを取り仕切っている Light Iron Digital,LLCのマイケル・チオーニさん。この方はご自分のことを DITから一歩進んだ DIS(Digital Intermediate Supervisor)と呼称し(笑)、デジタル時代のワークフロー・プロフェッショナルとして活躍されています。
その辺りは、ボクのほうの連載でご紹介したことがあります。
▶ 「ドラゴン・タトゥーの女」のデジタル4Kワークフロー
http://j.mp/XA0V9O
以上、勝手に色々とご紹介させて頂きました。(^_^)
海外サイトを一所懸命漁ってたら灯台下暗し!!!!なんと!!「詳しくはこちら!」で済んだのに、、、orz
すでに日本でもDITで活躍されてる方いらっしゃるんですね~~ほえ~~~すげーなー、、僕の現場を考えてもいたらほんと助かるって局面はありますね。。こないだも収録素材のSDカード、子どもに食われたし、、、
問題は予算だ。
いやいや、絶対そんなことありませんよ!別に映像業界だけの話ではなく、 こうした新しい潮流の到来は、ラッパを吹く人が増えれば増えるほど、それを耳にする人が増えます。すると、準備する人、対抗する人、ケツまくって逃げる人、皆それぞれ余裕をもって対処できます。いきなり押し流されずにすみます。 DITなんて、ホントは現段階でもっと大量にラッパ吹く人がいてもおかしくない問題ではないでそか。(^_^)v
僕は知りませんが、映画や大規模CMだと既にDITは活躍されてるのかなあ。にしてもきっとまだ何かと兼任なんだろなあ。。日本の現場はアメリカほど細分化されてないし、、、
こんど聞いてみよー
かなりいい記事を読ませていただいたので一言だけ。
>映画や大規模CMだと既にDITは活躍されてるのかなあ。にしてもきっと
>まだ何かと兼任なんだろなあ。
すべての現場がそうとは申しませんが、あるキー局制作大手配給の映画などは
呼び名はDITとはいいませんが、似たような職種の方は何人か活躍されています。
ただそういう方は、DPが編集室(ポスプロではない!)から連れてきたりしますがほとんど彼らの権限は保証されていないと思います。
インタビュー内にあったきめ細やかな確認が大きな仕事ですね。
兼任も、どちらかというとカラリストよりのテクニシャン、撮影部よりのテクニシャンよりも、編集または制作部よりのDITの作業をする人が多いかもしれません。
長文で失礼いたしました。
コメントありがとうございます!
何かと細分化していくアメリカの映像業界と比べてなにかとなあなあな感じの日本の現場(いい意味で)なので「オレはDITだ!」って成り立ちにくいのかなあという印象だったんですが、すでにそういう仕事されてるかたいらっしゃるんですねえ。。
僕は、自分は主には演出家だと思っているのですが、DIT的な仕事もめっちゃしているので(せざるを得ない、、)専門職の方の仕事ぶりをぜひ見てみたいと思っています。
これから見積もりにDITって書くようにしてみます(笑。どれくらい理解を得られるか、、、
ちなみにroyさんがご存知の「DIT的な働きをされる方々」はエンドクレジットなどではなんという呼称なのでしょうか。興味あります。。
ちょっと本人に聞いてみましたがクレジット的には、編集から派遣されたので「編集・技術」、他には撮影監督からの指名だと「撮影監督アシスタント」、「撮影助手」が多いらしいです。。
本人的にはDIM(Manager)と現場では通ってるらしいですが。
ちなみに彼はカラリストから業界での仕事が始まったようです。
私も演出から編集まで自分でやるタイプの人間ですが、自分でやる場合しかDIT的な動きは出来ません。。覚えたいなぁ。
いや、ほんとは覚えちゃいけないんですよね。
ほほー、、、それだとこれだけ高度な知識と経験が必要な「専門職」ということは分からないですねえ。。今後変わっていくのかなあ。
僕も自分の仕事でないとDIT的な動きは出来ませんです。。といっても素材管理とトランスコード(Cineformに、、)くらいですが、、ルックの計画なんてないし、、
> ほんとは覚えちゃいけないんですよね。
そうなんですよね。本来はお互いの職種を侵害してはいけないという。でもそのへんが日本的な現場の良さなのかなという思いも。。。
MacのCUIをターミナルと言いますし。
元記事にもそれらしいことが書いてあったんでそうなんかなと思ってたんですが、Macのことはちんぷんかんぷんなんで分からず。。。本文では飛ばしてしまった彼が言っていることを訳すと。。。
-------------------------
Macでは昔のMS-DOSのようなTerminalというコマンドがあって、OSより上層のファイルシステムを書き換えるのに
役に立つんだ。僕自身はその能力はないけど、友達のUNIX達人に毎日の作業を簡略化するスクリプトを書いてもらった。
「R3D Data ManagerやAl3xa Data Manager、ShotPut Proの最新版を常に更新するより、ターミナルスクリプト「rsync」を使って、カメラマガジンのデータをすばやく確実にコピーするんだ。
こうやってやる。ターミナルを開いてrsync -rptWv --statsとコピペする。ソースディレクトリをボックスに入れて、フォルダ名を入力してエンターを押す。ターミナルがリストを作ってコピーを開始、間違いがないかチェックサムリストを作ってくれて、それをテキストドキュメントにコピペすることができる。
-------------------------
なのだそうです。。。うーむやっぱなにをやってるのか僕には分からん。。。実際に仕事をやってるところみないと。。。
記事の中でも書かれている映画やCMの現場で、DITをなりわいにしているものです。
記事にありましたように、やっていることは現場とポスプロの橋渡し、縁の下の作業という地味な感じなので、なかなか実情に触れてもらう機会もなく、こういう記事を書いていただいて本当にありがたいです。
ちなみにエンドロールにはちゃんと「DIT」と書いていただいてますよ。
おわ!コメントありがとうございます!本職のDIT!
DITが必要だと認知される現場ってどんな現場ですか?やっぱREDの撮影なんでしょうか?
ちなみにtak515さんはDITの前はどんな職種だったんですか?
すみません、、新しい職業が生まれるその過程というのにものすごく興味がありまして、、、最近そういう潮流を物凄く感じているんです。。