僕はマスメディア発祥の流行に接することはほぼないので世の中で何が流行ってるのかまったく預かり知らない。それでもK-POPなど「韓流熱風」に関するニュースは漏れ聞く。映像業界に限って言えば、世界的に見てもまだ圧倒的に日本メーカーの独壇場ではあるのだが、昨年頃より爆発的に人気を博している韓流メーカーがある。三洋オプティクス(サムヤン)である。圧倒的なコストパフォーマンスと、値段が三倍以上もする上位メーカーと描画力もそん色がない点で、欧米で瞬く間に受け入れられている新興レンズメーカーだ。
皮肉なことに、日本からSANYOというブランドが消滅してしまったこの時期に、サムヤン=三洋というブランドが世界的に評価を受けているというのがおもしろい。あ、まあパチンコの三洋はまだあるけど。。
そんな勢いに押され?日本でも昨年暮れごろよりサムヤンレンズを扱う店が出てきた。サムヤンは欧米では「Rokinon」「Bower」などさまざまなブランド名で発売されている。ちなみに今だと米アマゾンでは「Rokinon」が、B&Hでは「Bower」が買える。日本で買うとまんまSamyangだ。
※追記(2015.2.17)
以下の情報に関して、記事執筆当時貼ったリンクはすべて切れ、僕が見た株式会社正晃の社歴などの情報は消えてしまっています。もちろん吸収合併されてしまった株式会社正晃は今はもう存在していないようです。。いまざっと検索したところこの情報を載せているのは弊ブログだけのようですね。今となってはこの事実を証明することはただの個人である僕にはできません。僕が以下の話を見たことは事実ですが、、、、なお正晃株式会社さまや、その他の正晃という名前の会社さまとは何の関係もない話ですのでご注意ください。
伏してお願い申し上げます。
※追記
さらに追記です。コメント欄でtoshiさんに教えていただいた「痕跡」をもとに調べたところ、「合併」の資料を見つけました。株式会社 ドッドウエル ビー・エム・エスさまのページです。
子会社正晃と韓国・三洋 子会社正晃と韓国 三洋 OPTICS との販売提携に関するお知らせ
子会社正晃の譲渡契約に関するお知らせ
この資料はいちおう僕の手元にDLしておきましたが、これらのリンクが切れたら僕はもう知りません。
サムヤン・オプティクスは2004年に日本の光学メーカーである株式会社正晃と合併。それがどういう影響を与えたのか分からないが、とにかくいま「コシナツァイスに勝る」との評判を勝ち取るくらいに成長した。ぜひ、このあたりのストーリーをジャーナリストの皆さんには追いかけてほしいものだが。。

X5につけてみた。50mm程度の画角になる。
その中でも昨年特に話題沸騰したのが35mm f/1.4の単玉レンズ。なんとコシナツァイスの同等製品が15~16万円のところ4万円である。恐ろしいほどのコストパフォーマンスだ。価格面だけでなく、世界中のレビューで絶賛されている。たとえばこれ。なんとNikonの同等純正レンズのボケよりぜんぜんいいとまで書かれている。こちらではコシナツァイスがボロカス。やばいよ、なんでサムヤンこんなにべた褒めされてるの?しかも値段のわりにいい、ってことじゃなくて、値段を度外視してもサムヤンの方がいいって書かれてるのがすごい。
  |
残念ながらもっとも比較対象になってしまったCOSINA Carl Zeiss Distagon T*1.4/35mm。銅鏡部分は金属でできており、プラスチックのサムヤンとは質感は大違い。さすがのカッコよさ。 |
さて、僕も35mm f/1.4はずっと欲しいと思っていて、キヤノン純正にするかツァイスにするか迷ったんだが、キヤノン純正はもう古いし新しいの出る気配ないし、ツァイスはかっこいいけど高いし、ネタ的におもしろいのでSamyangを買ってみた。日本と外国でそんなに内外価格差はないのだが、なんとなくSamyangってブランド名が「ちょっとな~」だったので米アマゾンでRokinonブランド刻印のものにしてみた。ちなみに購入時およそ470ドル+送料+税なので、今の円高を考えるとほぼ日本での値付けと同じか若干安いくらいだ。B&Hは送料が高いので若干上がるかも。

ROKINONブランド。Samyangって書いてあるよりなんかいい気がする。
届いてみてハッキリ言って驚いた。キヤノン純正のLじゃないレンズよりビルドクオリティは上。フォーカスリングの滑らかさは良好。たぶんこれはオートフォーカスがついてないことによる影響だろうと思われる。描画力は噂にたがわず美しく文句なし。同スペックの他社レンズとサイドバイサイドで比較してないので描画力について細かく書くのは憚れるが、解像感が高いという評判はその通りだと思う。
また、僕はCPUがついてないEFマウントを買ったのだが実絞り測光なので、絞るとファインダーも暗くなってしまう。ファインダー覗いて写真を撮るときはけっこう不便だ。そのためわざわざCPU付きのNIKONマウントのこいつにアダプタ咬ませてEOSに使っている人も多いそうだ。が、僕は動画専門なんで正直どっちでもよくEFマウントでまったく問題ない。

CPUがないためレンズを認識できない。
誉めるばっかりもアレなんでちょっとだけディスってみると。。。
1)絞りが液晶に表示されず銅鏡にあって見にくい
このレンズは電子接点がなく完全マニュアル。絞りも筒についている。なので絞りは基本リングの目盛りをみて決める。NikonレンズをEOSで使う場合と同じだろう。が、この絞りの数字がかなり見づらい。特に、フラッシュがあるタイプのカメラだと絞りリングを上から見ても見えない。カメラの周りにリグを付けたら余計に見づらいだろう。これはなんとかしてほしい。

絞りリング。ほんと見づらい。

ストロボがあるタイプのカメラだと絞り値が隠れてしまう。
2)箱や外装がダサくて所有する喜びが皆無
まあ、あくまでレンズなんで映りさえよければなんでもいいんだけど、そうは言っても見た目のかっこいいレンズを持つとうれしいもの。残念ながらそういう喜びはゼロ。箱はボロいしダサいしゴミ箱直行。その意味でこのレンズが中古で高く取引されることはないだろうし、コシナツアイスはそれなりの値段で中古が流通するだろうことを考えると、実際はそこまで価格差はないかもしれない。

まったくアカ抜けない箱。
3)なんかちょっとデカい
別にロケで使う分にはいいんだけど、さくっと手に取ってちょろっと撮影しにいく、ってときにはデカくて使いにくい。まあほぼほぼCANON純正の100mm f/2.8 L IS USM Macroと同じくらいの大きさなのでまったく許容範囲ではあるんだが、他社同等スペック製品と比べて少しデカいな、ということ。

Nikon 35mm f/1.4 AI-sとの比較。デカい。
というわけで初の韓流レンズを買ってみてさっそくロケにも使ってみたが、こりゃ売れるわって1本だった。もうテレビもケータイも日本メーカーは技術力もデザイン力も価格も機能性も韓国勢にボロ負けで、それでも唯一まだ負けずに残っているのが写真/ビデオ業界だったんだが、やばいね。SamsungがこれでものすごいDSLRを出したら残念なことが起きるかもしれない。ぜひ、カメラ&レンズ王国の地位は保持してほしいものだが、、、
超テキトーに撮った作例をいちおうUP。

今朝、窓ごしに撮ってみた。KISS X5 f/1.4開放。

ロケの帰り道、車から。5D Mark II f/1.4開放。
気にはなってましたが35mmは
数本所有してるので買う予定は今の所。。。
色収差やハロの感じはどうでしょう?
35mm/1.4だとai nikkolがあるので
比べてみたいですね。
今度比べましょう!
どこにサムヤン買収と関係したのか、明記してください。
なければ削除してください。
それは申し訳ありません。
本文に書いた通りの話です。「2004年に日本の光学メーカーである株式会社正晃と合併。」です。
リンクいただきました、正晃株式会社さまとは何の関係もない話です。
株式会社正晃さんは当時新宿に本社がありましたことを記憶しています。近所だから話を聞きに行きたいと思ったのですごく覚えています。今見たら記事執筆当時貼ったリンクはすべて切れているようで、痕跡は僕のブログだけのようですね。
http://www.seikou-opt.com/
というアドレスだったことだけが今でも残っており、
http://www.seikonet.co.jp/
とも違うことが分かります。この記事を書いた当時、正晃株式会社さんのページを見た記憶もあります。
当然、合併吸収されたのでもう株式会社正晃というメーカーそのものがないようです。今となっては証明することもできませんのでご迷惑がかかりそうですので本文に追記しておきます。
大変申し訳ありません。
この記事、2012年に拝見しています。
よほどこのレンズを買おうかと思ったくらいです。
光学メーカーだった「株式会社正晃」のサイトは、痕跡なら見かけますね。
ほんとうに痕跡で、これらもいつリンク切れになってしまうか分かりませんが。
http://archive.today/ZAElI
http://dawhois.com/www/seikou-opt.com.html
Samyang Opticsが、2004年にSeikouと合併したという記述は、wikiにあります。
"In 2004 it was merged with the Japanese CCTV optical devices maker Seikou."
2012年当時、この記述を引用したユーザーが、dpreviewのサイトにも、nikonrumorsのサイトにも居ました。
http://www.dpreview.com/forums/post/41572331
http://nikonrumors.com/2014/08/27/new-rokinon-7-5mm-f8-0-rmc-fisheye-lens-for-nikon-1-mount.aspx/
ありがとうございます!!僕が見たのはこのページです!!
そうだ、僕は確か海外のサイトでSeikouと合併したというニュースを見てそのことを知った記憶があったのですが、もう探すのめんどくさくて、、、
で、僕の記憶では新宿の早稲田に本社があったとおもったのですが、いま「痕跡」を見ると北区と書いてありますね、、、、、人の記憶はあてにならない(笑
いまいただいた情報を手掛かりに検索するとさらに2012年10月にメーカーが解散したことが分かりました。
http://www.uniel-denshi.co.jp/CCTV-LENSES/AVENIR/AVENIR-ALL.html
http://www.ff-net.ne.jp/ffhome/seikoumono.html
僕がこの記事を書いたのが2012年2月(入院中だったので覚えてます。。朝焼けのほうは病棟から撮った写真です)なのでその直後に会社がなくなったんですね、、、
いずれにしてもホッとしました。。。ありがとうございます!!!!
もうほんとありがとうございます!合併に関する資料も見つけたので本文に追記しました!合併ではなく「販売提携」だったんですね、、、
いずれにしてもよかった僕の妄想じゃなくて、、、
という印象を正晃株式会社のコメントから受けました。
正晃株式会社と株式会社正晃を混同しているわけでもないのに。
無知なだけじゃないですかね。
僕も一瞬、正晃という名前欄から「もしかして?」と思ったのですが、僕のこの借りぐらしブログの機能では本当にどなたがコメント書かれたのかは全く分からず。。
正晃株式会社さまは本当に何の関係もなくただのとばっちりですので悪く言わないでください。。。orz
いずれにしてもありがとうございます!!
折に触れての「追記」で、資料価値が高まるんだなぁと思いました。
2005年には、こんな人事募集もあったようですね。
(なぜか次第に「株式会社 正晃」に詳しくなっていきますが、このへんで一区切りにします(笑))
http://goo.gl/TBaJra
いやあ、自分のブログなんて過疎地のさらに山奥くらいの意識なので、ほとんど何も意識せずに書きなぐって酒飲んで寝てますが、今こんな昔のエントリにコメントがついてほんとびっくりしました。。
で驚いて検索したら会社がなくなっていて途方にくれていたところコメントいただいていろいろ助けていただいて、ほんとに助かりました。。。。よかった。。。。
2005年の人事募集もおもしろいですね!!
「韓国上場企業三洋OPTICS100%子会社です安心して働けます」
むしろ今のほうがオモシロイ仕事できるかもですね、サムヤンは。。
最近でいうとサムヤン以外にも中国系の光学メーカーがいっぱい出てきてるので日本企業も頑張ってほしいところです。。
様々な収差が少なくなるので
画像が良くなるのは
当然のことのような
この大きさの35mmF1.4が許容されるのであれば、
安価なレンズ素材・レンズ設計を使用して、
画像良いものを作るのは
難しくないです。
広く出回っている35㎜とは設計思想が
異なるのでしょう
ある意味で割り切ったレンズ設計とも言えますね。
実はそういうのが求められてたり、、サムヤンのシネレンズって結局そういうターゲットなんですかね。
シネレンズなんてそもそも用途は限られてますしデカくて重くても誰も文句言わない領域な気がします。
仰る通りそういう割り切ったレンズ設計というのが多くのユーザーの琴線に触れたような気がします。
ただし、サムヤンレンズのコーティングは評判が悪く、コーティングを剥がすサービスがあるくらいなので、そこは考慮に入れないといけないのかもしれませんが、、、
早速のお返事に感謝しております。
また
公平な立場からのコメントに感謝しております。
サムヤンのレンズのことを理解して楽しむこと
確かに選択肢になり得ますね。
こちらこそコメントありがとうございます。
サムヤンレンズ、正直言って使い勝手悪いです。オートフォーカスもないし、デカいし重いしかさばるし。。。
普段使いでは絶対持ち出しません(笑 なので使用頻度は極端に低いです。動画でよく言われるRUN&GUNな撮影では絶対使いません。
また、シネマ用途でも予算があるところはホンモノのプライムを使うでしょうし、そのレベルのものだと全く映りが違います。
予算がないインディ・自主製作映画/PV制作などですかね。。で、実際そういうボリュームゾーンはYouTubeおよびDSLR興隆ののちものすごく大きくなってきてますので、そこを狙っての商品でしょうね。。
いいとこ狙ってると思います。。
WEBアーカイブという過去のWEBページのスナップショットを保管しているサイトがあり、株式会社正晃のwww.seikou-opt.com/の過去の状態も見る事が出来ます。
まだ株式会社正晃に興味がありましたら見てみてください^^;
https://web.archive.org/web/20121211194556/http://www.seikou-opt.com/
おお、ホーム以外のページも見られるんですね。これだけ残っていればもう安心です。
正晃という名の他の会社さんにご迷惑をかけることもなさそうです。
ありがとうございました!!