映画のメイキングというものをご存知でしょうか?映画制作チームに密着し、撮影風景や役者のインタビューなどを紹介するビデオのこと。映画本編DVDにも特典映像として入っているアレです。アイドル映画だと特典映像ではなく本編と別にメイキングDVDが発売され、本編より売れてしまうことがよくある。
僕は残念ながら当然ながら映画は撮った事がないが、映画のメイキングなら何本か作ったことがある。某日本アカデミー賞某賞受賞映画のDVDにも1本収録されている。
この映画メイキングというのは全く大変な仕事だ。そして悲しいことにぜんぜん報われない。いや、確実に本編を作るより辛いのだ。なぜ辛いかだけを書いてしまうと誰もやりたくなくなるだろうしそれはマズいので、メイキングに携ることの素晴らしさをまず前編として書いてみる。これを読んでやってみたいという人が出るとうれしい。
もちろん作品によって異なるが、邦画の撮影期間は平均的に一ヶ月から一月半ほどだと思う。製作委員会が立ち上がって撮影に入るまでは半年から1年、長いものだと2~3年はかかるが、メイキング班が入るのは撮影開始(※クランクインという)からだ。
メイキングは撮影裏話を視聴者に見せる役割なのでメインは知名度の高い役者さんを追いかけることになる。同時に監督も視聴者の興味をそそる存在なので監督の演出仕事も撮る。これが僕にとってはかなりおもしろい。映像ディレクターは意外と孤独な職業で、ADを卒業しディレクターとして独り立ちすると他のディレクターの仕事ぶりを見ることがなくなる。ところが映画のメイキングでは他人の仕事ぶりを徹底して客観的に密着取材することができるのだ。これは大変な勉強になる。
何本かやると分かるのだが、監督によって撮り方が全然違う。あらかじめ絵コンテを完璧に準備をする人。撮影ギリギリまでどんな絵を撮るか考えていない人。全てをスタッフに任せておくがここぞという時には口を出す人。1カットずつ撮る人。1シーンを通しで何度も別アングルから撮る人。役者さんと仲良くなる人、距離を置く人。。いや面白いんですよ傍から見てると。めちゃくちゃ勉強になる。なるほどな~と感心するとき、いやオレだったこうするよな~と心の中で批評するとき。他の職種でも、自分と同じ職業の人を客観的に観察できる機会は滅多にないのではないか。そんな機会がメイキングでは与えられる。
これから映画を撮ろうという大志を持った方々には、ぜひメイキングを何本か作ることをお勧めする。メイキング制作は、映画撮影の最初から最後までノウハウを余すところ無く吸収することができる素晴らしい仕事なのだ。
ところがメイキングは。。。。(後編に続く)
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