三浦俊彦@goo@anthropicworld

・・・・・・・・・
オトイアワセ:
ttmiurattアットマークgmail.com

ニュルニュル系6

2011-04-10 23:34:00 | モンスター映画
 ■パラサイト・バイティング 食人草■ これ、ほんとは「植物系」とでも分類せにゃならんのだろうが植物系モンスターってえれー数少ないのでねぇ、いつまでたっても溜まりませんからこのへんで「ニュルニュル系」に入れさせてもらうよ。あの蔦ったら立派にニュルニュル運動を果たしてたしね。さて殺人蔦の描写ったらまことによくできてて、ぷるぷる震えながら携帯の呼び出し音真似たりする花また花もまことに不気味すぎるほどでよろしかったのだけど、結局なんだ、リアルタイムで逝った6人のうち蔦に殺されたと言えるのってたった一人だけじゃないですか! 犠牲者となるべき人間どうしで斬り合っちゃうなんてもったいないでしょうが、論外でしょうが。穴んなかには蔦に殺されたらしい死体が放置されてたりはしたけど、もうちょい蔦の直接攻撃の現場を見たかったんですよ、せっかくあれだけ怖い蔦工夫してくれたんだから。でも全般、ああゆうふうに高台に閉じこめられるって発想、まあ新しいよね。逃げられそうで逃げられない。ラストの逃げ方はちょっと原住民が馬鹿すぎね?ってほどのもんだが、ともかく貴重な植物怪獣そのものは十分ホラーだったので私は高評価出したいと思います。寝てるうちに手脚から蔓だの葉っぱだのが生えてきやがったらそりゃ怖いでしょうよ。あれ的シーンを二倍に増やしてくれてたら満点、って佳作でした。
 ■スラッグス■ いいもん観た。ミミズといっしょにナメクジも飼いたくなってきたわ。だけどああいう黒いでっかいナメクジって、このへんにはいないんだよね。ていうかあのナメクジって、いつぞやムツゴロウさんが掴んでかわいいかわいいと踊り食いしてた(つか丸飲みしてた)ナメクジだよね? たしか食用ナメクジ。たしかに艶々しててかわいい。このへんのとは違って表情豊か。しかし主人公の指にぱくって噛みつくシーン、もろマンガチックで笑えたよ。あそこ、なにげに名シーンですよ。バカップルが喰われるシーンもさることながら、アンチョビサラダに内側から食い破られる男、あの描写はうまかったな。描写ってよりもってきかたね。つまり腹痛のあとで自宅の洗面台シーンになるもんだから「こりゃあナメクジゲロすっぞ!」と予期させて、しかしそこは外して、顧客との打ち合わせ現場でも「うぷっ」でとどめてまた洗面台へ。そこでも鼻血だけでスカして、でいよいよ乾杯のときに顔面崩壊。たまらんもってきかたです。しかもナメクジそのものじゃなくて寄生虫ときた。ナメクジだけじゃ「ニュルニュル系」名乗るにゃ短躯すぎるかな、って心配はこれで解消。寄生虫の方ははっきりミミズ系だったものな。しかし市長に取り合ってもらえなかったからってあいつら勝手にああゆうことしていいのけ? 町中大爆発。ナメクジより火事のほうが怖いんでねえの? それと不満はラスボスなしか~、ってこと。けどそれは仕方ないか。ラスボスが出ちゃっちゃ、リアルなエコ・ホラーが台無しになるもんな。ただの群れで我慢我慢。
 ■キンドレッド 戦慄の異形生命体■ ちくしょー、ちくしょー、ちくしょー! 素ッ晴らしいクリーチャーなのにぃ! ニュルニュル触手あり粘液滴りまくり散らしまくりシーンあり、車の後部座席に置かれたスイカの中から触手が伸びて運転席の女の顔に巻き付くあたり、名シーンじゃないですか。瓶の中からぎゃあぎゃあ喚き出てくるホルマリン漬け胎児を蓋で押さえつけて触手ブッちぎりながらようやく蓋締めた女の奮闘場面とかも。感電したクリーチャーが破裂してなんやら人間っぽく変容しながら溶けてってマッドサイエンティスト道連れに消えてくシーンとかも。増殖体どもがグレムリンっぽくひしめく大団円もさ。ああいう名シーンが、怪物の造形の細部が、この酷い画質のおかげで台無しでしょうが! ひっでえ画質ですよこれは。滲んじゃって人や物の輪郭が揺れっぱなしです。逃がした魚は大きいじゃなくてだよ、ほんとあれ名場面ばっかなんだから。いくらなんでもこの画質、ほんとにマスターテープ使ってんのかや? すり切れたレンタル落ちのVHSそのままディスクに焼いただけじゃねーの? 五十年代じゃない、1986年の映画ですってよ。『スラッグス』と同い年じゃん、この画質はない、いくらなんでも。しかしもう、運転席で触手に絡まれてパニくる女、いい画質で観たかったいいシーンだったなぁ。ホラーの模範。話自体はちょっとおかしかったけどね。入院してた兄ちゃん、単独で駆けつけてもしゃあないでしょうが、警察つれてけよとか。女が一人地下に残ったままなのに仲間に黙って爆破装置点火してあとで慌ててんじゃないよとか。でもクリーチャーのビジュアルがよければ話なんかどうでもいいんです。あまりの画質の悪さにこりゃ字幕ぐらい出さにゃ見てられんなと、例外的に字幕出して観たら案の定つまんねー話だったけどね、このテの映画の通例として。そう、B級ホラーって、ヤッパ字幕消してほどよく不明瞭な展開にしとくと、ほんのりシュールになったりナンセンスになったりして価値が上がるんだよね。クリーチャーに集中できる度も上がるしね。ちなみにこの作品、「バイオハザード系」の方がふさわしいかもしれないけど、ニュルニュル系に回させてもらったよ。なんせニュルニュル系って意外と層が薄くてここんとこ数集められてなかったもんでね。
 ■モンスター・マウンテン■ こりゃあすげえや。といってもすげえのはモンスターの造形だけなんだけどさ。でもそいつがよければ俺的にゃ9割以上はクリア。パッケージにあったカバっぽい顔はウソだったけど、カニとタコとゴーレムを合体させたような不定形造形は快挙。B級パニックものの常として、バッケージに描かれたドデカモンスターはどうせ誇張だろうなと思ってたらほんとに山と同じ大きさっぽかったんで狂喜いたしました。いや、大きさは本来得点源じゃないんだけどふもとから見上げる超巨大モンスターってのはおっかないもんだなあ、って気づかされたし。意外とあのアングル、今まで誰もやんなかったんだよね。だもんで造形+大きさがこのモンスターの勝因です。っつっても山から一歩も動かないってのはどうだったかな。地中では盛んに動いてたらしいのに、地上に出現してからは山の頂上に陣取ったまんまなんだもん。足もとをチョコマカしてる主人公らをピンポイントでしつこく狙って外したりしてるのはあのスケールからして違和感ありありだし、もっとこう貫禄を持って暴れてほしかったよなあ。主人公らの頭上をくねるタコ足のあの危うげなCGから判断するにお金ギリギリで山からモンスター離すわけにいかなかったんだろうけどね、でも全体像が見たかったよなあ。ま、あんだけいいモンスター作っといて、ジッツァンと食堂の女のもたもたした脱出劇にやたら時間割いたり、どうも人間ドラマ(って呼べるほどのもんあったんかいな)に配慮しすぎで、ま、何もかも結局経済的問題か。最初、地中から蒸気が噴き出してきた描写にゃ、人物の至近距離すぎてかえって事態が矮小化されて災害の壮大さが伝わらず、「こんなヘタッピ、観るのやーめた」ってなりそうになったんだけど、観続けてよかったよ。ゴゴゴゴゴ、ってフレームごと大地が揺れる描写は古き良き地底怪獣映画のお決まりシーンでなつかしかったんで、それに惹かれて観続けたわけだけどね。あと、ほとんど人類の危機って言っていい事態だっつのに重大な任務帯びた奴がたったひとりでしかも道案内現地調達っていくら何でも行き当たりばったりすぎるでしょとか、あのミサイルは無駄にカッコよかったけど実質あれっぱかし一発で倒せるモンスターなら米軍の戦闘機2、3機も出動すりゃあっさり解決だったんじゃねーの?とかいろいろイチャモンいいたい要素はあるにあるけど、モンスター出現時にすべて帳消し。財政難の悲しさを漂わせつつこの映画、モンスターものとしちゃ堂々たるものでした。でもあとちょっと金ありゃモンスターが山を離れて町を襲ってくれたんだろ~なと思うと、返す返すも残念っすわ。
 ■パニック・スカイ■ あ、この映画も原寸大に近かったね、よかったよかった。なんせパッケージの絵が飛行機と自由の女神に中空から触手巻き付けるドデカモンスターだったんで、「ああ、いつもの誇大広告か、ニョロニョロが機内をクネリ回る程度なんだろうな」って思ってたらほんとにパッケージ絵と同程度の巨大モンスターでやんの。いや、自由の女神はウソだったし、飛行機もジェット旅客機と思いきやせいぜい6人乗りのレンタルプロペラ機に5人の若造が乗ってるだけだったんだけどさ。ともかく触手初登場時のその大きさで「うわ」と期待したわけなんだけど(すでに中盤過ぎてて期待には遅すぎたけどな)、ありゃりゃ……、タイムスリップものでしたかや? つかパラレルワールドもの? わけわかんない変なオチのおかげでモンスターが一挙超脇役にすっこんじまいましたねぇ、意味的に。まあなんだな、ああいうモンスターじゃなくてもよかったってこったな。ただの台風とかでもよかったってわけで。もともと出番少なかったとこへもってきて、せっかくのあの造形がただの幻覚みたいに成り下がっちゃったこの映画のサイコ的トラウマ的展開、俺ァ反対だな。飛行機が怪物に呑み込まれようが何されようがみんな「夢……」で解決されちゃう的流れだもんなあ。ただし死んだやつらが生き返ってこなかったのが救いだけどね。
 ■シンドバッド 7つの冒険と海神ポセイドン■ なんか支離滅裂な映画だな。それわかってるせいか俳優も主役含めてあんまやる気ナシな感じ漂ってる。表情なんか投げやりだもの。そいで、ポセイドンってどこ? もしかしてあの大イカですか? ってことでイカ、カニ(『巨大生物の島』っぽくてなつかしいわい)、クジラ(尻尾だけね)、翼竜(あいつら何? 敵対的なくせに結果的に一行を海から救い上げただけ?)、サイクロプス(大した攻撃してきてないのに主人公ら、過剰防衛でしょうが! しかしあの間抜けな倒れ方は串刺しになっちゃう方が悪いか……)、スフィンクス(っていってたっけ? しかし最期、岩がぶつかる程度のシーンは見せといてよ)、あと正体不明なアマゾネス集団(ど~見てもただの人間なんだけど吸血鬼っぽい設定?)と6~7種類くらい出てきたクリーチャーの中でそれじゃイカで代表させてニュルニュル系に入れさせてもらうよ。しかしあのイカはだねぇ……あいつがタンカー沈めに接近してくとこのCGのあまりのボロボロぶりにただちに観るのやめようかと思ったんだけど、漂着直後に現われてなぜかしつこく現金のトランク奪ってったカニの剽軽な動きにうっかり気を取り直して最後まで観ちまったぃ、あ~あ。次から次へとクリーチャーだけは惜しみなく出やがるもんだから飽きはしなかったけど、イカに続いてクジラもほとほと海面との接点ね、ああいうCG処理がド素人のようですなこの制作陣。それに内容も表現も全般いいかげん。娘と父親、同じ島に十何年だか住んでて一度も出会わなかったのかよ? 殺されるとき悲鳴だけで視覚的には一切省略って扱いされてる女もいたし(島の女が出てくるまではヒロイン格かと思わせといてだ)、だいたいラストのイカとの会話っぽいあれは何なの? コンタクト系へとジャンル早変わりしたのかな? 役目達成の潜水艇、殉職かと思いきやイカに助けられてるっぽいし。とにかく主人公と島の女とがコンビで潜水艇操作してた意味もウルトラQ『ゴーガの像』でレギュラー陣がバズーカ発射部隊に同乗してた並にさっぱりだし、とにかくまあ、でもいっかな、いいかげんなめまぐるしい展開でサッサカ進めてくれるこんなクズ映画も、割り切って観れば、たまには。