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オーソドックスな環境音楽が欲しい人へ

2025-07-26 11:45:29 | 環境音楽
 静かでゆったりした環境音楽が欲しいのに、余計な盛り上がりやセンチメンタルなメロディの介入に悩まされている人も多いのでは。今や環境音楽・ヒーリングミュージック・瞑想音楽の類もすっかり多様化して、ジャンル錯誤の的外れ系が巷にあふれる半面、AIで自動生成したような無難きわまるテンプレート系デジタルミュージックも通販サイトやYoutubeに大量に出回っています。
 その中で、CDの形でプレスリリースされる作品は、かろうじて20世紀の初心クオリティを維持しているかに見えますが、「普通の浮遊願望」を満たせる作品は稀と言えるでしょう。
 海外に目を向ければ、Monroe Products、The Relaxation Companyをはじめ数々のレーベルが体系的に「王道環境音楽」を大量リリースしているものの、規格化されすぎて没個性を窮めてしまっており、かたや個性派の目立つ日本産環境音楽においては正統王道ものには今も昔もめったにお目にかかれません。
 そんな厳しい状況の中あえてここでは、『環境音楽入悶』以降にリリースされた国内アーチスト作品の中から、一制作者一作品縛りで傑作筋を掘り出してご紹介します。
 漫然とした紹介を避けるため、以下の縛りを設けます。
 ◆通俗的な浮遊感覚を第一とするため、ピアノやギターなどパルス音が前面に押し出された作品は除外。
 ◆逆に、平坦すぎる地熱鳴動系・砂嵐系・コンセプチュアルノイズ系など(畠山地平、小野寺唯、Hakobune、Aube、舟沢虫雄、・・・)も除外し、いかにも世俗リラクゼーション用途に適した作品に限る。平坦系は非世俗リラクゼーション効果特大といった良好傾向があるにもかかわらず除外する理由は、なにぶんにも数が多く、当リストの内的バラエティを損なうため。
 ◆シンギングボウルもの・クリスタルボウルもの・ハーモニーベル(音叉)もの・シタールタンブーラものなど、大同小異かつ流通数過剰な系統も除外。
 ◆浮遊感覚は豊富でも、音階がハッキリしすぎる作品(知浦伸司のような)も除外。
 ◆つまるところ全編にわたってドローン多め・パルス少なめ・ふわふわシンセ音で統一された作品に基本限るという選定基準。ただし自然環境音が前面に出て背後にドローン人工音が漂う系(中田悟、谷崎テトラ、小久保隆などに数例あり)は除外。それと、空白の活用によってドローンが塊状化されるなど個性的すぎる達成となった作品も除外しておきます(顕著な例は、こことかここで紹介した『White Space』←1999年推奨版は声楽トラックの重低音が印象深すぎることも重なり)。
 ・・・以下、番号に評価的意味はありません。この順序で聴いて立ち上がるメタワールドが紹介者の趣味という程度です。 

  Yuta Nagashima『Sunflower』  
 ② 朝瀬蘭『光 イントゥ・ザ・ライト』
 ➂ 鈴木光彰『大地のエネルギー』
 ④ Nariyuki Okayasu『New Journey』
 ⑤ 神山純一『快適睡眠』 この人は安易なメロディの量産によって環境音楽ジャンルの世評低迷を招いた元凶だが、唯一この作品だけは基準をクリアしています。1998年作品だが『環境音楽入悶』に間に合わなかったので特別エントリー。〈こういうのでいいんだよ系〉代表。
 ⑥ 近江賢介『Healing Life デルタ波で究極の睡眠 バイノーラル・ビート』
 ➆ YOGURT & KOYASU『SOUND OF SLEEP & MEDITATION』ここで紹介したupsets(yoghrt & yama)『SOUND OF SLEEP』と聴き比べると極上の体験となるでしょう。それにしてもyoghrt, yogurtどっちなの。 
 ⑧ 潤照峻怜『落ち着く空間』
 ⑨ TAKMIXヒーリング『睡眠の音楽』
 ⑩ STALAG『Moon Relaxation』
 ⑪ rutekia『lotus』途中からシンギングボウルの独奏が始まってしまいますが、しばらくしてシンセ音に溶け込んでゆくので全般、当リストに馴染むと判定しました。
 ⑫ MIROKU『SYMPHONY OF THE UNIVERSE』
 ⑬ P.R.E.M『Far East Drone』平坦ノイズ系との境界事例。
 ⑭ 風音『ディープブレス』センチメンタルメロディ系との境界事例いやむしろ踏み越え系。13種の風鈴を使った独自路線に感応するリスナーのために参考登用。
 ⑮ 制作者不明(クレジットなし)『超強運』――⑮⑯⑰は、当リストの中で段違いに「細部欠如」の無難典型系。よほど疲れたときには、この程度の大味クオリティがむしろリラックス効果大かもしれません。
 ⑯ miarofa 『七福神』7枚組各2曲構成。どれも似たり寄ったりだが却って微差を楽しむ醍醐味滲出。 
 ⑰ 宮下富実夫『1998; サイレンス』1990年刊 GAIYA SYMPHONY10枚組のNo.8。『環境音楽入悶』p.63で紹介済みだが、20世紀天上系の標準作として参考登用。
 ⑱ RELAX WORLD『心と体にやさしいアロマ・ヒーリング』「アロマ」を謳ったヒーリングCDは膨大だが、これ一択。ドローンメインと明記した当リストからすると水音での中断が多すぎて「・・・」と訝るリスナーもいるかもしれないが、水音の多彩さおよび音色の〈このジャンルわかってる感〉に免じての特別エントリー。
 ⑲ 吉直堂『ヨガ・瞑想教室の曲 10分間の疲労回復音楽 ヒーリングミュージック』
 ⑳ 梨木良成『nextent』森堂自名義で幽玄化・難解化する直前の「じねん五部作」その三。じねん五部作は、梨木作品の中でも最もわかりやすいサウンドスケープです。

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