三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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フリークス系2

2005-05-01 03:05:56 | モンスター映画
 ■イレイザーヘッド■ 始まったとたん「な、ナなんだこれは?」「ああそうかこれ、芸術だったんですねっ」と強制的に悟らせる半抽象映像。スペルマぐにゅぐにゅ系。本題に入って人間がまともに動き回る段になってもアート系の期待裏切らないのは驚きだ。科白異様に少ないし。断トツ造形を誇るあの赤ちゃんはもちろん素晴らしくリアルだが(あれ系を「シュール」じゃなく「リアル」と感ずるのはほら、今はネット上で例の「セミ少女」の動画なんかも簡単に拾えるようになったじゃない(知らない人、ちなみに日本人ですよ!)、それ以来ですね)、いやなんつってもメインの男。いきなりあの髪型でドーンとくるかよ。振り向き加減にアップでこられた日にゃあ。笑うかのけぞるか。しかもその後のグチャグチャやり放題ぶり。半分は妄想てことでどんなハチャメチャも許されるってんじゃかなわん。右派からのそんな苦情も聞こえてきそうではあるが――私ァ全面支持。肝要なのは自由度百%妄想をどうやってリアル処理するかってことで。にしても首が飛ぶときビヨヨーンて擬音使いますかねふつう、よほどリアリティに自信あると見た。いやあコマゴマしたモンスターが光と影の隙間にじゅるじゅるこうも溶け蠢きつづけてくれたんではチョロチョロ出演の半フリーク女どもなんかてんで不要なくらいだし、やり放題ねじれまくってるわりには不可抗力的抑制を漂わせて不気味だし(その効果狙ってモノクロにしたってこと?)こりゃあ傑作ですわ、間違いなく。で結局赤ちゃんどうなったのかなあ。どこまでホントだったのかなあ、ビョーキでブツブツまでか、ヘビ花火式内臓暴発までか? 外に出ようとドア開けるたびに泣き出すいちばん可愛いとこは現実だったんだよな?
 ■悪魔のシスター■ 『サイコ』+『裏窓』を装ったバッタもんみたいな言われ方しているようだけど、ヒッチコックより良かった気がするんだなあ、俺は。いいよ、これ。サイコになる経緯が本家『サイコ』よりリアリティあるでしょ。いろんなタイプのシャム双生児の画像も紹介されたしね。頭がくっついてるやつとかも。ま、警察の杜撰な仕事とかヒロインの単独捜査とか、あとやけに見事に効果を発揮する催眠術とか、通俗もいいとこなんだけど、あとマルチビジョンね。あれはもう、露骨な手だけど、やっぱ見入っちゃいますよ。人格変わるって設定だろうけど、本人もそこんとこどれだけ客観的に自覚してるのかってとこ曖昧っぽくて(だって真面目に会話してたじゃん、「ふたり」で)、ヒロインを捕らえた後の元夫の行動もいまいち読めなくて、そうそうオチ(?)ときたら目一杯意味不明で、いいじゃないですか、芸術になってますよ。ノゾキ場面が冒頭のピーピングトムと殺人現場の裏窓設定と精神病院とラストと、なんかいっぱいあったなあ。ストーカーもあったし、手術回想場面も不必要に陰鬱で、緊張度高かったす。
 ■エル・トポ■ 冒頭、馬上のガンマン登場、なぜか全裸の男児つれたオトボケムードに、もう大笑いする体勢整えていたのよ。けど不条理度いまいち盛り上がらず、いつまでたっても評判ほどには至らなかったな。芸術カブレしてるわりに素直な人々に受けるにゃどうしたらいいか、よく知ってるスレ者によるあざとい作り物の典型ってとこ。マ、こういうのほっとくと「芸術がわかってない」って言われそうで、だからみんな無理して褒めといたりするわけ。そういう人に限って『イレイザーヘッド』や『2001年宇宙の旅』に戸惑ったりしてる。難解ってひとくくりにされてる中でもレベル大違いってことあるから注意してね。さてしかしこの映画、まるっきり悪くもないんですな。褒めるほどじゃないがけなす必要もナシってレベル。ディテール以外は難解でもないし(そこが物足りないんだが)。次々決闘相手求めてさすらう砂漠場面ではいろいろ新奇インスピレーション湧かせていただきましたし。吊り橋は脆そうで怖かったし(エル・トポ射殺後のレズキッスは二人の舌の色がくっきり違ってるのが萌ェでした)。ただもっと俗っぽく選ばせてもらいますと、なんたって一番は、コビト娘のフルヌードが拝めるってこと。視認可は上半身のみだが、あの『フリークス』でもコビト娘はオッパイひとつ見せやしなかったので、快挙ですこれ。つうかそもそもあのコビト娘カワイイ。ていうかきっぱり美人。3人女の中で一番。手なんかしっかりグローブで純奇形だけど顔は美形、強制的に衆人環視セックスさせられたあとの極度の羞恥→一転歓喜ってとこなんかすげーロマンチズムじゃねーの。カルトなんかじゃありませんよ正統ロマンスですよ。(ちなみにこれがナンセンス系ではなくフリークス系に入ったのはひとえにこのミゼットちゃんの可憐さゆえです)。ラストのフリークス群虐殺はすっきり。やっぱそこそこ良い芸術映画だったかも。