昨年の総選挙で自民党、公明党、日本維新の会などの改憲勢力が3分の2以上の議席を確保したことを受け、改憲の動きが急速に強まっています。「9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけた「憲法改悪を許さない全国署名」を大きく広げるときです。
世論形成に力入れる自民
岸田文雄政権は、コロナ対策で医療や暮らしへの支援はおざなりなまま、「敵基地攻撃能力」の保有検討や大軍拡など「戦争する国づくり」への歩みを加速しています。これと一体で改憲への執念を燃やしています。
自民党の狙いの中心は、9条改憲で自衛隊の海外での武力行使を完全に自由化することです。維新の会、国民民主党も国会での憲法審査会開催と改憲議論の促進を主張しています。
しかし、メディアの世論調査で改憲を政治の優先事項と答える国民は少数です。改憲の旗を振ってきた安倍晋三元首相は2020年の退任時、「国民世論が盛り上がらなかった」と認めました。国民が求めないことを強引に進めているのが改憲勢力の矛盾と弱点です。
そのため自民党は改憲の世論づくりに力を入れています。憲法改正実現本部を発足させ、5月の連休までに47都道府県の全てで最低1回は対話集会を開くことなどを決めました。「タスクフォース(実動部隊)」を始動させ、安倍元首相、石破茂元幹事長らを講師として派遣するとしています。
自民党の新藤義孝・憲法改正実現本部事務総長は「草の根運動として、国民の中に憲法改正の意識を高めていく」と語っています。7月の参院選を見据えた動きです。改憲をめぐる「草の根対決」は激しさを増しています。
これまでも世論と運動、市民と野党の共闘は、改憲の野望を許しませんでした。17年5月、安倍首相が「20年までの改憲」と打ち出した際、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が立ち上がり、全国の草の根からの署名運動で改憲を阻止してきました。いま各地で取り組みが始まった新しい署名は、改憲の動きを草の根から押し返す大きな力になるものです。
参院選では、憲法改悪を許さず、平和で民主的な日本の針路を開くことができるかどうかが、重大な争点です。改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2超の議席を獲得することを許さず、少数に追い込むことが極めて重要です。
宣伝・学習などと結んで、今度の署名を全国津々浦々の草の根から広げに広げ抜けば、参院選で勝利する道につながることは間違いありません。
「憲法YES」語ろう
今度の署名は「改憲NO」とともに「憲法YES」を広げる内容です。中国の覇権主義的行動や北朝鮮のミサイル発射などを心配する国民も少なくない中、9条に基づく平和外交こそ戦争を起こさせない保障であることを署名の取り組みを通じ呼びかけましょう。コロナ対策をはじめとする暮らしと福祉の拡充、ジェンダー平等、環境保護など国民の切実な願いも憲法を生かしてこそ実現できると対話し、未来を開く国民の運動を強めましょう。日本共産党は5月3日の憲法記念日を節に1000万人の目標を掲げて署名の先頭に立つとともに、参院選での躍進に全力を挙げます。
— しんぶん赤旗より —