汚職事件捜査の最中…カジノ大規模見本市
横浜市 疑惑報道の企業も参加
カジノをめぐる汚職事件の捜査がすすむなか首都圏では初となる大規模なカジノ見本市が29日、横浜市のパシフィコ横浜で開かれました。カジノに反対している市民団体は、会場前で抗議の宣伝をしました。
横浜市の林文子市長は同市へのカジノ誘致について長く「白紙」と説明してきましたが、昨年8月、カジノ誘致に取り組むと宣言しました。これに対して「カジノの是非は市民が決める」と住民投票などを求める市民の運動が広がっています。
見本市のオープニングセレモニーでは、「IR(統合型リゾート)が単なるカジノだという誤解を払拭(ふっしょく)していただく場」(堀正人実行委員長)、「市民の方にIRの素晴らしさを理解していただきたい」(川本守彦IR横浜推進協議会代表幹事)と、カジノ誘致への市民の強い反発を意識した発言が相次ぎました。
市側からは平原敏英副市長が講演。市の今後の人口動態予測など悲観的な数字をあげたうえ「これから成長する分野は観光MICE(ビジネスイベント)で、その目玉としてIR導入が必要」と強調。「市民がカジノに入らなくてもエンターテインメントで楽しめる施設、健全な施設にする」と説明をしました。
横浜カジノへの進出を競い合っている大手のカジノ運営企業6社が出展し、海外から呼んだ芸能人による歌や踊りなど、金にいとめをつけない派手なパフォーマンスを展開。いずれも展示内容にカジノの要素は一切無く、明るく楽しいエンターテインメント施設であるかのような宣伝でした。
6社はそれぞれ社長クラスの幹部が30分間ずつ講演。「IRはただのカジノではない」(ゲンティン・シンガポールのタン・ヒーテック社長)、「IRはカジノ抜きではできない」(マリーナベイサンズのジョージ・タナシェビッチ社長)などとのべました。
そうした中、メルコリゾーツは、講演者を予定していたローレンス・ホー会長から同社横浜プロジェクト担当の日本人スタッフに差し替えました。同社によると、新型コロナウイルスの流行で来日を取りやめたといい、「今日は記者会見などのメディア対応はしない」ということでした。
メルコリゾーツは、カジノ汚職で逮捕された衆院議員・秋元司容疑者(自民党離党)の関係先として日本支社が東京地検特捜部の家宅捜索を受けたと報じられています。
■出展したカジノ企業 ( )内は本部所在地
ギャラクシー・エンターテインメント(香港)
ゲンティン・シンガポール(マレーシア)
ラスベガス・サンズ(米・ラスベガス)
メルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)
セガサミーホールディングス(日本)
ウィン・リゾーツ(米・ラスベガス)
横浜を賭博場にするな
会場前で市民抗議
カジノを中核とした統合型リゾート(IR)誘致に向け29日に横浜市のパシフィコ横浜で開かれた「横浜統合型リゾート産業展」会場前で、カジノ反対の宣伝が行われました。
市民ら約50人が「横浜を賭博場にするな。市民の声でカジノを止めよう」と声を上げました。
スピーチに立った岸信孝さん(72)は、林文子横浜市長のIRによる収益の試算は根拠もあいまいだと指摘。「ギャンブル依存症患者の対策費などコストも考えていない。カジノはいらない」と力を込めました。
プラカードを持って参加した女性(72)は「カジノ反対の運動を通して、自分の町のことは自分たちが決めるという考えが広がっていってほしい。一人ひとり小さな違いはあっても、市民のための政治を求めるという一致点で手をつなぐことができる」と話しました。