慰安婦巡る河野談話、強制裏付け資料なく 元官房副長官が証言
- 2014/2/20 21:15日本経済新聞
石原氏は「16人の元慰安婦からヒアリングをした。それをもとに談話をまとめた」と説明。韓国政府と調整したかどうかは「作成過程での意見のすり合わせは推定されるが、私は確認していない」と語った。日本維新の会の山田宏氏への答弁。
安倍晋三首相は河野談話の信ぴょう性にかねて疑問を呈しており、第1次政権の2007年3月には「政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」との答弁書を閣議決定している。
石原氏の証言について菅義偉官房長官は20日の記者会見で「第1次政権の閣議決定の内容とあまり変わらない」と指摘。元慰安婦の証言を検証するかどうかは「(誰が証言したのか)機密を保持する中で検討していきたい」と語った。
慰安婦問題は90年代に入って元慰安婦が日本政府を相手に補償請求訴訟を起こし、韓国政府も問題を提起し始めた。元慰安婦の賠償請求権について、日本政府は65年の韓国との国交正常化時に結んだ請求権協定で完全かつ最終的に解決されているとの立場をとっている。
ただ宮沢政権の93年に河野談話を出した後、村山政権の95年には民間からの募金も含めて「女性のためのアジア平和国民基金」(略称・アジア女性基金)を設立。元慰安婦に「償い金」を渡してきた。基金は役割を果たしたとして第1次安倍政権の07年3月に解散している。
静岡県立大学国際関係学部の小針進教授は「資料がなかったからといって強制性がないとは言い切れず、再び議論が活発になるだろう。政権が強制性を裏付ける資料がないことを強調すれば、韓国の反発を招くのは確実だ」と話している。