羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 4

2015-11-14 21:02:27 | 日記
光りが消えると、煙の中、真新しい傷一つ無い、赤い布も結ばれていない、一本の『獣の槍』がそこに有った。槍は鳴って浮き上がり出した。「ツァンユエよ、証人となってくれ」槍の柄に文字が刻まれ始める。「我と、我が一族とが、どんな思いを懸けたか! 我はせめて証人の名を、我が身に刻まん!!」刻まれた文字は『我屬在蒼月胸中到誅白面者』驚愕する潮。「我らは、白面の者を倒すまで、ツァンユエの心の内に有る」「これが、獣の槍!!」潮が驚く中、とらも衝撃を受けていた。(なんだ? 急に何か思い出しそうになった。まぁいい)驚きもそこそこに、ニヤリとし出すとら。
(これを今、ぶっ壊せばこれから先、この槍にビクビクすることもねぇ!)また激しく槍が鳴り出す。「逃がすかよぉッ!」飛び掛かろうとするとらだったが、槍の方が凄まじい勢いでとらの眼前を飛び越え、天井を突き破って行った。「でぇああ?!」ビビるとら。槍は飛び去ってしまった。と、背後の炉が光り、天女のような姿に変化したジエメイが現れた。「ジエメイさん?!」「へんっ、化けて出たのかよっ」「ツァンユエ、いえ、蒼月潮。私はこのような者になって、全てわかりました。私はあなたに、槍の由来と、あなたの母上について告げる者だったのです」傍にふわり、と降りてきたジエメイ。「そうだ母ちゃん、俺は母ちゃんのことを知る為に来たんだ!」時逆も現れた。
「よぉ! 見るモノは見、聞くモノも聞いたかい?」そう話す時逆の、二つに分かれている体の向かって左側から別の顔が現れた。「じゃあ、今度は、時を『順』に行こうかぁ? この時順と共になぁ!」来た時と同じような力に包まれ、潮ととらは時間を戻り始めた。ジエメイもついてくる。その後の出来事が映像で断片的に見える。ジエメイが話し出す。「ギリョウ兄さん、いいえ、獣の槍は
     5に続く

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