羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

5→9~坊さん~ 4

2015-12-16 20:14:12 | 日記
「ダメだった」「そっか」「でもちゃんと笑顔でお別れできたよ」「そっか」「変な人だったなぁ。でもさ、優しい人だったんだよねぇ」「そっか」「好きだった」「そっか、そっか」泣く潤子に、父も運転しながら泣いた。それから、潤子は改めてELA の正社員採用試験を受けることをした。寺では寺田が「誰かを自分で愛してほしい。その切っ掛けにと思って仕組んだ見合いが、お前を傷付けてしまった。許してくれ、高嶺」謝っていた。「わたくしは感謝しております。家族を大切に思う気持ちを学びました。一生の思い出になりました」泣く寺田。「ただ、こんなにも辛く哀しいものなら、恋などしなければよかった」高嶺は部屋を出て行った。高嶺の机には、どう保存したものか? まだ取っていた潤子の弁当と、手紙が置かれていた。
悔恨の寺田は、手紙を手に取った。『星川高嶺さんへ、初めて手紙を書きますね。感謝したいことがたくさんあります。ELAの皆と、仲良くしてくれてありがとう。私の家族と仲良くしてくれてありがとう。あなたが、私の好きなものを好きでいてくれるから、私は、私のいる場所を今までよりも好きになりました。今、この場所にいる自分を、好きでいていいんだって、そう思えるようになりました。あなたのおかげです。本当に、ありがとう。始めはね、正直あなたを好きになるとは思ってせんでした。でも、あなたの真っ直ぐな言葉を好きになって、あなたの優しい声を好きになって、哀しい時に力強く抱き締めてくれるのも好きで、一番好きなのは、あなたの笑顔です。あなたの全てが大好きです。もっと傍に居たい。ずっとこれから先も、あなたの笑顔を見ていたい。そんな日が、また来ることを信じています。潤子より』
元の暮らしにすっかり戻ってゆく潤子。面接当日は母がカツ丼を作ってくれ、面接が始まると決意を持った顔で話し始める潤子。
     5に続く

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