羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

蟲師 続章 2

2014-12-21 20:33:08 | 日記
里へ連れ帰られた幹太の足は木のようになっていた。「これはサトリギという蟲の仕業だ」サトリギは木に宿る蟲で、木に生命の危機が迫ると花を付け、いよいよ木が死ぬと実の形になり、動物等に食われて体内に宿りその動物が丁度いい木に長い間触れると動物を木と同化させて木の中に入って行くという。幹太の『木の記憶』はサトリギが木の死期を見測る為に木から盗んだものだった。
件の木は光脈に立つ神木だったが、15年前に山火事で困窮した里の者達によって切り倒された。サトリギが一斉に花を付けた『切れぬはず』の木を切ると輝く液が溢れ出し、衰えた山は甦ったという。
ギンコはウロ繭でツテを頼ったが良い治療法はわからなかった。「別の蟲師にも当たってみる」とギンコは里を去って行った。残された足の効かない幹太は鬱屈した日々を送った。娘に話を聞かせてと聞かれても「もうしてやれる話は無いのだ」と答える幹太。
その幹太の足にサトリギが花を付けた。駆け付けたギンコが幹太の体調を聞くがどこも悪くはない。その夜、幹太は不吉な夢を見て起きた。「何だ? 思い出せ!」幹太は必死で『記憶』を探り、思い当たった。
それはこの地の地震の記憶だった。ギンコに背負われたまま里の者達を被害の及ばない場所に案内する幹太。すると、確かに地震は起きた。山崩れが起き、土に呑まれる里。間一髪であった。
里の復興作業が始まると動けない幹太の代わりに里の者達が幹太の家を建て直し始めた。予知の礼と、かつて神木を切った罪滅ぼしだという。復興作業が一段落する頃、足は治らない幹太は決心した。「一本の、木の話をしようか」幹太は娘に語り始めた。

最新の画像もっと見る