じじい日記

日々の雑感と戯言を綴っております

チュクン~アイランドピークBCへ

2014-12-11 13:37:43 | ネパール旅日記 2014
 
 11月15日 快晴 チュクン~イムジェ チェ(アイランドピークの本名)へ

 6:00起床 7:00朝食 8:30出発

チュクン(4700m)からイムジャ チェ ベースキャンプ(5100m)まで、標高差400mを約7キロで登る。
右手にアマダブラム氷河・チュクン氷河、左手にヌプツェ氷河・ローツェ氷河を見ながらそれらの谷間のモレーンを行く。(モレーンとは氷河が削った岩が堆積した丘陵地)


チュクンの夜明け 東面の高い山から陽が当たる

一昨日、エベレストBCへ行き山好きには有名なウェスタンクームの氷河を見たのだが、自分としては規模は小さいがこの辺の氷河の方が好きだ。
氷河なのか万年雪なのか判断も難しそうだが・・・たぶんスノーホワイトが綺麗なので表面は雪だと思うが、学術判断は抜きにして、文句無くこの辺の氷河が美しいと自分は思った。


左側の尖った峰は6200mも有るのに地図では無名峰

ラムさんに名前を聞いても分からない山も幾つか有った。
イムジャ・ツォ(ツォは湖)の湖畔に聳える6200m前後の先鋭な峰は地図で調べても名前の記載は無かった。
休憩しながら山を眺め、東側の稜線から攻めて中央の本山に行くルートで登れそうだね、と言うと、アイランドピークの3倍は難しいね、と言った。
テクニカルではエベレストのノーマルルートよりも難しいかも知れないよ、とも言った。


馬が二頭急いで駆けて行った

歩いている道はアイランドピーク・トレック・ルートで、終点はアイランドピークの頂上になる。
アイランドピークBCから南へ向かうとマカルー・トレックに抜ける事も出来るが、ロッジやバッティー(茶店)が無いのでテントと食料を背負って行かなくてはならず現実的なルートでは無いらしい。


カンニさんは荷物が重いのか遅れ気味だった

カンニさんを待つ間に、今日はテント場に着いたらクライミングの練習をするのだとラムさんが言った。
しかし自分は、ヒマラヤ流と日本式は違うけれども慣れない事をすると余計に危ないから練習は要らないと断わった。
ラムさんも自分の装備を見て判断したらしく、普段から慣れている方法で大丈夫でしようと、練習は無しになった。
結局はテント場で余りに暇だったので自分でロープを張って登る真似事をしたのだったが。


アイランドピーク 何処から登れるんだ、と考え込む

カンニさんがいつに無く不調の様子で良く休む。
ゴラクシェプより低いので高山病と言う事は無いでしょう?とラムさんに問うと、カンニさんはクライミングシェルパだから7000mオーバーでも無酸素で荷物を背負い上げると言う。
ただ単に荷物が重いのだとラムさんは言うが、カンニさんはいつに無く大汗をかいていた。
後で分かった事だが、カンニさんは昨日の35キロに茹でたジャガイモとチベットパンで更に5キロ程増えていたらしい。


朝に掛けて行った馬はクライマーを2名乗せて降りて来た

アイランドピークが人気な訳は様々だと思うが、一つには、レスキューのし易さから重大事故が少ない事が上げられると思う。
アイランドピークBCからは馬でもヘリでも降りられる。
BCにはレンジャーが常駐しており、24時間無線でレスキューを依頼する事が出来る。
そして、チュクンの宿まで降りれば酸素とガモフバッグ(人を入れて加圧出来るチューブ)が常備されているので高山病にも対応出来るのだ。
もっとも馬に乗って下れる程度の高山病はチュクンまで下れば治ってしまうと思うが。


アイランドピーク・ベースキャンプ(3つ有る内の一番下)

カンニさんを待ちながらのんびりと来たのだが11時30分にBCに着いた。
高山病対策にはゆっくり歩くのが良いと言われているが既に5550mに登って順応が出来ているので何ともなかった。
今までは標高を上げる度に疲労感が伴っていたが今日の行程は本当に楽だった。
5000mの高地を歩いている気がせず、走れと言われたら走れると思う程に身体が軽かった。
完璧な高度順応が出来た事で、アイランドピークは貰ったな、と、確信していた。

好事魔多し、である。
テントを張り、ラムさんとカンニさんが水汲みに行き、さて昼飯をとなって問題が起った。
私の分の食料は予定していない、持って来ていないと言うのだった。
私は平仮名なら読めると言うラムさんにツアー会社との契約書を見せ説明をした。
ほらね、3食用意する事になっているでしょ、と言うとラムさんは困った顔をして、でも無いものは無いし有る物しか食べられません、と、至極もっともなことを言った。
そして、私が持っているフリーズドライの食料を正確に覚えていて、これから3泊のテントでの食料がそれで概ね間に合う事も知っていた。
ラムさんはディンボチェで私のクライミングギァーを点検した際に相当量のフリーズドライと行動食を見て私はこれを食べる物と思ったようで自分達の食料しか手当てして来なかったようだ。

これがネパールなのだ。
これがヒマラヤトレッキングであり、格安のツアーデスクで組んだクライミングなのだった。
どれほど綿密に相談しやり取りを重ねても、当事者以外の第三者に話しは伝わっていないのがネパールなのだ。
これに驚いたりましてや怒っていたのでは折角のトレッキング台無しになってしまう。
ここで私は自問自答する・・・何故にキャンプの日数分のフリーズドライを持っているのか? 何故に余る程の行動食を持っているのか? 心の何処かでネパール人気質を疑って居たからだろう? 想定内じゃないか? と。

昨年のガイドのドルジは有り余る程の食料を担ぎ上げていた。
だからポーターが二人必要でその分料金が高かった。
今年はやけに安いと思ったらポーターは独り、テントも最初から一張りで、キッチンテントも無い。

私は直ぐに意識と表情を明るい方に変え、ラムさんに、心配無いね、問題は有るけれども、と言った。
するとこの言葉が面白いと言ってカン二さんに通訳して三人で大笑いをして一件落着となった。

後日、登頂に成功し自分の機嫌が最高潮の時にラムさんが、ダイヤモックスと食料の件はツアーデスクのミスだけれども、登頂できたし、総て楽しく事が運んだので忘れてもらえたら嬉しい、と言うようなことを言って来た。
そうだな、ラムさんが忘れたのかも知れないし、ツアーデスクのミスかも知れないが、どっちにしても終わった話しで問題は起きなかったに等しい訳だ・・・うん、黙っておくよ、と返事をした。

昼飯の後余りに暇だったので空いた斜面にロープを張りユマールとアックスで登る真似をしてみた。
そして下降の時、エイトカンの使い方が変だと言うラムさんに、普段はATCでしか下降しないからエイトカンは苦手だと言って、万が一の時にはカラビナで代用して降りるから、と言うと、それが出来ればOKです、と言った。

しかし、実際の下降ではエイトカンもカラビナも使えずに軍手でロープを握って腕力下降だったのだが。


ラーメンを煮て、お湯しか湧かさない食料計画

夕食は茹でたジャガイモとネパールラーメンだった。
自分はフリーズドライのピラフと野菜たっぷり味噌汁とサラミが有ったのだが、それらを三人で分け、ネパールラーメンでビラフおじやにして食べた。
茹でジャガイモはコッヘルの熱で温められとても美味かった。
カンニさんが、ジャガイモなら他所のテントからいくらでも調達出来るからどんどん食べろと言った。
ラムさんに話しを聞くと、ここにはガイド仲間が沢山いてキッチンテントを持っている大きな隊が二組もいるので食料は必ず余るから心配ない、との事だった。

5時頃、夕食を終え明日のポカリを作り、他にする事も無いので無理矢理就寝。

 11月15日 酸素濃度 データー

 チュクン       (4730m)83% 心拍数80 (AM6:00)
 アイランドピークBC (5100m)81% 心拍数80 (PM3:30)






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