じじい日記

日々の雑感と戯言を綴っております

成都 流し見 2

2014-11-28 12:59:46 | 旅と感想
さて、成都市内を駆け足で見流し、ホテルへ行ってもらった。
運転手の女性は「ホテル」と言う言葉だけで状況を理解し、言葉の通じない相手との息苦しさから解放される喜びを満面の笑みで表現して頷いた。

車が止まったホテルは中々立派でボーイが飛んで来て荷物を運んでくれた。

日本で言うと都市型の中級程度のビジネスホテル風のロビーと受付であったが、制服を着たスタッフは数が多く、ああ、中国ではそこそこの格のホテルなのかなと思わせる雰囲気も在った。

チェックインは聴き取り易い英語で、インターネットからの予約も支払済である事の確認も容易だった。
しかし、前日の上海のホテルと同様に200元のデポジットは必要だった。
中国紙幣は持っていないと言うとドルでも円でも良いと言い、預かった札をそのまま返却するからと、札のナンバーを預かり証に記入していた。

部屋は12階で陽当たりも眺めも良く、何より静かなのが嬉しかった。
昨夜の上海の空港ホテルは窓も無い殺風景な寝るだけの部屋だったが、ここは解放感があって寛げた。

早速シャワーを浴び、未だ陽が当たっていたので薄手の物なら乾くかと思い下着と靴下を洗濯した。

お湯の出は申し分無く、勢いも温度も満足だったが、やはり湯船は無かった。
二人分整えてあった石けんやシャンプーをこれからのネパールの旅の為にと頂いた。

バスローブを羽織り無料で置かれているコーヒーを飲み外を見渡すと、道路を挟んだ斜向いのゲートに「中国女鞋之都」と言う文字が目に入った。
そして、良く見れば、周囲のビルの一階の小売店は全部婦人靴屋ではないか。
私はその昔し靴に関連した業種に従事した事も有って興味が湧いた。

早速服を着替え外に出てみた。


そうか 女靴の都なのか と読めたが


5階建てくらいのビルが丸ごと女鞋屋


紙型や金型はブランド物の流用か?5000円くらい


写真を拡大すると日本語の文字が読めます、が


このバイクのセンス 中国の感覚は最早侮れません


街で見掛けたスクーターも総て動力は電気でした

大きなビルが丸ごと婦人靴屋の集まりと言うのは日本にも無いと思う。
何店舗在るのか数える気にも成らない程、大小の売り場が在って、丁度今が売り時の商品であるブーツを中心に展示されていた。

うわっ・・・デザインも物も良いけど値段も良いな、俺でも高いと思うんだが、今の中国の相場はこうなのか?と、唸ってしまった。

その後、上の方の階へ行ってみると男物の靴、スニーカーやアウトドアファッションの店が在ったが、価格的には日本の方が安いかもしれないと思う程で面食らった。

中国=安物の時代はとっくに終わっているのか?そこまで認識を変えなくてはならないのかと複雑な思いでビルを出た。

隣のビルのショーウィンドーも総て靴関係だった。
そして、店の人の物なのか、店頭には決まってお洒落な電動バイクが停めてあった。
それらのデザインやカラーリングを見ても、日本よりも個性的だよな、と、唸ってしまった。

私は中国の現実と言うパンチを喰らって目眩がしていた。
私の知る中国はファッションやデザインなどはコピーや模造で背伸びしつつ、先を行く日本や欧米を追いかけるものだった。

しかし目の前の中国は、電動バイクのペインティングや靴のデザインも十分に独立した個性を持っているじゃないか。

これは、駆け足で半端に眺めただけでは済まされないな。
そうだな、中国をじっくり攻めてみなくては気が済まなくなったと私は思った。

来年、良い季節を選んでまた来よう。
うん、パンダの里も見なくては、と、緩く誓ったのだった。

・・・追記・・・

泊まったホテルの前の小さなコンビニで缶ビールと中国のクッキーやドライフルーツを買った。
若い男性は店主なのか、日本人だと知っても驚きもせずに簡単な英語で応対した。
その態度には日本人にたする偏見や屈託も無く自然だった。

ホテルのレストランで夕食を食べた。
レストラン無いの若い女性達は片言以下の英語しか話せなかったが、会計の時に、中国へ来てくれてありがとう、日本人を歓迎しますと素敵な笑顔で語ってくれた。

私はあの笑顔一つで十分中国を好きになるのだった。



コメント (2)
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成都 流し見 1

2014-11-28 10:25:31 | 旅と感想
ネパールに行ってエベレスト街道を歩き、そして、イムジェ・チェと言う山に登って来たんだが、そっちの事はまだ書く気にならず、何故かトランジットで立ち寄った中国の方が印象に残って仕方が無い。
まあ、いずれ、追々山の事も書くのだけれど。

トランジットでは上海・北京・成都で一泊したのだが、曲りなりに、チラ見程度とは言え街並を観たのは成都だけなので自分の持つ中国の印象はそこから拾った物が全部で在ると言って良い・・・なので「成都」だ。

成都と書いてあったら「セイト」と読みたいし、実際に私はセイトと言ってみたのだが全く通じなかった。
それもそのはず、中国の読み方では「チャンドゥ」と発音するのだった。

日本人は漢字が書けるのでいざとなったら筆談で通じると言うのを随分読んで来たのだが、私はそれには懐疑的になった。
確かに、読んで解る漢字も多いし、日本の漢字とはだいぶ違うが雰囲気から、恐らくあの漢字の変形だろうなと解る物も多い。
だが、簡体文字の多くは私には読めなかったし、そして、筆談を試み、日本式の繁体文字を書いても中国人は読めなかった。

成都と言えばパンダと言われる程に有名なのだが、午後の半日しか無い時間ではそんなところへは行けなかった。

空港から近いところに宿を取ったので普通に行けば成都市内にも立ち入らずに宿に行って一日が終わってしまう。
それでは勿体無いので声をかけて来た白タクの客引きに、市内まで行って中心部を流し、気に入った場所があったら停めてもらうなどしたら幾らになるかと交渉した。
始めは300元と言って来た。
当日のレートでは5500円程だった。
私は相場を知らないのだが空港の白タクが吹っかけて来る料金は3倍程度が世界共通と認識している。
値切る時には極端な数字を言って相手の反応を見ると言うのも常套手段なので取り敢えず50元と言ってみた。
客引きは一瞬ぽかんとした顔で息を呑み直ぐには反応しなかった。
彼の英語はかなり怪しく難しい事は言えないようで、ひと呼吸置いて100元と言って来た。
一気に1/3になった事で私は彼との駆け引きが楽しくなり、80元と食い下がった。
彼は呆れた風な顔をしつつも笑顔で「OK」と言って私のトランクケースを持って車に案内してくれた。

案内されたVW車の小型セダンには女性の運転手の他に男性が独り乗っていた。
そうか、そう言う事か、乗り合いで行くのかと状況は直ぐに呑込めた。

車は市内中心部の高層マンションまで走り男性を降ろした。
と言う事は、黙っていてもこの車は成都市内まで来る事になっていたので私の要求も問題では無かったし、なによりも私のホテルは空港への帰り道なのだから料金などどうでも良かったのだ。

運転手の女性はスマホに音声で住所を入力し、その案内に従って運転していた。
車の中から見る限り街路や道路にゴミも無く清潔で車の列は整然と走り、私が描いていた中国のイメージの欠片も無い事に驚いた。


高層ビルの谷間の公園に私の知る中国があった


中心部の少し裏側か? 昭和の頃の日本と似ていた


だだっ広い道路は簡単に仕切ってバイク専用道が


警備員も居るしナンだろ? 四川大学の門だった


昔し、仙台銀座と言う横町があって、寂れ具合が似ている


裏町も雑然ともしていず、雰囲気はまるで日本だった


料金を支払ったのでたぶん高速道路?


中心部から20分程のホテルの周りは結構閑散としていた

成都は特別な街らしい。
長い中国の歴史の中でも都市名が変わらずに存続しているのは珍しい事らしい。
なのでパンダも有名だが、歴史的文化遺産も多く、民度は高いらしい。
すべて「らしい」としか言いようが無いのが駆け足で見流しただけの感想の哀しいところだ。
しかし、清掃の行き届いた道路を見、交差点で車が詰まっても他のアジアの国のように無意味なクラクションが鳴り響く事も無い静かな街を観ていると、間違い無く「民度」は高いと思うのだ。

私の中に在った中国はあっさりと崩れ去り、新たな感覚が生まれた。
そして、中国と中国人の姿が見えた気がした。
半日観光の感想でそこまで言うか?と思われるかもしれないが、垣間見た成都の街には私の神経を逆撫でする物がほとんど無く、他のアジアの大都市の何処とも似ていない成都は日本的で、すんなりと馴染むのだ。




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