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北野のお勧め映画

2024年02月22日 | 新聞・テレビ
今日は国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
(@一部本と映画のPRが含まれます。)

ここ数年大流行している「説」があります。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、善のナショナリストで英雄だ!」
というものです。

これに関連して。
「悪の主体」は、以前「国際金融資本」とか「グローバリスト」とか呼ばれていました。
最近は、「ディープステート」という言葉が大流行しています。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、善のナショナリストで英雄だ!」
この短い一文の中に、「正しいこと」と「間違っていること」があります。

まず「正しいこと」。
「プーチンが、グローバリズムと戦っている」これは、「正しい」といえます。

「陰謀論」のような「本当の話」として、
・ロシアの石油王ホドルコフスキーは、ジェイコブ・ロスチャイルドと組んで、プーチンに戦いを挑み負けた
・ジョージ・ソロスは、旧ソ連圏の「カラー革命」を支援し成功した
などがあります。

長くなるので、詳細には触れません。
山盛り証拠で事実を知りたい方は、私の過去本、たとえば、集英社から出ている、
◆『クレムリン・メソッド』
詳細は↓
をご一読ください。
全部わかります。

本題に戻ります。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、善のナショナリストで英雄だ!」
この文の中で間違っている部分は何でしょうか?
・グローバリズムは悪だが、ナショナリズムは善である
・プーチンは、善なる英雄である
この二つです。

私は、「グローバリズムは善だ」とは言いません。
しかし、「グローバリズム = 悪」だから「ナショナリズム = 善」とはなりません。
ナショナリズムとはなんでしょうか?
自国を愛する思想のことを、「愛国主義」といいます。

「パトリオティズム」
日本では、この言葉も、「右翼的」と思われがちですが。
実をいうと、もともと悪い言葉ではありません。
「自国を愛する」以外の意味はないからです。

では「ナショナリズム」(民族主義、国家主義、国民主義)は何でしょうか?
一般的に、「自分の民族(あるいは国)は、他の民族(あるいは国)よりも優れている」という思想です。

わかりやすく言えば、
愛国主義=パトリオティズム、「日本が好き!」
民族主義=ナショナリズム、「日本(あるいは日本人)はすごい!(たとえば)中国、韓国は民度が低い!」

ナショナリズムは、「自分はすごい、他国(他民族)は劣っている」と考えるのです。
ナショナリズムが究極まで過激化すると、「他民族は劣っているから殺すべきだ」というところまで進みます。

たとえばヒトラーは、「ユダヤ人絶滅政策」を行っていました。
中国の習近平政権は、21世紀の現在「ウイグル人絶滅政策」を実行しています。

@必読資料↓
『ニューズウィーク 日本版』2020年7月8日
『ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府の「断種」ジェノサイド』↓

というわけで、
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、善のナショナリストで英雄だ!」の中で、
・グローバリズムは悪だが、ナショナリズムは善である
というのは、間違いでしょう。

もうひとつ、
・プーチンは、善なる英雄である
プーチンは、確かにナショナリストでグローバリズムと戦っています。
しかし、だからといって「ナショナリストだから善だ」とはいえないでしょう。
実際彼が統治するロシアでは、どんどん人権状況が悪化しています。

「戦争反対!」
「プーチンは間違っている!」
これを公言しただけで、逮捕され、懲役15年になる可能性があります。

「プーチン支持者」の人たちは、
「グローバリズムは悪だから、プーチンは善なのだ」
という「信仰」に取りつかれ、プーチンの悪事にまったく気がつかないのです。

さて、「ナショナリズム」に関連して、面白い映画があります。
◆『帰ってきたヒトラー』↓

@予告はこちら。↓
です。

ヒトラーが、2014年にタイムスリップしました。
人々は彼を、「ヒトラーの物まね芸人」と勘違いします。
テレビに出演するようになったヒトラーは、現代のドイツ国民の共感を得て、大人気になっていくのです。
ポイントは、「ヒトラーの主張は、1930年代1940年代と変わらないのに、現代の人々が彼に共感する」ところです。

この映画が公開されたのは2016年ですが、当時欧州は大騒ぎになっていました。
前年の2015年、内戦中のシリアやイラクなどから100万人を超える難民が、欧州に殺到していたのです。

そして、2015年12月31日から2016年1月1日にかけて、
「ケルン大晦日集団性暴行事件」が起こりました。
これは、アラブ人、北アフリカ人1000人以上が集団で女性たちに強盗、性的暴行を行った事件です。
参考↓
ドイツ人は、アラブ人、北アフリカ人の移民、難民に対して激怒しました。

当たり前でしょう。
映画の最後の方でヒトラーは、世界情勢を見て、「再び自分の時代が来る」ことを確信していました。
この映画が出てから8年が経ちました。
そして、ドイツでは今、極右政党『ドイツのための選択肢』に反対する大規模デモが起こっています。

『テレ朝ニュース』[2024/01/22 18:43]
〈ドイツ全土で反極右政党デモ 「ドイツのための選択肢」(AfD)移民排斥の発言めぐり〉
反移民政策などでヨーロッパ各国では極右政党が支持を伸ばすなか、ドイツでは極右政党の政策に反対する大規模な抗議デモが実施され、南部の大都市では当局の想定を上回り約10万人が参加しました。〉
――

極右政党「ドイツのための選択肢」は、世論調査で現在2位。
政権を狙える場所にいるのです。

日本も移民政策を間違うと、社会が真っ二つに分断されることを、欧米の失敗から学んでおくべきでしょう。

というわけで、ナショナリズム、ナショナリストの恐ろしさを知るために、
欧州のトレンドを知るために、
◆『帰ってきたヒトラー』↓

@予告はこちら。↓
を見てみてください。

笑えると同時に、怖い映画でもあります。

---owari---
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