遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日中平和友好条約 40周年

2018-10-24 01:48:27 | EEZ 全般
 今年は日中平和友好条約を締結してから40周年で、安倍首相は26日に訪中することとなりました。
 国際会議以外で日本の首相が中国を訪問するのは2011(平成23)年12月以来、約7年ぶりなのだそうです。
 現在の国家誕生に強い正統性を持たない中国共産党(国共内戦で日本と戦っていた国民党から政権を横取り)と韓国(日本の敗戦のタナボタで突如独立)は、「反日」を掲げて国民の眼をそらし、支持を維持する政策を採らざるをえず、今日に至り、それぞれの国と日本とは、ギクシャクした関係が続いてきました。
 
 日中平和友好条約 40周年と、これを機に安倍首相が約7年振りに訪中することとなった近況を、米中関係や、ロシアの近況を交えて解説された記事がありましたので、備忘録としてアップさせていただきます。
 
透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか 中露の焦りは日本の主張を通すチャンス、明確に言うことが大切(1/10) | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.10.22(月) 森 清勇

 今年は日中平和友好条約を締結してから40周年で、記念式典などのために安倍晋三首相は26日に訪中する。
 国際会議以外で日本の首相が中国を訪問するのは2011(平成23)年12月以来、約7年ぶりである。
 隣国でありながらこれだけ長い間相互訪問がなかったのは、主として中国側の経済発展による軍事力増強を背景に、傍若無人的な行動が目立ち両国関係が冷え込んでいたからである。

 しかし、中国が「新常態」と言いくるめて国際情勢認識を糊塗し始めた数年前から、経済成長にも陰りが見え始めた。
 そして決定打となっているのが「アメリカ・ファースト」「メイク アメリカ グレイト アゲイン」のスローガンの下、国益優先を提げるドナルド・トランプ大統領の登場と、貿易戦争とまで呼ばれる米中関係の悪化である。

■米国の対中関税で苦悩する中国
 トランプ大統領は就任後のほぼ1年間、北朝鮮の核・ミサイルが懸案で中国の協力を必要としたことから対中貿易赤字問題を表立って取り上げることはなかった。
 習近平主席もトランプ大統領の初訪中では、国民を締め出して故宮を自ら案内するなど最大の敬意を表し、また航空機購入など多額の約束で一時的な満足を与えた。
 しかし、11月の中間選挙を意識するトランプ大統領が懐柔されることはなかった。
 北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談でCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)には至らなかったが、会談続行中はミサイルの発射中止や核施設の破壊約束などで暴走を抑え込むことに成功した。

 
2014年頃から中国の経済には陰りが見え始め、一時は4兆ドルあった外貨準備高も2015年は約5000億ドル、続く2016年も約4000億ドル減少したとも言われる。
 
それでも、なお対中貿易の赤字は拡大し続けてきた。この結果、トランプは中国に正面から立ち向かうことにし、当初は340億ドルを対象に25%の関税をかけることにした

 中国がすかさず対抗措置をとると、次いで160億ドルに拡大した。中国も同額の商品対象に対抗してきたため、米中貿易戦争と言われる状態となる。
 米国はさらに新たに2000億ドルに対象を拡大する。
 
中国も強気に出て相応の対抗措置をとると公言しているが、中国の輸出総額は1600億程度ドルとされ、高関税にできる対象品目がない状態であり、額面通りの行動は取れない

 
こうした状況の中での中国の対日接近である。去る5月の李克強首相の来日を手始めに、首脳往来で平和友好を一層盛り上げようというものである。
 隣国との交流は重要である。それだけに、懸案事項は適切に処理する必要がある。
 
しかし、中国は時の政権の置かれた国際状況次第で、日本に無茶な難癖をつけてくる。5、6年前の状況を思い出すだけで反吐が出る。
<中略>

■露中が意図する「新しい世界秩序」
 
ロシアと中国が置かれている経済環境は厳しくなっているロシアはクリミア半島の不法併合で、2014年3月のハーグ〈オランダ〉で緊急に開かれた首脳会議でのハーグ宣言に基づき、先進国首脳会議(G8)から排除された。
 ハーグ宣言は「クリミアを併合しようとするロシアの違法な試みを非難し、これを承認しない」として「明白な国際法違反は世界中の法の支配に対する深刻な挑戦で、すべての国にとって懸念すべきだ」と強く批判した。
 そのうえで「ロシアが引き続き現状をエスカレートさせる場合、制裁を含む行動を強化する用意がある」とし、実際に
経済制裁を受けている

 他方、
中国は南シナ海に勝手に引いた九段線以内を古来から中国の海であるとして埋め立て、滑走路の敷設や各種ミサイルを配備してきた
 これに対し、
ハーグの仲裁裁判所は2016年7月、フィリピンが提訴していた南シナ海問題に対し、「九段線には法的根拠はない」「管轄権に対する中国の歴史的権原は認められない」と裁定した。
 提訴の大部分が認められ、
中国側が大敗した。

 また仲裁裁判所は、
岩や低潮高地などの「岩礁を埋め立てた7つの人工島は『島』ではない」として、EEZ(排他的経済水域)の設定ができないことも明示した。不服とする中国は判決を「紙屑」と唾棄し、いまだに反省の色も示していない。

 
東シナ海の日中中間線周辺におけるガス田採掘問題では日中両国間の約束を歯牙にもかけない態度で一方的に試掘作業を続けている。
 また、争う余地もない
日本の尖閣諸島に関してさえ、軍事力を背景に接続水域進入は常態化し、領海侵犯も時折行ってきた

 こうした
露中の横暴、中でも中国の傍若無人な振る舞いや、開発途上国を債務超過に追い込む新植民地主義的な行動が批判を浴びている

 
「GDPで米国を凌駕する」、「世界一の強軍国家になる」、「民主主義国家と異なる価値観の社会主義国家の先頭に立つ」などは、パックス・アメリカーナを自認してきた米国、そしてアメリカ・ファーストを呼号するトランプ大統領が看過するはずもない

 さらに大きな視点に立つならが、17世紀以降、国際社会が遵守してきた主権国家を柱とするウェストファリア体制(1648年条約制定、近代における国際政治の基本型)を崩壊させようとする世界秩序の組み換えにほかならない。
 このように、現在の国際情勢は中露による「新しい世界秩序」の構築という視点でとらえなければ理解できない。

<中略>

■対中で腰折れの日本政府
 国民にとっては意気軒昂で敵なしの様相を見せていた小泉首相も、温家宝氏の口撃に対してはたじたじの様相。

 問題は、政府(官房副長官や外務省)がことの真相をほとんど国民に知らせず、穏便であったように画策していたことだ。こうした
姑息が、多くの場合、日本の外交を誤まらせてきたのではないだろうか。
 日本が予想した以上に厳しい内容であったが、政府はそのことを一切国民に知らせず、官房副長官が報道陣に行ったブリーフィングでは「険悪な会談」を想像させる中身は一切なかったというものであった。

 2004年10月に南米チリで開かれたAPECで、小泉首相は胡錦濤主席(当時)と首脳会談を行い、「靖国神社参拝中止」を迫られていた。
 その10日後の会談で中国からの要請でもあり、再び靖国問題を持ち出すことはないだろうと勝手に外務省は考えて受け入れた。
 実際は、「早く(ODAを)卒業してほしい」と首相が直前に発言したことで、中国側が硬化していることを外務省は全く掴んでおらず、読みが甘かったのだ。
 
外務省が事前に中国の態度を掴んでいれば、会談を断り、〝主導権を握る″こともできたとされる。

 
民主党政権になると、日本政府の対中態度は卑屈としか言いようのない姿勢になる
 「日本列島は日本人だけのものではない」という鳩山由紀夫首相の言葉に勇気を得たのか、中国資本による日本国内の土地・山林の買収が激しくなっていく。
 次の菅直人政権になると、中国人優遇策としてビザの緩和を次から次に行っていく。
 また横浜でのAPECでは、菅氏は会議を主催する立場から、何としても中国首脳との会談を行いたがっていた。そこで何度も中国側に打診するが、中国側からはうんともすんとも言ってこない。
 菅首相がどんな思いであったかは言葉では聞こえてこなかったが、実現した時の報道写真から読み取ることができた。
 小学生が先生の話を聞き洩らさないように記録でもするように、胡錦濤の顔をまともに見ることもなく緊張した顔で終始メモを見つめていた姿が目に浮かんでくる。

 中国がいかに首脳会談などを効果的に演出しているかが手を取るように読み取れる。安倍首相になってからの日中韓3首脳会談も日本の呼びかけに中国はなかなか応じてこなかった。
 今次の首相訪中も、両政府は10月23日から25日の間で調整したが、中国側の都合で再調整して26日に落ち着いたという。
 会議の設定段階から、主導権を握ろうとする中国側の意図が垣間見えるように思える。

■尖閣諸島を「盗んだ」と臆面もなく言い放った中国首相
 
中国は英国との香港返還に関する英中共同声明を一方的に破棄した。また、南シナ海の常設仲裁裁判所の判決に対しても「紙屑」と称して、従わないことを公言した。
 中国はこのように、
二国間の約束事や国際法に基づく裁定結果などを一方的に破棄して平然としている

 尖閣諸島が日本の領土であることは下記の「感謝状」に「日本帝國沖縄縣八重山郡尖閣列島」と明記されていることからも分かる。
 この感謝状は遭難して魚釣島に漂着した福建省恵安の漁民31人を当時の石垣村長・豊川善佐、石垣村衛生係雇・富田孫伴こと玉代勢孫伴(たまよせそんばん)、尖閣諸島を開拓した古賀辰四郎の子息の古賀善次らが救護したことに対し、中華民国駐長崎領事・馮冕から贈られたものである。
 このように、
中国(当時は中華民国)は、尖閣諸島が日本の領土と認めていたわけで、近年主張している「古来から中国領」などは、歴史的事実を踏まえない真っ赤なウソである。

 しかし、こうしたことを無視するのが中国流のやり方でもある。李克強首相は就任後の初外遊でドイツ(とスイス)を訪問する。
 ポツダム会談の場となったツェツィーリエンホフ宮殿(プロイセンのヴィルヘルム皇太子の館)で、「日本が中国から盗み取った中国東北部や台湾などの島嶼を返還する、としたカイロ宣言を重ねて表明したポツダム宣言の意義を強調したい」と演説した。

 満鉄沿線や台湾などは戦争の結果として日本に割譲されたことを百も承知のうえで、国際社会に向けて「日本が盗み取った」と平然と嘘の発信するのが中国流である。

■安倍訪中で正すべきこと
 安倍首相は就任以来、対中関係で

①靖国参拝はしないと明言しない
②尖閣は「帰属の係争問題がある」とする中国の言い分を認めない

 とする2点で妥協しなかったとされる。

 しかし、いまだに靖国参拝は1回きりで、2012年の自民党選挙公約で尖閣諸島に公務員を常駐させるとしていたことは実現していない。
 それどころか、
尖閣諸島では日本の漁船の方が国有化以降は、中国に気兼ねして海保の取り締まりで近づけなくなってしまったと仄聞する。
 また、日中中間線周辺の日中合意のもとで(掘削などを)進めるとしていた約束を中国側は一方的に反古にして作業している。
 政府は「東シナ海を平和・協力・友好の海とするとの日中両国首脳間の共通認識を実現することが重要であると考えている」というが、相手は聞く耳をもっていない。
 そうであるならば、日本側も権利の行使として調査や試掘などの作業を進める方が対話の土俵に引き出すためにも良いのではないだろうか。

 
ガス田にしても尖閣にしても、日本がどんな裏技を考えているか、あるいはやられっ放しにしておくのか寡聞にして知らない。しかし、中国は日本の事情を忖度するような、やわな国でないことは確かだ。

 
日本が「友好のため」譲歩しても、中国はそのようには解釈せず、日本に対し「強硬な姿勢がもたらした結果」であると解釈するらしい。
 毛沢東の「敵退我進」戦略どおりである。

 
尖閣の帰属も、田中角栄首相が国交回復で「日本の領土」を明言しなかったばかりに、周恩来や鄧小平が係争地であるかのように含みをもたせ「棚上げ」や「後世の知恵」と言っているうちに、ちゃっかり領海法を制定して自国領とし、習政権が「核心的利益」に位置づけ、今日のような行動をとるようになってきた
 日本が「言うべきこと」はしっかり言わなければ、相手の掌に載せられてしまうということである。

 
外務省は、とかく首脳会談が平穏裏に行われたふうに装うことが多い
 しかし、領土問題、歴史戦、靖国、ODA問題などについてはその内容を努めて国民に開示して、国家的意見の集約を見つけるようにすべきであろう。それが国益増進につながるはずである。
 
外務省は省益あって国益なしで、「害」務省と揶揄されることが多い。

 首脳外交は友好の場であると同時に、国益を踏まえた闘いの場でもある。首相が国民の総意を持って臨むためにも、国民に真実を知らせ、普段からの意見集約が不可欠である。

 
中国の一帯一路構想を多くの国が新植民地主義と批判し始め、関係国の中には計画の中止や縮小を進めているところもあり、困難に直面しつつあるとされる。日本接近はそのための後押し渇望という見方もある。

 
安倍首相は、中国が日本に接近するのを歓迎すると同時に、友好を傷つけるかもしれないと忖度して曖昧な発言に留めるのではなく、「明確かつ敢然」と主張すべきは主張してほしい
 また、理不尽な要求には断固反対を示してほしい。この方が、長い目で見れば「真の友好」につながるからである。

■ロシアにも焦りが見られる
 ここまで中国を主体に述べてきた。しかし、北方領土はロシアに不法占領されたままである。
 安倍首相の「新しいアプローチ」を、ロシアは自国の都合の良い経済協力先行のように解釈している。そして、師団を配備し、またミサイルを展開するなどの軍事力を強化している。
 他方、2010年にはドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)が日本の抗議を無視して国後島に上陸し、2012年には首相として再度上陸した。
 その後も同首相は択捉島に上陸するなど、北方領土はロシア領といわんばかりの示威行動をとってきた。

 ロシアがG8から追放されて以降、経済制裁が続行され、頼みの資源外交にも陰りが見えるなどして、隘路打開に中国接近を顕著にしてきた。しかし、頼みの綱の中国からの支援も怪しくなりつつある。

 経済で国民を活性化させなければ、長期政権を手に入れたばかりのウラジミール・プーチン大統領も信頼を失墜し、早々にレームダックしないとも限らない。
 そこで、
安倍首相の新アプローチをあえて曲解してでも、日本への接近を強めようとの意図からか、突然「前提抜きの平和条約締結」を提案してきた。

 
安倍首相には今後の3年間で外交懸案の全てを解決してほしいが、そう簡単ではないであろう。
 
相手の接近を好機ととらえ、残された懸案については日本の国家意思を明確に反映した「解決方向」を確立してもらいたい。

 クリミア半島を力で併合したロシアは、G8から排除され、経済制裁を受け続けています。
 中国は南シナ海に勝手に引いた九段線以内を古来から中国の海であるとして埋め立て、滑走路の敷設や各種ミサイルを配備していますが、ハーグの仲裁裁判所で、「九段線には法的根拠はない」「管轄権に対する中国の歴史的権原は認められない」と裁定が下り、「岩礁を埋め立てた7つの人工島は『島』ではない」として、EEZ(排他的経済水域)の設定ができないことも明示されましたが、判決を「紙屑」として無視し、人口島の軍事施設化を進めていることは、衆知のことですね。
 
 中国のここまでのやりたい放題と日本との関係で、日本政府の対中腰折れ外交を批難するのは、星槎大学非常勤講師の森清勇氏。
 政府(官房副長官や外務省)がことの真相をほとんど国民に知らせず、穏便であったように画策していた。こうした姑息が、多くの場合、日本の外交を誤まらせてきたと。
 外務省は、とかく首脳会談が平穏裏に行われたふうに装うことが多い。外務省は省益あって国益なしで、「害」務省と揶揄されているとも。

 中国の一帯一路構想を多くの国が新植民地主義と批判し始め、関係国の中には計画の中止や縮小を進めているところもあり、困難に直面しつつあることは、当ブログでも別途触れさせていただきました。
 中国の「一帯一路」 今秋で丸5年 「債務のわな」に反発が - 遊爺雑記帳

 高支持率で再選を果たしたプーチン大統領も、支持率低下にあえいでいる様子。そこで、安倍首相の新アプローチをあえて曲解してでも、日本への接近を強めようとの意図からか、突然「前提抜きの平和条約締結」を提案する、癖玉変化球を投じる始末。

 ロシアと中国が置かれている経済環境は厳しくなっていると、森氏。その状況なので、両国は、(トランプ政権との対抗もにらみ)日本接近を謀ってきている。
 安倍首相は、相手の接近を好機ととらえ、残された懸案については日本の国家意思を明確に反映した「解決方向」を確立してもらいたいと森氏。
 泣いても笑っても、残り3年の任期となった安倍首相。ここは、思う存分の活動を成し遂げていただきたい。

 世界第 2位のGDPを誇る中国への懸案のOED打ち切り。ようやく実現に向かう様ですね。優柔不断で内弁慶。国益より交渉相手に好かれたいことを優先した、前岸田大臣とは全く逆の河野大臣の積極姿勢に拍手!
 対中ODA終了を伝達へ 安倍晋三首相、7年ぶり25日から中国訪問 - 産経ニュース



 # 冒頭の画像は、インドネシアのジャカルタで握手する安倍晋三首相と、視線を逸らす中国の習近平国家主席 (2015年4月)

 


  この花の名前は、コウホネ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の「一帯一路」 今秋で... | トップ | 10月23日(火)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

EEZ 全般」カテゴリの最新記事