先週は月曜日から金曜日まで仕事でした。
今年三度目の風邪(
がようやく快復したところだったので5日間の仕事に対して不安はありましたが、
どうにか(倒れることもなく)無事終了することができて安堵しています
。
今回のテーマは介護保険における「在宅介護」でした。
日本の介護保険はドイツの介護保険をモデルにしていますが、大きな違いは日本では現物給付のサービスしか受けられないのに対して、
ドイツでは現物給付、現金給付、それに現物と現金をミックスした「混合給付」という選択肢があることでしょう。
日本で脳梗塞後や認知症により「要介護」と認定されるとケアマネージャーがどういう介護が必要かプランを設定してくれます。
ドイツではプロの介護福祉士やホームヘルパーに訪問介護を依頼することもできますし、あるいは同居している家族が介護して現金給付を申請することもできます。
ただ日本では結構、家族が介護をしているケースも多いそうで、その場合には介護保険からは給付が出ないことになります。
ということは、その介護を担当する方は「タダ働き」をしていることになります。
また介護ヘルパーさんがきて食事の準備をしても、要介護者一名分しか用意せず、介護している家族(配偶者など)分の調理をしてはいけないのだそうです。
それで日本でもドイツのように「現金給付」も考えてはという意見も出始めていて、今回大学の「高齢者福祉」の教授が視察にこられたというわけです。
ドイツでは近年、介護を担当する家族の負担を軽減するために様々な介護保険の改正法が制定されています。
例えば介護担当者が充電のための休暇旅行に出かける時の補助金支給や代替介護人の派遣、施設のショートステイなどです。
また毎月一定の額の現金が給付され、それを家事援助に支出することもできます。
要介護者と介護を担当しているご家族にインタビューしたのですが、日本だったら絶対「特養」に入居しなくてはならないだろうなぁと思われるケースでも「在宅介護」で頑張っている姿に感動しました。
一件だけ例をあげます。
そのお宅ではご主人が交通事故後、要介護状態になり認知症が進み、現在は一番高い要介護度で歩行はできず移動は車椅子だけです。
奥様は「絶対施設などには入れない」とおっしゃっていましたが、あんな素敵なご自宅だったら、どんなに高級な有料ホームでも入れたくないというのは理解できます。
「夫は自分の状態に不満で時折、私に辛くあたることもあるけれど、これは病気だからで本当はとても良い人だというのはわかっているのよ、でもね、私はこれまで夫と一緒に暮らしてとてもハッピーな時間を共有できたからこのように介護できるのだと思うの」
このご夫婦の苗字は「愛」という意味のドイツ語の「リーベ」さんです。
在宅介護の状況だけではなく、施設介護も視察しましたが、4年前にできたという新しい「特養」の写真を掲載します。
入居者の嬉しそうな顔を大きくアップした写真がホームの窓に飾られています。
この建物の中には寝たきりの重症の認知症の人たちも入居しているのですが、その入居者(10人)は一日中個室のベットに寝たきりになっているのではなく、日中はベットごと「共同のホール」に集まって一緒になり、日常の生活音が聞ける状態におかれるのだそうです。
「要介護」になると社会参加は難しくなるといわれますが、このような形だと「寝たきりでも」社会参加は可能です。
尊厳のある人生の終末期とはこういうことなのかもしれないと思ったことでした。
最後にこの地区にある教会の十字架のキリスト像の写真です。
10世紀頃に制作されたとても古い像ですが、特徴はイバラの冠がなくなり「苦しみから解放された」キリストの姿が表現されていることです。