放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

スリランカ酔夢行(11)コロンボの酒場へ

2020年11月12日 | スリランカ2019

コロンボで宿泊したホテルが建つフォート地区は、かつてイギリス植民地時代から政治・経済の中心地であった場所。いまでもイギリスの名残を感じさせる趣ある建物を多く見ることができる。

街の散歩をするだけでも楽しいところだが、今回の旅の主目的である「地元の酒場で呑む」という目的を果たすために、観光ではなく、酒場探しに忙しいのだった。




スリランカの鉄道の起点となるフォート駅前は、人が多かった。
インドなどでよくあるように、家電街、部品街、カバン・靴街など、通りによって店の種類が分かれていた。
このゴチャゴチャ感が、インド文化圏に来たという感じがする。






そろそろ日が暮れてきた。
さて、酒場へと向かおう。







駅は家路に着く人で賑わっていた。
電車で通勤通学するなんて、日本っぽい。

閑話休題。
最近、嫁さんがテレビを見ていて、海外の鉄道が映ると、「この国ってイギリス領だった?」と聞いてくるようになった。
イギリスと日本は、植民地に鉄道を敷きがち。




フォート駅前にあった、スリランカ酒場の入口。
HOTELと書いているけれど、宿泊はできない。
南インドでも、レストランのことをHOTELって呼んでたことを思い出した。

スリランカは仏教国とはいえ、おおっぴらに飲酒できるほど開放的な感じではない。あくまでも「いけないこと」として、こっそり飲むのが、この国のたしなみだ。
とはいえ、店の中がまったく確認できないところを入っていくには、嫁さんを連れているというだけで、ちょっと神経質になってしまう。





店内はこんな感じ。
天井が高く、白い壁が爽やかさを演出しているが、客は想像通り、男ばかり。
嫁さんが店に入ると一瞬ザワッとなったが、明らかに東洋人顔なので、外国人なのかとそれほど注目も集めていなかった(ように思う)。
駅前ということもあり、外国人慣れしているのだろうか。


時間帯もあるのだろうが、食事をするというよりは、バーっぽい使い方で、ナッツなどをつまみながらビールを飲んでいる人が多かった。





まずは、何はなくとも、ライオンビール。
歩き疲れた身体にじわっと染み込んでいく。
たまらない。
1本150円くらいだったような記憶。
酒場では、ラガーとスタウトを提供。もちろんキンキンに冷やされている。
もう一本、もう一本と頼んでしまう。





店の従業員。
ユニフォームは揃いのTシャツ。
何て書いているかわからないけれど、これめちゃ欲しかったんですけど。
なんとか売ってくれないかと交渉するも、店が思いのほか忙しく、半酔の外国人に構っている時間はねえよ、と笑顔で逃げられてしまった。






これは、他の店のメニューだけれど、値段感はこんなもの。
100スリランカルピーで60円程度。




ビールばかりガブガブ飲んでいいたら、乾き物くらい食べたらどうだと勧められたので、スリランカでより採れるというカシューナッツを購入。
これで85円程度。
塩味、マサラ味など、秋種類から選べたが、ここはマサラで。
この値段でカシューが食べられるのもうれしいですな。


ダラダラ飲んでいると、従業員のおっちゃんも何かしら話しかけてきてくれるし、たまたまトイレの近くの席だったということもあり、トイレ帰りの酔客から軽くからまれる(良い意味で)こともあったりで、まったく退屈しなかった。




一軒目でガソリンを入れてエンジンもかかり始めたので、コロンボではしご酒へ。


二軒目は、同じくフォート地区にある「ブリティッシュ・インディア・ホテル」に行こうと決めていた。
ここは、明治時代にイギリス留学をした夏目漱石が、航路途中のコロンボで立ち寄ってカレーを食べたと言われている老舗レストランだ。
ネットでいろいろ調べていたときに、そんな記事を目にしたので、漱石が食したカレーを僕も食べてやろうと意気込んでいたのだが、



店は、かろうじて見つけたものの、従業員に聞くともうカレーは提供していないという。
なんたることか。残念無念。

現在この店は、一軒目同様、地元の人々が集う大衆酒場になっていた。
写真奥にあるように入口は狭く、うなぎの寝床のように奥に長い造り。
通路脇にあるカウンターで酒やタバコを売っていて、それをテーブルに持ち込んで飲むスタイルだった。
店が販売しているというよりは、店の中にキオスクが入っているような感じで、酒やタバコだけを買って帰る客も多かった。
日本でいう角打ちだろうか。




店内はこんな感じ。
テーブルで一人寂しく杯を重ねるニイちゃんと、それをなぜか笑って見守る従業員。
やる気のなさがあふれていて、最高だ。
こういう酒場で、日がな一日ダラダラ飲んでいたい。

駅前の店に比べて、ここは外国人客に慣れていないのか、非常にスキンシップをはかってくる店だった。
このブログでは紹介できないが、翌日カメラを確認すると、僕と嫁さんと従業員が満面の笑みで肩を組んでいる写真ばかりが出てきた。
ビールだけでなく、勧められるがままに、チキンの炒め物などをつまみながら、スリランカウイスキーなどを開けたりして、相当酔っていたっぽい。

ちなみに、このあと三軒目にも行っていた…。





ほかの町にもこうした酒場はあるのだろうが、コロンボの店は、いけないことをしている感じがそれなりに低く、カジュアルに飲むことができた。


夏目漱石が味わったカレーの幻を眺めつつ、
こうして、コロンボの夜は更けていった。


(つづく)