放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊 高雄遠征 第1話

2018年07月31日 | モグモグ隊

モグモグ隊 高雄遠征メンバー
(を):をきな氏(絶対的リーダー)
(や):やはぎ氏(特攻隊長兼撮影主任)
(し):シェリー氏(見習い隊員)
(に):にいや(永久幹事)



昨年の台北・基隆・宜蘭のモグモグ旅。
なんだかまだ胸焼けがしているようなしていないような気もするが、新しい旅が始まるのである。
リーダーの(を)が夢でうなされるくらいまで恋い焦がれるようになったガチョウと麻醤麺。極上の味を覚えてしまった我々は、もう一度あの味を求めて宝島に渡ることになった。

しかし、我らはモグモグ隊。地球上のうまいものを食い尽くすために集う荒武者集団である。
まったく同じルートや街を巡ることはよしとしない。
新しい旅には新しい食との出会いあり。
今回の旅は同じ台湾でも、南部にある第二の都市・高雄が目的地だ。
北回帰線よりも南に位置する港町。観光客の数も台北とは桁違いに少ないため、今回の滞在は高雄のみに絞り、街全体を食い尽くす方針である。




またしても我々の旅は、朝の関西国際空港から始まる。
前回は出発が深夜となり、調子にのって空港で深酒。寝不足のまま戦が始まったのだが、不惑を迎えたメンバーの体力不足が見事に露呈してしまった反省をふまえ、今回は午前発午後着の便に乗ることにした。
今回初参戦の(し)を加えた4人は、関空で待ち合わせ。

(に)おはようございます。今回も楽しみましょう。
(や)まさか二年連続で台湾に行くとは思わなんだ、まあええけど。
(を)ガチョウに麻醤麺……。楽しみだなあ、ブヒッ。
(し)朝からえらいテンション高いですね…、今回はよろしくお願いします。
(を)高血圧はモグモグ隊の証。俺たちの食いっぷりに刮目せよ。
(に)とりあえず、朝ごはん食べましょうよ。チェックインの時間まで少し余裕あるので、そこでハンバーガーでもどうですか?
(し)これから中華を食べる予定なのに、空港でハンバー…
(を)いいね!ハンバーガー大好き!コーラはLサイズにしちゃお!
(や)ナゲットって選択肢もお忘れなく!
(し)……(3日間大丈夫かな…)。


そうと決まれば話は早い。関空のエアロプラザ内にあるバーガーキングへとチェックイン。
ちなみに(に)は、関空が発行するKIX-ITMカードを持っていれば割引を受けられるという旅テクを披露。20%OFFだった。

(に)さて、では今回のモグモグ隊遠征の始まりを記念して、まずはリーダーのご挨拶からどうぞ。
(を)一度でいいから見てみたい、女房がへそくり隠すとこ。どーも(を)です。
(に)歌丸!
(を)えー、それでは今回(し)が初めて参加するということなので、モグモグ隊の基本としては、まずは食事をす……ヲォーーーーーーーーーー!!!!
(し)アッーーーーーーー!!!


リーダー、挨拶の最中いきなりの絶叫! そして(し)も咆哮!

次の瞬間、机の上に置かれていた(し)のアイスティーが大転倒。ティーはアイスと一緒にテーブルから床へ、(を)と(し)の膝を経由してまさかのフォールダウン!





大惨事の瞬間を激写。


(や)やりやがった…。
(し)すんません、すんません。手が当たっちゃった。ど、ど、どうしよう…
(を)[呆然中]
(に)椅子がグショグショ…。店員さんから雑巾借りてきますね…。


借りて来た雑巾でとりあえず椅子や床を拭く我々。
今回のモグモグ隊の初めての共同作業は、バーガーキングの掃除だった。
バーガーキングの店員さんは非常にいい人で「大丈夫ですか、お怪我はございませんか」と気遣ってくれただけでなく、「こちらへどうぞ」と別の席に案内してくれ、さらに(し)のアイスティーも代わりを持って来てくれた。

(し)ごめんなさい。ありがとうございます。すんませんでした。
(や)いやぁ、バーガーキングの接客はすごい。
(に)これで20%OFFだっていうんだから。
(を)[呆然中]



こうして、前途多難な予感がする今回の台湾・高雄モグモグ遠征が始まったのであった。


(つづく)




今年の夏はアムドを旅する

2018年07月30日 | 2018年アムドの旅
京都で過ごしていると、7月になった途端に町中が祇園祭一色になる。
アーケード街では祇園囃子が流れ始め、八坂神社の神紋を描いた提灯がそこかしこに掲げられる。7月中頃になると山鉾が建ち始めて、17日と24日に山鉾巡行が行われる。
昨年、ほぼ1年間をかけて祇園祭を取材する機会を得て、今年の5月末に本を完成させた。今年の祇園祭は、そのお礼に各山鉾町をまわったのだが、あの猛暑。連日38℃を超える京都は、熱中症直前になりつつ、本当に身にこたえた。
まだまだ暑いけれど、ようやく殺人的な暑さから逃れたと思ったら、もう7月も末だった。

ああ、もうすぐ今年の夏休みが始まる。
今年は、会社の通常の休みに2日間の振替休暇を足して、全9日間。
そのほとんどを費やし、7泊8日でアムド旅行に行ってくる。

アムドとはチベット文化圏の北東に位置し、現在は中国の甘粛省や青海省に属するエリア。
最初は特にアムドに行く気持ちはなかったのだが、かつて東京で働いていた際、年に3回のフランス出張で貯まっていたマイルがあった。デルタ航空のスカイマイルなので、有効期限はないものの、いつ改悪されて使いづらくなるのかは分からない。現状で、韓国・台湾・中国・フィリピンであれば、嫁さんと2人分の往復航空券に換えられた。

日本から近距離にある国は、最近はLCC各社の就航に伴って、チケットは驚くほど安いことがある。
どうせマイルの特典航空券を手に入れるなら、LCCが就航していない土地へ飛びたいし、なるべく遠くに行きたいのが貧乏旅行者の性である。
となると、目的地は必然的に中国になる。

そして何より、結婚してからというもの嫁さんとの旅行は、すでに僕が訪れたことがある土地を再訪し、その魅力を嫁さんに解説しつつ旅することばかりだった。
そろそろ僕も「新しい旅」を感じたい。だから、今度の旅こそは、僕も未訪の地を訪れることに決めた。

スカイマイルが使えるスカイチームには、中国東方航空と中国南方航空が所属しているので、結構いろいろな選択肢が浮かび上がってくる。
日本から一番遠い土地としては、新疆ウイグル自治区のカシュガルが考えられるが、そこはすでに嫁さんを連れて行っていたため却下。
同じく新疆ウイグル自治区の和田に飛んで、タクラマカン砂漠に遊びに行ったり、川で玉でも探してこようかとも思ったが、嫁さんに相談すると「1回(カシュガルに)行っているし、ウイグル自治区は、もういい」とのこと。そうですか。旅行好きではない人間と旅行するのはなかなか難しいものがある。

次に考えたのが、同じく新疆ウイグル自治区の伊寧に飛び、そこからカザフスタン、キルギスタンを駆け足で巡るコース。ところが、この特典航空券は中央アジア諸国へ行くにはちとマイルが貯まっていないため、中国往復しかできない。駆け足で巡ってまた中国に戻って来るのがしんどそうだったのと、まったく関心を示さない嫁さんを引き連れてロシア語圏の国を旅するのはハードモードのような気がして、却下。

そんななか、第三の案として浮上したのがアムドだった。
新婚旅行でネパールを訪れている我々。嫁さんもネパールという超楽々な国ではありつつも、チベット文化圏の末端に接したことで、少しは関心を持っていた。
西寧からタール寺、同仁などに行くルート。もしくは蘭州から夏河、合作、郎木寺へと向かうルート。その2通りが考えられた。
もちろん僕も未訪なので、現地がどうなっているかは分からないが、旅行者のブログを眺めていると、道路も完全に舗装されており、想定よりもスムーズな移動が見込めそうだ。

アムドを旅する上で、僕が一番心配なのは高山病なのだが、昨年に富士登山をしたところ、嫁さんは僕よりも元気だったことから、ほぼ高山病はないだろうと予想した。
ということで、第一候補地としてアムドに決まった。

僕「ということで、アムドに行きたいと思ってます(なぜか敬語である)」
嫁「アムド? どこそれ?」
僕「実際の国ではなくて、チベット文化圏でアムドと呼ばれている地方のこと。中国でいうと甘粛省や青海省あたり」
嫁「だから、それってどこよ?」
僕「西安よりも西にあって、カシュガルよりも東にある。このエリアをずっと南へ降りて行くと、四川省や雲南省があって、その下に東南アジアがあります(またしても敬語)」
嫁「何があるの?」
僕「チベット文化圏だから、お寺とかお寺とか、お寺など。といっても本当のチベットの中枢ではなくて、チベット文化圏の端だから、比較的中国化されているエリアでもある」
嫁「寺ばっかりやん」
僕「あとは美しい草原。まずい食事。くさい坊さん」
嫁「行きたくない」
僕「ほら、昔ネパールに行った際に、お寺とは入ったでしょ。あーゆー感じ」
嫁「うーん、まあそれは嫌いではないけど」
僕「けど?」
嫁「汚なそう」
僕「……。それは否定できないけれど、彼らには彼らの文化があって……」
嫁「ホテルはあるの?」
僕「あるある。最近は中国人観光客も多く行くようになって、電気も水道もガスもある。ホテルもピンからキリまで選び放題(推測)」
嫁「うーん……」

以降、話し合いは平行線を辿り、Yesはいただけなかったが、Noをもらうこともなかった。
ということで、かなり無理矢理にアムド行きを決めました。
蘭州までの往復航空券で、そこからはバスでの移動。

嫁さんは条件として、
・蘭州でのホテルはいいところにすること
・途中何かあったらすぐに都会に戻ってくること
・ホテルは常に水回りのきれいなところにすること
・移動は一気に行わず、短距離で刻んで、休憩を入れながら進むこと
を挙げてきた。
もちろん、全部OKです。
蘭州のホテルは、日本人ツアー客もよく利用するという最高級レベルを予約。
どのような日程でも動けるよう、あえて予定は組まず、臨機応変に旅をする。


旅先で次の宿を決めずに目的地に向かうのは、本当に久しぶり。
そして、かなーり薄いだろうけれど、一応チベット情緒も感じられることだろう。これも楽しみ。
嫁さんは完全に不安だそうで、つい一昨日も「私は全然楽しみではない」と出発前にまさかの一言をいただきました。



そんなわけで、今年の夏休み、アムド旅行に行ってきやす。