武弘・Takehiroの部屋

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「世界3大悪妻」だって? 違うじゃないか!

2024年03月23日 15時08分29秒 | 人生

<2011年2月に書いた以下の記事を復刻します>

「悪妻は60年の不作」と言うが、今は寿命が伸びたから“80年の不作”だろうか(笑)。
 さて、自分の女房が悪妻か良妻かは人それぞれだが、少し興味を持ったので調べたら「世界3大悪妻」というのがあった。それがギリシャの哲学者ソクラテスの妻・クサンティッペ、大音楽家モーツァルトの妻・コンスタンツェ、文豪トルストイの妻・ソフィアだというのである。
 しかし、一見してこれはおかしいと思った。私が知る限り(そうは言ってもそんなに詳しく知っていないが)、この3人の女性は決して“悪妻”ではないし、いや、むしろ良妻だと思っているからだ。そもそも、人は世界3大○○という言い方を好む。世界3大美女だとか3大数学者、3大殺人鬼などいろいろあるのだ。だから、この「世界3大悪妻」も極めて興味本位のものだと考えるしかない。
 
「歴史は勝者によって作られる」と言うが、3大○○などというのは、人が面白がって勝手に作ったものだろう。ところで、上記の3人の女性のうち、最も悪妻に見えるのがソクラテスの妻・クサンティッペである。
 彼女は夫をよく怒鳴りつけ、頭から水をぶっかけたとかいろいろ言われている。それもあってか、ソクラテスは「君は良い妻を持てば幸せになれる。悪い妻を持てば、私のように哲学者になれる」と若者に語ったという。だから、クサンティッペは昔から“悪妻”の代表格のように思われているが、事実は全く違うようだ。
 そもそも、ソクラテスが偉大な哲人であることは誰もが認めるだろうが、彼は仕事もろくにせず、朝から晩まで考え事に熱中し、外出すれば他人と理屈っぽい議論ばかりしていたのだ。そんな夫を見れば、大抵の妻は腹が立つに決まっている。こんな夫を持った妻の方こそ不幸である。 作家の佐藤愛子さんは小説『ソクラテスの妻』の中で、「ソクラテスのような男と結婚すれば、女はみんな悪妻になってしまう」と書いたそうだが、これは正に至言である。
 ちなみに、ソクラテスが刑死する前、息子を連れて最後の別れにやって来たクサンティッペは、悲しみの余り涙に暮れていたという。ソクラテスはそれを優しく慰めたという話が伝わっているが、実は彼はかなり年下の妻を愛していたのだろう。
 
夫が余りにも偉く、変人・奇人の類いだと妻の方が迷惑をこうむるものだ。モーツァルトの妻・コンスタンツェの場合もそうである。彼女は不実で不精、愚かだなどと言われているが、夫が死んだ18年後に再婚したからといって不実でも何でもない(現代ではそんなことは当たり前だ!)。
 まして、子供2人と借金を抱えていれば、生活や経済のことを考えるのは当然ではないか。また、コンスタンツェは浪費家だと非難されているが、モーツァルトの方がはるかに浪費家でギャンブル好きだったことは有名な話だ。
 トルストイの妻・ソフィアの場合も不当に非難されている。晩年の夫の宗教的な活動に対して、彼女は無理解で非協力的であったというのだ。しかし、トルストイが全財産や著作権を放棄するとなると、大勢の子供や召使らを抱えたソフィアだって堪ったものではない。生活を防衛するのは当然ではないか。彼女が夫の著作権を管理したからといって、どうして責められようか。
 
このように、偉大な夫を持つと妻はけっこう苦労するものだ。逆に、偉い妻を持つと夫の方も大変かもしれない。「内助の功」などと言われるぐらいなら良いが、妻の方が能力も経済力もあり社会的地位が高かったりすると、夫は肩身の狭い思いをするのだろうか。
 そんなことは分からないが、悪妻なんてそう沢山いるものではない。愛人と共謀して夫に生命保険をかけて殺害すれば悪妻・悪女そのものだが、そんな女はごく少数だ。本当の良妻もそう多くはないだろうが、悪妻もそんなにいるものではない。
 今日は「世界3大悪妻」について述べたが、たまたまわが家は今、些細な事で私と妻が夫婦喧嘩をして“冷戦中”である。したがって、つい悪妻論を取り上げてしまったが、こちらが「悪妻め!」と思っていても、相手は「駄目な亭主ね!」と思っているに違いない(笑)。 夫婦喧嘩は犬も食わないと言うから、これにて終了しよう。取り留めのない話で大変失礼しました。(2011年2月2日)


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