映画とライフデザイン

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映画「君を想い、バスに乗る」 ティモシースポール

2022-06-12 18:48:27 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「君を想いバスに乗る」を映画館で観てきました。


映画「君を想いバスに乗る(英題: Last bus)」は名脇役として数々のメジャー映画に出演してきたティモシー・スポール主演の英国縦断の旅に出る老人の話である。クライム系の映画が続くと疲れ気味で暖かい映画をカラダが欲している

若い人からパワーをもらいたいと思っているので、もともと老人主体の映画は敬遠気味である。ただ、老人の一人旅というと、いつも悪夢に満ちた作品が多い奇才デイヴィッドリンチ監督が例外のようにつくったロードムービー「ストレイトストーリー」が好きだ。もしかして同じような暖かいテイストをもった映画ではという期待を込めて映画館に向かう。

期待は裏切らなかった。映画全体にやわらかいムードが流れる心やさしい映画である。
映画ポスターを見ると、主役の老人の顔が気難しそうでこわい。たしかに映画でも、我を通して頑固な男である。でも、亡き妻と結ばれた60年以上前の2人の姿を映し出し、現代の映像に織り交ぜるのが効果的に効いている。周囲に支えられているのもひしひしと伝わる。

90をすぎて、愛妻と死別したトム(ティモシースポール)は妻とのある約束を果たすために、スコットランドから以前住んでいたイングランドの西端ランズエンドまで1350キロの旅に出る。路線バスをつないで行くわけだが、行く方々で数々の困難にぶつかるロードムービーである。

妻との約束は最後まで語られない。2人はランズエンドで結ばれて新婚生活を送っていたが、ある事情があって1952年に出来るだけ遠いところに行きたいという妻の希望スコットランドの北部の離れたところに引っ越したのだ。

⒈綿密な計画と数々の困難
トムはどのバスに乗ってどこまで行き、乗り換えるという綿密な計画を手帳に書き綴っている。行き当たりばったりに1350キロの旅に出るわけでない。自分も旅行は計画のディテールにこだわって実行していくタイプなので気持ちはわかる。

しかし、全部が筋書き通りにはいかないものだ。大事にしているアタッシュケースを盗まれそうになったり、バスを乗り越してしまってその日の目的地を通り過ぎて野宿をせざるを得なくなったり、混雑したバスの中で人種差別発言をする男に注意して絡まれたりする。絶えず計画の修正を余儀なくされる。ちなみに撮影時は侵攻前だったけど、ウクライナの移民も出てくる。


それでも、周囲との交わりの中で、老人が1350キロの旅をしていることがSNSで一般に周知されて良いように捉えられる。応援する人たちが出てくるのだ。人との出会いっていかに運をよくするかという見本のようなストーリーの流れがでてきて難題もこなせるようになる。


⒉ティモシー・スポール
1957年生まれで現在65歳、この映画を撮ったときは63歳くらいだろう。ティモシースポールはその年で90代の老人を演じている。不自然さはない。さすがだ。元自動車整備士で、正義感が強くまじめというのがトムだ。しかも、長年連れ添った妻への愛情に満ちあふれている。妻からの頼まれごとをなんとかこなそうという強い意思も感じられる。


映画を見終わり、ティモシースポールのキャリアを調べると、「ハリーポッター」や「ラストサムライ」などをはじめとして英国王のスピーチではチャーチルを演じている。名作と言われる多数の作品に出演していることがわかる。個人的には否定と肯定ホロコーストはなかったとする学者を演じて、レイチェルワイズと対決する悪役に徹した演技が印象深い。たしかに、映画ポスターを見て、一瞬この主人公の性格が悪そうだから観るのをどうしようと思ったくらいの人相だ。

それでも、往年のチャールズロートンを思わせる緩急自在の演技は天下一品である。観てよかった。

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