wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

マッシヴ・アタック他ポスター展と代々木散歩

2024-09-21 08:12:50 | 美術館・展覧会

真夏の8月に、代々木にあるビーチ・ギャラリーというお店でやっていた「ALL YOU NEED IS DUB -MASSIVE ATTACK,BRITISH DUB POSTER EXHIBITION-(オール・ユー・ニード・イズ・ダブ ーマッシヴ・アタック、英国ダブ・ポスター展)」という小さなポスター展を見てきました(2024年8月18日)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのギャラリーは、地下鉄千代田線代々木公園駅を降りてすぐのところにありますが、正確な住所は渋谷区富ヶ谷だから安倍晋三さんが住んでいた地域ですね。写真は、映画「パーフェクトデイズ」にも出てきた、代々木深町小公園にある「ザ トウメイ トウキョウ トイレット(坂茂デザイン)」。普段は壁が透明になっていて外から中がのぞけるけれど、中に入って鍵をかけると不透明になって外から中が見えなくなるしくみです。

 

公園の横にある岸ビルの一階奥がビーチ・ギャラリー。

 

この夏に5年ぶりのツアー中のマッシヴ・アタックを中心に、ポップ・グループをはじめ地元のブリストル系や、音楽性の近いブリティッシュ・ダブ系のポスターの現物が集められていました。

ちょっと説明しますと、ロックの歴史、とくにイギリスにおいては、70年代中頃にパンクが出現して、70年代末あたりから80年代にかけてポスト・パンクやニュー・ウェイブという多様な音楽性を持った音楽に移行していきました。私は、そのポスト・パンクやニュー・ウェイブが大好きで、今でも聞いています。そのポスト・パンクの流れを作ったバンドの一つがブリストルのポップ・グループで、ロックにファンクやレゲエなど様々なテイストをミックスしました。ブリストルはその後も先鋭的なアーチストを輩出し続け、ブリストル系と言われています。ジャマイカで生まれたレゲエは、ダブという原曲をエフェクターで加工した音楽を作り出す手法を生み出しました。マッシヴ・アタックはまさにブリストルで生まれ、ニュー・ウェイブ、ジャズ、ダブ、サイケデリックなど様々な音楽を飲みこみ先鋭的でありながら、ポピュラリティーも獲得したバンドとして今でも世間の評価は高く、私の好きなバンドの一つです。

「芸術性の高いこれらのアーティストのポスターの実物を、実際にまとめて御覧頂ける貴重な機会を是非お見逃しなく!また、展示のポスターは全て販売、記念Tシャツもご用意しています。」というお店のキャッチフレーズ通り、マニアックなポスターたちがたくさんありました。写真は撮影可でした。

 

初期ブリストル系で私の好きなポップ・グループやリップ・リッグ&ザ・パニックなんかのポスターがあったら買ってしまうかもしれないと思って見に見に行ったのですが、そのあたりは売れてしまったのか、最初からなかったのか、見当たりませんでした。

 

マッシヴ・アタックのポスターはメンバーのロバート・デル・ナジャが作っていて、彼はバンクシーの師匠かバンクシー本人ではないかと言われている人です。ポスターは部数限定で印刷されているはずなので、実はすごく価値があるのかもしれません。手頃な大きさのポスターの値段を聞いたら、2~3万円でした。手の届く値段ですが、買うのをためらってしまいました。ここぞというときに決断力のない私です。

代わりに、パンクとポスト・パンク/ニューウェイブの顔とも言えるジョン・ライドンの長袖Tシャツを買って帰りました。ジョン・ライドンがセックス・ピストルズを脱退して、レゲエの国ジャマイカを旅行しているときの写真をプリントしたもので、音楽史的にもパンクからポスト・パンクやニューウェイブに変わるまさにその瞬間を捉えています。

 

帰り際に代々木公園に寄っていきました。

 

実は代々木公園の中に入るのはこれがはじめてです。しかし、暑くてあまり外にいたくありませんので、早めに明治神宮前駅に向かいました。

 

マッシブ・アタックの話題に戻りますが、8月25日にブリストルで行われたコンサートは、「気候行動アクセラレーター」という名のフェスティバルで、マッシヴ・アタックとイギリスのマンチェスター大学の科学者たちによる、ライブ音楽業界の脱炭素化を目指す5年間のコラボレーションの集大成だったということが、科学雑誌Nature誌に記事として取り上げられていました。具体的には、再生可能エネルギー源とバッテリーのみを使用してショーを運営し、観客に電車または電気バスで来場するよう呼びかけるといった取り組みが行われたそうです。

Nature 633, 241-243 (2024)

Massive Attack’s science-led drive to lower music’s carbon footprint

マッシヴ・アタックのコンサートで、赤いライトがともされたステージと、小さな四角の中に人々の顔が映し出されたスクリーン。

東京都現代美術館

2023-09-23 08:14:12 | 美術館・展覧会

デイヴィッド・ホックニー展を見るために東京都現代美術館に行ってきましたが(2013年9月10日)、美術館がいい感じの建築だったので、今回はそちらをご紹介したいと思います。

 

東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅から徒歩10分くらいで、東京都現代美術館に着きました。

 

美術館の南側は木場公園。

 

美術館の西側にあるエントランス。

 

1F南側は、広い廊下がつらぬいています。

 

1Fコレクション展示室を入ったところ。

 

水面から浮き上がる「裂けた球体(マルタ・パン)」というオブジェ。

 

「発見の塔(アンソニー・カロ)」

 

南側出口を出ると木場公園がそばにあります。

 

B1Fは、「水と石のプロムナード」となっていて、水の存在と水面に反射して映る周囲の風景が涼やかな雰囲気を出しています。

美術館の階下にある池という形は、以前あった神奈川県立近代美術館の鎌倉館をほうふつとさせます(下写真)。

 

東京都現代美術館に戻ります。

 

建物内にはこのような空間がひょっこりと現れます。

 

MOTコレクションも足早に見て回りました。横尾忠則氏のコレクションはけっこう充実しています。

 

西側は滝のように水が流れ落ちています。

北西側からのたたずまいもかっこいいです。


デイヴィッド・ホックニー展を見に行く

2023-09-16 07:32:04 | 美術館・展覧会

デイヴィッド・ホックニー展を見に行ってきました(2023年9月10日)。東京都現代美術館で7月15日から11月5日まで開催中です。東京都現代美術館には初めて行ったのですが、この建物もよくできていて、いい雰囲気だったので次回紹介します。

今回紹介するデイヴィッド・ホックニーは、イギリス出身の現代アート作家で、現在86歳で健在なおじいちゃんです。作品が非常な高額で取引されることでも有名で、「芸術家の肖像画―プールと2人の人物―」という印象的なプールの絵が102億円という、現存する作家として最高額で落札されたことがニュースになっていました。今回の展覧会にその作品はありませんでしたが、初期から現在に至る作風の変遷を追うことができました。初期にはピカソに影響を受けたような作風、人にこだわった肖像画、写実的でポップな家やプールの風景画へと変わってきて、最近は印象派やポップアートを咀嚼したうえでの田園の風景画へと移っています。対象をどう見るか、どう描くかにこだわってきたそうです。最近の風景画については、写真撮影が許されていたので、紹介します。ゴッホのような燃える色彩という表現をしている人もいるくらいで、色彩が非常に鮮やかです。私はゴッホも好きなので、この鮮やかさは好きです。

 

当日券売り場に10分ほど並んでチケットを購入しました。そこそこ混雑しています。

 

展示会場入口横にある、彼の作品「2022年6月25日、(額に入った)花を見る」をモチーフにした大きな看板。

 

会場内では、時代順に作品が並んでいて、前半は撮影禁止ですが、後半、ここ15年くらいの最近の作品は撮影できました。これはポスターにもなっている作品「春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年」。イギリスの森の風景ですね。

 

森や道の風景画が続きます。

 

ここからの「ノルマンディーの12か月」は圧巻です。コロナ禍中に、ノルマンディーの田園においてiPadで絵が描かれて、つなげて全長90mの長さの作品になっています。

「ノルマンディーの12か月」はこの雪景色で終わります。

 

これもおそらくノルマンディーでiPadで描かれた池の風景画ですが、描いている過程が動画になっていておもしろかったです。このような高名な画家がiPad(なんか)で絵を描いているというのも興味深かったですし、iPadでここまでの作品が作れるのだというのも新たな発見でした。

私には、風景の色彩の鮮やかさが気持ちよかったです。ソール・ライターの、モノクロから浮かび上がる色彩とも違っています。人によって好みが分かれるようで、妻にパンフレットを見せたら、この色使いは好きじゃないと言っていました。


ソール・ライター展を見に行く

2023-08-05 08:05:51 | 美術館・展覧会

ソール・ライター展を見に、渋谷のヒカリエホールに行ってきました(2023年7月30日)。「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」というタイトルの写真展で、1940年代からニューヨークで活動していた写真家ソール・ライターの生誕100年記念ということです。2000年代になって急に有名になった、そのころすでに80代になっていたこの写真家は、日本で知られるようになったのもここ数年のこと。いわゆる「エモい」と言われるような写真を撮り始めた元祖のような人です。私も比較的最近知って、写真集の書評を書いています

テレビ番組「美の巨人たち」でも紹介されていて、世間でカラー写真が脚光をあびるようになったのは1960年代くらいからであったのにもかかわらず、ソール・ライターはすでに1948年くらいからカラー写真を撮るようになっていた先駆者だと言われていました。今回、展覧会では色彩の綺麗さをたんのうしました。

 

会場にある大きなポスターを撮影すると、撮影者の影が右と左に写りました。そんな仕掛けですね。

 

この展覧会では、すべて撮影が自由でしたので、たくさん撮りました。

 

50年代にニューヨークで活躍していた最先端の芸術家・音楽家たちのポートレートが撮られています。ソール・ライターも、彼らと同じような志と熱量を持っていたのでしょう。これは、ジョン・ケージ。

 

アンディ・ウォーホル。

 

アンリ・カルティ=エブレッソン。20世紀写真家の巨人。

 

セロニアス・モンク。

 

マルセル・デュシャン。

 

そして、58年から60年代には、ハーバーズ・バザー誌にファッション写真が掲載されました。

 

シュルレアリスムみたいな写真もあります。

 

ファッション写真にも、ライターらしさが出ています。

 

写真撮影と並行して、絵もたくさん描いていました。水彩画が中心で、とくに色彩の鮮やかさがとても印象的です。これは、写真での色彩感覚に通じるものがあるといわれていて、今回、彼の作品の色彩を意識して鑑賞しました。

 

絵の展示の間に、ときおり写真もはさみこまれていて、その色彩感覚の鋭さに気づかせてくれます。写真では、雨や雪、夜、暗闇といったモノトーンの背景の中に、鮮やかな色を浮かび上がらせるのがとても上手です。

 

 

ソール・ライターのカラー写真の多くは、カラースライドで撮影されていました。それを、自分の部屋の壁に投影して、ときには友人とともに、よく楽しんでいたそうです。これは、その再現ルームです。

 

カラースライド群。我々の仕事でプレゼンテーションをするときも、今はパワーポイントをプロジェクターで映しますが、20年くらい前はカラースライドを映していましたね。

 

これが、圧巻のカラースライド・プロジェクション。10画面で、それぞれカラースライドが次々と切り替わり投影されていました。この展示が、今回一番良かったかもしれません。小さな写真をちまちま見るより、大画面で圧倒されるのが、展覧会で体感できる醍醐味だと思います。

 

さて、会場を出て、ヒカリエの中を少し探索します。

 

渋谷駅周辺の風景。

渋谷スクランブルスクエア。


2022GWの茨城帰省時に行ったところ1ー廣澤美術館・板谷波山展

2022-05-14 08:14:01 | 美術館・展覧会

このゴールデンウィークに茨城の実家を伺ったさいに寄ってきたところを、2回に分けて紹介します。今回は、廣澤美術館とそこでやっていた板谷波山展です(2022年5月5日)。いままで行ったことのなかった郷土の観光地巡りの一環です。

 

実家に向かう道中で、関東鉄道常総線に初めて乗りました。実家に住んでいたころはこれに乗る機会が全くなかったのです。つくばエクスプレス守谷駅から水戸線下館駅まで各駅停車で約1時間、1両だけのディーゼルカーによるのんびり旅です。今気がつきましたが、この車両はウクライナ・カラーになっていますね。

車窓からは筑波山が望めます。

 

さて、廣澤美術館に来ました。ここは、筑西市にあるザ・ヒロサワ・シティという広大な敷地を擁するレジャーランド内の施設の一つです。設計者は隈研吾氏です。もう、先生はひっぱりだこです。

外とつながったような解放感。

木のぬくもりとモダンさの共存。

大きなひさし。

そして、建屋の周りを大きな天然石で取り囲んでいるところはちょっと独特ですが、天然の木や石を多用する先生のセオリー通りですね。

ここは、建屋ときれいな庭園が一体化しているところもいいです。

 

この庭園は、斉藤忠一という方による作庭です。禅寺の石庭のようですが、砂が白でなくベージュ色なのです。

 

では、「生誕150年記念 板谷波山の陶芸」展を見ていきます。板谷波山は、筑西市下館に生まれ、明治末期から昭和初期にかけて活躍した陶芸家で文化勲章受章者。波山の名は、近くの筑波山と加波山から取ったそうです。

このような大型で美麗な、いってみれば立派で高級そうな作風が特徴です。やや後の時代に民芸運動で活躍し、益子を焼き物の町として有名にした陶芸家の濱田庄司は、作風はまったく違いますが、若いころ板谷波山に師事しているそうです。

 

ここからは、別館の「つくは野館」で開催されていた筑西の代表作家展の作品です。

 

ザ・ヒロサワ・シティには、乗物類のミュージアム、宿泊施設、バーベキュー場など様々な施設がありますが、コロナ禍のためか多くは休館中でした。またの機会に来てみたいと思います。

このパークゴルフ場や本格的なゴルフ俱楽部は営業していました。