上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

市議会最終日・・・くらし切捨ての新年度予算は認められません

2017-03-24 14:22:00 | 熊本市議会
3月24日、1カ月以上の長期にわたり開かれていた熊本市議会が閉会しました。
提案された議案の議決にあたり、「2017年度当初予算」の問題点を述べ、反対討論を行いました。

いよいよ年度末、新年度も熊本地震復興という大事業に取り組みながら、市政運営が行われていきます。
市民のみなさんの暮らし第一の立場で、市政をチェックし、具体的な政策提案をしながら頑張っていきたいと思います。

討論の内容は、以下のとおりです。

【新年度予算の反対討論】
「議第1号平成29年度熊本市一般会計予算」の反対討論を行います。
今年度は4月に未曽有の熊本地震が発生し、これまでにない厳しい予算編成であったと思います。
具体的な内容では、小中学校へのエアコン設置が小学校後期分として46校への整備経費が予算化され、2017年度中にすべての小中学校に設置完了する見通しとなったこと、スクールカウンセラーの拡充や子どもの貧困実態を把握するための「子どもの生活実態調査」予算が計上されるなど、評価できる点もありました。しかし、全体としてみるならば、熊本地震復興という大事業の中、老朽化した公共施設の維持管理更新という大きな課題を抱え、なおかつ(仮称)「熊本城ホール」整備の大型開発事業を強引にすすめんがために、市民に負担増を押し付け、削るべきでない予算を削り、市民サービスの後退を招いています。
第1に、子ども、障がい者、高齢者など、弱い立場の方々に冷たい予算です。
子ども医療費助成は、新たな見直し案の予算が提案されました。今回の提案は、入院を中3まで完全無料とする一方で、小学校3年生までは現行1ヵ月・1診療科500円の自己負担を700円に引き上げ、小学校4年生以上では自己負担1200円とし、しかも、これまで無料だった調剤部分に、自己負担を3歳から小3まで700円、小4以上1200円を新たに求めるというものです。しかし、昨年の3月議会に、小学校3年生までは現行1ヵ月・1診療科500円の自己負担を1000円に引き上げ、調剤部分の自己負担も1000円とするという案が提案され、この方々が3倍、4倍の負担となるということで、議会が全会一致で付帯決議を決議し、待ったをかけたことが、今回の見直し案提案になっているはずです。「0歳から小学校3年生までを対象とした現行制度を基本とする」という、付帯決議を受け止めて見直し案を検討するならば、1000円に引き上げる自己負担をわずかに抑え、700円とするというような案は出てこないはずです。一般質問でも指摘しましたように、本当に子どもたちのために制度を拡充するのならば、市がお金を出すべきです。さいたま市や名古屋市が桁違いの事業費を予算化し、中学校3年までの完全無料化を実施している、このような自治体にこそ大いに学ぶべきです。市長の公約の帳面消しのような、今回の見直し案は絶対に容認できません。中学校3年生までの完全無料化実施を強く要望いたします。
 また、障がい者のさくらカード、パス券が廃止になりました。今年度、利用が減り、新年度予算でも減った実績に基づき予算が提案されています。ICカード化による1割負担の実施で、負担が10倍・20倍になったという声が聞かれます。わずかな年金や作業所の工賃で暮らす障がい者の方々にとって、気軽にお出かけできるパス券制度は本当に喜ばれていました。そういう方々に負担を求め、利用しにくい制度にしたことも、冷たいとしか言いようがありません。 
高齢者では、敬老祝賀経費が大幅削減です。2016年度1500万円の予算で、80歳、100歳の方々約6200人に送られていた敬老祝い品事業は、2017年度、その予算が4分の1に削られ、わずか400万円で100歳の方に1万円相当、最高齢男女各1名に5000円相当の祝い品を贈る制度となります。対象者はわずか200人弱です。これが長生きを喜べる制度でしょうか。あまりにお粗末で、悲しくなります。
 そのほか、リサイクル情報プラザが廃止され、子育てサロン開催経費・健康づくり月間、空き家対策事業などの事業が廃止され、障がい者・母子家庭の母の雇用対策経費も大幅に減額されています。昨今の社会情勢を考えるならば、これらの事業が廃止・縮小でいいのか、大いに疑問です。

第2に、熊本地震復興は新年度も大きな課題であり、支援を拡充すべきです。
市民の世論に押され、一部損壊への支援が始まりました。しかし、支援が受けられるのは、一部損壊世帯の約半数です。すべての被災者へ必要な支援を行っていく、被災前の生活に1日も早く戻っていただく、そのことが重要です。自然災害を避けることはできません。そして、自分の力だけで復旧することはとても難しく、公的な支援が必要です。義援金にとどまらず、一般財源も使い、すべての一部損壊世帯への支援を行うことや、半壊以上の世帯でも再建のメドがたたない方、地盤被害で補助制度の対象とならない人、復旧費用が大きく見通しがない方などのために必要な支援策を実施していくべきであると思います。

第3に、情け容赦ない行財政改革は、市民も、職員も犠牲にしています。
市立幼稚園の民間移譲に1240万円計上されています。しかし、公立はその基準です。民間の規準となって、職員処遇を守る役割や、蓄積される経験を生かした質の高い幼児教育は公ならではです。安易な民間移譲はマイナスです。
「総人件費の抑制」では、時間外勤務の削減は、過労死ラインぎりぎりで働く部署もあったことから、長時間労働改善の一方で、サービス残業の増加が心配されるので、その対策が必要です。いずれにしても、業務に必要な正規職員の確保が重要です。また、給与制度見直しにより、給与表水準が2%引き下げられ、職員給与は全体で1億6300万円も減額となりました。職員の生活と地域経済への影響を考えると大きなマイナスです。
クリーンセンター業務見直しでは、ごみ収集車の乗車人員が3名から2名へと削減されました。業務の効率化とならないばかりか、安全運行が妨げられます。
生活保護では、嘱託ケースワーカー雇用経費が4300万円予算化されています。しかし、受給者の増加や個別ケースの複雑さ等を考えると、期限付き雇用の嘱託では対応が難しい面があります。生活保護のケースワーカーは、正規職員を基本に、100%の充足率での配置を強く要望しておきます。
市民会館の指定管理者制度への移行は、準備経費2000万円が予算化されています。しかし、コスト重視の民間ではできない専門技術の蓄積・継承や地域文化の拠点としての役割など、公立文化ホールだからこそできてきたこと、その役割を放棄し、十分な論議も行わず、業務を安上がりな民間へと委ねる指定管理者制度への移行は、豊かな熊本の文化を育むこととも相いれるものではなく、容認できません。
また、予算の15%シーリングによる「事務事業見直し」の結果、9億6000万円の予算が縮減されました。その影響が大きかったのが、嘱託職員の勤務時間と人数削減です。嘱託とはいえ、専門的な分野を担う業務も多く、その処遇確保は重要です。ところが、新年度予算では、嘱託職員の勤務時間を1日15分削ったり、人員を削減するなど、処遇はますます悪化しています。職員の雇用は、正規を基本に、嘱託については勤務時間の確保、手当の支給など、処遇改善を早急に図るべきです。
 これらすさまじい行財政改革の内容を見ていると、「福祉の心」を投げ捨てたとしか思えないような予算です。

桜町再開発と(仮称)「熊本城ホール」整備では、再開発会社への補助金が総額126億円、(仮称)「熊本城ホール」整備が総事業費298億円で、保留床取得金の約8割228億円が市の借金です。事業年度は1年伸ばされていますが、補助金と保留床代金等、毎年100億円を超えるような事業費を今後3年間払わなければなりません。しかも、事業完了後は、借金返済のために毎年13億円を20年間払い続けなければなりません。さらには、再開発事業者への運転資金に無利子で67億円も融資しようというのですから、市民感覚では考えられません。市政史上最大のハコモノ建設が市財政に及ぼす負担の大きさを改めて痛感します。
しかも、シンボルプロムナード等整備の基本設計に4300万円、花畑公園・辛島公園再整備の基本設計等に200万円が予算化され、桜町再開発の周辺整備ともいうべきシンボルプロムナード・花畑広場等整備のために、今後20億円も投資されます。わずか28年しか使っていない産業文化会館を無理やり閉鎖・解体し、その隣地を買収し整備してきた花畑広場にはすでに20億円もの事業費が使われており、総事業費は40億円にもなります。桜町地区にどれだけお金を使うのか、市民の目線で見るならば、その金銭感覚を疑ってしまいます。熊本地震復興の視点でも、まだまだ仮住まいの人が1万世帯近くおられ、その再建メドも立っておらず、「MICEどころではない」というのが率直な市民の思いではないでしょうか。
先ほど縷々述べましたように、ひっ迫する財政のもと、徹底した行財政改革が行われ、大切な住民サービスがどんどん削られています。地方自治法第1条に述べてあるように、自治体の基本は「住民福祉の増進」です。子どもたちや高齢者・障がいを持った方々など、一番に手を差し伸べなければならない方々への支援を次々に削って、一方で大企業には桁違いの大盤振る舞いをするという本市のやり方は、向かうべき方向が逆ではないでしょうか。
 市民の声に耳を傾け、その声に寄り添った市政運営と財政運用をお願いいたしまして、反対討論といたします。
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