酒田 66
湘北 66
第4Q開始のブザーを待つ10人が、コート上に立っている。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
2分間のインターバル。
湘北ベンチ。
湘北の策が成功すると、青森酒田はすぐに湘北の策を凌ぐプレーを見せてくる。
その脅威の粘りと強さに、湘北選手たちは、驚きを隠せない。
「ホントにしつこいやつらだぜ。」
と宮城。
「こっちの流れになったかと思ったら、持って行かれたり、また持ってこれたり、忙しい試合ですね。」
汗を拭う白田。
「あっちも同じことを思っていると思いますよ。」
スポーツドリンクを飲む柳。
選手らの疲労は隠せない。
特に攻守に渡り、第3Qを引率してきた流川の疲労は、ピークに達していた。
タオルをかぶり、ベンチに座る流川。
「はぁはぁ。」
呼吸が激しい。
(流川君・・・。)
心配そうに見つめる晴子。
『カタ。』
安西が立つ。
「!!」
安西に視線を向ける選手たち。
第一声。
「次の作戦です。」
「はい。」
「エースを止めます。」
「えっ!?」
「エースを止めるって・・・。」
「止められないから、同点なんですが・・・。」
「どういうことだ、オヤジ!」
「パウエル君を止めるのは、桜木君の仕事です。しっかり頼みますよ。」
「おっおう。」
今まで、パウエルに散々やられていただけに、安西から思ってもない言葉を投げかけられ、桜木は若干戸惑った。
(それができてたら、今頃苦労してねぇっていうんだ!!)
「流川君同様、パウエル君も相当の体力を消費しているはずです。」
「ぬっ。」
(俺はそんなことはねぇ。)
眼を光らせる流川。
「ディフェンスは、ハーフマンツーでいきます。ただし、パウエル君へはオールであたります。
マークするのは、もちろん、桜木君です。」
「おう。」
(こりゃ、ある意味賭けだな。
失敗するようなら、パウエルに得点を奪われるうえに、花道のリバウンドも失う・・・。)
心配そうな宮城を見て、安西が再び口を開く。
「大丈夫ですよ、宮城君。桜木君を信じましょう。」
「そうだ!リョーちん!!俺を信じろ!!ハッハッハ!!」
(今までの借りを全て返してやるぜ!!)
「安西先生が仰るなら、俺は何も言いません。」
宮城を初め、他の部員も納得した。
「桜木君は、常にパウエル君にタイトに当たること。
例え、彼がどこにいようともです。」
「任せておけ!!」
「桜木君が、ゴール下から離れることになりますので、リバウンドは流川君、白田君、よろしく頼みますよ。」
「うす。」
「はい。」
「オヤジ!俺は、リバウンドも奪うぜ!!ゴール下を守るのは、俺だ!!」
「花道!!先生の言ったことがわからねぇーのか!?
おめーは、パウエルを抑えることだけに専念しろ!!」
と宮城。
だが、桜木は安西の眼を見つめたまま、視線をそらさない。
「ゴール下を守るのは、俺だ。」
「・・・。」
しばらく沈黙していた安西が話す。
「わかりました。ゴール下への参戦を許可しますが、パウエル君を抑えることを第一に考えてください。」
「わかったぜ!!」
誇らしげな表情を見せる桜木であった。
「やれやれだぜ。」
呆れ顔の宮城。
-----------------------------------------------------------------------
『ビィーーーー!!』
湘北ボールから、第4Qが開始された。
「いけーーーー!!ショーホク!!」
「酒田ーー!!負けるなよーーー!!!」
声援が跳び交う体育館。
「サ・カ・タ!サ・カ・タ!サ・カ・タ!サ・カ・タ!」
「ショーホク!ショーホク!ショーホク!」
応援団にも力が入る。
両チームの選手の交代はない。
「わりーが勝つのはうちだ!」
「その言葉、そのまま返すど。」
宮城と松山の想い。
「この天才に特命が出た。」
「トクメイ?ナンデスカ?」
「ジ・エンドということだ!!」にやっ。
「ソウハイカマセン!」にかっ。
桜木とパウエルは笑った。
「・・・。」
「・・・。」
流川と田中が無言で見つめあう。
(あと10分、走り抜いてやる。)
(この時間帯で、呼吸の乱れがね。ええ体力しでるでねーか。)
柳と新山。
『グッ。』
拳に力を込める白田。
(ゴール下を死守する!!)
赤木から桜木を経由して継承しつつある湘北の魂が、白田にも今宿ろうとしている。
酒田 66
湘北 66
「いくぜーー!!」
「おう!!」
『ダム!』
宮城が動いた。
(この1本は絶対だ。このQの主導権は俺が握る!!さぁ、こっからだ!!)
『ダム!』
強引に抜き去ろうとする宮城。
「リョータのやつ、焦っている!!」
「なにやっているのよ!リョータ!!」
湘北ベンチからの声。
(焦りは厳禁。勝てるものも勝てねくなるど。)
松山がすばやく対応。
『ダム!』
宮城の一直線のドリブル。
喰らい付く松山。
「リョータ!!!」
「囲まれる!!!」
宮城の進行方向には、田中と流川。
松山は、宮城を2人で囲もうと、田中のほうへ誘っていた。
『キュ!』
宮城へ一歩近づく田中。
『キュ!』
その瞬間、インサイドへ切れ込む流川。
『バン!!』
「!!」
「なっ!!」
「へへっ。」にやり。
『バス!』
「すげーーパス!!!」
「流川にボールが通った!!!」
「フリーだーーーー!!!」
宮城は、松山と田中の間に、絶妙なバウンドパスを放ち、流川へのパスを通した。
「ダァーー!!」
青森酒田の大黒柱パウエルがすかさずフォローにくる。
『シュ。』
流川は、ステップインでゴールを狙う構えを見せたが、
冷静にバックビハインドパスから、45°で待ち構えるあの男にパスを送った。
「決めろ。」
「トーーーゼン!!」
膝を優しく曲げ、体全体をバネのように、縮ませ、高くジャンプする。
そして、優しく添えた左手と力強くスナップした右手から、ボールが宙に放たれる。
緩やかに回転したボールは、湘北の想いを乗せて。
ネットを通過した。
『パサ。』
「ぅおっしゃーー!!!」
「また、湘北が逆転だーー!!!」
「いけーー!!」
「いいぞ!花道!!」
「おうよ!!」
「ディフェンス、任せたぞ!!」
「任せなさーーい!!」
第4Q、宮城が切れ込み、流川のアシストで、桜木が決めるという湘北にとっても願ってもない展開で幕を開けた。
酒田 66
湘北 68
続く。
湘北 66
第4Q開始のブザーを待つ10人が、コート上に立っている。
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<<回想>>
2分間のインターバル。
湘北ベンチ。
湘北の策が成功すると、青森酒田はすぐに湘北の策を凌ぐプレーを見せてくる。
その脅威の粘りと強さに、湘北選手たちは、驚きを隠せない。
「ホントにしつこいやつらだぜ。」
と宮城。
「こっちの流れになったかと思ったら、持って行かれたり、また持ってこれたり、忙しい試合ですね。」
汗を拭う白田。
「あっちも同じことを思っていると思いますよ。」
スポーツドリンクを飲む柳。
選手らの疲労は隠せない。
特に攻守に渡り、第3Qを引率してきた流川の疲労は、ピークに達していた。
タオルをかぶり、ベンチに座る流川。
「はぁはぁ。」
呼吸が激しい。
(流川君・・・。)
心配そうに見つめる晴子。
『カタ。』
安西が立つ。
「!!」
安西に視線を向ける選手たち。
第一声。
「次の作戦です。」
「はい。」
「エースを止めます。」
「えっ!?」
「エースを止めるって・・・。」
「止められないから、同点なんですが・・・。」
「どういうことだ、オヤジ!」
「パウエル君を止めるのは、桜木君の仕事です。しっかり頼みますよ。」
「おっおう。」
今まで、パウエルに散々やられていただけに、安西から思ってもない言葉を投げかけられ、桜木は若干戸惑った。
(それができてたら、今頃苦労してねぇっていうんだ!!)
「流川君同様、パウエル君も相当の体力を消費しているはずです。」
「ぬっ。」
(俺はそんなことはねぇ。)
眼を光らせる流川。
「ディフェンスは、ハーフマンツーでいきます。ただし、パウエル君へはオールであたります。
マークするのは、もちろん、桜木君です。」
「おう。」
(こりゃ、ある意味賭けだな。
失敗するようなら、パウエルに得点を奪われるうえに、花道のリバウンドも失う・・・。)
心配そうな宮城を見て、安西が再び口を開く。
「大丈夫ですよ、宮城君。桜木君を信じましょう。」
「そうだ!リョーちん!!俺を信じろ!!ハッハッハ!!」
(今までの借りを全て返してやるぜ!!)
「安西先生が仰るなら、俺は何も言いません。」
宮城を初め、他の部員も納得した。
「桜木君は、常にパウエル君にタイトに当たること。
例え、彼がどこにいようともです。」
「任せておけ!!」
「桜木君が、ゴール下から離れることになりますので、リバウンドは流川君、白田君、よろしく頼みますよ。」
「うす。」
「はい。」
「オヤジ!俺は、リバウンドも奪うぜ!!ゴール下を守るのは、俺だ!!」
「花道!!先生の言ったことがわからねぇーのか!?
おめーは、パウエルを抑えることだけに専念しろ!!」
と宮城。
だが、桜木は安西の眼を見つめたまま、視線をそらさない。
「ゴール下を守るのは、俺だ。」
「・・・。」
しばらく沈黙していた安西が話す。
「わかりました。ゴール下への参戦を許可しますが、パウエル君を抑えることを第一に考えてください。」
「わかったぜ!!」
誇らしげな表情を見せる桜木であった。
「やれやれだぜ。」
呆れ顔の宮城。
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『ビィーーーー!!』
湘北ボールから、第4Qが開始された。
「いけーーーー!!ショーホク!!」
「酒田ーー!!負けるなよーーー!!!」
声援が跳び交う体育館。
「サ・カ・タ!サ・カ・タ!サ・カ・タ!サ・カ・タ!」
「ショーホク!ショーホク!ショーホク!」
応援団にも力が入る。
両チームの選手の交代はない。
「わりーが勝つのはうちだ!」
「その言葉、そのまま返すど。」
宮城と松山の想い。
「この天才に特命が出た。」
「トクメイ?ナンデスカ?」
「ジ・エンドということだ!!」にやっ。
「ソウハイカマセン!」にかっ。
桜木とパウエルは笑った。
「・・・。」
「・・・。」
流川と田中が無言で見つめあう。
(あと10分、走り抜いてやる。)
(この時間帯で、呼吸の乱れがね。ええ体力しでるでねーか。)
柳と新山。
『グッ。』
拳に力を込める白田。
(ゴール下を死守する!!)
赤木から桜木を経由して継承しつつある湘北の魂が、白田にも今宿ろうとしている。
酒田 66
湘北 66
「いくぜーー!!」
「おう!!」
『ダム!』
宮城が動いた。
(この1本は絶対だ。このQの主導権は俺が握る!!さぁ、こっからだ!!)
『ダム!』
強引に抜き去ろうとする宮城。
「リョータのやつ、焦っている!!」
「なにやっているのよ!リョータ!!」
湘北ベンチからの声。
(焦りは厳禁。勝てるものも勝てねくなるど。)
松山がすばやく対応。
『ダム!』
宮城の一直線のドリブル。
喰らい付く松山。
「リョータ!!!」
「囲まれる!!!」
宮城の進行方向には、田中と流川。
松山は、宮城を2人で囲もうと、田中のほうへ誘っていた。
『キュ!』
宮城へ一歩近づく田中。
『キュ!』
その瞬間、インサイドへ切れ込む流川。
『バン!!』
「!!」
「なっ!!」
「へへっ。」にやり。
『バス!』
「すげーーパス!!!」
「流川にボールが通った!!!」
「フリーだーーーー!!!」
宮城は、松山と田中の間に、絶妙なバウンドパスを放ち、流川へのパスを通した。
「ダァーー!!」
青森酒田の大黒柱パウエルがすかさずフォローにくる。
『シュ。』
流川は、ステップインでゴールを狙う構えを見せたが、
冷静にバックビハインドパスから、45°で待ち構えるあの男にパスを送った。
「決めろ。」
「トーーーゼン!!」
膝を優しく曲げ、体全体をバネのように、縮ませ、高くジャンプする。
そして、優しく添えた左手と力強くスナップした右手から、ボールが宙に放たれる。
緩やかに回転したボールは、湘北の想いを乗せて。
ネットを通過した。
『パサ。』
「ぅおっしゃーー!!!」
「また、湘北が逆転だーー!!!」
「いけーー!!」
「いいぞ!花道!!」
「おうよ!!」
「ディフェンス、任せたぞ!!」
「任せなさーーい!!」
第4Q、宮城が切れ込み、流川のアシストで、桜木が決めるという湘北にとっても願ってもない展開で幕を開けた。
酒田 66
湘北 68
続く。
300話おめでとう!!
更新頻度も内容もすばらしい!このまま変わらず、頑張ってください。
でも、すごいな!才能あるね!
300話更新おめでとうございます!^^
これからも応援してます★
今回は湘北メンツの成長ぶりに、わくわくしました
どうぞこれからも、うまさんが望むものを書き、そしてそれを見せて下さい。
湧き出ずるものにピンと来なければ、少し気分転換しても良いのではないでしょうか、仙道君のように。。。
お褒めの言葉ありがとうございます。
最近は、あまり巧く書けなくて、更新頻度が落ちていますが、今後もよろしくお願いします。
また頑張ろうって気持ちになりました。
ぺんさん
お久しぶりです。
応援コメントありがとうございます。
400話目指して頑張ります!!
UOMOさん
そうですね。気がついたら300話って感じです。
心温まる、そして気持ちが楽になるお言葉ありがとうございます。
今はピンと来ない時期なのですが、もうすぐそれも脱しそうです。選抜編の次ぎの構想もだいぶできあがりました。
楽しみにしていてください。