京都アニメーションがテレビシリーズを経ずに送り出す一発勝負の作品なので、きっと気合の入ったものになると思って観に行きました。原作は話題になったのでタイトルは知っていますが内容はほとんど知らない「聲の形」。今回も予備知識はなるべく入れないようにして臨みました。
耳がほとんど聞こえないことで虐められる西宮硝子と虐める側の石田将也。石田はあることをきっかけに虐められる対象に逆転する。こういうことは今の子供たちの間ではありふれているのだろうか。自分たちの時代ではありえないことだった。ハンディキャップを背負った硝子と他者とのコミュニケーションの難しさ、ぎこちなさが描かれるが、実は健常者である石田のほうが硝子に「生き方を教えてくれないか」というほどに人との関わり方がわからないという皮肉。
最初は京アニらしくないシリアスな話だと思いましたが、本当のところ山田尚子監督の作品の芯の部分は非常にシリアスなんだと思います。今までの作品はそれを覆い隠すように女の子の可愛らしさやギャグでの味付けが際立っていたのが、今回はそれが少し抑えられただけなのかもしれません。とはいっても控え目ながら京アニらしいところは随所に見受けられました。
良い作品でした。