人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット ✕ 高橋絵理 ✕ ドロティア・ラング ✕ ベンヤミン・ブルンス ✕ 東京交響楽団でマーラー「大地の歌」、武満徹「鳥は星形の庭に降りる」他を聴く

2024年05月13日 00時01分15秒 | 日記

13日(月)。わが家に来てから今日で3408日目を迎え、国連総会(193か国)は10日、緊急特別会合を開き、パレスチナの国連正式加盟を支持し、国連安全保障理事会に加盟の再検討を求める決議を143か国の賛成で採択した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     イスラエルに ロシアのようにやりたい放題やられたら シンパ国を増やしたくなる

 

         

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第720回定期演奏会」を聴きました プログラムは①武満徹「鳥は星形の庭に降りる」、②ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」、③マーラー「大地の歌」です 演奏は②のソプラノ独唱=高橋絵理、③のメゾ・ソプラノ独唱=ドロティア・ラング、テノール独唱=ベンヤミン・ブルンス。指揮=東響音楽監督ジョナサン・ノットです

 

     

 

オケは12型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはグレブ・ニキティン、隣は小林壱成というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目は武満徹「鳥は星形の庭に降りる」です この曲は武満徹(1930-1996)が1977年に作曲、同年11月30日にサンフランシスコで初演されました なお、岡部真一郎氏のプログラム・ノートに「1997年の管弦楽曲《鳥は星形の庭に降りる》は、」とあるのは「1977年の~」の誤りです 同氏の解説によると、「武満は 後頭部を星形に刈り込んだマルセル・デュシャンの写真に接し、その後、一群の白い鳥が一羽の黒鳥を中心に五角形の庭に降りる夢を見たことが、この作品の作曲に結び付いた」旨を書いています

この作品を聴くのは初めてだと思いますが、武満らしい神秘的な響きに満ちた音楽でした

2曲目はベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」です この曲はアルバン・ベルク(1885-1935)がソプラノ歌手ルツェナ・ヘルリンガーからの委嘱により、ボードレールの詩集「悪の華」をゲオルゲが翻訳したドイツ語版から「ぶどう酒」章の「ぶどう酒の魂」「愛する者たちのぶどう酒」「孤独な男のぶどう酒」の三篇の詩をもとに1929年に作曲、1930年6月4日にプロイセンのケーニヒスベルクで初演されました

ソプラノ独唱の髙橋絵理は国立音大・大学院修了。二期会及び新国立劇場オペラ研修所修了。第6回静岡国際オペラコンクール第3位入賞 二期会のオペラ公演を中心に活躍しています

オケは14型に拡大します 髙橋絵理はノット ✕ 東響の確かなバックに支えられながら、ワインの喜びを歌い上げました

 

     

 

プログラム後半はマーラー「大地の歌」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1908年に作曲、マーラーの死後の1911年11月20日にミュンヘンでブルーノ・ワルターの指揮により初演されました 第1楽章「酒興の歌、地上の苦しみについて」(李太白の詩)、第2楽章「秋、孤独な男」(銭起の詩)、第3楽章「若さについて」(李太白の詩)、第4楽章「美しいものについて」(李太白の詩)、第5楽章「春に酔った者たち」(李太白の詩)、第6楽章「別れ」(猛浩然の詩)の6楽章から成ります

マーラーは本作を9番目にあたる交響曲として作曲しましたが、ベートーヴェンの交響曲が第9番で終わったことから、9番が死につながる番号であると考え、交響曲第9番とせず、自筆譜に「アルトとテノール、そして大オーケストラのための交響曲」と記しました マーラーはこの後、交響曲第9番を作曲しましたが、交響曲第10番は未完に終わりました。マーラーは結局「第9番」のジンクスから逃れることが出来ませんでした

オケは14型を維持し、ステージ上手奥にハープが2台スタンバイします

メゾソプラノ独唱のドロティア・ラングはハンガリー・ブタペスト生まれ。ウィーン国立音楽大学で学び、ウィーン・フォルクスオーパーを経て、マンハイム国立劇場、ハンブルク州立歌劇場でアンサンブルを務めました 現在 ヨーロッパ各地の歌劇場に出演しています

テノール独唱の ベンヤミン・ブルンスはドイツ・ハノーファー生まれ。ハンブルク音楽演劇大学で学び、ブレーメン歌劇場でキャリアをスタート  ケルン市立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場を経て、ウィーン国立歌劇場でアンサンブルを努めました    現在 世界の主要なオーケストラとの共演を重ねています

ソリストの2人が登場し、指揮者の前の椅子にスタンバイします ドロティア・ラング はゴールドのゴージャスな衣装に包まれての登場です

ノットの指揮で第1楽章「酒興の歌、地上の苦しみについて」の演奏に入ります 冒頭から雄弁な管弦楽に乗せて ベンヤミン・ブルンスのテノールがトップ・ギアで入ってきます 彼の声はオーケストラを突き抜けて届きます 恐るべきテノールです 第2楽章「秋、孤独な男」ではドロティア・ラングが包容力のある豊かな歌唱で孤独な男の心情を歌い上げます 素晴らしいメゾソプラノです

第3楽章「若さについて」でテノールのブルンスが歌っている時でした 1階センターブロック18列目辺りで、「大丈夫ですか?」という声が聞こえたかと思ったら、周囲が騒然として、何人かの客が立ち上がりました 間もなく男女数人のレセプショニストが駆けつけ、気分が悪くなったらしい高齢男性客を2人がかりで抱き上げて、自席のすぐ右側の通路を通って搬出していきました 指揮をとるノットは背中を見せているので気がつきようがなかったと思います 何度も言いますが、コンサートは何が起きるか分かりません これは 決して他人事ではありません   ご無事であればよいのですが

そうこうしているうちに、演奏は最後の第6楽章「別れ」に入ります この楽章だけで全体の半分(約30分)を占めますが、ドロティア・ラングの息の長いパッセージをモノともしない独唱が圧巻です マーラーの頭から離れなかった「永遠に」というテーマが7回静かに繰り返されました この楽章に限らず、オーボエの葉加瀬太郎、もとい 最上峰行、フルートの相澤政宏、ファゴットの福士マリ子の演奏が素晴らしい また、ハープの2人も大活躍しました

ノットのタクトが静かに下ろされると、満場の拍手とブラボーの嵐が吹き荒れ、カーテンコールが繰り返されました

ジョナサン・ノット ✕ 東響はドロティア・ラングとベンヤミン・ブルンスという理想的なソリストを得て、マーラーの死生観が垣間見られる「大地の歌」を見事に歌い上げました 掛け値なしの素晴らしい演奏でした

 

     

     


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4 コメント

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今回も当たりの演奏会でしたね (薬屋さん)
2024-05-13 23:37:08
いつも楽しく拝見させていただいております。
うさぎちゃんにも癒されています。
シティフィルと東響の演奏会は、私も行っていました。金曜日の日本フィルとのマーラー9番、日曜日の東響との大地の歌ともどもいい演奏でしたね。
大地の歌は二人の歌手の選定が流石でしたね。個人的にはテノールがみずみずしい声でよかったです。Msも良かったのですが、アルトのほうが私の好みでした。といってもいい演奏だったので満足した演奏会でした。最後にサントリーホールは、好みの音響の席が少なくて困っています。今回もRBブロックだと歌手の声がダイレクトに聴き手に向かってこないような気がしました。
サントリーホール (tora)
2024-05-14 15:46:10
薬屋さん コメントありがとうございました。

いつかどこかのコンサートホールですれ違っているかもしれませんね。

サントリーホールは、他のホールに比べてどこで聴いてもそれなりに満足できています。歌手の声がダイレクトに届くのはやはり1階でも2階でもセンターブロックだと思いますが、どうでしょうか
RE: (薬屋さん)
2024-05-14 20:49:57
コメントへのお返事、ありがとうございます。
確かに声はセンターブロックが良かったですね。都響は二階センターブロックの右側や左側での席が多いのですが、合唱や独唱で不満はなかったですね。
個人の好みですが、長ーいエスカレーターさえなければ、池袋の芸術劇場2階中央と3階のサイドの席が好きですね。あくまでも個人の好みですが。
最後にブログの継続、頑張ってください。
芸劇 (tora)
2024-05-14 22:22:31
薬屋さん 再びのコメントありがとうございました。

東京芸術劇場は私も好きです。この劇場に限らず、大管弦楽曲を聴くときは2階、3階席が最も良いと思います

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