人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

吉田秀和没後10年 ~ 朝日新聞・吉田純子編集委員の連載「ことばを奏でる」始まる / 清少納言「枕草子」は有能な公務員による広報誌だった? ~ 「天声人語」から

2022年05月31日 07時09分47秒 | 日記

31日(火)。月末を迎えたので、恒例により今月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシックコンサート=9回、②映画鑑賞=7本、③読書=7冊でした なお、②については別にNetflixで「鳩の撃退法」、「国家の僕(しもべ)」(シーズン1:全24話)を観ました

さて、昨日の朝日新聞第1面のコラム「天声人語」を読んでビックリしました われわれは清少納言の「枕草子」を「随想」と習ってきましたが、どうやら近年は別の説が有力らしいのです 超訳すると次の通りです

「土方洋一(ひじかた よういち)青山学院大学教授によると、『枕草子』は一条天皇の中宮だった定子の栄華をアピールする公的記録だったと見られる 定子の聡明さや優雅さには言葉を尽くしながら、彼女を襲った苦難についてはほとんど言及していない 父の死、兄の左遷、自身の宮中での孤立、そして24歳の早すぎる死。どれも省かれている 定子は清少納言が仰ぎ見るファッションリーダー兼オピニオンリーダー その輝きを書き残す任務に没頭した。春(春はあけぼの)や冬(冬はつとめて)の章段も清少納言の私的な感懐ではなく、季節をお題に定子のサロンが開いた言葉遊びのベストアンサー集ではないか そう見ると全編が矛盾なく説明できると話す 現代ふうに言うなら、並外れて有能な公務員による広報誌だったということか

土方教授は近刊「枕草子つづれ織り」で、清少納言が何を書き、何を書かなかったかを分析したうえで、上のように結論づけたそうです これは重要な視点だと思います われわれは、文章を読むとき「何が書かれているか」を読み取ろうとしますが、そこに「何が書かれていないか」を考え・推論することによって、全体像が見えてくることもあるということを教えてくれます

土方教授の分析は 新選で いとをかし

ということで、わが家に来てから今日で2697日目を迎え、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は29日、ウラジーミル・プーチン大統領が病気であることを示す兆候は全くないとして、大統領の体調不良説を否定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナへ侵略した時点で 排他的ロシアシンドロームに罹っているに違いない!

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」と「舞茸の味噌汁」を作りました ステーキはミディアム・レアに焼きましたが、柔らかくて美味しかったです

 

     

 

         

 

朝日新聞 文化面で同社編集委員・吉田純子さんによる「ことばを奏でる ~ 吉田秀和没後10年」の連載(全10回)が始まりました 吉田秀和氏(1913ー2012)と言えば朝日新聞「音楽展望」とNHK-FM「名曲のたのしみ」を思い起こします ともに40年も続いたクラシック音楽に関する評論・エッセイ、放送ですが、私も毎回楽しみにしていた一人です

連載第1回のタイトルは「文筆修行は相撲から ~ 形なき音楽  永遠の世界へと刻印」です 超訳すると次の通りです

「生まれたそばから消える音を、言葉によって永遠に刻印した 文章はまず、『聴く』ことではなく『見る』ことによって磨いた その対象となったのが、幼い頃から親しんでいた相撲である。目の前で起きていることを自分の言葉で語れなければ、形なき抽象の世界を語ることなど到底できない 2つの肉体がぶつかり合うその瞬間に、内側では何が起こっているのか。見る人々の心は、どんな風にざわめいているのか 即物的な描写と主観を交えた評論、その両方を書いてみて、様々なバランスの組み合わせを試す これで何冊ものノートを書き潰した 11年2月、世の中の関心が大相撲の八百長疑惑一色になったとき、吉田は『相撲は勝ち負けだけじゃないんだけどね』と語った 次の『音楽展望』で最初で最後の『相撲展望』を書いてもらった そこには照れも躊躇もない、研ぎ澄まされた純度の高い言葉が並んでいた。そこにはまぎれもなく肉体化した『音楽』があった 技術の指摘にとどまる表層的な音楽評論への批判に、どこか本質の部分で連なっているように思えた

文中にある「相撲展望」が朝日新聞デジタルにアップされていたので読んでみました。それで納得しました なぜ吉田純子さんが「そこにはまぎれもなく肉体化した『音楽』があった」と書いたのかを。吉田秀和氏の書いた相撲を巡る文章には独特のリズムがあるのです 歯切れの良さと言っても良いかもしれません 吉田純子さんはそのリズムに『音楽』を見出したのではないだろうか

うろ覚えですが、かつて 吉田秀和氏はカラヤンの指揮するモーツアルトのセレナード(かディベルティメント)のCDの演奏を評して「まるで血が滴るビフテキのような演奏」と書いていましたが、この表現には思わず唸りました 分厚くボリューム感のあるビフテキを連想させるレガートたっぷりの演奏で、ひと言で演奏の特徴を言い表していると思いました

ところで、冒頭にある「生まれたそばから消える音を、言葉によって永遠に刻印する」ことがいかに困難なことか、コンサートを聴いた感想や批評をブログやツイッターにアップして人なら良く理解できるはずです 正直に告白すると、私はいつも「なんでオレはこんなにボキャ貧なんだ」と反省しながら書いています

私にとって吉田秀和氏は小林秀雄氏に次いで影響を受けた評論家です 吉田純子さんの連載はこれから9回続くので楽しみにしたいと思います

 

     

     

     

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が700万PVを超えました( 7,000,782 PV )。なお、トータル訪問者数は2,145,546 I P となっています フォロアーはツイッターを含めて1993人。gooブログ全体における直近1週間平均ランキングは3,108,401ブログ中442位、にほんブログ村「コンサート・演奏会感想」におけるランキングは55ブログ中2位となっています これもひとえに普段からご覧くださっている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも1日も休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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高関健 ✕ 東京シティ・フィルのマーラー「交響曲第7番」のチケットを取る / 中川右介「不朽の十大交響曲」、岩城宏之「森の歌うた」、トーマス・マン「ヴァーグナーの苦悩と偉大」他を買う

2022年05月30日 07時06分07秒 | 日記

30日(月)。未婚率の上昇を背景に 政府は29日、当面 外出時のマスク着用義務を延長すると発表した きっかけは27日に発表された第一生命保険主催の「第35回サラリーマン川柳コンクール」で第8位に入賞した下の作品だった

「恋心 マスク外せば 花と散る」

トランプも真っ青のフェイクニュースにお付き合いいただき ありがとうございました

ということで、わが家に来てから今日で2696日目を迎え、ウクライナメディアによると、キリスト教東方正教会のロシア正教系のウクライナ正教会が27日、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、ロシア正教会との関係断絶を宣言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     やっと宗教界も目が覚めたか  問題はプーチン支持者をどう真実に目覚めさせるかだ

 

         

 

高関健氏の「第50回サントリー音楽賞受賞記念コンサート」のチケットを取りました 高関健のマーラーとなれば、もう聴きに行くしかありません 8月12日(金)19時からサントリーホールです プログラムは①ノーノ「『2)進むべき道はない、だが進まねばならない・・・アンドレ・タルコフスキー』7つのグループのための」、②マーラー「交響曲第7番ホ短調『夜の歌』」です 演奏は高関健 指揮 東京シティ・フィルです

 

     

     

     

         

 

手元の本が1冊のみとなったので、昨日 暑い中、池袋のジュンク堂書店池袋本店に行き6冊購入してきました

1冊目は中川右介著「不朽の十大交響曲」(角川ソフィア文庫)です     中川氏の本は最近では「国歌と音楽家」(集英社文庫)をご紹介しました 本書はいわゆる「通俗名曲」と呼ばれる交響曲を10曲選んで解説を加えたノンフィクションです

 

     

 

2曲目は岩城宏之著「森のうた 山本直純との藝大青春記」(河出文庫)です これは朝日新聞の吉田純子編集委員が書評で取り上げていました

 

     

 

3冊目はトーマス・マン著「講演集 リヒァルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大」です ほかに「リヒャルト・ヴァーグナーと『ニーべルングの指環』」も収録されています

 

     

 

4冊目は稲田豊史著「映画を早送りで観る人たち」(光文社新書)です いま話題になっている本です

 

     

 

5冊目は遠藤周作著「人生には何ひとつ無駄なものはない」(朝日文庫)です 本書は遠藤周作の著書の中から、人生・愛情・宗教・病気・生命・仕事などについて書かれた文書を選び、抜粋したアンソロジーです

 

     

 

最後の6冊目は新保裕一著「おまえの罪を自白しろ」(文春文庫)です 衆議院議員の孫娘を誘拐した犯人の要求は「記者会見で、すべて罪を自白しろ」というものだった、という内容です 面白そうです

 

     

 

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介してまいります

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原田慶太楼 ✕ 上村文乃 ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「交響曲第10番、第12番」、ボッケリーニ「チェロ協奏曲第9番」他を聴く ~ 第49回モーツアルト・マチネ

2022年05月29日 07時04分56秒 | 日記

29日(日)。わが家に来てから今日で2695日目を迎え、24日に米国テキサス州の小学校で21人が殺害される乱射事件があったばかりの27日、トランプ前大統領は、米最大の銃ロビー団体の全米ライフル協会が同州で開いた年次総会で演説し、「左派が推し進める銃規制は悲劇の防止につながらない。教師に銃を持たせるべきだ」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプにとっては 子供たちの命より ライフル協会の政治献金の方が優先される

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「第49回 モーツアルト・マチネ」公演を聴きました    プログラムは①モーツアルト「交響曲 第10番 ト長調 K.74」、②同「交響曲 第12番 ト長調 K.110」、③サン=ジョルジュ「交響曲 第2番 ニ長調 作品11-2」、④ボッケリーニ「チェロ協奏曲 第9番 変ロ長調 G482」です 演奏は④のチェロ独奏=上村文乃、管弦楽=東京交響楽団、指揮=原田慶太楼です

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは水谷晃です

1曲目はモーツアルト「交響曲第10番 ト長調 K.74」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1770年にイタリアで作曲した交響曲です 歌劇「ポントの王ミトリダーテ」の序曲として作曲したとも言われています。モーツアルトはこのイタリア旅行中、バチカンのシスティーナ礼拝堂を訪問した際、門外不出の秘曲、アレグリ作曲の無伴奏合唱曲「ミゼレーレ」を一度聴いただけで覚えてしまい、宿に帰って楽譜を書き起こし、父親を驚かせたというエピソードは有名ですが、K.74はちょうどその年に作曲されました 第1楽章「アレグロ~アンダンテ」、第2楽章「アレグロ」の2楽章から成ります

原田の指揮で演奏に入りますが、溌溂とした曲想で、14歳のモーツアルトの若さ溢れる清々しさを感じさせます オーボエ首席の荒絵理子の演奏が冴えています 第2楽章でも生き生きした演奏が展開します メリハリの効いた素晴らしい演奏でした

2曲目はモーツアルト「交響曲第12番 ト長調 K.110」です この曲は上記のK.74を作曲したイタリア旅行からザルツブルクに帰郷したモーツアルトが1771年に作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

原田の指揮で第1楽章の演奏に入ります 前へ前へと進む推進力に満ちた曲想で、モーツアルトの意欲を感じさせます この楽章ではオーボエが、第2楽章ではフルートとファゴットが活躍します 第3楽章では、中間部で明るさから急に陰りを見せるところがあり、モーツアルトらしさが垣間見られました 第4楽章では、再び明るく推進力に満ちた演奏が展開し華やかにフィナーレを飾りました

 

     

     

3曲目はサン=ジョルジュ「交響曲第2番 ニ長調 作品11-2」です この曲はフランスの作曲家サン=ジョルジュ(1745ー1799)が1779年に出版したと言われています 第1楽章「アレグロ・プレスト」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 彼は1778年、モーツアルトにパリで会っており、モーツアルトが協奏交響曲を作曲したきっかけの一つは、サン=ジョルジュの作品を聴いて刺激を受けたためともいわれています

原田の指揮で第1楽章の演奏に入ります 聴いていると、ほとんどモーツアルトです もし作曲者名を伏せてクイズをやったら、モーツアルトの作品だと答える人が多いと思います 第2楽章は弦楽器のみで演奏されますが、悲壮感溢れる旋律が耳に残りました 第3楽章は一転、明るく弾むような曲想で、ここでもモーツアルトを感じさせました

最後の曲はボッケリーニ「チェロ協奏曲 第9番 変ロ長調 G482」です この曲はルイジ・ボッケリーニ(1743ー1805)が1785年頃に出版しました ボッケリーニはチェロの名手で、ウィーンの宮廷音楽家を務め、1770年にはスペインの宮廷音楽家を、1786年にはプロイセンのフリードリヒ・ヴィルヘルム2世付きの作曲家になりました

この作品は第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンティーノ・グラツィオーソ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

チェロ独奏の上村文乃は第5回東京音楽コンクール弦楽部門第2位、第4回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位及びルーマニア大使館賞を受賞 桐朋学園大学ソリストディプロマコース卒業後、ハンブルグ音楽演劇大学を経てバーゼル音楽院に留学し、7年間の留学生活を終えて2020年に帰国、内外の公演でソリストとして活躍、バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーとしても活躍しています

オケの弦楽器が4・4・3・2・1と極端な少人数にしぼられます チェロという同族楽器による古典派の作品ということで、ソリストを引き立てたうえ透明感を求めたものかもしれません

原田の指揮で第1楽章に入ります この楽章は独奏チェロのパートが技巧的に書かれていますが、上村は速いパッセージも何の苦もなく弾き切ります 上村は、この楽章を含めて各楽章の終結部にあるカデンツァを 確かな技巧の裏付けのをもと 力強くも美しく演奏、原田 ✕ 東響がソリストにピタリとつけ、ボッケリーニの217回目の命日に華を添えました

原田が満場の拍手を制して静かになると、会場の照明が落とされ、水谷コンマスとチェロのソロとで静かなメロディーが奏でられ、舞台袖からチェロのピッツィカートが聴こえてきました すると急に照明が点いて、ソリストの上村とオケのメンバーが再度入場し明るく楽し気な音楽の演奏が始まりました 上村やチェロ軍団は楽器をギターのように抱えて弦をつま弾いています   ある人のツイッターによると、ボッケリーニ「マドリッドの夜景」を上村文乃が自由に編曲した作品とのことでした とても楽しい演奏でした

 

     

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小林愛実出演の「トリトン晴れた海のオーケストラ」10/1夜・追加公演決定 ~ 6月9日からチケット発売 / 原一男監督「ゆきゆきて、神軍」を観る

2022年05月28日 07時10分00秒 | 日記

28日(土)。21日付toraブログでご紹介した「トリトン晴れた海のオーケストラ 第11回演奏会」の追加公演が決定しました    本公演は10月1日(土)14時開演として発売されましたが、申し込みが殺到したらしく、10月1日(土)18時から同一プログラムで追加公演が開かれることになりました    ショパン・コンクール4位入賞の小林愛実さんの人気ゆえでしょう

プログラムは①ベートーヴェン「大フーガ」(弦楽オーケストラ版)、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番”ジュノム”」(P:小林愛実)、③同「交響曲第36番”リンツ”」です    指揮者なし、コンマス・矢部達哉(都響コンマス)のリードで演奏されますが、オケは錚々たるメンバーです チケットは6月9日(木)11時から発売されます

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2694日目を迎え、ロシア大統領府の発表によると、プーチン大統領は26日、イタリアのドラギ首相と電話会談し、ロシアには世界的な食糧危機の解決に大きく貢献する用意があるが、貢献するのは西側諸国が制裁を解除した時のみだと述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     何を偉そうなことを言っているか! 自分が引き起こした食糧危機だろ 責任を取れ!

 

         

 

昨日、夕食に「チキン・ステーキ」と「ブナピーの味噌汁」を作りました サラダを別皿にすると面倒なので、いつものようにワンプレートに盛り付けました。チキン・ステーキは柔らかくて美味しく出来ました

 

     

    

         

 

早稲田松竹で今村昌平企画・原一男監督による1987年製作映画「ゆきゆきて、神軍」(122分)を観ました

神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、ニューギニア戦線で生き残り、自らを「神軍平等兵」と名乗り、「神軍」の旗なびく車に乗って慰霊と戦争責任の追及を続けるため日本列島を疾駆する ある日、自身がかつて所属していた独立工兵第36連隊で、隊長の命令により終戦後23日も経ってから敵前逃亡の罪で2人の兵士が処刑されていたことを知った奥崎は、その遺族らとともに、処刑に関与したとされる元隊員たちを訪ねて真相を追い求める すると、生き残った元兵士たちの口から戦後36年目にして初めて驚くべき事件の真実と戦争の実態が明かされる 元隊員たちは容易に口を開かなかったが、奥崎は時に暴力を振るいながら証言を引き出し、元上官・小清水が処刑命令を下したと結論づける この間、元兵士の親族は途中で同行から降り、以後は奥崎の妻や関係者がその代理を務めた 奥崎は小清水宅に押し掛け、当時 誰が何をしたかを追求する

 

     

 

この映画はン十年前に一度観たことがありますが、「何と破天荒な男なんだろう」とビックリしたのを覚えています 今回あらためて観て、その感を強くしました 彼は人殺しの罪で懲役12年の実刑判決を受けて服役し、その後も人を殴ったりして罪を問われていますが、それを知人の結婚式のスピーチで自慢げに披露したりしています また、元兵士たちから話を訊いているうちに、だんだん興奮してくると相手に殴りかかっていきます この神経は並みではない 「人を一人殺しているから、俺には怖いものなどない」という居直り的な精神が彼を大胆にしているようです 上のポスターにもあるように「いつでも過激、どこでも攻撃」を地で行く男です

奥崎が一貫して主張しているのは、「戦争中に部下を無駄に死に追いやった人間は許せない」ということと、「天皇は戦争の責任を取っていない」という天皇批判です その「怒り」が彼の生きる原動力になっています

「主張するのは良いが、暴力はいけないのではないか」という意見に対して、奥崎は「本当のことが訊き出せるのなら暴力を振るっても差し支えない」と堂々と主張します 典型的なアナーキストです

私はいくつものドキュメンタリーを観てきましたが、これほど迫真に満ちた、先が読めないアナーキーな映画は他にありません 映画の最後で、「奥崎が元上官宅に改造拳銃を持って押しかけ、たまたま応対に出た元上官の息子に向けて発砲し、殺人未遂などで逮捕された」ことが字幕で紹介されます その時、原監督は同行していませんでした。なぜなら、原氏は事前に奥崎から「私は小清水さん(元上官)を殺す決心をしました 是非、そのシーンを撮っていただきたいんです」と言われたからです ただし、このやり取りは映像になっていません

とにかく「凄い」としか言いようのないドキュメンタリー映画です

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トゥールーズ・キャピトル国立管がソヒエフに名誉指揮者の称号を贈る / アルチュール・アラリ監督「ONODA 一万夜を越えて」を観る ~ ルバング島での小野田寛郎陸軍少尉の物語

2022年05月27日 07時20分13秒 | 日記

27日(金)。月刊音楽祭は26日、「トゥールーズ・キャピトル国立管が 音楽監督を辞任したトゥガン・ソヒエフに『名誉指揮者』の称号」という記事をツイートしています 内容は次の通りです

「フランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団がこのほど、3月に音楽監督を辞任したロシアの指揮者トゥガン・ソヒエフに対して、『名誉指揮者』の称号を与えたことが明らかになった    辞任前に予定されていたコンサートもそのままで、3回のコンサートを指揮するという ソヒエフはロシアのウクライナ侵略を巡り、ウクライナの首都キーウと1975年から姉妹都市関係にあるトゥールーズ市長から プーチン政権との距離を明確にするコメントを発表するよう求められ、3月6日にキャピトル管弦楽団、ロシアのボリショイ劇場双方の音楽監督を辞任していた

ロシア出身者というだけで契約を解除したり、出演を拒否したりするのは間違いだということ明らかにした出来事ですね

ソヒエフ氏は来年1月に来日し、N響1月度定期演奏会で指揮をとります ラインナップは、Aプロ=ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」、ベートーヴェン「交響曲第4番」、Bプロ=バルトーク「ヴィオラ協奏曲」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」組曲第1番・第2番、ドビュッシー「交響詩”海”」、Cプロ=ラフマニノフ「幻想曲『岩』」、チャイコフスキー「交響曲第1番」となっています

ということで、わが家に来てから今日で2693日目を迎え、米ジョージア州で25日、知事候補を決める共和党予備選があり、トランプ氏が選んだ候補者が、トランプ政権の副大統領だったマイク・ペンス氏が推した現職知事に敗れた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     この調子でトランプ離れを続けないと  共和党はいつまで経っても破廉恥トランプ党

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜サラダ」「冷奴・シソ乗せ」「豚汁」を作りました 麻婆茄子は久しぶりに作りましたが、何とか美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でアルチュール・アラリ監督による2021年製作フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・日本合作映画「ONODA  一万夜を越えて」(174分)を観ました

早稲田松竹は昨年9月1日以来なので約8か月ぶりです 今でも変わりなく2本立てで、新型コロナ感染対策のため座席は一つ置きです 休憩時間には場内清掃・換気のため荷物を持って会場外に出なければなりません

終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で秘密戦の特殊訓練を受けていた小野田寛郎(遠藤雄弥)は、劣勢のフィリピン・ルバング島で援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう上官の谷口義美陸軍少佐(イッセー尾形)から命じられる 出発前、上官からは「君たちには、死ぬ権利はない」と言い渡され、玉砕の許されない小野田たちは、何が起きても必ず生き延びなくてはならなかった 米軍が上陸し、散り散りになる中で食糧も不足し、残った4人は飢えや病気で次々と倒れていく それでも小野田(津田寛治)は、いつか必ず援軍が来ると信じて仲間を鼓舞し続けるが、最後の部下を原住民の襲撃で失ってしまう 年月が経ち、1974年2月、ジャングルに一人の日本人青年・鈴木紀夫が訪ねて来る 同年3月、小野田は説得により「最後の日本兵」として日本に帰国する

 

     

 

本作は、太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎旧陸軍少尉の物語を、史実に基づいてフランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化したものです

小野田少尉がジャングルから出る決意をしたのは、当時の上官・谷口がルバング島に赴いて直接命令したからです その意味では、上官以外の人間は誰も信じないという固い決意を抱いていたことになります これが戦争というものでしょうか

小野田さんと初めて接触してジャングルから出るよう説得したのが日本の冒険青年だったことを初めて知りました 彼は煙草を勧め、酒を勧め、何とか小野田さんの話を聞き出す努力をします 彼がいなかったら、小野田さんはずっとジャングルで孤独に生きていたかもしれません 若者の”怖いものなし"精神が小野田さんに通じたのでしょう

 

     

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ウクライナ大統領・ゼレンスキー主演のコメディ テレビ シリーズ「国民の僕(しもべ)」エピソード1(全24話)を観る ~ 巧みな演説力はこのドラマで培った!:Netflix

2022年05月26日 07時11分50秒 | 日記

26日(木)。わが家に来てから今日で2692日目を迎え、韓国軍の合同参謀本部によると、25日午前6時ごろから同42分ごろにかけて、北朝鮮の平壌郊外の順安付近から日本海に向けて計3発の弾道ミサイルが発射された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金正恩は怖がる相手を間違えてる  新型コロナウイルスはアメリカよりも強力な敵だ

 

         

 

昨日、夕食に「馬肉のユッケ」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴・シソ乗せ」「山芋の味噌汁」を作りました 馬肉は娘が勤務先の同僚から仕入れてきたもので、ポーランド産と書いてありました。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

ウクライナのゼレンスキー大統領が過去に主演・制作を手がけたテレビドラマ「国民の僕(しもべ)」エピソード1(全24話)を3日間かけて観終わりました この作品は2015年から2019年にかけて全3シーズン(1話=約25分:全51話)として放送されたウクライナの政治風刺コメディ テレビ シリーズです ゼレンスキー氏が設立した制作会社「Kvartal  95」によって制作され、監督はロシア出身のアレクセイ・キリュシュチェンコが務めています ウォロディミル・ゼレンスキー氏は30代の高校教師ヴァシリー・ペトロヴィチ・ゴロボロドコを演じています

 

     

 

30代の歴史教師ヴァシリー・ペトロヴィチ・ゴロボロドコは、ある日 ウクライナの政治批判をしていたところを生徒に撮影され、YouTubeにアップロードされてしまう しかし、この投稿が一夜にしてバズってしまう その結果、この動画に共感したゴロボロドコの生徒たちは、ゴロボロドコが知らないうちにウクライナの大統領選に立候補するためのクラウドファンディングを立ち上げることになる その資金をもとに多くの支援者を得たゴロボロドコはウクライナの新大統領に選出される 大統領就任後は、数々の責務をこなすが、戸惑いながらも政府内の腐敗を排除するために立ち向かう

本作ではゼレンスキー氏の演じるゴロボロドコは極めて真面目な高校教師であり大統領なので、ゼレンスキー氏はコメディアンというより俳優といったほうが相応しいと思います むしろ彼を取り巻く家族や政治家たちの方が、キャラが立っていてコメディアンのようです 息子が大統領になったから大金が入ると勝手に解釈して 高級家具を無断で注文してしまう父親、兄が大統領だといって勝手に銀行からビジネス資金を借りようとする妹など、周囲の者たちに振り回されます その一方、ゴロボロドコは国の厳しい財政状況を考え、自ら模範を示そうと、自宅から電車通勤し、いつも身辺警備に当たる多くの警備担当者をクビにします そして、財源確保の一環として年金をカットしては母親から嫌われ、酒税をアップしては父親から嫌われてしまいます しかし彼は、「息子としては謝るしかないが、大統領としては正しい」として意思を貫きます

このドラマを面白くしている要素の一つはゴロボロドコの側近たちです 一人は秘書の高齢女性。有名な女優さんだと思いますが、大統領が窮地に陥ると彼女が助けを出します。最強の秘書です もう一人は一度クビにして奥さんの懇願により復活したボディガード兼運転手のマッチョな男。この2人は頼りになります そしてもう一人は、常識を知らないスキンヘッドの素人外務大臣の男。秘書がいないと何もできないのになぜか魅力がある このドラマを観たら、誰もが彼らを好きになると思います

この映画を観ると、前任の大統領のもと政治腐敗が蔓延していたことが分かります 「大統領や政権は自らの利益のためではなく、国民の僕となって働くべきだ」というのがこのドラマのタイトルに込められた意味です

なお、このドラマにちなんで、2017年に中道政党「国民の僕」が設立され、2018年3月31日に正式に登録されました 2019年の国会選挙では全国政党リストで124議席、130選挙区議席を獲得しており、ゼレンスキー大統領はこの党のメンバーです 彼は2019年の大統領選挙では、4月21日に現職のポロシェンコ大統領との決戦投票の結果、73%以上の得票率で勝利し、第6代ウクライナ大統領に選出されました

このドラマには、ゴロボロドコ大統領が演説するシーンがいくつかありますが、いずれも堂々たるもので、とても俳優とは思えないほど大統領に成り切っています 彼の演説能力はこのドラマで培われたのだな、と推測できます

ウォロディミル・ゼレンスキー氏は1978年1月生まれの44歳です 現在、ロシアの一方的な軍事侵略を受け、国際的な支援を受けながらも毎日苦難の選択を強いられています      

そんな中、ゼレンスキーとはどんな人物かを知る上でも、また社会風刺の効いた政治コメディドラマとしても楽しめる作品になっています エピソード2と3がとても楽しみです

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上岡敏之 ✕ 森谷真理 ✕ 読売日響でツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」、ベルク:歌劇「ヴォツェック」から3つの断章、ウェーベルン「6つの小品」を聴く

2022年05月25日 07時15分09秒 | 日記

25日(水)。わが家に来てから今日で2691日目を迎え、国際人権団体のUNウォッチは23日、ロシアの在ジュネーブ国連代表部のボリス・ボンダレフ参事官が、「いまロシアの外務省は外交をしていない。うそを広め、憎しみと戦争をあおっている。ロシアにはもはや同盟国はない」とし、ウクライナ侵攻に抗議して辞職し亡命したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの蛮行を恥ずかしいと思うなら 彼に続いて戦争を批判して亡命した方がいい

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました あとは前日の「炊き込みご飯」ですが、おこげの部分で、一番美味しいところです 和食はヘルシーでいいですね

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで「読売日響 第617回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①ウェーベルン「6つの小品」、②ベルク:歌劇「ヴォツェック」から3つの断章、③ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」です 演奏は③のソプラノ独唱=森谷真理、ボーイソプラノ=TOKYO  FM 少年合唱団、指揮=上岡敏之です

新シーズン第1回目の定期演奏会です。私は今期から席替えをし、1階センターブロック右通路側に移動しました 今までは1階最後列に近い席だったので、楽団員の顔がよく見えませんでしたが、これからは識別できます やっぱりコンサートは目で見て耳で聴くものだと思います

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び コンマスは長原幸太、その隣は小森谷巧というダブルコンマス態勢を敷きます 第2ヴァイオリンのトップには育休明けの瀧村依里さんが現場復帰しています   おかえりなさい

1曲目はウェーベルン「6つの小品」です この曲はアントン・ウェーベルン(1883ー1945)が1910年に作曲、1913年3月31日にウィーンで初演された、無調への方向を示した作品です 柴辻純子さんの「プログラム・ノート」によると、ウェーベルンは1933年にこの曲の各曲について次のように記しているとのこと 第1曲「カタストロフの予感」、第2曲「その成就」、第3曲「微妙なコントラスト」、第4曲「葬送行進曲」、第5曲&第6曲「エピローグ:追想と諦念」

上岡が登場、さっそく演奏に入りますが、ウェーベルンのコメント通り、第1曲は「破綻の予感」を感じさせ、第2曲は まさに音楽が「破綻」していて、第3曲は「微妙」で、第4曲は「ほとんど絶望的」で、第5曲と第6曲は「思い出と諦め」です はっきり言って、よく分からない曲でした

2曲目はベルク:歌劇「ヴォツェック」から3つの断章です 「ヴォツェック」はアルバン・ベルク(1885ー1935)が1914年から1922年にかけて作曲しましたが、なかなか上演されず、1924年に組曲編曲版が作曲され同年6月15日にフランクフルトで上演されました また、オペラとしては1925年にベルリンで初演されました 物語は「しがない一兵卒のヴォツェックはマリーを情婦として子供もいるが、鼓手長と彼女との関係を知り、マリーを殺害、自らも池に身を投げて死ぬ」という内容です

「第1曲」は歌劇の第1幕第2場と第3場から、「第2曲」は第3幕第1場から、「第3曲」は第3幕第4場と第5場から採られています

この演奏で圧巻だったのはソプラノ森谷真理の破壊力のある絶唱です エキセントリックなマリーの心理を絶妙に歌い上げました TOKYO  FM 少年合唱団の小学生たちも良かったです また、コンマスの長原幸太、ヴィオラ首席の鈴木康浩、チェロ首席の遠藤真理のソロが際立っていました

 

     

 

プログラム後半はツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」です ツェムリンスキーといえばマーラーの妻アルマの作曲の師匠として名前が知られています

この曲はアレクサンダー・ツェムリンスキー(1871ー1942)が1902年から翌03年にかけて作曲、1905年1月25日にウィーンで初演されました 「人魚姫」はアンデルセンの同名の童話に基づくオーケストラのためのファンタジーです 第1楽章「極めて適度に活発に」、第2楽章「大きく動いて、ざわめくように」、第3楽章「苦悩に満ちた表現で、広大に」の3楽章から成ります

上岡の指揮で第1楽章が開始されます 低弦により静かに奏でられる音楽は深い海の底を連想させます そして長原幸太のヴァイオリン・ソロが人魚姫の主題を哀しく奏でます これが素晴らしい そして、金子平のクラリネット、蠣崎耕三のオーボエ、倉田優のフルートが演奏に華を添えます 第2楽章は起伏の激しい音楽が続きます。第3楽章では弦楽器によるニュアンスに満ちた繊細な演奏が光ります そしてドラマティックなフィナーレを迎えます

どうやら私はこの曲を同じ読響(しかも長原コンマス)で聴いたことがあるようです しかし、忘却力が進んだ現在では全く思い出すことが出来ません 今回聴いて感じたのは、「人魚姫」は思ったよりもドラマティックな曲で、同時代のマーラーとは違った意味での表現者だったということです

 

     

 

帰りがけに読響の受付で、会員継続特典CDをいただいてきました ①ヴァイグレ指揮によるチャイコフスキー「交響曲第5番」のCDか  ②ヴァイグレ指揮によるヴェルディ「運命の力」序曲ほか3曲のCDを選ぶことになっていますが、②を選びました 指揮者が3人で、曲目が4曲で面白そうだからです

 

     

     

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ジョディ・カンター&ミーガン・トゥーイー著「その名を暴け #Me Too に火をつけたジャーナリストたちの闘い」を読む ~ ニューヨーク・タイムズの2人の女性記者の調査報道

2022年05月24日 07時15分22秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから今日で2690日目を迎え、米ニューヨーク州のジェームズ司法長官の報道官は20日、トランプ前大統領が同氏一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの事業慣行を巡る調査に関し、書類提出を求める召喚状に従わなかったことで科された11万ドルの罰金を払ったと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「罰金を払ったから調査に協力しなくてもいい」ということにはならない 提出しろ

 

         

 

昨日、夕食に「比内地鶏炊き込みご飯」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醬油かけ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「ちぎり厚揚げ~」は炊き込みご飯によく合います

 

     

     

 

         

 

一昨日 ミューザ川崎に行ったついでに、「フェスタサマーミューザ  KAWASAKI  2022」のオーケストラ・セット券(引換券)を11枚の個券と引き換えてきました すでにオープニング・コンサートのチラシが出来ていました

 

     

     

 

         

 

ジョディ・カンター&ミーガン・トゥーイー共著「その名を暴け  #Me  Too に火をつけたジャーナリストたちの闘い」(新潮文庫)を読み終わりました 著者の2人は共に「ニューヨーク・タイムズ」の記者で、本書は2019年9月にアメリカで出版された「 SHE  SAID 」の全訳です 2017年、米国の映画界で「神」と呼ばれるほどの権力を誇る有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインが、女優や自社の従業員らに数々の性的虐待を行ってきたことを暴き、ピューリッツァー賞を受賞した「ニューヨーク・タイムズ」の2人の女性記者の調査報道の記録です

 

     

 

2人の女性記者は何か月もかけて、性的被害について口を閉ざしている女性たちに取材し、秘密情報の裏を取り、性的虐待がただの噂ではないことを突き止め、報道する準備を着々と進めていきます 2人の記者は、ワインスタインがいかにその優位的立場を利用して弱者を餌食にしてきたか、被害女性たちがなぜ黙らされてきたのか、弁護士はどのような働きをしたのか、などを調査報道で相次いで明らかにしていきます そんな彼女たちの動きがワインスタイン側に伝わると、彼の一流の弁護団が調査を妨害しようとして、様々な手段を講じるようになります しかし、2人の記者は編集者のレベッカ・コルベットや編集長のディーン・バケットなど、真実の報道を第一に考えるジャーナリストたちの励ましや後押しをもとに、それを跳ね返していきます この報道がきっかけとなって多くの被害女性が声を上げ、世界中で#Me  Too 運動が始まりました

被害女性がなぜ黙っていたのかといえば、「業界一の権力者の言うことをきかなければ、良い役がもらえない、あるいは役を降ろされてしまうかもしれない」という恐怖心があったからです ワインスタインはそういう女性の心理につけこんで行為に及んでいたのです

また、加害者側の弁護士は不都合な真実を表面化させないため、示談に持っていき、被害女性にお金を支払った上で「被害の内容は今後 一切 外部に漏らさない」という誓約書を書かせることで決着させようとします なぜなら、彼らにも多額の弁護士報酬が入るからです その点、被害女性の気持ちなど全く考えていません

2人の記者が取材と報道で一番悩んだのは、被害女性の証言が得られても、彼女たちから「記事に実名が出ると、今後の自分と家族の生活に支障が出るので困る」と言われることでした 「匿名」報道だと記事の信ぴょう性が弱くなりますが、2人の記者は無理強いはできませんでした しかし、「自分が黙っていることで、さらなる被害者が出る」と危機感を抱き、実名を出しても良いという女性も出てきます。そしてその輪が広がっていきます

2020年2月、ワインスタインはニューヨークの裁判所で2006年にミリアム・ハーレイをレイプした罪と、2013年にジェシカ・マンにオーラルセックスを強要した罪で、有罪の評決が下され、前者で20年、後者で3年、合計23年の禁固刑となりましたが、ロサンゼルスでも起訴されていて、そこでも有罪判決が出ると見られています

本書では2018年に、当時のトランプ大統領から連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノーから1980年代(高校生の時)に性的暴行を受けたと告発した大学教授クリスティン・ブレイジー・フォードの証言についても扱っています また、悪名高きトランプの破廉恥行為にも言及しています

本書を読むと、ジャーナリストは、声を上げられない弱者の立場に立って真実の報道をしなければならない、ということが伝わってきます また、単なる憶測ではなく必ず裏をとって確実な証拠や証言をもとに報道しなければ読者の信頼は得られない、そのために調査報道を行うということも伝わってきます 600ページの大書ですが、迫真のドキュメンタリーなので あっという間に読み終わりました    キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン他の出演により来年映画公開予定とのことなので楽しみです

 

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ジョナサン・ノット ✕ ペーター・ヤブロンスキー ✕ ジェームズ・アトキンソン ✕ 東京交響楽団でショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番」、ウォルトン「ベルシャザールの饗宴」他を聴く

2022年05月23日 07時13分43秒 | 日記

23日(月)。わが家に来てから今日で2689日目を迎え、AFP通信によると、バイデン米大統領は22日、北朝鮮の金正恩総書記に送るメッセージは「ハロー、以上だ」と記者団に語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     僕が通訳すると「北朝鮮の度重なるミサイル発射実験は波浪注意報もの。異常だ」

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団の川崎定期演奏会第86回公演を聴きました     私はサントリーホールでの定期会員ですが、都合により21日(土)の東京公演を、同一プログラムの22日(日)の川崎公演に振り替えました    プログラムは①リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」、②ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35」、③ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」です   演奏は②のピアノ独奏=ペーター・ヤブロンスキー、トランペット独奏=澤田真人、③のバリトン独唱=ジェームズ・アトキンソン、合唱=東響コーラス、指揮=東響音楽監督ジョナサン・ノットです

東響の機関誌「Symphony」5月号にジョナサン・ノットのプロフィールが掲載されていましたが、「2014年度シーズンから東響第3代音楽監督を務める」と書かれているのを見て、「就任から もう8年も経ったのか」と感慨深いものがありました   あらためて月日の流れの速さを感じます

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは水谷晃です 弦楽奏者のほとんどはマスクを着用しています

1曲目はR・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン 作品20」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864ー1949)が1887年から翌88年にかけて作曲、1889年にワイマールで作曲者自身の指揮により初演されました 成田麗奈さんのプログラム・ノートによると「ドン・ファンといえば好色男の女性遍歴と没落の物語として知られるが、ニコラス・レーナウの作品ではむしろストイックなまでに理想主義的なドン・ファン像が描かれている」という内容です

ジョナサン・ノットの指揮で演奏に入ります 冒頭からアクセル全開で、オーケストラの各セクションが良く鳴っています とくにオーボエ首席の荒木奏美、クラリネット首席の吉野亜希菜の演奏が冴えています 若き日のリヒャルト・シュトラウスの勢いを感じさせるアグレッシブな演奏が展開しました

2曲目はショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)が1933年に作曲、同年10月15日にレニングラードで初演された「ピアノとトランペットと弦楽オーケストラのための協奏曲」です 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「レント」、第3楽章「モデラート」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成りますが、全楽章がアタッカで続けて演奏されます

ピアノ独奏のペーター・ヤブロンスキーはスウェーデン出身、アバドとアシュケナージに見出されて以降、国際的に活躍しています トランペット独奏の澤田真人は千葉県出身で、東京音大卒。第16回日本管打楽器コンクール入賞。現在、東響首席トランペットを務めています

管・打楽器奏者が退場し、トランペットの澤田が第一ヴァイオリン後方にスタンバイ、ヤブロンスキーがノットとともに登場し、さっそく第1楽章に入ります

ショスタコーヴィチ特有の諧謔的な音楽がピアノとトランペットを中心に展開します ハ短調といえばベートーヴェン「運命交響曲」の調性ですが、「それがどうした?」と言わんばかりの、人をおちょくった音楽です 第2楽章と第3楽章ではピアノによる美しい旋律が聴かれますが、第4楽章に入ると再び諧謔的な音楽が展開し、「まあ、そう固いこと言わないで」と言わんばかりにあっけらかんとフィナーレに突入します スピード感に溢れた賑やかで鮮やかなフィナーレでした

満場の拍手にヤブロンスキーは、ショパン「マズルカ 第47番 作品68-2 ”遺作”」をアンコールに演奏、大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」です この曲はウィリアム・ウォルトン(1902ー1983)が1929年から1931年にかけて作曲、1931年10月8日にイングランドのリーズ音楽祭で初演されました 2020年4月に中止となった「第679回 定期演奏会」のためにオヤマダアツシ氏(故人)が執筆したプログラム・ノートによると、この曲は「当時29歳だったウォルトンの名前と評価を一気に高めた    ユダヤ人を強制的にバビロニアへ連行したバビロン捕囚、旧約聖書の『ダニエル書』で伝えられるバビロニア王ベルシャザールが謳歌した享楽的な繁栄、さらには神の裁きによって崩壊するバビロンの街と解放されたユダヤ人の歓喜を描いた」ものです

2階P席に100人を超える東響コーラスの男女メンバーが入場し、1人おきにスタンバイします その後方のパイプオルガン下には、管楽器のバンダ(別働隊)が左右に各7人ずつスタンバイします イギリス出身のバリトン、ジェームズ・アトキンソンがノットの左サイドに控えます

ノットの指揮で演奏が開始されます 私はこの曲を聴くのは初めてですが、スケールの大きな作品で、バンダを含めた管弦楽と男女混声コーラスによる力強い演奏はスペクタルです ノットのエネルギッシュな指揮のもと、オケが唸りコーラスが絶唱します それに加え、アトキンソンの説得力のある歌唱が素晴らしい

東響コーラスはコロナ禍によりしばらく活動を休止していましたが、定期演奏会としては 今回ほぼ2年ぶりに出演しました 歌えないことがどれほど辛かったか、私には知る由もありませんが、メンバーそれぞれが質の高いコーラスを維持するため普段から努力をされて本公演を迎えたのだと思います 全員が暗譜で最後まで歌い切ることは並大抵のことではありません それを見事にやり遂げました 東響コーラスの皆さんに敬意を表し、あらためて大きな拍手を送ります

 

     

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ファビオ・ルイージ ✕ アレクサンドル・メル二コフ ✕ NHK交響楽団でモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」、ベートーヴェン「交響曲第8番」他を聴く ~ N響池袋Cプロ2日目公演

2022年05月22日 07時17分42秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で2688日目を迎え、ロシアでは志願兵の年齢をロシア人で18~40歳、外国人で18~30歳と認めているが、長引くウクライナ侵攻で兵士の死傷や従軍拒否が増え、兵員不足が深刻化していることを背景に、ロシア下院は20日、志願兵の年齢上限を撤廃する法案が提出されたと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     要するに 41歳以上の中高年にも 戦死の選択肢を与えて 戦争を長引かせるわけか

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールでN響池袋Cプログラム2日目公演を聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、②同「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.488」、③ベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」です 演奏は②のピアノ独奏=アレクサンドル・メル二コフ、指揮=N響次期首席指揮者ファビオ・ルイージです

開演45分前の午後1時15分から、Cプロだけの室内楽の演奏がありました モーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」から第1楽章がクラリネット=伊藤圭、ヴァイオリン=白井篤、田中晶子、ヴィオラ=谷口真弓、チェロ=西山健一の5人によって演奏されました やっぱり、N響は一人ひとりの演奏者が巧い その上でアンサンブルが美しい 室内楽を聴くと、そのオーケストラのレヴェルが判ってしまうので、ある意味では怖いと思います その点、この日の演奏はとても素晴らしかったです

なお、演奏前に指揮者ファビオ・ルイージについて各人が語りましたが、5人の話をまとめると、「ファビオ・ルイージはとてもおしゃれ。蝶ネクタイの色が公演ごとに変わる。白いシャツには彼のイニシャルが入っている。香水を付けているが、彼は聴香師であり、自身の開発した香水=FLブランドを立ち上げ、販売している」という人です どうやら指揮者としてだけでなく、香水の開発・販売能力も高いようです

 

     

 

Cプロは休憩なしのコンパクトな公演ということもあってか人気があり、この日も満席に近い客入り状況でした

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスはマロこと篠崎史紀です

1曲目はモーツアルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲です この歌劇はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1787年に作曲、同年10月29日にプラハのエステート劇場でモーツアルト自身の指揮で初演されました 冒頭の「序曲」については、「モーツアルトはお酒を飲んでコンスタンツェと冗談を交わしながら、この序曲を一晩で書き上げた」という信じ難いエピソードが伝わっていますが、天才モーツアルトのことなので、音楽はすでに頭の中にあって、それを一晩で音符として書き写しただけなのかもしれません

白の蝶ネクタイのファビオ・ルイージが指揮台に上り、演奏に入ります 彼はタクトを持たず、両手で指示を出します。オペラ指揮者の本領発揮といった指揮ぶりで、ドラマティックでデモーニッシュな演奏を展開しました

2曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466」です この曲は1785年にウィーンで作曲されましたが、短調で書かれた最初のピアノ協奏曲です この頃に作曲されたピアノ協奏曲は、モーツアルトが主催する予約演奏会で自演するために作曲されました 1784年から1786年にかけての3年間で第14番から第25番までの12曲のピアノ協奏曲が作曲されています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のアレクサンドル・メル二コフは1973年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院卒。1989年のシューマン国際コンクール、1991年のエリザベート王妃国際音楽コンクールなどに入賞しています

全体を通して聴いた印象は、メル二コフは即興演奏を交えながらかなり自由に弾いていたように思いました ドラマティックというよりはごく自然の感情表現の発露といった印象を受けました 高音部がとても綺麗でした ルイージ ✕ N響がソリストにピタリとつけました

メル二コフはアンコールにプロコフィエフのようなショスタコーヴィチのような軽妙な曲を軽快に演奏しましたが、あれは誰の何という曲だろうか

 

     

 

最後の曲はベートーヴェン「交響曲 第8番 ヘ長調 作品93」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年4月20日にウィーンのルードルフ大公邸で私的に初演された後、1814年2月27日にウィーンのレドゥーテンザールで公開初演されました

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この曲の特徴は 小規模で 全9曲の中で唯一「メヌエット」楽章を持っているところです     この特徴は、ある意味 古典への回帰とも受け取れます

ルイージの指揮で第1楽章が開始されます ルイージは冒頭の集中力に満ちた速いテンポの演奏で一瞬にして聴衆の心を鷲掴みします 集中力に満ちた冒頭の演奏ということでは、曲想はかなり異なりますが、10年以上前にルイージの指揮で聴いたワーグナー「ワルキューレ」冒頭の嵐の渦巻く妥協を許さない厳しい音楽表現を今でも忘れることができません

第2楽章は一転、軽妙洒脱な演奏が展開します 第3楽章はトリオでの福川伸陽(急きょ代役のN響OB)のホルンと伊藤圭のクラリネットが素晴らしい 第4楽章では、ルイージは情熱的な指揮により快速テンポで飛ばします 彼の指揮ぶりを見ていると、何を求めているかがよく分かります 強調したい音があるとそのセクションの方を向いたり、手で示したりして、明確に指示を伝えます そして、リズムを強調する場面と歌わせる場面とでメリハリをつけて表現します

ルイジの指揮で「第8番」を聴くと、同時期に作曲され 当時から現代に至るまで人気のある「第7番」に決して劣らない傑作であることがよく分かります

この日の3曲を聴いて感じるのは、ファビオ・ルイージの指揮は情熱的ではあるが、過度に至らず、常にノーブル(気品がある)だということです N響は9月から最良の人財を首席指揮者に迎えることになります

 

     

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