人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

百田尚樹著「フォルトゥナの瞳」を読む ~ 人の運命を視ることが出来る能力を持った男の物語

2021年03月31日 07時21分33秒 | 日記

31日(水)。昨日は 2月2日に死去した義母の納骨式に参列するため麻布山Z寺(浄土真宗本願寺派)に行ってきました 納骨式といっても身内だけのものなので参列者は5人だけです。福沢諭吉翁の墓があるというので参拝してきました 最初に礼拝所で僧侶にお経をあげてもらったのですが、僧侶というのが若い女性で、長い髪を後ろで束ねているのです おもむろに浄土真宗流のお経が始まりましたが、とても声が美しくてよく通り、まるでソプラノ歌手の歌を聴いているようでした 長い間人生をやっていますがこういうのは初めてです 次いで、納骨のため移動したのですが、義母の墓は屋外ではなく屋内の畳敷きのスペースにあり、「〇〇家」という納骨壇が横並びに連なっています 義母の骨壺を壇の中に収め、壇の前で改めてお焼香をしました。こういうスタイルも初めてです 5つぐらい隣の壇に「岩城家」とありましたが、側聞によると、指揮者の岩城宏之氏の墓(壇)とのことでした 納骨式の後は品川の義父の家で食事を取り、息子と東京駅まで行き、息子は上越新幹線で新潟経由・鶴岡方面へ、私は巣鴨に戻りました 息子は翌日(今日)から仕事です 私はいささか疲れたので、夕食作りはお休みしました

ということで、わが家に来てから今日で2272日目を迎え、カジノを含む統合型リゾート事業への進出を目指す中国企業側から収賄を受け取ったとして、収賄罪に問われた衆院議員の秋元司被告の初公判が29日、東京地裁であり、秋元議員は証人買収罪も含め、「起訴されたすべての事件で無罪だ」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     贈賄側の8人が罪を認めているのに 一人で反論している  議員報酬いつまでもらう

 

         

 

百田尚樹著「フォルトゥナの瞳」(新潮文庫)を読み終わりました この本は、当ブログの読者ママハハさんから「ダブって買ってしまったので」として頂いたものです

著者の百田尚樹は1956年大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年「永遠の0」で作家デビュー 「海賊を呼ばれた男」で第10回本屋大賞を受賞しています

 

     

 

幼少時に家族を火事で失い孤独の身となった本山慎一郎は、友人も恋人もなく、自動車塗装工として黙々と働くだけの毎日を送っていた ある日、電車に乗っている時、人の手が透けて見えることに気づき、その後も同じようなことが起こるようになる その後、身体の一部が透けて見える人たちの共通点は 近いうちに死ぬ運命にあるということが分かる     慎一郎は「他人の死の運命を視ることができる能力」を手に入れたのだった そこから彼の生活が一変する 自分と同じ能力を持つ医師・黒川との出会いによって、彼は自分の力で死ぬべき運命の人が救われることを自覚すると同時に そのたびに自分の命が縮まることを理解する その後、携帯電話ショップで知り合った女性・桐生葵と愛し合うようになった慎一郎は、以前よりも増して「死が迫っている人を救いたい」と思うようになる ある日、身体の一部が透けて見える多くの人たちが同じ時間に同じ電車に乗ることが分かった慎一郎は、その電車を止めれば大事故から多くの人の命を救うことが出来ると確信し、自ら線路に横たわる 彼の行為は周囲からは異常な行動と思われたが、結果的に多くの命が救われることになった しかし、そのために彼は大きな犠牲を払うことになった ただ一人、その真相を知る者がいた

「フォルトゥナ」というのは、文中の登場人物の解説によると、「ローマ神話に出てくる球に乗った運命の女神で、人間の運命が見える」というものです

読んでいて面白いと思ったのは、慎一郎と同じ能力を持つ医師・黒川が語る「カオス理論」です 「北京で羽ばたいた蝶々がニューヨークで嵐を起こす」というもので、一見、何の関係もないように思われる行動が、とんでもないところに影響を及ぼしているという理論です 黒川は自身の経験から、「特殊な能力を使ってAを助けたことによって、AがBを殺したとすれば、Aを助けない方が良かったことになる Aを助けなければBは死なずにすんでいた。したがって、人の運命は勝手に変えてはならない」と主張します。この理論は「人の運命はあらかじめ決まっている」という理論に結び付いています

この作品も、他の作家と同じように、最後に「どんでん返し」的な仕掛けが施されていますが、実をいうと、211ページあたりで「ひょっとしたら、この物語は最終的にはこうなるんじゃないか」と、結末が予想できました そういう意味では、同じ「どんでん返し」でも、まったく予想が出来ない中山七里とはちょっと違うかな、と思いました

とは言え、「人の運命はどこまで決まっているのか」ということを考えさせられる意味では読み応えのある作品でした

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クロエ・ジャオ監督「ノマドランド」を観る 〜 キャンピングカーで移動生活を送る現代のノマド(遊牧民)を描く / 「はまる ブルックナー」 ~ 朝日の記事から

2021年03月30日 07時23分58秒 | 日記

30日(火)。昨日の朝日朝刊「文化の扉」のページは「はまる  ブルックナー」と題してアントン・ブルックナー(1824‐1896)の魅力に迫っていました 超訳すると、

「音楽評論家の許光俊氏は『最短距離で効率よく目的に到達するという現代的な思想や態度の対極にある』と話す 指揮者で音楽学者の金子健志氏は、『当時の著名な作曲家たちは文学に通じ、文章を分かり易くする論理や方法論を作曲に採り入れたが、ブルックナーは聖書以外ほとんど本を読まなかった 作品もベートーヴェンの交響曲のような起承転結はなく、音楽はファンファーレや総休止で分断される。ストーリー性が欠如した音楽といってもいい』と語る それでは物語に代わる魅力はなにか? 音楽評論家の故・宇野功芳氏は『逍遥』にたとえ、『大宇宙の秩序と神の摂理こそが作品の本質だ』という ブルックナーが17歳で最初に就いた仕事は、田舎の小学校の補助教員だった。オーストリアのリンツ大聖堂のオルガニストを経て、43歳でウィーン国立音楽院教授となったが、人付き合いの下手さ、場の空気の読めなさは終生変わらなかった 自分の曲を初演してくれる高名な指揮者に『一杯やって』と、チップを渡すように銀貨を握らせたこともある

ブルックナーらしいエピソードです 記事は、ブルックナーの曲の特徴として、①長い!(1時間〜1時間半)  ②繰り返しが多い!  ③途中でブツブツ切れる  ④叫ぶ金管、音量の洪水  ⑤「音の建築物」と称される  ⑥豊潤な響きに聞き手は陶酔・・・ を挙げています   また彼の音楽への評価について、ブラームスは「あれが交響曲だと? お笑いぐさだ」、指揮者のアーノンクールは「ブルックナーの音楽は、いきなり月から降ってきた石のようだ」と語っているそうです

まだブルックナーを聴いたことのない人は、取りあえず交響曲第4番「ロマンティック」、同第7番あたりから聴いてみてはいかがでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2271日目を迎え、新型コロナウイルスの影響で昨春の入学式を中止とした大学が今春、新2年生向けに「1年遅れの入学式」を行うケースが相次いでいる  というニュースを読んで感想を述べるモコタロです

 

     

     だからと言って 1年遅れで卒業する必要はありません  予定通り卒業してください

 

         

 

昨日も息子が夕食を作ってくれました メインは「真鯛とアサリのアクアパッツァ」で、あとは「ベーコンとブロッコリーとマッシュルームのチーズ和え」「玉子とほうれん草のイタリア風オムレツ」「フランスパンのオイルサーディン&チーズのせ」です 私はとてもこんな手の込んだ料理は作ろうとも思いませんが、息子は根気よく時間をかけて作っていました それだけのことはあって、どれもとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿でクロエ・ジャオ監督による2020年製作アメリカ映画「ノマドランド」(108分)を観ました

この映画はジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、北京生まれで米国在住の女性監督クロエ・ジャオ(38歳)が手掛けた作品で、アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像とともに描いたロードムービーです

2011年。米ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファ―ン(フランシス・マクド―マンド)は、リーマンショックによる炭鉱閉鎖の影響を受けて町が寂れたため、長年住み慣れた家を処分する キャンピングカーに家財道具一式を積み込んだ彼女は”現代のノマド(遊牧民)”として、苛酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることになる 行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねながら、ファ―ンは毎日の厳しい生活を懸命に乗り越え、誇りを持って自由な旅を続けていく

 

     

 

いくつか印象的なシーンがあります ファ―ンはかつて代用教員を務めていたことがあり、スーパーで会ったかつての教え子から「先生はホームレスなの?」と訊かれます ファ―ンは「いいえ、ハウスレスよ。ホームレスとハウスレスとは違うの」と答えます 彼女が言いたかったのは、「住む家はないけれど、家でなくても生活する場はもっている」ということでしょう また、映画の終盤ではキャンピングカーが故障してしまい、自動車整備工場に修理を依頼に行きますが、工場側は「走行距離も長く経年劣化が激しいので、修理をするより車を売って、それを元金にして新しい車を買った方がいい」と提案しますが、ファ―ンは「それだけは絶対にしない。オンボロ車だけど、住みやすいように自分で何カ所も改造を加えて、そこで生活してきたの」と答え、売却を拒否します。これは彼女のノマドとしての矜持でしょう

ファ―ンがお金に困って、姉のところにお金を貸してほしいと頼みに行った時、ファ―ンの生活を心配する姉から「一緒に住まない?」と誘われます また、ノマド仲間のディヴィッドが子どもたちのいる家に帰ることになった時、「一緒に暮らさないか?」と誘われます ファ―ンはそのたびに心が揺れますが、孤独からの不安を感じながらも自由に生きる道を選びます 海岸の岩に打ち寄せては砕ける荒波を乗り越えて、一羽の鳥が大空を滑空していくシーンがありますが、監督は厳しい人生を乗り越えていくファ―ンの姿を鳥に重ねたのかもしれません

舞台は2011年のアメリカですが、ファ―ンが生活費を稼ぐために「アマゾン」の集荷・配送センターで働くシーンは、現在のアメリカの姿でもあるでしょう リーマンショックを乗り越えて業績を伸ばす大企業「アマゾン」と、経済恐慌の犠牲になり 生活費のためにそこで働かざるを得ない賃金労働者との力のギャップを表しているように思います

ファ―ンは多くのノマドと出会いますが、エンドロールを見て分かる通り、登場するのは多くが俳優ではなく本物のノマドです 彼らの顔には、それぞれの長い人生が刻まれています

それにしても・・・と思うのは、アメリカ大陸の広大さです ノマドたちはキャンピングカーで移動し、次のキャンプ場に移動していきますが、行く先々にキャンプ場があるのには驚きます 狭い日本ではアメリカのようなノマド生活は難しいでしょう

この映画はコロナ禍になる前に撮影され、ヴァネチア国際映画祭で最高の金獅子賞を受賞しています 今年の米アカデミー賞の作品賞・監督賞・脚色賞・主演女優賞など6部門で候補に挙がっているそうですが、全部取るのではないでしょうか

コンピューター・グラフィックス満載のド派手な映画はスカッとするので たまには良いですが、いつも見ていると馬鹿になります 本作のような”考えさせられる”映画こそ観たいものです

 

     

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井上道義 ✕ 北村朋幹 ✕ 東京交響楽団でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」、ショスタコーヴィチ「交響曲第6番」を聴く ~ 暴走する井上道義を誰が止められるか?:東響第688回定期演奏会

2021年03月29日 07時08分03秒 | 日記

29日(月)。わが家に来てから今日で2270日目を迎え、中国とイランが経済や安全保障をめぐる長期の戦略協定に署名したが、米国トランプ政権が一貫した戦略を欠き、拙速に中東から撤退したツケが回ってきたとも言える  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一環だけに  米国の撤退は思うツボだったな

 

         

 

30日の義母の納骨式に参列するため、昨日午前、息子が山形から帰省しました さっそく昼食に山形の「赤湯からみそラーメン」を作ってくれました ほど良い辛みが美味しかったです

 

     

 

夕食には「牛肉と野菜のウーシェンヘン」「ナスとキノコの中華煮浸し」「野菜とキノコと玉子のスープ」を作ってくれました お酒は息子の山形土産「出羽桜」です 料理はどれもが美味しく、ほとんどプロ並みの味です 料理は逆立ちしても息子には敵いません にごり酒の出羽桜もマイルドでとても美味しかったです

 

     

     

     

         

 

一昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第688回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58 」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第6番 ロ短調 作品54」です 演奏は①のピアノ独奏=北村朋幹(ネルソン・ゲルナーの代演)、指揮=井上道義です

会場の座席は通常配置です。1階席後方の3列はガラガラです。でも全体を見たら結構入っている方かもしれません

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その奥にコントラバスという対向配置ですが、8型の小規模編成です    コンマスはグレブ・二キティンです

 

     

 

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58 」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1805年から翌06年にかけて作曲、1808年12月にアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェンのピアノ独奏により「交響曲第5番」、「同第6番」他と共に公開初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ソリストの北村朋幹はボン・テレコム・ベートーヴェン国際コンクールで第1位ほか、内外のコンクールで入賞しています

この曲は、独奏ピアノによって開始されるのが革新的な点ですが、北村は指慣らしのようにアドリブで短く弾いてから、ベートーヴェンに入りました 独奏ピアノに次いでオケの演奏が入ってきますが、井上の指揮はフレージングが独特で、波が寄せては返すような感じで音楽が進みます まるで初めて聴く曲のように感じました この楽章におけるカデンツァの演奏は、これまで一度も聴いたことのない曲想で、しっかりと第5交響曲の「ジャジャジャジャーン」の音楽が取り込まれていました 極めて自由な楽想は、ひょっとして北村自身によるカデンツァではないか なかなか聴きごたえがありました 第2楽章はオケと独奏ピアノとの対話です 私には次のように聞こえます

オ ケ:どうしたんだい、深刻な顔しちゃって❓

ピアノ:いや、彼女に告白しようかと思ってさ

オ ケ:それなら、はやいとこ告っちゃえばいいのに

ピアノ:だけど、振られたらどうしよう、なんて考えちゃって、なかなか言い出せないんだよ

オ ケ:煮え切らない男だねぇ。覚悟を決めろよ

ピアノ:わかってはいるんだけど、決心がつかないんだ

オ ケ:もう知らね~ 勝手にすれば

ピアノ:ハァ〜

第3楽章はピアノとオケがリズミカルな主題を奏で、愉悦感に満ちた演奏が展開します 井上 ✕ 東響は躍動感あふれる演奏で北村をサポートします     コロナ禍で来日できなかったネルソン・ゲルナーの代演を見事に果たした北村に大きな拍手が送られました   北村は肘タッチをしようと肘を出したら、井上はハグで応えました コロナ感染症も何のその・・・怖いもの知らずの井上ほど怖いものはない

北村はアンコールにシューマン「子どものためのアルバム」より「春の歌」を演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第6番 ロ短調 作品54」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906‐1975)が1939年に作曲、同年11月5日、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演されました 第1楽章「ラルゴ」、第2楽章「アレグロ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

12型のフルオーケストラ編成に拡大し、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並びに変わります

井上の指揮で第1楽章が開始されます 冒頭から低弦を中心とする重心の低い音楽が展開し、ミステリアスな雰囲気が継続します オーボエの荒木奏美、イングリッシュホルンの最上峰行、フルートの相澤政宏、ピッコロの高野成之、クラリネットの吉野亜希菜、オーボエの福士マリ子といった木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 第2楽章は実質的なスケルツォです この楽章では、時に 井上が指揮台の上でバレエを踊ります 昔取った杵柄といったところでしょう 中盤でホルンがベルアップ奏法を見せました 第3楽章は冒頭から軽快で歯切れの良い音楽が展開します この楽章でも井上は指揮台で踊り、時に暴れます   思わず「第4機動隊は何をしている    誰か井上の暴走を止めろ   騒乱罪で逮捕しろ」と叫びそうになりました     こうなったらもう山本リンダ状態です・・・どうにも止まらない ショスタコーヴィチと伊福部昭の演奏に関しては、誰も井上の暴走を止めることは出来ません     終始エキサイティングで爽快な演奏でした     何度もカーテンコールが繰り返され、オケが退場した後、井上が(迷惑そうな)二キティンと腕を組んでステージに登場し、声のない拍手の声援に応えました 井上道義、なかなかの演歌テナー、もとい、エンターティナーです

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小林研一郎 ✕ 川久保賜紀 ✕ 東京フィルでベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、同「交響曲第7番」を聴く ~ 文京シビック”響きの森クラシック・シリーズ”

2021年03月28日 07時22分38秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから今日で2269日目を迎え、北朝鮮の李朝鮮労働党書記は26日、バイデン米大統領が25日の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射は国連決議に違反すると批判したことについて「国家の自衛権に対する露骨な侵害であり、挑発だ」と反発した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮は国連決議など何とも思っていない  金正恩王朝を守るためなら何でもやる

 

         

 

昨日、午後3時から文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第688回定期演奏会」を聴きました ここでは「響きの森クラシック・シリーズ」公演について書きます

プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、②同「交響曲第7番 イ長調 作品92」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=川久保賜紀、管弦楽=東京フィル、指揮=小林研一郎です

自席は1階25列20番、センターブロック左から4つ目です。会場は市松模様配置ですが、かなり埋まっています

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは依田真宣です

 

     

 

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)がアン・デア・ウィーン劇場のコンサートマスター、フランツ・クレメントのために1806年に作曲、同年12月に同劇場でクレメントの独奏で初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

グリーン系の鮮やかな衣装に身を包まれた川久保賜紀がコバケンと共に登場し、さっそく第1楽章に入ります 曲全体を支配するティンパニの4連打で開始されますが、かなりゆったりしたテンポで演奏が進みます おもむろにヴァイオリン・ソロが入ってきてからもテンポは変わらないまま音楽が進みます 川久保は一音一音を説得するように丁寧に音を紡いでいきますが、若干テンポが遅すぎるきらいがあり、ちょっと引っかかるところが見られました ベートーヴェン自身はこの曲のカデンツァは書きませんでしたが、コンサートではヨアヒムの手によるものが良く演奏されます。この日川久保の演奏したカデンツァはこれまで聴いたことのない曲想だったので、ヨアヒム以外の演奏家の手によるものと思われます これは見事な演奏でした 第2楽章に入ってもゆったりしたテンポは変わらず、川久保はメロディーラインを美しく聴かせることに心を砕いているように思えました 第3楽章に入ってやっと普通のテンポになり、独奏ヴァイオリンとオケとのやり取りが楽しく聴けました この曲は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のように情熱的に盛り上がる性質の曲ではないだけに、聴く人の心に訴えるのが難しい曲だと思います 川久保が初めてこの協奏曲を弾いたのは12年前だそうですが、彼女の演奏を見ていると、オケとの間合いを取りながら慎重に音楽を進めていくのが垣間見られ、まだ”自分のもの”とするまでに至っていないように思えました

川久保はアンコールにバッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」から「サラバンド」を演奏し大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」です この曲は1811年から翌12年にかけて作曲、1813年4月にウィーンのルドルフ大公邸で私的に初演された後、同年12月にウィーン大学講堂で公開初演されました 第1楽章「ポコ・ソステヌート~ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

音楽の3要素が「リズム」「メロディー」「ハーモニー」だとすれば、この曲はリズムを強調した作品です リヒャルト・ワーグナーはこの曲について「舞踏の権化」と呼びましたが、各楽章に登場するリズム・パターンを繰り返し強調することで、独特の推進力を生み出します

コバケンの指揮で第1楽章が開始されますが、冒頭から、ヴァイオリン協奏曲でソリストを立てるために抑え気味だった気持ちを、一気に爆発させるかのような迫力に満ちた演奏が展開します 高橋巨宣 率いる4本のホルンが素晴らしい演奏を展開します 第2楽章は葬送行進曲風の哀愁を帯びた音楽が続きますが、初演時にはアンコール演奏されたと言われています 一度聴いたら忘れられない素晴らしい音楽です 第3楽章は実質的なスケルツォです。中間部での伸びやかなトリオでは、弦楽器と木管楽器との会話が楽しく聴けました 第4楽章はまさにリズムの権化です オケが半狂乱になったかのようにシンコペーション風に音楽が進みます 終盤におけるチェロとコントラバスの重低音が半狂乱に拍車をかけます 力強く爽快な演奏でした

終演後、拍手をしながら時計を見ると17時になろうとしているところでした ほぼ間違いなくコバケンはアンコールをやるだろうし、それを聴いていたらサントリーホールでのコンサートがギリギリになってしまうーと判断し、拍手が続く中、会場を後にしました 地下鉄南北線に乗り、「今頃アンコールにコバケンの十八番『ダニーボーイ』でも演奏しているんだろうな」と思いながらサントリーホールに向かいました サントリーホールでは、6月の「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の「ベートーヴェン・サイクル」(全6回)の引換券を個券6枚と引き換えなければならないので、時間的な余裕が欲しかったという事情もありました

18時からサントリーホールで開催された東京交響楽団 「第688回定期演奏会」(井上道義のショスタコーヴィチ!)の模様については、次のブログであらためてご紹介します

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鈴木秀美 ✕ 崔文洙 ✕ 崔仁洙 ✕ 長谷川彰子 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「Vn、Vc、Pfのための三重協奏曲」、同「交響曲第5番”運命”」を聴く

2021年03月27日 07時20分08秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから今日で2268日目を迎え、バイデン米大統領は25日、就任後初めて開いた記者会見で、2024年米大統領選に出馬するかどうかを問われ、「私のプランは再出馬すること。それが私の見通しだ」と述べ、意欲を見せた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプでない誰か で当選したから 相当の実績を残さないと 再選は難しいと思う

 

         

 

昨日、夕食に「肉野菜炒め」と「もやしの中華スープ」を作りました 炒め物の材料は、豚こま肉、キャベツ、ピーマン、人参、玉ねぎ、シイタケ、キクラゲです ちょっと炒め過ぎたきらいがありますが、まあまあ美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日午後2時から すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第38回 ルビー定期演奏会」を聴きました いつものように、午前11時から小室敬幸氏による「60分ワンコイン講座(今回のテーマは「古楽とは何か? 〜 ピリオド奏法は何を変えたのか?」)を聴講した後、進行役のパトロネージュ部・西春菜さんの「今日はお天気も良いので、墨田のお花見などいかがでしょうか」という言葉に誘われて、錦糸町駅近くの錦糸公園に桜を見に行きました 東京スカイツリーを背景に 今まさに満開で、小さな子ども連れの家族を多く見かけました。学校は春休みですね

 

     

 

さて本番です。プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」、②同「交響曲第5番 ハ短調 作品67 ”運命” 」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=崔文洙、チェロ独奏=長谷川彰子、ピアノ独奏=崔仁洙、指揮=鈴木秀美です

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります 対向配置の場合、チェロとヴィオラが逆になるケースが多いのですが、古楽器のオーソリティ鈴木秀美氏のこだわりがあるのでしょう コンマスは西江王子。オーボエにはN響首席の吉村結実が客演しています

 

     

 

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲 ハ長調 作品56」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1803年から翌04年にかけて作曲、同年5月に私的に初演され、1808年にウィーンで公開初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ~アタッカ」、第3楽章「ロンド・アラ・ポラッカ」の3楽章から成ります

指揮者の鈴木秀美は古楽器演奏集団として有名な「18世紀オーケストラ」や「ラ・プティット・バンド」でチェリストとして活躍したのをはじめ、2001年には古典派を専門に演奏する「オーケストラ・リベラ・クラシカ」を創設し、指揮者としても活躍しています 崔文洙は言うまでもなく新日本フィルのソロ・コンサートマスターです ピアノの崔仁洙は文洙の兄で、現在ハンガリー国立セーチェニ大学芸術学部ピアノ演奏科教授としてソロや室内楽を中心に活躍しています 長谷川彰子は九州交響楽団首席チェロ奏者を経て、2019年から新日本フィルの首席チェロ奏者を務めています

鈴木氏の指揮で第1楽章の演奏に入ります ソリストの3人は渾身の演奏でそれぞれが素晴らしく、「ヴァイオリン協奏曲」や5つの「ピアノ協奏曲」の陰に隠れて軽く見られがちな本作品を、本来は「英雄交響曲」のようなスケールの大きな作品であることを示すかのように堂々たる演奏を展開します また、第2楽章では長谷川のチェロと崔のヴァイオリンが美しく、緩徐楽章におけるベートーヴェンの魅力を前面に押し出します そして第3楽章ではヴァイオリン、チェロ、ピアノの相互の対話により、再びスケールの大きな演奏が展開します バックを務めた鈴木秀美 ✕ 新日本フィルはメリハリの効いた素晴らしい演奏でソリストをサポートしました

大きな拍手に応え、ソリスト3人はアンコールにベートーヴェン「ピアノ三重奏曲」を演奏しましたが、何番か不明だったので、後でパトロネージュ部の登原さんに確認することにしました

休憩時間に登原さんに訊ねたところ「ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調 作品11 ”街の歌” 」であることが分かりました また、プログラム冊子の「楽団よりのお知らせ」に首席ヴィオラ奏者の篠原友美さんが3月末で退団するという告知が載っていたので「とても残念ですね」と言うと、登原さんは「本当に残念です。これからはソロとして客演すると思います 退団ということでは、オーボエ首席奏者の金子亜未さんが、せっかく慣れてきたと思ったところで、退団して読響に移ってしまった(2019年)のはとても残念でした」と話されていました。また、この日 オーボエにN響の吉村さんが客演していたことに関連して、現在 新日本フィルにオーボエ首席が不在(古部賢一氏は客員首席)なので「新日本フィルは、金子さんの後任の首席を早く手当てしないといけないですね」と言うと、「そうなんです。現在、オーディションを実施中なので、良い人材が入団してくれると嬉しいです」と語っていました オーボエはオーケストラの要です。私も優秀な人財が採用されるように祈っています

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第5番 ハ短調 作品67 ”運命” 」です この曲は1807年から翌08年にかけて作曲、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で「交響曲第6番”田園”」、「ピアノ協奏曲第4番」などと共に初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

冒頭の「ジャジャジャジャーン」について、小室敬幸氏はプログラムノートに「『運命』と呼ばれる由来となった元秘書のアントン・シントラ―の遺した証言は信憑性が疑われており、最近では ベートーヴェンの弟子で ピアノの練習曲で知られるカール・チェルニーの証言が注目されるようになった 彼によれば、スズメ目ホオジロ科のキアオジという鳥の『ピピピピピピピー』という鳴き声を聴いて、あの『ジャジャジャジャーン』を思い付いたとベートーヴェンが話していたというのだ(YouTubeで英名の”Yellowhammer”で検索すると鳴き声を聴くことが出来るのだが、最後の『ピー』で音程が下がる点が『ジャーン』の部分と共通していることが聴きとれるだろう)。しかも、それを高音のまま使うのではなく、威圧感のある中低音へと変換してしまったのが、ベートーヴェンの天才的な発想だったといえる」と書いています

YouTubeで  Yellowhammer で検索してみましたが、黄色い可愛い鳥で、たしかに最後のピーの音程が下がっていました

鈴木氏の指揮で第1楽章に入ります 極めて速いテンポによる演奏で、「目の前に差し迫った危機」のような緊迫感に満ちています   テンポが落ちた箇所での吉村結実のオーボエが素晴らしい 第2楽章の緩徐楽章を経て、第3楽章に入ると再び緊迫感に満ちた演奏が展開し、切れ目なく第4楽章に移行し”勝利の音楽”が高らかに奏でられます 鈴木 ✕ 新日本フィルは力強く推進力に満ちた演奏を展開します ホルンの音が柔らかく、どうやら日高剛氏(客演)と藤田麻理絵さん(バッハ・コレギウム・ジャパンでも活躍中)はナチュラルホルンを使用していたようです また、ティンパニの音が独特で、こちらもバロックティンパニを使用していたようです 実に爽快な演奏でした

大きな拍手に応え、鈴木 ✕ 新日本フィルはアンコールにハイドンの交響曲のような明朗な管弦楽曲を演奏しました 帰りがけに登原さんに訊ねたらベートーヴェン「12のメヌエット Wo0 7」から第11番とのことでした 作品の詳細は分かりませんが、どうやらベートーヴェンが20代の時に作曲したようなので、ハイドンの影響もあると思います

 

     

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東京春祭「川口成彦 〜 協奏曲の夕べ」&「都響メンバーによる室内楽」のチケットを取る / 「メイキング・オブ・モータウン」&「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」を観る 〜 ギンレイホール

2021年03月26日 07時20分26秒 | 日記

26日(金)。わが家に来てから今日で2267日目を迎え、日本政府は25日、北朝鮮が午前7時4分と同23分ごろ、北朝鮮の東岸から弾道ミサイルを1発ずつ東方向に発射したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     他国から盗んだビットコインなどが資金源になっていると考えると 頭にくるよね!

 

         

 

昨夕、久しぶりに私の定番料理「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました 何回食べても飽きません お酒は当然ワインです

 

     

 

         

 

上野で開催中の「東京・春・音楽祭」のチケットを2枚取りました

1枚目は4月12日(月)19時から東京文化会館小ホールで開催の「川口成彦(フォルテピアノ)~ 協奏曲の夕べ」です プログラムは①モーツァルト「J.C.バッハのソナタによる協奏曲 第2番 ト長調 K.107-2 」、②同「ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 K.414」、③C.P.Eバッハ「幻想曲 ヘ長調 作品59-5」、④ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19 」です 演奏は、ピアノフォルテ=川口成彦、ヴァイオリン=丸山韶、廣海史帆、ヴィオラ=佐々木梨花、チェロ=島根朋史、ヴィオローネ=諸岡典経です

2枚目は4月13日(火)19時から同じ会場で開催の「都響メンバーによる室内楽」です プログラムは①ドヴォルザーク「2つのワルツ 作品54」、②弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 作品77」、③リヒャルト・シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」前奏、④同「メタモルフォーゼン」(R.レオポルド編/弦楽七重奏版)です 演奏は、ヴァイオリン=山本友重、及川博史、ヴィオラ=鈴木学、石田沙樹、チェロ=清水詩織、森山涼介、コントラバス=池松宏です

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールで「メイキング・オブ・モータウン」と「ネクスト・ドリーム  ふたりで叶える夢」の2本立てを観ました

「メイキング・オブ・モータウン」はベンジャミン・ターナー&ゲイブ・ターナー監督による2019年製作アメリカ・イギリス合作映画(112分)です

この映画はベリー・ゴーディにより1959年に創設された音楽レーベル「モータウン」が2019年に60周年を迎えたのを機に製作されたドキュメンタリーです

「モータウン・レーベル」は、スティービー・ワンダー、マービン・ゲイ、ジャクソン5などを輩出し、ソウルやリズム&ブルースの数多くのヒットを連発してきました この映画では、創設者ベリー・ゴーディが初めて密着を許可した取材映像をはじめ、ゴーディの親友でもあるスモーキー・ロビンソンをはじめ同レーベルの関係者や所属アーティストの回想や証言などを交えながら、60年間の貴重な映像を紹介することにより、同レーベルの魅力に迫っています

 

     

 

「モータウン」は所属アーティストの活躍によって次第に規模が大きくなっていきますが、創設者ベリー・ゴーディは徹底的な平等主義に徹しています 男女差別や白人・黒人による差別を一切せず、実力のある者を採用・登用し、家族のような組織を築き上げていきます それが大きな成功につながっていることがよく理解できます

また、網膜症でほとんど目が見えないスティービー・ワンダーや、兄弟で結成した「ジャクソン5」のリードボーカルでデビューし、その後 独立したマイケル・ジャクソンが、ともに少年の頃から天才と言われたことが映像を通してよく分かります

あまり期待しないで観たのですが、思ったよりも面白い映画でした

 

         

 

「ネクスト・ドリーム  ふたりで叶える夢」はニーシャ・ガナトラ監督による2020年製作アメリカ・イギリス合作映画(114分)です

マギー(ダコタ・ジョンソン)はハリウッド音楽業界のトップ歌手グレース(トレイシー・エリス・ロス)の下でアシスタントとして働いている マギーは憧れの環境で働くことに喜びを感じながらも、音楽プロデューサーになる夢を諦めきれずにいた 一方、歌姫として君臨しているグレースも、若い頃のようなヒットを出せず、マネージャーのジャックからは「これからはラスベガスのショーを中心に活動した方が良い」と言われてしまう しかし彼女は現状の評価を失うリスクを背負ってでも新曲アルバムの製作に乗り出すという思いを捨て切れずにいた マギーはある日、歌手の才能を秘めた男性・デヴィッド(ケルヴィン・ハリソンJr)に出会う グレースは自分はプロデューサーだと身分を偽り、デヴィッドを歌手として売り出すべく大きな賭けに出るが、そのことがグレースとマギーの人生を大きく左右することになる

 

     

 

グレースを演じたトレイシー・エリス・ロスは、あのダイアナ・ロスの娘さんとのこと どうりで歌が滅茶苦茶上手いと思いました また、デヴィッド役のケルヴィン・ハリソンJrも負けずに上手い

マギーは3年間も安月給に甘んじて有名な歌手のアシスタントを務めていますが、実質的には四六時中こき使われる付き人(雑用係)です それでも頑張っているのは歌が大好きで、グレースを崇拝しているからです 若い女性に限らず、人が本当にやりたいことを目指して一心不乱に頑張る姿は清々しいものです

それにしても、最後のどんでん返しにはビックリしました まったく読めませんでした

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ピエール・ルメートル著「監禁面接」を読む / 中山七里「静おばあちゃんと要介護探偵」、ジェフリー・ディーヴァ―「オクトーバー・リスト」、森達也「FAKEな日本」他を買う

2021年03月25日 07時19分13秒 | 日記

25日(木)。わが家に来てから今日で2266日目を迎え、東電の柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策として設けた監視装置の故障を長らく放置していたことに対し、原子力規制委員会は24日、東京電力ホールディングスに対して、原子炉等規制法に基づき、再稼働に必要な核燃料の移動や装填を禁じる行政処分の是正措置命令を出す方針を決めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     もし原発でテロがあったら日本は終わりだという危機意識がない  恐るべき事態だ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「チンゲン菜の中華スープ」を作りました お酒はやっぱりワインですね

 

     

 

         

 

ピエール・ルメートル著「監禁面接」(文春文庫)を読み終わりました 著者のピエール・ルメートルは1951年 パリ生まれ。2006年に、カミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作の第1作「悲しみのイレーヌ」でデビュー 同第2作「その女アレックス」でイギリス推理作家協会賞を受賞 「天国でまた会おう」でフランスを代表する文学賞ゴング―ル賞を受賞、映画化もされました その後、カミーユ警部シリーズ完結編「傷だらけのカミーユ」で再度 イギリス推理作家協会賞を受賞しています

 

     

 

主人公のアラン・デランブルは失業4年目の57歳。妻ニコルとマチルドとリュシーという成人した2人の娘がいる アランは再就職もできず医薬品物流会社のアルバイトで糊口をしのぎながら就職活動を続けていたが、一流企業の採用最終試験に残ったという朗報が届く その試験とは、BLCコンサルティング社が企画したもので、就職先企業であるエクシャル・ヨーロッパ社の重役会議を武装集団(偽物)に襲撃させて、重役たちの反応を見て的確な人物評価を導くという奇想天外な内容だった アランは悩みながらも、借金までして面接に有利になる情報を集めるなど涙ぐましい準備を重ね、偽物の武装集団を操って芝居を遂行すべく試験に臨もうとする しかし、実は最終試験は形式的なもので採用者はアランではなく、最初から別の人物に決まっていたことが判明する 復讐心に燃えるアランは一大決心をして大きな賭けに出る 果たしてアランの運命は如何に

本書は、アランが語る「そのまえ」で始まり、試験の企画・進行を担う警備保障会社のフォンタナ社長が語る「そのとき」に受け継がれ、再びアランが語る「そのあと」で締める三部構成になっています これまでのルメートルの作品以上に、ストーリーが次から次へと二転三転して、まったく先が読めない展開が待ち受けています 読みながら「愛する家族がいるのに、なんでそこまでやる必要があるのか」と、アランを止めたくなったことが何度もありました ハラハラドキドキの連続でした

本文だけで480ページの大作ですが、面白いので時間が経つもの忘れて夢中で読みました。一気読みをお勧めします

 

        

 

そろそろ手元の本がなくなるので、新たに5冊買いました 1冊目は中山七里著「静おばあちゃんと要介護探偵」(文春文庫)です 中山七里の作品に”はずれ”はありません

 

     

 

2冊目はジェフリー・ディーヴァ―著「オクトーバー・リスト」(文春文庫)です 「第36章から始まり、第35章、第34章・・・と第1章に向けてカウントダウンしていく」小説らしいですが、いったいどんなストーリーか気になります

 

     

 

3冊目は森達也著「FAKEな日本」(角川文庫)です ご存知、ドキュメンタリー映画の監督でお馴染みの筆者による作品です 2019年の「 i  新聞記者ドキュメント」は大きな話題になりました

 

     

 

4冊目は歌野唱午著「名探偵、初心者ですが 舞田ひとみの推理ノート」(角川文庫)です 「葉桜の季節に君を想うということ」(2003年刊)を読んで以来、気になる作家です

 

     

 

5冊目は橋本治著「草薙の剣」(新潮文庫)です 彼の本をまともに読むのはこれが初めてかもしれません

 

     

 

いずれも、読み終わり次第、当ブログでご紹介していきます

 

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METライブビューイングでレハール「メリーウィドウ」を観る 〜 ミュージカル仕立てのオペレッタを堪能 / フェスタサマーミューザ2021プログラム発表(7/22 ~ 8/9)

2021年03月24日 07時20分04秒 | 日記

24日(水)。わが家に来てから今日で2265日目を迎え、2019年7月の参院選広島選挙区をめぐり、公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相で衆院議員・河井克彦被告が23日午前、東京地裁の法廷で、100人に計約2900万円を配ったとされる起訴内容のうち、地元議員や首長、後援会関係者など大半への買収を一転して認め、衆院議員を辞職することを表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     地元広島を混乱に陥れた責任は大きい  これまで受け取った歳費は返還すべきだ!  

 

         

 

昨日、夕食に「スペアリブ」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました スペアリブは和風出汁、砂糖、蜂蜜、醤油、味醂、酢、酒で味付けして、1時間煮込みました

 

     

 

         

 

フェスタサマーミューザ2021のプログラムが発表されました ホームページによると主な公演プログラムは次の通りです

7月22日(木・祝) 東響オープニング・コンサート:ラヴェル「ピアノ協奏曲」他。ジョナサン・ノット指揮、萩原麻未(ピアノ)。

7月25日(日)   オーケストラ・アンサンブル金沢:シューマン「交響曲第2番」他。指揮&ヴァイオリン=ロヴェルト・ゴンザレス=モンハス。

7月26日(月)   東京都交響楽団:ドヴォルザーク「交響曲第9番」他。カーチェン・ウォン指揮。

7月27日(火)   読売日響:ラフマニノフ「交響曲第2番」他。山田和樹指揮。

7月28日(水)   N響メンバーによる室内合奏団:マーラー「交響曲第4番」他。篠崎史紀指揮&ヴァイオリン。

7月31日(土)   東京シティ・フィル:スメタナ「わが祖国」全曲。高関健指揮。

8月 3日(火)   神奈川フィル:ドヴォルザーク「交響曲第8番」他。鈴木秀美指揮。

8月 4日(水)   京都市交響楽団:ベートーヴェン「交響曲第3番」他。広上淳一指揮。

8月 5日(木)   東京ニューシティ管弦楽団:マーラー「交響曲第5番」他。飯森範親指揮。

8月 6日(金)   東京フィル:レスピーギ「ローマの松」他。アンドレア・バッティスト―二指揮。

8月 7日(土)   日本フィル:ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」全曲他。下野竜也指揮。

8月 9日(月・祝) 東響フィナーレ・コンサート。吉松隆「交響曲第2番」他。原田慶太楼指揮。

上記の通り、関東圏以外からは「オーケストラ・アンサンブル金沢」と「京都市交響楽団」が参加します 一方、昨年参加した新日本フィルの名前がないのはどうしたことか

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイングのアンコール上映、レハール「メリーウィドウ」を観ました これは2015年1月17日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペレッタのライブ録画映像です キャストはハンナ=ルネ・フレミング、ヴァランシエンヌ=ケリー・オハラ、ダニロ=ネイサン・ガン、ツェータ男爵=トーマス・アレン、カミーユ=アレック・シュレイダー。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=アンドリュー・デイヴィス、演出=スーザン・ストローマンです

 

     

 

このオペレッタはフランツ・レハール(1870‐1948)が1905年に作曲、同年12月30日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました

ポンテヴェドロ(架空の国)国王の誕生記念パーティーが、パリの公史公邸で行われている 主催者のツェータ男爵は、未亡人となったハンナがパリの男になびき、莫大な遺産がポンテヴェドロからフランスに流出するのを恐れ、書記官のダニロ(昔ハンナと恋仲だった)に「国を守るためハンナと結婚せよ」と指令する 一方、男爵の妻ヴァランシエンヌは、パリの伊達男カミーユから熱烈な求愛を受けているが、夫はそれに気が付かない 主役のハンナが登場すると、男たちは夢中になってダンスを申し込むが、財産目当てと知るハンナは不機嫌になる(以上、第1幕)

ハンナはパリの別邸でパーティーを開く。前夜の参列者たちをもてなし「ヴィリアの歌」で恋の魔法について歌う ヴァランシエンヌはカミーユの誘惑に負け、庭の小屋の中で忍び合うが、その様子をのぞき見してしまったツェータ男爵は腰を抜かす 機転をきかせたハンナはヴァランシエンヌとうまく入れ替わり危機を救うが、成り行き上、自分とカミーユは婚約するのだと公言してしまい、ダニロは大いに動揺する(以上、第2幕)

ダニロはハンナの結婚を阻止しようとするので、ハンナはダニロが自分を愛していることを知る それでもダニロは財産目当てと思われたくないのでハンナに求婚しない そこでハンナは「再婚すれば彼女は全財産を失う」という亡き夫の遺言を読み上げる するとダニロは即座に求婚する。ハンナはそれを受け、「彼女の失った全財産は、再婚相手に与える」と遺言の続きを読み上げる(以上、第3幕)

 

     

 

この公演の大きな特徴は、ブロードウェイで活躍し トニー賞を何度も受賞したスーザン・ストローマンが振付・演出を担っていることと、2015年に渡辺健とブロードウェイの「王様と私」で共演したケリー・オハラが本格的なオペラ・デビューを図っていることです

振付・演出面でいうと、歌手陣を含めてダンス・シーンが素晴らしい とくに第3幕のキャバレー・マキシムの場面で、ヴァランシエンヌと合唱が披露する「グリセットの歌」と、続くカンカン踊りはエキサイティングで、このオペレッタの最大のハイライトです ミュージカル歌手のケリー・オハラもプロのダンサーと一緒に踊りますが、オペラ歌手はあそこまでは出来ないでしょう  彼女の歌はまさにミュージカル歌手の歌い方です 私が本作のライブビューイングを観るのは今回で3度目ですが、最初に観た時は「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュースみたいな声と歌い方だなと思いました

この当時、MET最高のプリマドンナと言われたルネ・フレミングは第2幕冒頭の「ヴィリアの歌」をはじめ、シルキーヴォイスで聴衆を魅了します ダニロを歌ったネイサン・ガンは甘い声の魅力的なバリトンで、キャバレー・マクシム常連の色男という役柄がピッタリです

ツェータ男爵を歌ったトーマス・アレンは大ベテランのバリトンですが、レパートリーが広く、今回のような喜劇でも実力を発揮していました

第3幕でオーケストラの演奏によって「メリーウィドウのワルツ」が流れてきた時、感動で背筋が寒くなりました 「メリーウィドウ」は初演の成功により、500回以上も連続上演されたそうですが、テレビも映画もない時代の娯楽として大ヒットしたことは、よ~く理解できます

終始楽しい約3時間のライブ映像でした ご一緒したkiriokaさんの感想は「METライブビューイングは臨場感たっぷりで、現地に行かなくても十分だと思えますね それでも生で聴いて観たいですね」とのことでした また、「カーテンコールは普通のオペラ公演なら ありきたりのやり方になるのでしょうが、この公演は最後のカーテンコールまで演出が凝っていて、ミュージカル仕立てのオペレッタを十分楽しめました」と語っていました

今回のライブビューイングを久しぶりに観てあらためて思ったのは、ミュージカルの演出家による公演だったことで、元々イタリア辺りでオペラが起こり、それがヨーロッパ諸国に広がり、ドイツ・オーストリアでオペレッタが生まれ、それが海を越えてアメリカに渡り、ミュージカルとして生まれ変わったという音楽の歴史の流れがよく分かったということです

 

     

 

終映後、新宿の「アカシア」でロールキャベツ・シチューのランチを取り、「コーヒーを飲みに行きましょう」ということになりましたが、「今日は桜が満開ですね」という話になり、新宿御苑まで歩くことにしました ところが、現地に着くと長蛇の列が・・・しかも「入場にはあらかじめ登録して予約が必要です」と表示が出ていました スマホで予約を取ろうとしたら1時間も待たなければ入場できないことが分かり、諦めて喫茶店に入りました 新型コロナ禍の話や kiriokaさんの完全防音ピアノ・ルーム新築工事の話などで盛り上がりました   これまで2度も雨にたたられていたので、今度こそ 晴れて良かったです

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読響アンサンブル・シリーズ「石川滋プロデュースの室内楽」でプロコフィエフ「五重奏曲」、ドヴォルザーク「管楽セレナード」他を聴く

2021年03月23日 07時21分21秒 | 日記

23日(火)。わが家に来てから今日で2264日目を迎え、米南部フロリダ州マイアミビーチに、春を楽しもうと集まった群衆のお祭り騒ぎが制御不能となり、地元当局は20日、非常事態を宣言、夜間外出禁止令を出したが、今年はワクチン接種が進んでいることでコロナ感染が制御されたと誤解も広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ワクチンを接種したから馬鹿騒ぎしてもいいとか  脳細胞が単純な人間が多いようだ 

 

         

 

昨日、夕食に「肉豆腐」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 肉豆腐は参考にしたレシピでは長ネギを使うことになっていましたが、娘が一切食べないので玉ねぎを使用しました ただ、玉ねぎを使う料理では細切りにしてほしいという要望が出ていたので、細く切りました 和風出汁が効いてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、よみうり大手町ホールで「第29回読響アンサンブル・シリーズ 〜 石川滋プロデュース」公演を聴きました プログラムは①ロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調」、②プロコフィエフ「五重奏曲ト短調」、③ペンデレツキ「デュオ・コンチェルタンテ(ヴァイオリンとコントラバス)、④ドヴォルザーク「管楽セレナード」です 演奏はコントラバス/プロデュース=石川滋(読響ソロ・コントラバス)、ヴァイオリン=瀧村依里(首席)、ヴィオラ=渡邉千春、チェロ=富岡廉太郎(首席)、オーボエ=金子亜未(首席)、北村貴子、クラリネット=芳賀史徳、鎌田浩志、ファゴット=井上俊次(首席)、岩佐雅美、ホルン=松坂隼(首席)、上里友二、伴野涼介です

 

     

 

1曲目はロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調」です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792‐1868)がアマチュア・コントラバス奏者のフィリップ・ジョセフ・サロモンズの依頼により1824年に作曲しました 楽譜は行方知れずになりましたが、1968年にサロモンズ家の遺産から発見されたそうです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・モルト」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

チェロの富岡廉太郎とコントラバスの石川滋がスタンバイし、さっそく演奏に入ります 低音楽器同士のデュオなので、「どうなることやら」と思いましたが、さすがはロッシーニです 全体的に歌心溢れる曲想で、富岡のチェロが良く歌い、第3楽章などはまるでオペラのアリアのようでした

2曲目はプロコフィエフ「五重奏曲ト短調」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891‐1953)がロマノフ・バレエ団の主宰者ボリス・ロマノフの依頼により1924年に作曲、1927年にモスクワで初演されました オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスのための五重奏という編成は、同バレエ団の楽隊がそのような編成だったからだそうです 音楽評論家・澤谷夏樹氏のプログラム・ノートによると、バレエのあらすじは、「ある少女がサーカスの一座に遭遇する。そこは憧れの場所だった。バレリーナとなった少女は一座で活躍する。それが思わぬ嫉妬を呼ぶ そうした苦労も乗り越え、少女はやがて一座の花形になり、最後は舞台に骨を埋める」というものです

第1楽章「テーマ・コン・ヴァリアツィオー二」、第2楽章「アンダンテ・エネルジコ」、第3楽章「アレグロ・ソステヌート・マ・コン・ブリオ」、第4楽章「アダージョ・ぺサンテ」、第5楽章「アレグロ・プレシピタート、マ・ノン・トロッポ・プレスト」、第6楽章「アンダンティーノ」の6楽章から成ります

瀧村、渡邉、石川、芳賀、金子の5人が登場し配置に着きます さっそく演奏に入りますが、冒頭から「カオス」と言えばいいのか、「エクセントリック」と言えばいいのか、とにかく秩序が見えない音楽が展開します しかし、第2楽章以降になると曲の雰囲気に慣れてきて、「ああ、こういう曲想なんだな」と思うようになります 慣れとは恐ろしいものです 演奏自体は素晴らしいのですが、曲自体の良さがイマイチ分からないので、聴く能力のなさを自覚します それでも、バレエ音楽としては理解できるような気がします

 

     

 

プログラム後半の1曲目はペンデレツキ「デュオ・コンチェルタンテ」(ヴァイオリンとコントラバスのための)です この曲はクシシュトフ・ペンデレツキ(1933~2020)がヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターのために作曲した作品です プレトークの際の石川氏の解説によると、この曲はコントラバスの調弦が、長2度高く設定されているとのことで、これをスコルダトゥーラというそうです 瀧村依里と石川滋が登場し、さっそく演奏に入ります。5分ほどの短い曲ですが、ヴァイオリンとコントラバスの名人芸が楽しめる(演奏者にとっては苦しめられる)作品です 瀧村は演奏開始早々に弓の糸が1本切れましたが、そのまま最後まで演奏しました 石川はこの曲のために用意したもう1本のコントラバスを使い、弾いたり、はじいたり、叩いたりと、忙しなく演奏しました まるで20分の曲を5分に凝縮して演奏しているような感じがしました

最後の曲はドヴォルザーク「管楽セレナード  ニ短調」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)が1878年に、オーストリア政府奨学金の獲得のために作曲した作品の一つで、オーボエ(2)、クラリネット(2)、ファゴット(2)、ホルン(3)、チェロ、コントラバスのための作品です 第1楽章「モデラート、クァジ・マルチャ」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

左から金子、北村、井上、岩佐、石川、富岡、芳賀、鎌田、そして右サイド後列に松坂、上里、伴野がスタンバイします

第1楽章の演奏に入りますが、リード役の金子亜未のオーボエが素晴らしい また、第3楽章冒頭のオーボエの金子と向かい側のクラリネットの芳賀との対話が なかなか聴かせてくれました 第4楽章の中間部で第1楽章のテーマが回想されますが、このあたりがドヴォルザークの素晴らしさで、郷愁を誘います   プレトークで石川氏と進行役の鈴木美潮さんが語り合っていた「ドヴォルザークのこの曲は、旅に出て帰って来たような感じがする」という言葉を思い出します     私は、バッハの「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」、あるいは「ミサ曲ロ短調」などを聴くと、「旅に出て、帰ってくる」という意識を強くしますが、ドヴォルザークのこの曲にも同様の印象を持ちます

「管楽セレナード」なので管楽器ばかりに焦点が当てられがちですが、実際に演奏を聴いていて思うのは、チェロとコントラバスの存在感の大きさです     このセレナードに通奏低音のチェロとコントラバスがなかったら、スパイスを欠いた料理のような、一味物足りないものになるのではないか、とさえ思います 今回の演奏では、1曲目のロッシ―二ともども富岡廉太郎のチェロが抜群に良かったと思います

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「東京春蔡チェンバー・オーケストラ」でモーツアルト「ディヴェルティメントK.136」「ヴァイオリン協奏曲第5番」「交響曲第25番」を聴く ~ ロゼッティの「風」とシェーファーの「アマデウス」

2021年03月22日 07時19分18秒 | 日記

22日(月)。わが家に来てから今日で2263日目を迎え、米人権団体によると、米国内では昨年3月以降 アジア系市民に対する差別的言動が3795件確認されたが、トランプ米大統領が新型コロナを「チャイナウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、人種と結び付けた結果との見方が強い  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの残した”負の遺産”はあまりにも大きい  4年後に復帰するなど言語道断

 

         

 

昨日、東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭 「東京春蔡チェンバー・オーケストラ」を聴きました    オール・モーツァルト・プログラムで ①ディヴェルティメント  ニ長調 K.136、②ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 ”トルコ風” 、③交響曲第25番 ト短調 K.183です 演奏はヴァイオリン=堀正文(元N響コンマス)、枝並千花、北田千尋、城戸かれん、城所素雅(千葉響)、坪井夏美(東京フィル)、外園萌香、三輪莉子、山内眞紀、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、中恵菜、山本周、チェロ=辻本玲(N響首席)、中条誠一、宮坂拡志(N響)、コントラバス=吉田秀(N響首席)、オーボエ=荒絵理子(東響首席)、森江繭子、ファゴット=水谷上総(N響首席)、佐藤由起(N響)、ホルン=日橋辰朗(読響首席)、熊井優(神奈川フィル)、矢野雄太(読響)(同)、山岸リオです

 

     

 

自席はE列17番、左ブロック右から3つ目です 座席は市松模様配置ですが、後方のセンターブロックは空席が目立ちます

16人の弦楽奏者が配置に着きますが、女性陣は思い思いのカラフルな衣装で「春」の音楽祭を演出します 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並びで、指揮者を置かないためコンマスの堀氏が座ったまま弾き振りします

1曲目は「ディヴェルティメント  ニ長調 K.136」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1772年に作曲した3曲の作品(K.136 ~ K.138)の一つです モーツアルトが生まれたザルツブルクで作曲されたことから「ザルツブルク交響曲」とも呼ばれています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章からなります

堀氏のリードで演奏が開始されますが、軽快な演奏を聴きながら 私は ある詩を思い出していました それはこういうものです

 誰が風を見たでしょう

 僕もあなたも見やしない

 けれど木の葉をふるわせて 

 風は通りぬけてゆく

 誰が風を見たでしょう

 僕もあなたも見やしない

 けれど樹立が頭を下げて

 風は通りすぎてゆく

これは英国の女性詩人クリスティナ・ロゼッティ(1830‐1894)の「風」という詩です 日本では西城八十が和訳し、草川信が作曲しています 出典は当ブログの読者みなみさんから教えていただきました

初めてこの詩に接した時、「モーツアルトは風だ」と思いました     モーツアルトの音楽は目には見えません。しかし、人の心に特別な感情を呼び起こして消えていきます 演奏を聴きながら、耳の傍らを爽やかな風が通り抜けていくように感じました

2曲目は「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 ”トルコ風” 」です この曲は1775年にまとめて作曲された4曲のヴァイオリン協奏曲(第2番~第5番)の最後の作品です 第3楽章のロンドにトルコ風の楽想が用いられていることからこの呼び名があります 第1楽章「アレグロ・アペルト」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:テンポ・ディ・メヌエット」の3楽章から成ります

堀氏が舞台中央で立奏し、弦楽奏者の後方にホルンとオーボエが2人ずつスタンバイします この曲だけ2008年ミケランジェロ・アバド国際ヴァイオリン・コンクール第1位、東京藝大大学院修了の城戸かれんがコンマスを務めます 堀氏のリードで第1楽章に入りますが、終盤のカデンツァは聴きごたえがありました 演奏は全体的に速過ぎもせず、遅すぎもせず、適切なテンポで進み、愉悦感溢れる演奏が堪能できました

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第25番 ト短調 K.183」です この曲は1773年に作曲された作品ですが、短調の交響曲はこの曲と第40番ト短調の2曲しかありません 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット&トリオ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

木管・金管奏者全員(8人)が加わり、堀氏のリードで第1楽章が開始されます 冒頭から緊迫感に満ちた音楽が展開しますが、この音楽を聴いて かつて舞台で、そして映画で観たピーター・シェーファーによる「アマデウス」を思い出しました     言うまでもなく、モーツアルトのミドルネームを採った「アマデウス」は、作曲家サリエリによるモーツアルトの暗殺をテーマにしていますが、作品の冒頭場面で衝撃的に使われているのがこの交響曲の冒頭の音楽なのです 弦楽合奏に管楽器が加わって緊張感あふれる音楽が展開しますが、東響首席・荒絵理子のオーボエが素晴らしい この曲の悲劇性を際立たせていました 管楽器ということでは、第3楽章の後半「メヌエット」におけるオーボエ、ファゴット、ホルンによる「トリオ」が素晴らしい演奏でした 終楽章は短調特有のデモーニッシュな音楽が緊迫感を増大させ、19歳のモーツアルトの複雑な心情を表しているかのようでした

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、アンコールにモーツアルト「交響曲第33番変ロ長調K.319」から第3楽章「メヌエット」が演奏され、再度大きな拍手を浴びました

この日のコンサートは、モーツアルトが16歳から19歳までの青年期に作曲した作品が演奏されましたが、とても10代で作曲したとは思えないほど充実し、天才が際立っていました この日限りの臨時編成オケ「東京春蔡チェンバー・オーケストラ」はそのことを演奏で表しました

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