人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「バッハ・コレギウム・ジャパン」4月10日の定期演奏会 ⇒ 8月3日(月)に延期 / デクスター・フレッチャー監督「ロケットマン」を観る ~ エルトン・ジョンの自伝的ストーリー

2020年03月31日 07時24分57秒 | 日記

31日(火)。今日で3月も終わり、2019年度も終わりです 今月を振り返ってみると、クラシック・コンサートは23公演聴く予定だったのが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて20公演が中止となり、実際に聴けたのは東京・春・音楽祭の「Trio Accord ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会 Ⅰ~Ⅲ』」の3公演のみでした その反動というわけではありませんが、映画館で観た映画は28本に達しました

例年にない異常な3月でした しかし、異常な状態は明日から始まる4月も続きます。「バッハ・コレギウムジャパン」のホームページによると、4月10日(金)18時半開演予定だった第137回定期演奏会(マタイ受難曲)は8月3日(月)18時半開演に延期されました 来場できない場合は払い戻しに応じるとのことです これにより4月のコンサートは14公演が中止・延期となりました 19日開催予定の新国立オペラ「ホフマン物語」をはじめとする 残り4公演も風前の灯です

ということで、わが家に来てから今日で2009日目を迎え、小池東京都知事は30日夜の記者会見で、「都の新型コロナウイルスの対策会議を開いた結果、接客を伴う飲食の場で感染を疑う事例が多発していることから、若者についてはカラオケやライブハウスなど、中高年についてはナイトクラブやバーなどへの入店を当面控えていただきたい」と協力を要請した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      カラオケもライブハウスもナイトクラブもバーも ご主人には縁がないから心配ない

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の手羽元と野菜のスープ」を作りました 材料は鶏の手羽元、大根、人参、玉ねぎ、ジャガイモ、ホウレンソウです 日本酒と醤油のみのシンプルな味付けですが、鶏と野菜から旨みが出てとても美味しいです

 

     

 

         

 

読響から「月刊オーケストラ3月号」が郵送されてきました 読響の3月度定期公演はすべて中止(または他シリーズ・他公演への振替)になったわけですが、「せっかく印刷したのだから会員向けサービスとして送っておこう」という判断だと思います 穿った見方をすれば、読売グループをバックに経営的に安定した読響だからこそできるサービスと言えるかも知れません これが収入のほとんどをチケット収入に依存する自主運営オーケストラだったら、そんな余裕はないでしょう 今回の読響の配慮については 個人的には有難いと思っています 演奏されるはずだった作品の曲目解説や演奏者のプロフィール等が掲載されているので、今後の予習の貴重な資料になります    もっと参考になるのは「楽団人事情報」です    3月号では、新日本フィルから読響に移籍し 契約団員となっていた首席オーボエ奏者・金子亜未さんが2月1日に正式に入団し、コンサートマスターの伝田正秀氏が3月31日付で退団する、という情報が掲載されていました

 

     

 

         

 

昨日 池袋の新文芸坐で「ロケットマン」と「イエスタデイ」の2本立てを観ました ここでは「ロケットマン」について書きます

入口で両手をアルコール消毒をして、入場券は切らずにそのまま箱に入れるように求められました 入場者数は20数名で 収容人数の10分の1にも達しておらず、スカスカです

「ロケットマン」はデクスター・フレッチャー監督による2018年アメリカ・イギリス合作映画(121分)です

イギリス郊外の町で両親の愛を得られないまま育った少年レジナルド・ドワイトは、唯一 音楽の才能には恵まれていた    英国王立音楽院ではクラシックを学んだが、やがてロックに傾倒し、ミュージシャンを目指すことを決意したレジ―は「エルトン・ジョン」(タロン・エジャトン)という新たな名前で音楽活動を始める    そして後に生涯の友となる作詞家バーニー・トービン(ジェイミー・ベル)との運命的な出会いをきっかけに、二人で作った「 Your Song (僕の歌は君の歌)」などのヒット・ナンバーを次々と世に送り出し 世界的な成功への道をひたすら走っていく

 

     

 

少年時代のエピソードとして、テレビから流れてくるワルトトイフェルの「スケーターワルツ」を耳で聴いただけで、ピアノを弾いてメロディーを再現するシーンが紹介されます 調べてみたら、エルトン・ジョン(1947年生まれ)は、4歳頃からピアノを始め、11歳で英国王立音楽院に入学しクラシック音楽を学んでいます 彼は幼少時から一度耳で聴いたメロディーは楽譜を見ないで演奏できる”神童”でした 学生たちの演奏するシューベルト「ピアノ五重奏曲”ます”」ではピアノを弾くシーンが見られます どうも弾き方はクラシックっぽくないような気がしましたが そういえば、彼がピアノを弾くシーンで使われていたピアノには YAMAHA と書かれていました 彼はずっとヤマハを使っていたのだろうか

この映画を監督したデクスター・フレッチャーは「ボヘミアン・ラプソディー」の最終監督を務めた人物です この映画はミュージカル仕立てなので、エルトン・ジョンの数多くの歌が歌われていますが、エルトンを演じたタロン・エガートンは、口パクではなく実際に歌っているそうです これが滅茶苦茶上手いのでビックリしました まことに残念ながら、私は彼の作品は「ライオン・キング」のテーマソング「愛を感じて」以外は一つも知らないので 曲についていろいろ言うことは出来ないのですが、ぶっ飛んだ曲が多く ご機嫌になりました エルトン・ジョンが世界的に活躍して人気を博していた70年代は、あまりポピュラーな音楽には興味がなかったので、今回ほとんど初めて聴く彼の楽曲は新鮮に響きました エルトン・ジョンのファンにはたまらない映画でしょうね

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坂本龍一氏「経済支援せずに 自粛要請するのは ひきょう!」 / 中山七里著「ネメシスの使者」を読む ~ 次々と起こる加害者家族殺し犯人の意図は被害者を代弁する復讐行為か?

2020年03月30日 07時04分57秒 | 日記

30日(月)。昨日は朝から雪が降っていたので、東京都から出されている「外出自粛要請」に関係なく、1日中 音楽を聴きながら家で本を読んで過ごしました    3月下旬に雪が降るなんて ちょっと ゆき過ぎだと思います

ということで、わが家に来てから今日で2008日目を迎え、外出制限が続くドイツで、気分が晴れない人たちを元気づけようと、西部ドルトムントのパン屋がトイレットペーパーを模したケーキを売り出したところ 一躍人気を呼んだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これを「困った時のカミだのみ」という  それを食べるとケーキづけになりそうだ

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊・文化文芸欄に「 坂本龍一   公演中止は『仕方ない』が・・・経済支援せず自粛要請『ひきょう』  緊急事態宣言は危険 」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「新型コロナウイルスの感染が世界規模で広がる今、坂本龍一が代表・監督を務める東北ユースオーケストラは公演を中止した 坂本は『感染を拡大させないことが大事。人間は自然の一部だし、仕方ない。人間は歴史の中で何度もこういう経験をして、それでも音楽はなくならなかった この状況に適応する新たな方法を探していくしかない』と語る。ただ、政府が経済的な支援をせずに公演を自粛するよう求めたことは『ひきょうに感じる。見捨てるのか ちゃんと国として支援するのか    文化の大切さをどう思っているのかが問われていると思う』と話す。最近よく頭をよぎる言葉がある。忌野清志郎が言っていた『危機は権力に利用されやすい。地震の後には戦争が来る。気をつけろ』という言葉だ。念頭にあるのは、日本で私権を制限できる『緊急事態宣言』が可能になったことへの強い懸念だ 『ナチスが使った緊急事態条項を思い起こす。今回の法改正は非常に危険だと思う 未来から見たら、全体主義的な傾向にまた一歩近づいたとして記憶されるのではないかと思う』と語る

「政府が経済的な支援をせずに 公演を自粛するよう求めたことは ひきょうに感じる」というのは、まったくその通りだと思います オーケストラだけを取り上げてみても、コンサートの度重なる中止によってどれほど経済的に困っているか、ということです N響や読響のように強力なバックボーンがあるオケはまだマシですが、収入のほとんどをコンサートのチケット収入に頼っている自主運営オケは存亡の危機に直面しています 安倍首相は28日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、過去最大規模の緊急経済対策を策定するよう指示しましたが、この中には、広い意味での文化活動に対する経済支援策が含まれているのだろうか? 今後の首相や官房長官の発言を注視したいと思います

 

         

 

中山七里著「ネメシスの使者」(文春文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し翌年デビュー その後 発表した数々の作品はこのブログでもご紹介してきた通りで、現在もなお精力的な執筆活動を続けており「どんでん返しの帝王」と呼ばれています

 

     

 

死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が、次々に殺される事件が発生する 現場に残されていたのは、ギリシア神話に登場する「義憤」の女神を意味する「ネメシス」という血文字だった 一連の事件は被害者による加害者家族に対する復讐か? あるいは世界的な「死刑廃止論」の流れの中にある現在の日本の司法制度に対する挑戦か? 埼玉県警捜査一課の警部・渡瀬は部下の小手川とともに捜査に乗り出す 一方、検察庁の岬次席検事も早期解決の命が下され渡瀬と協力することになる 渡瀬の発案による「おとり捜査」により犯人が逮捕されるが、それは思ってもみなかった人物だった 「ネメシスの使者」を自認する犯人は裁判で有罪判決を受けて刑務所に収監された これで一連の事件は決着したかに見えたが、そこでは思いもかけない事件が待っていた

 

     

           (文庫本ですが  本人のサイン入りです 私には「中小門ら」と読めます)

 

この作品に限らず、司法を扱った中山七里の作品を読むと、中山氏は犯罪被害者の心情に寄り添って物事を考えています それは被害者家族に「何の罪もない者を、理由もなく殺す犯人は死刑にすべきだ」と言わせていることからも分かります しかし、あたかも犯罪被害者の代弁者のように犯罪加害者の家族に危害を加えようとするのはテロリストと変わらないとも考えています

意外な人物が犯人だったということだけで終わらないのが中山ミステリーの特徴です 犯人が刑務所に収監された後にどんでん返しが待っています 刑務所には、加害者家族ではなく加害者本人が収監されているのです。犯人はそれを計算に入れて長い時間をかけて周到な準備をしていたのです

この作品では、現行の司法システムと死刑制度を取り上げています 東京地方検察庁の弘前検事正に次のように言わせています

「日本は先進国の中でも死刑制度の存置を採用している、数少ない事例だ。それにも関わらず拘置所には収容しきれないほど死刑確定者が溜まり、執行は亀のように遅い 死刑囚を長らえさせておく費用も含め、この矛盾が顕在化すれば早晩、死刑存続の論議を引き起こす いや、現にその兆候は顕れている。歴代の内閣が死刑存廃の国民的論議を行うと謳いながらも、一向に実行しなかったのは、死刑存廃論議がパンドラの箱になっているからだ

その上で、次のように書いています

「パンドラの箱は言い得て妙だと感心した 箱を開けて飛び出してくるものは、体制側にとって災厄になるものばかりだ。特に刑事訴訟法第475条2項の『死刑執行命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない』という条項は、法務省および法務大臣にとって頭痛の種だ

その上で、再び弘前検事正に次のように言わせています

「がっちり構築されたシステムとその中で棲息する者は、急激な変革を好まない。下手に弄ろうとすれば自壊しかねない 政治の世界も法曹の世界も、その辺は似たようなものだ。世評がどうであれ摂理がどうであれ、慎重に変えていく必要がある。法曹に拙速は馴染まない

世界的な「死刑廃止論」の流れの中で、死刑を認めている現在の日本の司法制度は今後どうあるべきか、という問題は極めて重いテーマですが、個人的には、判決は「理に適い 情に敵う」ものでなければならないと思います

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原田マハ著「デトロイト美術館の奇跡」を読む ~ 財政破綻に陥ったデトロイト市による美術館のコレクションの売却を阻止した感動の物語

2020年03月29日 07時16分08秒 | 日記

29日(日)。昨日は東京都から「不要不急の外出自粛要請」が出ていたからというわけではないのですが、映画をはじめ「この日でなければならない用事」がなかったので、一日中 家で読書をして過ごしました    いつもは今後コンサートで聴く予定の作品のCDを聴きながら読んでいるのですが、この1か月は、せっかく予習をしても次々とコンサートが中止になってしまうので、予習が成り立たなくなってしまいました 昨日は、4月12日のN響定期で聴く予定だったヴォーン・ウィリアムズの「交響曲第5番」を中心に 彼の交響曲のCDを片っ端から聴いていました    中止になったのは承知していましたが、次のコンサートがいつ実現するか先が読めないので、選曲のしようがないのです

さて、昨日 新国立劇場から4月7日開催予定のオペラ「ジュリオ・チェーザレ」公演中止に伴う払い戻し書類が、また 東京都交響楽団からは3月4日開催予定だった定期演奏会Bシリーズ公演中止に伴う払い戻し書類が届いたので、それぞれ月曜日に郵送できるように準備しておきました また、NHK交響楽団からは4月度定期演奏会中止の案内ハガキが、読売日響からは4月8日の定期演奏会中止の案内ハガキが届きました。どこのオーケストラも払い戻し処理の事務作業で大変ですね

ということで、わが家に来てから今日で2007日目を迎え、英首相官邸の報道官は27日、ジョンソン首相が新型コロナウイルスに感染したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ジョンソン首相は EUから離脱する前に 新型コロナウイルスから離脱しないとね

 

         

 

原田マハ著「デトロイト美術館の奇跡」(新潮文庫)を読み終わりました 原田マハは1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科と早稲田大学第二文学部美術史科を卒業。2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー 2012年に発表した「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞しています このブログでは映画をテーマとした「キネマの神様」をご紹介しました

 

     

 

デトロイトの自動車工場で溶接工として働くフレッド・ウィルは妻のジェシカとともに、1885年に建設された歴史のあるデトロイト美術館を訪れ、セザンヌが描いた「マダム・セザンヌ」を観ることを楽しみにしていた 多くのコレクションはロバート・ハドソン・タナヒルという善意のコレクターから寄贈されたものだった 2013年7月のある日、フレッドは新聞の見出しをみて驚愕する。そこには「デトロイト市財政破綻 DIA(デトロイト美術館)のコレクション 売却へ」と書かれていた そんなある日、DIAのコレクション担当チーフ・キュレーター、ジェフリー・マクノイドは、行きつけのカフェでフレッドと出会い気が合って友人となる DIAのために自分の出来ることはないかと考えたフレッドは、「私は年金生活者だから、その金額が精一杯なんですが、ほんのわずかでも、寄付をしたいんです」と言い、額面500ドルの小切手をジェフリーに手渡す ジェフリーはその行為に心に打たれ、わずかな希望の光を見る ダニエル・クーパーはデトロイト市が2013年7月に負債総額180億ドルを抱えて「破産宣言」をした後に司法省から任命を受けて市が債務調整計画案を策定する上で、市と債権者とのあいだに立って調停をおこなう首席調停人である ダニエルはジェフリーに「DIAのコレクションは、クリスティーズの試算によれば100億ドル以上の価値があるということだが、『売る』のでなく『守る』ために、寄付を募るだけの価値がある、ということだね」と言う 発想の転換にジェフリーはハッとする ダニエルの調停によりDIAは各方面の財団に寄付を募り、寄付金目標額を達成したばかりでなく、DIAは市の管理下を離れて独立行政法人となることが出来た ある春の日、妻を亡くして独りとなったフレッドは、ボランティアとして「ギャラリー・ツアー」のガイド・デビューを飾ろうとしていた

この小説は、デトロイト美術館の財政破綻という歴史的事実をもとに、「守るべきは市民の生活か、あるいは市民の誇りか」という葛藤の中で、発想の転換により両方を守ることに成功した物語を描いた心温まる作品です

この作品では「アート(美術)の危機と救済」を扱っていますが、音楽や演劇や歌舞伎などを含めた「芸術・芸能の危機」の救済という意味では、現在 われわれは 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うコンサートや興行の中止という危機を目の当たりにしています

昨日の日経朝刊によると、チケット大手のぴあ の矢内広社長はこのほど、首相官邸にエンタメ産業(コンサート、スポーツイベントなどのライブ・エンタメ産業)のダメージを試算した資料を届けました。それによると、3月23日までに中止・延期になった公演や試合の総数は8万1000本で、入場できなかった観客総数は5800万人に達するとしており、その損失額は1750億円であると見積もっています さらに大型連休を含む5月末まで各種興行が実施できない場合、中止・延期の公演・試合の総数は15万3000本となり、入場できない観客総数は1億900万人に及び、損失総額は3300億円となると試算しています しかも、これにはレジャー施設(オリエンタルランド等)や映画館は含まれていないといいます。いかに損失が大きいかということです

こうした中、日本では超党派の国会議員有志が音楽ライブなどが中止になった場合、損失補償などの支援策が講じられないか検討を進めている、とのことです 個人の力には限界があります。文化の維持・発展のため、今こそ国家レベルの救済策が必要です いま安倍政権は文化が守れるかどうかが問われています

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10・11日の新日本フィル「ルビー」中止、4月度N響定期6公演中止、5月2~4日の「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」中止 / 片山慎造三監督「岬の兄妹」&荒井晴彦監督「火口の二人」を観る

2020年03月28日 07時19分36秒 | 日記

28日(土)。新日本フィルのホームページによると、4月10日、11日に すみだトリフォニーホールで開催予定の「第30回ルビー・コンサート」(アフタヌーン・コンサートシリーズ)は中止となりました    払い戻し等については郵送で連絡するとのことです。私は10日の公演が払い戻し対象です

NHK交響楽団のホームぺージによると、4月度N響定期演奏会(全6公演)は中止となりました    私は12日(日)の公演が該当します。なお、4月11日(土)6時からのAプログラム(ヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第5番」他)と、4月17日(金)7時からのCプログラム(コープランド特集)、4月22日(水)7時からのBプログラム(メンコン他)はそれぞれ無観客の演奏をFM生放送するとのことです

一方「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020」のホームページによると、5月2、3、4日に東京国際フォーラムで開催予定のすべての公演は中止となりました    払い戻し等の詳細は3月30日から専用サイトで発表するとのこと。私は5月1日の「前夜祭」を含めて全10公演が払い戻しになります これにより、私の場合は43公演が中止(うち3公演が延期)となってしまいました もう全滅です

話は変わりますが、昨夜、池袋のTデーパートに入居するテナントに勤務している娘が 帰ってくるなり、「明日と明後日の2日間、急きょTデパートが全館休館になったから、今日は超忙しかった」と嘆いていました 3月最後の土・日は1年のうちで一番の書き入れ時だそうですが、東京都知事から「不要不急の外出自粛要請」が出されたのですから、多くの客は見込めないでしょう また、新聞の映画案内広告を見ると、東銀座の「東劇」、新宿武蔵野館、池袋HUMAXシネマズが28日、29日の2日間を休館すると告知しています このほか、早稲田松竹と岩波ホールも休館中です どんどん外堀が埋められていきます

ということで、わが家に来てから今日で2006日目を迎え、米紙ワシントン・ポスト紙は25日、主要7か国外相がテレビ会議方式で開いた会合で、ポンぺオ国務長官が新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶよう訴えたと報じたが、26日 米国の感染者数が中国を上回る83,507人となり、世界最多となった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ライバル国を誹謗中傷している間に 米国が世界最多記録をマークしちまったね!

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 醤油、砂糖、酒、オイスターソース、トマトケチャップで作るソースが決め手です

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で「岬の兄妹」と「火口の二人」の2本立てを観ました

「岬の兄妹」は片山慎三監督による2018年製作日本映画(89分)です

ある港町で、足に障碍を持つ良夫(松浦祐也)は自閉症で頭の弱い妹・真理子(和田光沙)と二人暮らしをしている ある日 良夫は、家を勝手に出て行った真理子が男を相手にして金を貰ったことを知り、こっぴどく叱るが、仕事を解雇され 生活に困っていたので、真理子に売春をさせて生計を立てようとする 良夫は金銭のために妹の身体を男に斡旋する行為に罪の意識を感じながらも、これまで知ることのなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れることで、複雑な心境に至る そんな中、真理子の心と身体に少しずつ変化が起き始める

 

     

 

これは障碍者の兄と自閉症の妹を主人公にして、知的障碍者の性と恋に関するタブーに挑戦した意欲作です 良夫を演じる松浦祐也と、真理子を演じる和田光沙の凄まじいまでの演技力が強く印象に残ります 一般人の常識の象徴として警察官で友人の北浦肇(北山雅康)を登場させ、良夫の暴走を止めようとしたことは、観る側に一種の安心感を与えます

この映画で一番強く印象に残っているのは、家の窓に段ボールを張り巡らし、1日中電球一つで暗い生活をしていたのが、真理子に金を稼がせるようになって、少しは食べたいものが食べられるようになったことから、良夫が段ボールを全部引きはがし、部屋が急に明るくなるシーンです これで二人の未来が少しは明るく見えてきたのかな、と思いました しかし、それはほんの一瞬のことで、二人の生活は何も変わりません 良夫は相変わらず障碍を持った失業者で、真理子は自閉症です 友人の肇は一時的に少額の金を良夫に貸すことが出来たとしても、自分の子どもが生まれたこともあって、それ以上の力にはなれません 「妹を売るなんて、お前なんか人間じゃない」と肇から罵倒されても、障碍を持った良夫は他に成すすべがないのです 良夫は弱い人間だ、と決めつけるのは簡単ですが、もし自分が良夫の立場に置かれたらどうするだろう、と考えると答えを見い出すのは簡単ではありません 片山監督はそういう重い問いを発しているように思います

 

         

 

「火口の二人」は荒井晴彦監督による2019年製作日本映画(115分)です

東日本大震災から7年目の夏。離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、すべてを失った永原賢治(柄本佑)は、旧知の女性・佐藤直子(瀧内公美)の結婚式に出席するため秋田に帰郷する 久々の再会を果たした賢治と直子は、「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の言葉をきっかけに、かつてのように身体を重ね合う 1度だけと約束したはずの2人だったが、身体に刻み込まれた記憶と理性の狭間で翻弄され、抑えきれない衝動の深みにはまっていく

 

     

 

出演者は二人のみという映画だけに、いかに飽きさせないかがポイントになりそうです その点、過去の二人を写したヌード写真はモノクロで、現在のカラーの世界との対比が鮮やかです この映画は、幼馴染の従兄妹同士の”身体を通しての愛”がテーマですが、東日本大震災の思い出が裏のテーマになっています 直子が「同じ東北なのに友人がいる福島、宮城などが被災したのに、自分が住んでいる秋田は免れた。そのことに後ろめたい思いがずっとある」と言うと、賢治は「被災者に寄り添う とよく言うけれど、寄り添うフリをすることは出来ても、寄り添うことはできない。なぜなら、被災者ではないからだ」と返します。直子は「ずいぶん正直だね」と言います。「記録」はずっと残っても、「記憶」は時間と共に消えていきます 本当の気持ちは当事者にならなければ分からないのだと思います 気楽に「大変ですね」などと言うべきではないでしょう

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佐藤零郎監督「月夜釜合戦」&鈴木卓爾監督「嵐電」を観る ~ 滅茶苦茶面白いB級映画:新文芸坐

2020年03月27日 07時20分00秒 | 日記

27日(金)。わが家に来てから今日で2005日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて小池東京都知事が25日の記者会見で、東京都民に今週末の不要不急の外出自粛を求めたことから、都内のスーパーにはトイレットペーパーや米やインスタントラーメンなどを持った人々の長い列ができた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     密集、密閉、密着という3条件を考えると レジで長蛇の列に並ぶのは危険じゃね?

 

         

 

昨日の夕食は、「牛タン塩焼きとハラミ焼肉」と「生野菜サラダ」にしました   焼肉は時々食べたくなります

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「月夜釜合戦」と「嵐電」の2本立てを観ました

「月夜釜合戦(つきよのかまがっせん)」は佐藤零郎監督による2017年製作日本映画(115分)です

釜ヶ崎を牛耳るヤクザ・釜足組の「盃のお釜」が流浪の芸人・逸見に盗まれた 組の代紋が彫られたその釜がないと親から子へと盃を交わして跡目を継ぐことが出来ない 釜足組はその釜を見つけ出すため寄せ屋にあるお釜を買い占めたため、お釜の値段が急騰してしまう 私娼館の用心棒・大河はお釜が高値で売れることを知り、街中のお釜を盗み出す やがて騒動は炊き出しの「大釜」を巡って鎌足組と社会運動の活動家グループとの抗争にまで発展し、巻き込まれた大河は月夜の大釜争奪戦に加わる羽目になってしまう さてさてお釜の運命やいかに
 
     

     

 

この作品は、古典落語「釜泥」をベースに、再開発の波が押し寄せる大阪・釜ヶ崎で繰り広げられる騒動を描いた人情喜劇です

私はこの映画の監督も登場人物を演じる役者もまったく知りませんが、滅茶苦茶面白い映画でした 主役級は本物の俳優らしいのは分かりますが、日雇い労働者などは、台詞回しが明らかに棒読みでド素人であることがすぐに分かります しかし、そこが何とも言えない魅力になってるのです 16ミリフィルムで撮っているせいか、画面が不鮮明です しかし、そこが「一体いつの時代の話なのか分からない」という不思議な魅力に繋がっています いかにも低予算で作ったB級映画ですが、面白さからしたらA級です

 

         

 

「嵐電」は鈴木卓爾監督による2019年製作日本映画(114分)です

鎌倉からやってきたノンフィクション作家の平岡衛星(井浦新)は、嵐電の線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話の数々を取材し始める そこには、衛星と彼の妻・斗麻子(安部聰子)がかつてこの地で経験した出来事を呼び覚ます目的があった 修学旅行で青森から来た女子学生・北門南天は、電車を8ミリカメラで撮影する地元の学生・子午線と出会い運命を感じる 一方、太奏撮影所の近くにあるカフェで働く小倉嘉子(かこ)は、撮影所にランチを届けた際、東京から来た俳優・吉田譜雨(ふう)に京都弁の指導をすることになる

 

     

 

この作品は、京都市街を走る路面電車・京福電鉄嵐山線(通称らんでん)を舞台に、交錯する3つの恋を幻想的に描いたラブストーリーです

この映画も、監督も登場人物を演じる役者もほとんど知りませんが、こちらは役者揃いといった印象を受けました とくに小倉嘉子を演じた大西礼芳(あやか)は演技力が優れていると思いました

子午線は、自分を一方的に追いかけ回す南天に「変だよ」と言うと、南天が「変じゃないよ、恋だよ」と言い返すシーンがあります    このシーンを観て、私は石坂洋次郎の「青い山脈」の中で、旧制高校の学生が女学生に「変しい変しい私の変人、新子様」と書いたラブレターを思い起こしてニヤリとしました もちろん「恋しい恋しい私の恋人、新子様」と書くべきところを間違ったのです 「恋」には「変」にはない「心」が付いているから間違えようがないと思うのですが、どうでしょう

今住んでいるマンションは都電荒川線(通称「東京さくらトラム」)の停留場がすぐ近くにあり、午前6時頃になると電車の音が聴こえてきて目が覚めます この映画は路面電車にまつわる話なので親近感が湧きました どこかの停留場(駅でないところがレトロです)で、この映画で描かれたようなラブストーリーが生まれているかも知れないな、と思ったりしました

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8日の読響定期中止 ⇒ コンサート中止・延期 合計31件に ~ 私のケース / ルイ・ガレル監督「パリの恋人たち」 & 是枝裕和監督「真実 特別編集版」を観る ~ ギンレイホール

2020年03月26日 07時23分39秒 | 日記

26日(木)。読売日響のホームページによると、4月8日(水)19時開演予定の「定期演奏会」は中止となりました 払い戻しのほか、他公演・シリーズへの振替期間の延長も考慮するとのことです 詳細はホームページをご覧ください

「東京・春・音楽祭」参加公演の「クレメンス・ハーゲン&河村尚子によるベートーヴェン『チェロ・ソナタ全曲演奏会』」(4月9日開催)が中止になったことに伴い、払い戻し請求書を郵送しました これにより、私が聴く予定だった2月29日から4月18日までの公演のうち合計31件が中止(うち3件は延期)となってしまいました

小池東京都知事は昨日 都庁で記者会見し、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、今週末は不要不急の外出を避けるよう都民に呼びかけました   これは東京都の非常事態宣言に等しいものなので、これからのコンサートなどに大きな影響を及ぼすと思われます 当面、個人的に関りがあるのは①4月10日14時からの「新日本フィル」のアフタヌーン・コンサートシリーズ、②同日18時半からの「バッハ・コレギウム・ジャパン」定期演奏会、③4月12日15時からの「NHK交響楽団」A定期演奏会、④4月19日の新国立オペラ「ホフマン物語」です もはや風前の灯といったところだろうか

ということで、わが家に来てから今日で2004 日目を迎え、米国で新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、トランプ大統領が連日、記者会見を繰り返している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     支援者集会を開きたくても開けないから 記者会見を独演会に見立てているわけね

 

         

 

昨日、夕食に「他人丼」を作りました これをご飯に乗せれば「親子丼」になります

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「パリの恋人たち」と「真実  特別編集版」の2本立てを観ました

「パリの恋人たち」はルイ・ガレル監督・主演による2018年フランス映画(75分)です

ジャーナリストのアベル(ルイ・ガレル)は3年間同棲したマリアンヌ(レティシア・カスタ)の妊娠を喜ぶが、それもつかの間、父親は友人ポールであることから別れを切り出される    数年後、ポールの葬儀でアベルは小学生になった息子ジョゼフを伴ったマリアンヌと再会し、再び愛を確かめ合うようになる  その頃、アベルはポールの妹エヴァ(リリー=ローズ・デップ)から愛の告白を受け、二人の女性の間で心が揺れる  若いエヴァはマリアンヌに「兄が死んだから再びアベルに乗り換えたのだから、彼を私にくれてもいいでしょう」と挑戦的な言葉を投げかける それを聞いたマリアンヌはアベルに、思い切ったことをするように提案する 果たして三角関係の行方はどうなるのか

 

     

 

【ネタバレ注意】

この物語はマリアンヌの息子ジョセフがアベルに「ママがパパを毒殺したんだ。医者と結託して検死しないでもみ消したんだよ」と耳打ちするシーンからミステリータッチになります 実は彼はマリアンヌがポールにばかり目を向けて、自分の方を見てくれなかったから寂しい思いをし、今度こそ母親の愛情を独占したくて、誰とも再婚して欲しくなかったのです 子どもらしい残酷な表現がスクリーン上に表れていました

それにしても、マリアンヌが妊娠した時、ポールの子かアベルの子か判別するのにコイントスで決めて、ポールに「あなたの子です」と打ち明けたら素直に受け入れた、というのは いくら開けっぴろげな自由恋愛の国フランスのラブコメディーと言えども酷過ぎるのではないか 人生なんてコイントスで決めるようなもの、と言ってしまえばそれまでですが

 

         

 

「真実  特別編集版」は是枝裕和 原案・監督・脚本・編集による2019年フランス・日本合作映画(119分)です

フランスの国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本「真実」を出版することになった 海外で脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ピノシュ)、テレビ俳優として人気の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、その二人の娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書など、多くの人たちが出版祝いを口実に集まったが、彼らの興味はファビエンヌはその本に何を書いたのかということだった

 

     

 

ひと言でいえば、この映画は母と娘の愛憎と和解を描いたドラマです 女優を母親に持った娘リュミールは、子供時代に母親から愛情を持って育てられなかったと恨んでいる一方で、現役の女優でもある母親ファビエンヌは仕事で忙しかったのだから仕方がない、と突き放しています しかし、母親は”自分で何でも出来てしまう”娘に対し、自分を頼ってほしかったのです

カトリーヌ・ドヌーヴは大女優の貫禄です 気になったのは、下のチラシのようにタバコを吸うシーンが非常に多いということです 是枝監督がヒロインのキャラクターとして求めたものなのか、ドヌーヴ自身が普段から愛煙家で 役作りに必要と提案したのか分かりませんが、かなりのシーンで紫煙をくゆらせています 禁煙全盛時代なのに

ファビエンヌがテレビ俳優の娘婿ハンクに「今の役者は人真似ばかりで自分自身がない」と語るシーンがありますが、これは是枝監督が世界の大女優カトリーヌ・ドヌーヴに是非とも言わせたかった台詞ではないか、と思います

可笑しいのは、ファビエンヌは昔からの俳優仲間などで、誰が生きていて誰が死んだかなど深く考えもせず、自伝本「真実」に登場させていることです 元夫などは生きているのに「真実」では死んだことになっているのです ファビエンヌは、自分でない誰かを演じることを職業とする「女優」にとって、自分が書きたいように書くことが「真実」である、と主張しているように思えます 同じ出来事でも、見る角度によって何通りかの「事実」が語られるかも知れないけれど、私にとっての「真実」は一つしかない、という主張です 是枝監督はそういうことを言いたかったのではないか、と思います

 

     

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28日の東響定期 ⇒ 8月に延期、3日の都響定期 、新国立オペラ「ジュリオ・チェーザレ」、9日・10日のハーゲン+河村 ⇒ 中止 / ケビン・コスナー監督「ダンス・ウィズ・ウルブズ」を観る

2020年03月25日 07時20分57秒 | 日記

25日(水)。またしてもコンサート中止・延期のお知らせです

①東京交響楽団のホームページによると、3月28日(土)午後6時からサントリーホールで開演予定の「第678回定期演奏会」は、8月13日(木)午後7時からミューザ川崎に振り替えられることになりました

②東京都交響楽団のホームページによると、4月3日(金)午後7時からサントリーホールで開演予定の「第900回定期演奏会」は中止となりました

③新国立劇場のホームページによると、4月7日、11日、12日の新国立オペラ「ジュリオ・チェーザレ」は中止となりました

④東京・春・音楽祭のホームページによると、4月9日(木)、10日(金)午後7時から東京文化会館小ホールで開催予定の「クレメンス・ハーゲン&河村尚子によるベートーヴェン『チェロ・ソナタ全曲演奏会』と、4月14日(火)午後7時から東京文化会館小ホールで開催予定の「戸田弥生の室内楽」は中止となりました (注)他にもあります。HPをご覧ください

いずれも、新型コロナウイルスの感染拡大に関する政府及び23日発表の東京都の方針を受けての決定であるとしています もう数えるのも嫌になってきました

日本演奏連盟から「2020都民芸術フェスティバル参加公演払戻のご案内」が届きました ①3月17日夜のNHK交響楽団、②同18日夜の東京都交響楽団、③同24日夜の新日本フィルのコンサートが対象です。私は①と③が払い戻し対象となります。「払戻  振込依頼書」が送られてきたので、必要事項を記入のうえチケットを同封して今日、特定記録郵便で送付します

ということで、わが家に来てから今日で2003日目を迎え、トランプ米大統領は23日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大防止に関する外出自粛などの要請について、「我々の国に活動停止は適していない」「(感染拡大の)問題そのものより、治療が悪いものであってはいけない」と強調し、企業活動を早期に再開させ、経済の回復を目指す考えを明らかにした  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     トランプ大統領の口癖を真似して言うよ「1カ月後どうなるか 様子を見てみよう」

 

         

 

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました 「ハッシュドビーフ」には赤ワインが良く合います。ここには写っていませんが

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でケビン・コスナー監督による1990年アメリカ映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(181分)を観ました

新文芸坐の収容人数は264人ですが、この日午前10時開演の部の入場者は10人未満です 前日のTOHOシネマズ新宿での「三島由紀夫VS東大全共闘」の繁盛ぶりと比べると寂しい限りです   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、早稲田松竹(収容人数153人)が3月27日(金)まで、岩波ホール(同・220人)が4月24日(金)までそれぞれ休館となっています   これにギンレイホール(同・202人)と新文芸坐(同・264人)が仲間入りしないことを祈るばかりです

さて、この作品は、アメリカの南北戦争時代のフロンティアを舞台に、スー族の女性と愛し合い、インディアンと共に生きた元北軍中尉の数奇な運命と大自然との交感を 大きなスケールで描いた西部劇です

 

     

 

1863年秋。南北戦争の激戦地で、北軍中尉ジョン・ダンバー(ケヴィン・コスナー)は足に重傷を負いながら、単身 馬に乗って敵陣に飛び込む   南軍が虚を突かれた隙に、北軍は一気に攻め込み勝利を収める 一躍 英雄になったダンバーは勤務地を選ぶ権利を得る 彼が選んだのはフロンティアと呼ばれる最西部の砦だったが、砦とは名ばかりで荒野に建つ廃屋だった 彼は愛馬シスコ、トゥー・ソックスと名付けた野生の狼とともに、建物の修繕をしながら独りの生活を始める 1カ月後、インディアンがシスコを盗みに来るが、追い払う。彼はスー族の聖人「蹴る鳥」(グラハム・グリーン)で、長老と共に150人の部族を仕切っていた 彼は集落に帰り、風変わりな白人の話をし、将来のために接触すべきだと長老たちに力説する 一方、孤独なダンバーも彼らに接触したがっていた 翌日、軍服を着て馬で出かけたダンバーは青い目のインディアン女性(メアリー・マクドネル)が倒れているのを助けてスー族の集落に届ける それをきっかけにダンバーとスー族との交流が始まるが、彼女は幼い頃に拾われてスー族に育てられた白人女性で「拳を握って立つ女」と名乗っていた。ある日 ダンバーは、狼と戯れているところをスー族に見られ、それ以来「狼と踊る男」と呼ばれるようになった 彼は「拳を握って立つ女」と結婚し種族の一員に迎え入れられた 冬が近づいたため、スー族とともに冬ごもりの土地へ移動する決意をしたダンバーだったが、かつて克明に書いていた日記を砦に置き忘れていたことを思い出し、合衆国の軍隊に足取りを知られないようにするため回収しようと一人で砦に戻った しかし そこには既に騎兵隊の部隊が陣取っており、ダンバーはインディアンとして捕らえられてしまう 反逆罪に問われ、処刑されそうになったとき、スー族の勇者たちが護送の馬車を襲撃しダンバーは救われる それもつかの間、インディアンから土地を取り上げようとする合衆国の軍勢はすぐ近くまで迫っていた 「狼と踊る男」ダンバーは、「拳を握って立つ女」とともに一族と離れ、雪山に分け入っていくのだった

この映画は3時間という長い上映時間にも関わらず、すこしも中だるみするところがなく、ストーリー展開がスムーズです また、アメリカ大陸の雄大な自然を満喫できる点も大きな魅力です

本物のバッファローの大群が暴走するシーンは迫力満点です こういうシーンはDVDなんかで観ていては本当の良さが解からないでしょう

「スー族が闘うのは家族や種族の誇りを守るためであって、政治的な目的は一切ない」・・・そんなところにダンバーは惹かれ「狼と踊る男」として彼らの仲間になるわけですが、それはアメリカ大陸を東から西へと開拓し、文明社会を築き上げようとする合衆国の方針とは相入れないものでした

スー族は この映画の舞台となった13年後の1876年に、カスター将軍の部隊を全滅させたことで知られている勇猛果敢なインディアンです その時も「家族や種族の誇りを守るため」に闘ったのでしょう

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「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」を観る ~ 「言葉に力があった最後の時代」の白熱の論戦

2020年03月24日 07時20分48秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから今日で2002日目を迎え、東京都は23日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて始めた都主催の大規模イベントの延期・中止を4月12日まで続ける方針を発表した  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     4月3日の東京都交響楽団の新シーズン第1回定期演奏会はどうなるんだろうか?

 

         

 

昨日、夕食に「トマトと豚肉の重ね蒸し」を作りました 久しぶりに作りましたが、白ワインが効いて美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日は12時15分から晴海の第一生命ホールの ロビーで「アウトリーチセミナー講師と受講生による『ロビーコンサート』」(入場無料)を聴く予定でしたが、急きょ中止になってしまいました プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第4番」、②シュナイダー「弦楽四重奏曲 第3番』、③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」で、講師=松原勝也、セミナー受講生=山本有莉(ヴァイオリン)、大森悠貴(ヴィオラ)、福崎茉莉子(チェロ)、ゲスト/セミナー修了生=吉野駿、松谷萌江(ヴァイオリン)、鶴友見(ヴィオラ)、梶原葉子(チェロ)の皆さんが演奏する予定でした 聴く側のわれわれはもちろんのこと、演奏する予定だったセミナー受講生の皆さんは せっかくの練習の成果を発表する機会を逸してしまい、さぞかし残念な思いをしたものと察します これにめげず頑張ってほしいと思います

実は、前日に第一生命ホールのホームページで「実施の予定」となっているのをチェックしていたので、まさか中止になるとは思ってもみず、晴海のトリトンスクエアまで行って、喫茶店で念のためスマホでチェックしたら「中止」になっていたのです 「実施」がいつ「中止」になったのか不明ですが、入場無料なので文句のつけようがありません しかし、こんなことでめげていては今の世の中 生きていけません   急きょBプラン(別計画)に移ることにしました 今週観る予定の映画が何本かあるので、その中から開演時間がちょうど良い映画を選ぶことにしました    その結果、TOHOシネマズ新宿で上映中の「三島由紀夫 VS 東大全共闘  50年目の真実」を観ることにし、地下鉄大江戸線で新宿に向かいました

TOHOシネマズ新宿の「スクリーン5」の後方の席に着いて場内を眺めると、いわゆる”全共闘世代”と呼ばれる人たちを中心に若い人もちらほら見られ、月曜日にしては結構な観衆が入っています

 

     

 

豊島圭介監督による映画「三島由紀夫 VS 東大全共闘  50年目の真実」(2020年:108分)は、今から51年前の1969年5月13日に東大駒場キャンパス(目黒区)の900番教室で行われた、作家・三島由紀夫と東大全学生共闘会議(全共闘)との討論会の模様を記録したドキュメンタリーです 長らくTBSに保存されていた当時の記録映像(75分の16ミリフィルム)をもとに、関係者への取材映像を交えながら構成したものです この討論会が開かれたのは、東大の学生たちが立て籠もった「安田講堂事件」から約4カ月後にあたります

三島は黒いポロシャツ姿で壇上に立ち、思想信条が正反対の1000人もの学生たちを相手に討論に臨みます 学生たちは「三島を論破して立ち往生させ、舞台の上で切腹させる」と盛り上がっています そんな中、三島は警察が申し出た警護を断り敵地に乗り込んだのでした 最初に発する三島の言葉が印象的です。「言葉というものが、ここで何ものかの有効性があるかもしれない」。そして、「自分は非合法の暴力を否定しないが、その点においては学生たちと同じだ」と述べ、「いつか 非合法で暴力を振るわなければならない時がきたら、それは社会的には許されないことだから、あとは 自決するしかないと考えている」と意味深長な発言をしています そして、「全共闘の諸君が知性主義に刃向かっていることは高く評価する」と語ります 天皇主義者の三島を吊るし上げようと意図していた全共闘のメンバーは、落ち着いてユーモアさえ漂う三島の話術に飲み込まれているようにさえ思えます そんな中で、三島と互角の論戦を張っていたのは、東大全共闘随一の論客と言われた芥正彦(あくたまさひこ)氏です 赤ん坊を抱きながら自己の論理をぶつけ、三島の論理に反論します。その姿は微笑ましいと同時に鋭いなあ、と思わせます 二人は 最後にはタバコの火を交換したりして、まるで同志のような様子を見せたりします。右翼も左翼もない同じ次元に身を置いているように見えます

この映画の良い所は、政治的 あるいは哲学・思想的な難解な言葉のやり取りが為されるところで、内田樹氏、平野啓一郎氏らの解説を挟むことによって、観衆が理解し易いように工夫していることです    一例を挙げれば、三島が「自分は非合法の暴力を否定しないが、その点においては学生たちと同じだ」と述べている点について、識者(内田樹だったか?)が「三島は右翼の自身と左翼の全学連とは『反米愛国という点で一致している』と認識していた」とコメントしていましたが、今さらながら なるほどと思いました

この映画を観終わって、あらためて感じるのは、三島由紀夫という人は誠実な紳士だということです 相手が学生であってもリスペクトしながら自己を主張していきます。挑発にはユーモアで応えます 彼は最後に「諸君の熱情は信じます。ほかのことはともかく、熱情だけは信じます」と言い残して会場を去っていきます

この討論会の約1年半後の1970年11月25日、三島は自身が組織した「楯の会」のメンバーと共に新宿区の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に赴いて、総監を拘束し 憲法改正のための自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後、割腹自殺します    討論会での三島の発言を思い起こすと、すでにあの時、この日が来ることを覚悟していたのではないかと思います

自分自身を振り返ってみれば、この討論会があった時は高校生で、校内で反戦ビラを配って生徒指導の教諭に捕まった頃で、三島の割腹事件があったのは大学に入ったばかりの頃でした 茨城出身のO君に誘われて、興味本位で新宿西口公園で開かれていた革マル派の集会を”見学”に行って怖い思いをしたのもあの頃でした

討論会から50年後、前出の芥正彦氏は当時を振り返って、カメラに向かって言います

「言葉に力があった最後の時代だ」

彼の言わんとすることはよく分かります しかし 突き詰めて考えると、「音楽の力」という言葉について坂本龍一氏が「音楽には力がない」と喝破したように、「言葉には力がない」のではないか つまり「言葉(そのもの)には力はなく、それを操る人によってその重みが異なる」ということではないか 言葉を使う人が信頼に値するかどうかで、その言葉の価値が変わってくるのではないか

閣僚が不祥事を起こすたびに安倍首相が言っていた「任命責任は私にあります」という言葉を思い浮かべます 事あるごとに そう言いながら、一度でも責任を取ったことがあるのか  

われわれは いま「言葉に力がない時代」に生きているのだろうか

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伊坂幸太郎著「AX アックス」を読む ~ 「蟷螂の斧」を甘く見るな! / 「柿の種」の「柿の種:ピーナッツ」の割合が6:4から7:3へ変わる!

2020年03月23日 07時20分50秒 | 日記

23日(月)。昨日、チケットポート池袋で3月31日の「オーケストラの日」公演中止に伴う払い戻しを受けてきました。手数料を含めて2100円が戻りました 今日は、3月26日の「東京春祭『ジャコモ・プッチーニ』」の払い戻し請求を郵送で出します

ということで、わが家に来てから今日で2001日目を迎え、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、トランプ米大統領は記者会見で、「マラリアの治療薬が新型コロナウイルスにも効果がある可能性がある」という発言を繰り返し、「ほとんど間髪を入れずに使えるようにする」「(一気に形成を逆転する)ゲームチェンジャーになるかも」と発言していることに対し、NBCの記者が「楽観的に物事を表現することが、米国民に誤った希望を持たせているのではないか」とただしたのに対し、「君はひどい記者だ。ひどい報道だ。君がしているのはセンセーショナリズムだ」とまくしたてた  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     気休め発言は国民の不信感を増長するだけ! トランプはまったく解かっていない

 

         

 

衝撃のニュースです    亀田製菓の「柿の種」の「柿の種:ピーナッツ」の比率が6月から変わるというのです ここだけの話ですが、私はこの「柿の種」が大好きで、夏期に限らず 毎日2袋は食べています 現在の6:4が 7:3になりピーナッツが少なくなります 個人的には6:4のままの方が良いと思うのですが、国民投票の結果だというので仕方ありません

 

     

     

 

         

 

伊坂幸太郎著「AX  アックス」(角川文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年千葉県生まれ。1995年東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー 2004年「アヒルと鴨とコインロッカー」で第25回吉川英治文学賞新人賞、短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞を受賞、2008年「ゴールデンスランバー」で第21回山本周五郎賞、第5回本屋大賞を受賞するなど数々の文学賞を受賞しています このブログでは文庫化されるたびにご紹介してきました

 

     

 

主人公の三宅は表向きは文房具メーカーの営業社員であるが、裏では「兜(かぶと)」と名乗る一流の殺し屋 怖いものなしの彼の唯一の欠点は恐妻家であること 妻の機嫌を損ねないため細心の注意を払いビクビクしながら生活している そんな彼は一人息子の克己が生まれた頃から「人を殺す稼業を辞めたい」と思うようになる 引退するためには殺人のブローカーである医者から依頼される手術(=殺人)をこなして必要な金を稼ぐ必要があり、仕方なくずるずると”仕事”を続けていた しかし、彼はノルマを達成しないまま自死してしまう その10年後、息子の克己は、どんな父親だったのかを探していく

「AX」とは「斧」のことです なぜこの小説のタイトルが「AX」なのか? それは「蟷螂の斧」からきています。兜と克己の会話を再現します

兜「蟷螂(とうろう)の斧って言葉を知ってるか?」

克己「灯籠流し流しみたいな?」

兜「カマキリのことだ。カマキリが手の斧を振り上げている姿を思い浮かべてみろ。勇ましいけれど、しょせんはカマキリだ」

克己「負け犬の遠吠えみたいな意味?」

兜「似てるが、少し違う。カマキリは勝つつもりだからな。弱いにもかかわらず、必死に立ち向かう姿を、蟷螂の斧という」

克己「親父も、おふくろに怒られているばかりだから、時にはがつんとやったらどうだろう」

兜「斧でがつんと」

克己「でもそのことわざは、カマキリもその気になれば、一発かませるぞ、という意味合いではないんだろ」

兜「どちらかといえば、はかない抵抗という意味だ。ただ、カマキリの斧を甘く見てるなよ、と俺は思うけどな」

この会話の中に、殺人ブローカーの医者に対する兜の対決姿勢が表れていると思います 伊坂幸太郎の描く主人公はどこかすっとぼけていて、人間味を感じます そして、本当に悪い奴は許さないという正義感を感じます そんなところが、伊坂幸太郎の魅力だと思います

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Trio Accord「ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会Ⅲ』」を聴く ~ 新型コロナウイルスに負けずに渾身の演奏を展開した白井圭、門脇大樹、津田裕也の3人を忘れない!

2020年03月22日 07時25分13秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日でちょうど2000日目を迎え、韓国軍合同参謀本部は21日、北朝鮮が同日午前6時45分頃と50分頃に、北朝鮮北西部の平安北道宣川付近から北東の日本海側に向けて、短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体を2発 発射したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプ君が相手にしないから 金ちゃん イジケちゃって 今月3回目の発射だよ

 

         

 

昨日、上野の旧東京音楽学校奏楽堂で Trio  Accord「ベートーヴェン『ピアノ三重奏曲全曲演奏会Ⅲ』」を聴きました 「東京・春・音楽祭」参加公演です

晴れた良い天気だったので、JR上野駅の広小路口の改札を出て 上野の山を登って桜を見ながら旧奏楽堂に向かいました    例年は桜の木の下で ろくに花を見ないで宴会を繰り広げる光景がそこかしこで見られますが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて 花見は「宴席禁止」となっていることから、そぞろ歩きながら五分咲きの桜を見る人が多く見受けられました また、中国や韓国を中心とする外国人観光客が少ないのも今年の特徴だと思います    私はこちらの静かな花見の方が好きです

 

     

     

 

さて、当日のプログラムはベートーヴェン①ピアノ三重奏曲 第10番 変ホ長調 作品44、②創作主題による14の変奏曲、③ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 作品1‐3、④ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97 ”大公” です 「Trio  Accord」はヴァイオリン=白井圭、チェロ=門脇大樹、ピアノ=津田裕也の3人から成るユニットです

 

     

 

例によって、サーモグラフィーを通り抜け、両手をアルコール消毒して、自分でチケットの半券を切って、プログラムを取って会場に入りました 自席は け列18番、センターブロック右通路側です。会場は、何と9割くらい入っています あまりの嬉しさに涙がチョチョ切れそうになりました

1曲目は「ピアノ三重奏曲 第10番 変ホ長調 作品44『創作主題による14の変奏曲』」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1792年頃(22歳前後)に作曲されました 「主題」は当時人気のあったディッタースドルフのジングシュピール「赤頭巾」のアリアの一部から採られています

3人が登場して演奏に入ります 冒頭の数小節で、津田、門脇両氏が白井氏の方を見ながら演奏を止めてしまいました 白井氏も「あれ?」という顔をして止めました 楽譜を見直してから、2人に「すまん、許してちょ」という仕草を見せます。どうやら2曲目「第3番」の第1楽章の冒頭を演奏してしまったようです こういうケースは極めて珍しいと思います 生前のカラヤンがウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで、違う曲と振り間違えて、オケのメンバーに不思議そうな顔をされ、苦笑して振り直したことを思い出しました

この曲はベートーヴェン得意の「主題と変奏曲」なので曲想の変化が楽しめました ただ、まだベートーヴェンらしさが感じられないのは否めませんでした

2曲目は「ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 作品1‐3」です この曲はベートーヴェンの全作品の中で一番最初に作品番号を付けた3曲のピアノ三重奏曲の一つで、1794~95年(24~25歳)に作曲されたと言われています 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・ヴァリアツィオー二」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります

3人の演奏で第1楽章に入りますが、短調特有のデモーニッシュな曲想で、ほの暗い情熱を感じます    同じ「作品1」の中でも最も充実した響きを感じ取ることができます    最終楽章は推進力に満ちた情熱的な曲想で、3人の熱演が繰り広げられました

 

     

 

プログラム後半は「ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 作品97 ”大公” 」です この曲は1811年(41歳)に作曲され、1814年にベートーヴェン自身がピアノを弾き初演されました 「大公」という呼び名はオーストリアのルドルフ大公に献呈されたことに由来します 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ・マ・ぺロ・コン・モート」、第4楽章「アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

冒頭、津田のピアノ独奏が素晴らしい    そしてヴァイオリンとチェロが加わるアンサンブルが美しい   そして第3楽章のアンダンテ・カンタービレが心に沁みます    第4楽章は弾むような曲想で、ピアノが主導して軽快に駆け抜けます   全体を通して、弱音を重視したソフトで上品な演奏だったように思います

文字通り満場の拍手に、白井氏が「こんなに大勢の人にお集まりいただき、ありがとうございました    アンコールに、1日目に演奏した曲を演奏します」とあいさつし、「ピアノ三重奏のためのアレグレット 変ロ長調 WoO39」を軽快に演奏し、再び大きな拍手に包まれました

これで3日連続の演奏会を終了したわけですが、日を追うごとに聴衆の数が増えていったことは素直に嬉しく思います 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてコンサートの中止が相次ぐ中、数少ない生のコンサートを聴くために当日券を求めて聴いた人も少なくなかったと思います 白井氏の話によると、練習の場所の確保にも苦労されたとのこと そんな厳しい状況の中で、生の演奏を聴かせてくれた3人の皆さんには感謝の想いでいっぱいです 私は白井圭、門脇大樹、津田裕也の3人の名前を忘れることはないでしょう

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