人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

偏見 ~ メゾソプラノ脇園彩さんに関する記事を読んで思ったこと

2023年04月30日 06時53分53秒 | 日記

30日(日)。月末を迎えたので、4月における3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=13回、②映画鑑賞=13本、③読書=2冊でした ①はこのほか、新日本フィルの公開リハーサルを見学しました

豊島区役所から6回目の「新型コロナウイルスワクチン接種券」が届いていたので、5月中旬の3日連続でコンサートのない日を選んで予約を入れました。もう6回目か、という感じです

ということで、わが家に来てから今日で3029日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は28日、国家反逆罪の最高刑を従来の懲役20年から終身刑に引き上げる改正刑法に署名した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国民を騙すのが国家反逆罪なら 改正刑法の最初の適用者はプーチン大統領だろう!

 

         

 

先日の朝日新聞夕刊にメゾソプラノ歌手・脇園彩さんの記事が載っていました 脇園さんが新譜「Amore~アモーレ」を出したタイミングで、同社の吉田純子編集委員がインタビューしたものです 吉田さんは「矛盾をはらむ人間性の全てを、声ひとつで表現し抜く。コロナ禍の思索を経て得た、そんな純度の高い意志に貫かれている」と評しています

私が最初に脇園彩さんの存在を知ったのは2019年5月にモーツアルト「ドン・ジョバンニ」ドンナ・エルヴィーラを歌って新国立オペラ・デビューを果たした時です 「この人は、これから伸びる」と思いました その後、新国立オペラでは2020年2月にロッシーニ「セヴィリアの理髪師」ロジーナ、2021年2月にモーツアルト「フィガロの結婚」ケルヴィーノ、同年10月にロッシーニ「チェネレントラ」タイトルロールを歌い、すっかり人気者になりました もちろん彼女は、世界中のオペラハウスで得意のモーツアルト、ロッシーニをはじめ幅広いレパートリーを歌っています

脇園彩さんで思い出したことがあります ある時、ある人と日本人歌手の実力について話題になった時、私は「今の日本人歌手は昔と違って実力のある人が揃ってきている たとえば脇園彩さんとか、森谷真理さんなどは世界に通用する歌唱力と表現力を兼ね備えている」と言ったのですが、その人は「でも、どう努力したって欧米の歌手には敵いませんよね。第一、身体の作りからして違うし」と言うのです その人は2人の歌を聴いたことがないばかりか、2人の名前さえ知らないのです それで「どう努力したって欧米の歌手には敵わない」と決めつけるのです こういうのを世間では「偏見」と言います 私には、自分の耳で聴いたことのない人の歌唱について「日本人はどんなに頑張ったって欧米人には敵わない」と決めつけることは出来ません その時 私は、偏見でしか物事を捉えることができない人とは話ができないな、と思いました

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検査入院

2023年04月29日 07時04分00秒 | 日記

29日(土・祝)。昨日午前、前立腺がん検査(前立腺生検)のため都立O病院に1泊入院しました 検査は昨日13時からで約30分ほどで無事に終えました 検査は肛門から超音波の機械を入れて、超音波画像を確認しながら前立腺に針を刺し込んで、前立腺組織を採取します そのため、痛み止めの注射を何か所か打つのですが、これが痛い! その一方、検査の針を打ち込む時にバンという大きな音が出るのですが、音の割には さほど痛くありません 結局、16回バンを繰り返しました 検査結果は5月中旬に通院する際に主治医から伝えられます それまではお酒は控えるようにとのことで、辛いです

そもそも生検の発端は、PSA(前立腺特異抗原)値が高いため、昨年暮れからヘルニアの手術と並行して計画していたもので、1週間前の新型コロナPCR検査で陰性だったため予定通り生検を行うことになったものです この検査は令和天皇が受けたことでも知られています

検査後、14時にやっと昼食にありつきました 炊き込みご飯が美味しかったです入院すると食事しか楽しみがないのですよね

     

 

次は夕食です。手作りコロッケが美味しかったです

 

     

今日は、この後朝食をとって、会計を済ませてから退院します

今回は1泊でしたが、耳栓を持参すればよかったと反省しました。ベッドが6人部屋の入口側にあり、夜中に頻繁に鳴るナースコールが気になって、なかなか寝付けなかったからです 次回の反省材料にしたいと思いますが、次回の入院がないことを切望します

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パーヴォ・ヤルヴィ ✕ マリー・アンジュ・グッチ ✕ NHK交響楽団でラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、シベリウス「交響曲第4番」他を聴く ~ N響4月度Bプロ2日目公演

2023年04月28日 00時20分04秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから今日で3027日目を迎え、ロシアの刑務所に収監中の野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が「テロ容疑で当局の捜査を受けている」と述べた、と支援者が代理投降した声明で明らかにしたが、有罪になれば さらに禁錮30年が科せられる可能性がある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     暗殺失敗の次は テロ容疑のでっち上げときた 収監されている者にテロができるか?

 

         

 

昨日、夕食に「海老の肉巻き焼き」「生野菜サラダ」「大根の味噌汁」を作りました 海老の肉巻きは焼いた後、若干蒸していたら海老が固くなってしまいました。次回の反省材料にします

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールでNHK交響楽団4月度定期Bプロ2日目公演を聴きました プログラムは①シベリウス「交響曲第4番 イ短調 作品63」、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、③チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32です 演奏は②のピアノ独奏=マリー・アンジュ・グッチ、指揮=パーヴォ・ヤルヴィです

 

     

 

オケは変則15型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはN響特別コンサートマスターの篠崎史紀です

プログラム前半はシベリウス「交響曲第4番 イ短調 作品63」です この曲はジャン・シベリウス(1865ー1957)が1909年から1911年にかけて作曲、1911年4月3日にシベリウス自身の指揮によりヘルシンキで初演されました 第1楽章「テンポ・モルト・モデラート、クワジ・アダージョ」、第2楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「イル・テンポ・ラルゴ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

今週に入って、ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団のCDで予習しておいたのですが、印象が全く違います バルビローリ ✕ ハレ管の演奏ではワーグナーの影響を感じ取ったのですが、ヤルヴィ ✕ N響ではそのような印象は微塵もありませんでした    いかに指揮者によって解釈が異なるかを思い知らされました    本公演を聴いた印象は、極めて内省的で、シベリウスのストイックな面が前面に出た演奏だったと思います なお、ヤルヴィは第1楽章と第2楽章を間を置かず、第3楽章と第4楽章を間を置かずに演奏しましたが、彼なりの解釈があるのでしょう

 

     

 

プログラム後半の1曲目はラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1934年に作曲、同年11月7日にボルティモアでラフマニノフ自身のピアノ独奏により初演されました 主題はパガニーニ「24の奇想曲」の第24曲「イ短調」で、「序奏」「主題」「24の変奏」から構成されています

ピアノ独奏のマリー・アンジュ・グッチは1997年アルバニア生まれの26歳 13歳でパリ国立高等音楽院ピアノ科に入学し、二コラ・アンゲリッシュに師事しました

黒を基調とする銀のラメ入りの衣装に身を包まれたグッチが入場しピアノに対峙します 「おやっ?」と思ったのは、彼女は眼鏡をかけて登場したからです 登場する時は眼鏡をかけず、ピアノを弾く直前に眼鏡をかけるケースはよく見かけますが、最初から眼鏡をかけて登場したのを見たのは多分彼女が初めてです 彼女は暗譜で弾きますが、「見た目はどうでもよい。演奏で判断してほしい 飾りじゃないのよ眼鏡は、はっは~ん」という姿勢でしょうか

ヤルヴィの指揮で演奏に入ります グッチは速いテンポの変奏での演奏が鮮やかです 確かなテクニックの裏付けのもと、難しさを微塵も見せずに呆気なく弾き切る姿は爽やかささえ感じます また、ゆったりしたテンポの変奏では詩情豊かにたっぷり歌い上げます 「第18変奏」がその最たるもので、ロマンティシズムの極致をいく演奏でした ヤルヴィ✕N響はソリストに寄り添い、引き立てました

満場の拍手にグッチは、左手だけで演奏を始め、とうとう最後まで弾き通しました モーリス・ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」の「カデンツァ」でした これがまた素晴らしい演奏で、グッチは再び大きな拍手に包まれました

最後の曲はチャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1876年に作曲、1877年3月9日にモスクワで初演されました

高坂はる香さんのプログラムノートによると、この曲はダンテの「神曲」より「地獄篇」第5歌(フランチェスカとパオロの悲恋を描く)を題材としたもので、当初、チャイコフスキーはオペラにしようと構想したものの「全く不可能」と判断し、幻想曲の創作に踏み切ったとのことです

ヤルヴィの指揮で演奏に入ります この曲は初めて聴きますが、冒頭は絶望的とも言えるような重苦しい音楽が繰り広げられます その後、同じ作曲家の「幻想序曲”ロメオとジュリエット”」のようなドラマティックな曲想が展開します テンポが急速になる場面では、ヤルヴィが さかんにヴィオラセクションを煽り立て、首席の佐々木氏をはじめとするヴィオラ軍団が命を懸けた渾身の演奏を展開していたのが印象的でした オケの総力を挙げてのフィナーレは劇的で、圧巻の演奏でした    カーテンコールが繰り返され、この日が今シーズン最後の出番となったヤルヴィに、楽団員を代表して打楽器奏者の黒田英実さんから花束が贈呈されました

 

     

 

ヤルヴィは今年9月から始まる2023/2024シーズンでの出番はありません N響への貢献度が大きかっただけに惜しいと思います

 

     

 

 

 

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METライブビューイングでワーグナー「ローエングリン」を観る ~ ピョートル・ベチャワ、クリスティーン・ガーキー、ギュンター・グロイスベックにブラボー!

2023年04月27日 06時45分34秒 | 日記

27日(木)わが家に来てから今日で3026日目を迎え、谷国家公安委員長は25日、東京都内での自民党衆院議員のパーティーで、岸田首相が今月15日に和歌山市内で襲撃された事件の一報を受けた後も「うな丼を食べた」と発言し、野党から批判が出ている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     わざわざ「うな丼食べた」と言う? 野党も もっと大事な問題を追及すべきだろう!

 

         

 

昨日、夕食に「お肉やわっやわ鶏のガリチー煮」を作りました 先日、娘のリクエストで作ったところバカ受けしたので、再挑戦しました ガリチーはガーリック&チーズです。とても美味しかったです

 

     

 

娘はチーズや牛乳が中心のソースを残して、パスタソースにしてスパゲティーを食べていました よほど気に入ったのだと思います

 

     

 

         

 

昨日午前10時から、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ワーグナー「ローエングリン」を観ました これは今年3月18日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はローエングリン=ピョートル・ベチャワ、エルザ=タマラ・ウィルソン、オルトルート=クリスティーン・ガーキー、テルラムント=エフゲニー・ニキティン、ハインリヒ=ギュンター・グロイスベック。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=フランソワ・ジラールです

幕間のMETラジオ解説者W.バーガーの説明によると、メトロポリタン歌劇場で「ローエングリン」が最初に上演されたのはMET創設の1883年シーズンだったとのことです 今回の公演はフランソワ・ジラールによる新制作によるもので、期待が高まります

 

     

     

「ローエングリン」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1846年から48年にかけて作曲、1850年にワイマールで初演された全3幕・ドイツ語によるオペラです

ブラバント国の公女エルザ姫は、公国の継承権を持つ弟ゴットフリートを暗殺したという あらぬ疑いをかけられていた    訴えたのは、人望のある貴族テルラムント伯だった ドイツ国王ハインリヒ1世のもとで、その裁判が行われる。危機に陥ったエルザの祈りに応え、白鳥の曳く小舟に乗って、一人の若く美しい騎士が現れる🦢 謎の騎士は、テルラムントを決闘で破り、エルザの潔白を証明する 人々はその奇跡に熱狂する(以上第1幕)。

エルザと騎士の結婚が決まる だが、恥辱を蒙ったテルラムントとその妻オルトルートは、謎の騎士の没落を狙って策謀を重ねる 騎士がエルザに「名前も素性も問うてはいけない」と命じていたことから、まずエルザにあらぬことを吹き込み、彼女の心に騎士に対する疑いの念を生じさせていく 晴れの婚礼の行列に割り込み、その騎士は魔術を使うまやかし者であると繰り返し主張する夫妻の言葉を騎士は一蹴するが、エルザの胸には、騎士への疑いが次第に芽生え始める(以上第2幕)。

婚礼の夜の語らいが進むうち、ついに衝動を抑えきれなくなったエルザは、禁断の問いを騎士に向かって発してしまう お名前は? 御身分は? これによりすべてが崩れ去る 夜が明けると騎士は、人々の前で、自らの名をローエングリンと明かし、その出自を語った上で、白鳥をゴットフリートの姿に戻し、聖杯の国へ帰っていく エルザの悲嘆、ゴットフリートを魔術で白鳥に変えたという自らの悪事が露見したオルトルートも斃れる(以上第3幕)。

 

     

     

指揮をとるヤニック・ネゼ=セガンは1975年モントリオール生まれ。2018年9月にMET第3代音楽監督に就任、フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督と兼任しています

指揮者がオーケストラ・ピットに入り、第1幕への前奏曲が神秘的なサウンドで展開します ステージは「地下の世界」で、天井に大きな穴が空いていて、月が見えます それは人間の目のようにも見えます この舞台が本当に美しく宇宙的な広がりを感じます また、ブラバント国の国民の衣装が白と黒のリバーサルで、明と暗を一瞬で変化させます 登場人物が相当豪華な衣装なのに、主人公のローエングリンだけがサラリーマンの黒ズボンにワイシャツ姿です この演出では、ローエングリンはごく普通の人間であることを表しているようです

歌手陣は総じて絶好調でした

ローエングリンを歌ったピョートル・ベチャワは1966年ポーランド生まれ METを代表するリリック・テノールですが、何を歌っても素晴らしく、ローエングリンでもドラマティックな歌唱で聴衆を魅了しました 幕間のインタビューで、ほとんど出番のない第2幕の楽屋での過ごし方について尋ねられ、「ゴルフゲームをやったり、他のオペラの勉強をしたりしている」と答えていました

エルザを歌ったタマラ・ウィルソンはアメリカ・アリゾナ生まれ 恵まれた身体を生かしたドラマティック・ソプラノで、余裕のある歌唱力を発揮しました

オルトルートを歌ったクリスティーン・ガーキーは1969年ニューヨーク生まれ。METライブでは「ワルキューレ」ビュルンヒルデ、「トゥーランドット」タイトルロールなどで存在感を示しましたが、今回も強靭なドラマティック・ソプラノで圧倒しました 幕間のインタビューで、「悪役オルトルート」をどう演じるかについて、演出のフランソワ・ジラールと話し合ったそうですが、カラスの動作を真似することにしたそうです そういえば、指先の動作などがカラスに似ていました

テルラムントを歌ったエフゲニー・ニキティンは1973年旧ソ連ムルマンスク生まれ 比較的明るいバスバリトンの魅力を発揮しました

ハインリヒを歌ったギュンター・グロイスベックは1976年オーストリア生まれ 深みのあるバスで、威厳のあるドイツ国王を歌い演じました

今回も存在感を示したのは、総勢130人のメトロポリタン歌劇場合唱団の圧倒的なコーラスです

特筆に値するのはヤニック・ネゼ=セガンの指揮のもと、歌手に寄り添いつつ無限旋律を奏で続けたメトロポリタン歌劇場管弦楽団の渾身の演奏です オーケストラ単独で演奏された各幕への3つの前奏曲は、それぞれの幕の内容を凝縮する見事な演奏で、思わず聴き入ってしまいました

つくづくMETオペラは一流ではないな、と思います 超一流です

METライブビューイング、ワーグナー「ローエングリン」は、新宿ピカデリーでは本日(27日:10時開始)までですが、銀座東劇では5月4日(木)まで上映されます 上映時間は幕間のインタビューや2回の休憩(各10分)などを含め4時間56分です

まだご覧になっていない向きは、今度の連休中に鑑賞してはいかがでしょうか 決して後悔はしません

 

     

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「レコ芸」休刊、岐路に立つ音楽批評 ~ 日経の記事から / ロバート・エガース監督「ノースマン 導かれし復讐者」、デヴィッド・ロウリー監督「グリーン・ナイト」を観る:早稲田松竹

2023年04月26日 06時44分54秒 | 日記

26日(水)。昨日の日経夕刊のコラム「文化往来」は「『レコ芸』休刊、岐路に立つ音楽批評」という見出しの記事を掲載していました 記事を超略すると次の通りです

「月刊音楽誌『レコード芸術』が7月号(6月20日発行)で休刊すると発表し、波紋が広がっている 版元の音楽之友社が発表した直後から、評論家が存続を求めて署名活動を開始。1週間でファンら3000人の賛同を得て、多くの音楽家も支持した 音楽文化を支える柱の一つだった音源作品の批評は岐路に立たされている ピークだった80~90年代には約10万部を発行 現在は5万部ほどに減った ピーク時には月間約400作品のクラシックCDが発売され、批評の対象となっていたが、現在は100作品ほどまでに減り、レコード会社からの広告出稿が落ち込んだという 読者の85%が50~70代で高齢化も進む 音楽の友社の大谷常務執行役員は『クラシック界全体の問題でもあるが、若い読者を育てることができないままに厳しい状態に陥った』と話す。批評での特選盤選出は店頭の販促効果が見込めるだけでなく、活動の弾みにする音楽家も多い 同社は他媒体やネットへの移行を含め批評存続の可能性を探っているが、結論は出ていないという

「レコード芸術」については以前 ブログに書きましたが、私の場合はクラシックのLP1500枚、CD4000枚になった時点で、繰り返し鑑賞可能な「パッケージ音源媒体による音楽鑑賞主義」から一期一会の「ライブコンサート鑑賞主義」へと方針転換した関係で、現在では「レコ芸」を購読する習慣はありません CDに関する新譜情報については新聞の情報を参考にしていますが、滅多に購入しないのが実情です SNSでライブ・コンサート評が誰でも発信可能となった現在、音楽之友社の次の懸念材料は月刊「音楽の友」の存続の可否ではないか、と心配しています

ということで、わが家に来てから今日で3025日目を迎え、国連の安全保障理事会は24日、ロシアのラブロフ外相が議長となり会合を開いたが、ラブロフ氏がウクライナ侵攻を正当化する発言を展開したのに対し、欧米の代表者らからは改めてロシア批判が相次いだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ラブロフ氏も辛いよね 本当はプーチンの言いなりは嫌なんだろ 正直に言っらどう

 

         

 

昨日の夕食は、娘が通販で購入した「リュウジの本気(マジ)カレー」にしました あとは生野菜サラダです。スパイシーなカレーには赤ワインです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ノースマン  導かれし復讐者」と「グリーン・ナイト」の2本立てを観ました

「ノースマン  導かれし復讐者」はロバート・エガース監督による2022年製作アメリカ映画(137分)です

時は10世紀初頭のスカンジナビア地域の、とある島国。10歳のアムレートは父オーヴァンディル王(イーサン・ホーク)を叔父フィヨルニル(クレス・バング)に殺され、母グートルン王妃(ニコール・キッドマン)も連れ去られてしまう たった一人で祖国を脱出したアムレートは、父の復讐と母の救出を心に誓う 数年後、アムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)は東ヨーロッパ各地で略奪を繰り返す獰猛なバイキングの一員となっていた 預言者(ビョーク)との出会いにより己の使命を思い出した彼は、宿敵フィヨルニルがアイスランドで農場を営んでいることを知る 奴隷に変装して奴隷船に乗り込んだアムレートは、親しくなった白樺の森のオルガ(アニャ・テイラー=ジョイ)の助けを借り、叔父フィヨルニルの農場に潜り込む

 

     

     

【ネタバレ注意】

アムレートはフィヨルニルの館に潜入し、そこで母グートルンに出会い正体を明かしますが、グートルンは、アムレートは自分が奴隷だった時にオーヴァンデイルに犯されて生まれた”望まぬ子”だったこと、オーヴァンデイルとアムレートを殺すために自分がフィヨルニルに反乱を起こすよう頼んだことを告白します ここで父と母の立場が逆転し、アムレートは混乱してしまいます これはモーツアルトの歌劇「魔笛」におけるザラストロと夜の女王の関係と同じだな、と思いました もっとも「魔笛」は前半が父親が”悪役”で、後半が母親が”悪役”になりますが 結局アムレートは母を殺し、フィヨルニルと決闘することになり、相討ちで死ぬことになります 唯一の救いはアムレートとオルガとの間に新しい命が宿っていたことです

正直言って、ストーリーの長さの割には、冗長な感じがしました

 

         

 

「グリーン・ナイト」はデヴィッド・ロウリー監督・脚本・編集による2021年製作アメリカ・カナダ・アイルランド合作映画(130分)です

アーサー王(ショーン・ハリス)の甥であるサー・ガウェイン(デブ・パテル)は、正式な騎士になれぬまま怠惰な毎日を送っていた クリスマスの日、円卓の騎士が集う王の宴に異様な風貌をした緑の騎士(ラルフ・アイネソン)が現れ、恐ろしい首斬りゲームを持ちかける 挑戦に乗ったガウェインは緑の騎士の首を斬り落とすが、騎士は転がった首を自身の手で拾い上げ、「1年後には私を探し出し、約束通り私の反撃を受けるのだ」とガウェインに言い渡して去っていく カウェインはその約束を果たすべく、未知なる世界へと旅に出る

 

     

 

この映画は、「指輪物語」の著者J.R.Rトールキンが現代英語訳したことで知られる14世紀の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」をデビッド・ロウリーが監督した作品です

【ネタバレ注意】

ガウェインは、旅の途中で様々な人や動物の助けを借りながら、遂に緑の騎士のところに辿り着きます しかし、彼は緑の騎士に首を斬られる覚悟がなかなかできず、「ちょっと待ってくれ まだ準備が出来ていない」を繰り返します。最後に、逃げ出した自身の不幸な末路を幻視したガウェインは、旅に出る前に母親から受け取った”命を守る念を込めた緑の腰帯”を外し、「準備が整った」と告げます 緑の騎士はガウェインの勇気を称え、「それでは、自分の首を持ち帰れ」と告げ、首を斬り落とします

この映画は、奇妙な冒険の旅を通して、真の勇気とは何かを発見するに至る若者の成長を描いたものです

それにしても、1年後には首を斬られるのを分かっていながら緑の騎士の首を斬り落としたのに、「ちょっと待ってくれ。まだ準備が出来ていない」というのはどういうことでしょうか。殺されるのがいやだったら「首斬りゲーム」などやらなければ良かったのではないか でも、それでは映画になりませんね この映画も、長さの割には冗長な感じが否めませんでした

 

     

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アレクサンドル・ソクーロフ監督「独裁者たちのとき」を観る ~ スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、チャーチルが映画出演して罵倒し合う!:ユーロスペース

2023年04月25日 06時53分46秒 | 日記

25日(火)。わが家に来てから今日で3024日目を迎え、中国の蘆紗野・駐仏大使が21日のテレビ番組で、ウクライナやバルト3国など旧ソビエト連邦から独立した国々の主権を疑問視する発言をし、欧州で反発が広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     さすがは専制主義国家同士の考えは一致している 台湾問題を視野に入れた発言だな

 

         

 

昨日、夕食に「牛モモ肉ステーキ」を焼きました あとは「舞茸の味噌汁」です。ステーキはレアで焼いて美味しくいただきました

 

     

     

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースでロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督による2022年製作ベルギー・ロシア合作映画「独裁者たちのとき」(モノクロ・78分)を観ました

深い霧に包まれた廃墟の中にヨシフ・スターリン、アドルフ・ヒトラー、ベニート・ムッソリーニ、ウィンストン・チャーチルという、第2次世界大戦時に世界を動かした者たちの姿があった 舞台はどうやら彼らの死後の世界である。煉獄の晩餐が始まると、彼らは互いの悪行を嘲笑し己の陶酔に浸る 彼らは地獄のようなこの場所で、神の審判を受けるため、天国へと続く門が開くのを待っているのだった

 

     

 

この映画は、ロシアや英国などのアーカイブ機関や個人の記録映像を素材として使用、独特なデジタルテクノロジーで独裁者たちの姿をスクリーンに蘇らせたもので、ディープフェイクと呼ばれる偽の合成映像ではありません セリフも全て実際の発言や手記を引用して、声優が語っています 膨大な史料をスタッフとともに渉猟し、映像処理のプログラムを開発しながら、6年かけて異色の「共演」を実現させたといいます

死後の世界という設定は、地獄や天国をめぐるダンテの「神曲」を思わせますが、関原のり子さんのインタビューに ソクーロフ監督は「ダンテは作品で『いかなる犯罪も罰を逃れられない』と明言し、神曲に登場する人物も罰を受けている だが、映画の登場人物は責任を負うことなく死後の世界にいる 残念ながら犯罪に対して責任を負わない、というのが20世紀、あるいは19世紀から始まった政治理論ではないかと思う」と語っています。その上で「歴史を忘れてはいけないし、歴史のあらゆる悲劇にはそれを招いた人物が存在していることを忘れてはならないと思う」と語っています

この発言は、まさに現在のロシアのプーチン大統領を念頭に置いているように思われます くしくも、ロシアによるウクライナ侵攻の年に完成した本作は物議を醸し、上映を予定していたカンヌ国際映画祭での上映が中止となり、ロカルノ国際映画祭コンペ部門に出品されて大きな話題になったとのことです

個人的に一番印象に残ったのは、ヒトラーのいる高台に群衆が押し寄せ、手を差し伸べるシーンです 群衆の波は まるで大きくうねる荒波に浮ぶ瓦礫のように見えます それはヒトラーが国民を人として扱っていないことを意味しているように見えます さらに言えば、プーチンが8割以上の政権支持率を良いことに 国民を人として扱っていないことに通じるように見えます 主権国家ウクライナに侵攻し、領土を破壊し尽くし、民間人への強盗・殺人を繰り返し、子どもを誘拐して自国の教育を強制し、国民を騙して出兵させ 若者を無駄死にさせている犯罪者プーチンを、「犯罪に対して責任を負わない」として世界は許すわけにはいかない 必ずこのツケは払ってもらう 残念ながら、事実としてプーチン政権を支持している8割以上のロシア国民も、この責任から逃れることは出来ない。覚悟すべきだ

 

     

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ソフトバンクを名乗る詐欺メールに注意! / 岡本裕一郎著「いま世界の哲学者が考えていること」を読む ~ 時代が大きく転換するとき、哲学が活発に展開されている ⇒ 今は歴史の転換期

2023年04月24日 06時45分17秒 | 日記

24日(月)。昨夜、ショートメッセージに「ソフトバンク」を名乗る詐欺メールが届きました 文面は次の通りです

【ソフトバンク】重要なお知らせ、必ずお読みください。http://mbxdchn〇〇〇org

次にソフトバンクのケータイ電話番号とパスワードを入力すると「お客さまへの重要なお知らせ」とあり、「利用料金の未払い金があります」と出てきます

「支払い状況を確認する」をクリックすると、

「下記内容をご確認の上、至急お支払いください。万一、支払期日を過ぎると、弊社通信サービスのご利用を【停止】致します」とあり、

未払い金額:40,000円(税込)

支払い期限:2023年4月23日(支払い期日の延長不可)

支払い方法:クレジットカードのみ(コンビニ、ネットバンキング、電子マネーに「不可」の意味の横線が引かれている)

次に移ると、

カード番号、カード所有者、セキュリティコード、電話番号を入力するよう求めています

非常に分かりやすい詐欺メールです 第一にソフトバンク料金は自動引き落としとなっているので未払いが生じるわけがない 次にその日に請求がきてその日に払えというのもあり得ない さらに、支払い方法がクレジットカードしか認めないというのは明らかに詐欺である 今回はウイルスバスターが機能しなかったのが残念でしたが、ウイルスソフトに頼るまでもなく、阿保のような詐欺メールです 人を騙してお金を奪おうとする人間のクズは あらゆる手段で詐欺メールを送ってきます    皆さん、フィッシング詐欺にはくれぐれも気をつけてください

 

         

 

昨日は、東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団「第261回演奏会」を聴く予定でしたが、山形県鶴岡市から宮城県白石市に転勤になった息子の新しいアパートを見に行くことになり、断念しました

鶴岡市までは上越新幹線と特急列車利用で約5時間かかりましたが、白石蔵王までは東北新幹線で約2時間と非常に便利になりました

 

     

 

最初に、駅のすぐ近くのホテルで昼食を取りながら息子の近況を聞きました 今度の職場は大学・大学院で学んだ材料工学の知識をストレートに生かせる研究・開発を任せられている、と張り切っていたので良かったと思いました ただ、これまであった残業がほとんどなくなり収入が減少してしまったということなので、生活は厳しいと思います 親として出来るだけのことはしたいと思います

 

     

 

昼食後、息子の新しい勤務先まで徒歩で行き(アパートからは徒歩で約5分)、どういう環境で働いているか建物の外から見てきました その後、息子のアパートに行って間取りを確認し、息子が入れてくれたコーヒーを飲んでから帰京しました 今回はごく短い日帰りでしたが、次回に行くときは1泊して白石城などを見学しようと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3023日目を迎え、5月9日のロシア対独戦勝記念日で、恒例の市民らのパレード「不滅の連隊」が今年中止になったと報じられたことを巡り、英国防省は22日、ウクライナでの戦死者の規模が大きくなっていることが原因との見方を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアの対ウクライナ戦勝記念日は永遠に来ないし 世界地図から消える心配もある

 

         

 

岡本裕一郎著「いま世界の哲学者が考えていること」(朝日文庫)を読み終わりました 岡本裕一郎は1954年福岡県生まれ。哲学・倫理学者。玉川大学名誉教授。九州大学大学院文学研究科哲学・倫理学専攻修了。文学博士。著書に「哲学の名著50冊が1冊でざっと学べる」「世界を知るための哲学的思考実験」など多数

 

     

 

本書は2016年9月、ダイヤモンド社から刊行された単行本に加筆・修正し、文庫化したもので、次の各章から構成されています

序 章「現代の哲学は何を問題にしているか」

第1章「世界の哲学者は今、何を考えているのか」

第2章「IT革命は人類に何をもたらすのか」

第3章「バイオテクノロジーは『人間』をどこに導くのか」

第4章「資本主義は21世紀でも通用するのか」

第5章「人類が宗教を捨てることはありえないのか」

第6章「人類は地球を守らなくてはいけないのか」

そして、新たに次の章を加え、アメリカ政治の転換(トランプ政権)、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ戦争について言及しています

第7章「リベラル・デモクラシーは終わるのか」

筆者は「はじめに」の中で概要次のように述べています

「歴史を眺めてみると、時代が大きく転換するとき、哲学が活発に展開されていることがわかる しかも、そうした時代の転換には科学技術の状況が密接に関係している。たとえば、中世から近代へ移行する時期、近代科学が形成されるとともに、羅針盤や活版印刷技術が普及した それによってグローバルな経済活動が引き起こされたり、宗教改革が進展したり、近代国家が組織されたりした こうした社会的な変化に対応するように、哲学として大陸合理論やイギリス経験論が勃興している こうした時代転換に匹敵する出来事が、まさに現代において進行している。20世紀後半に起こった I T(情報通信技術)革命や、B T(生命科学)革命は、今までの社会関係や人間のあり方を根本的に変えていくように思える    また、数百年続いてきた資本主義や、宗教からの離脱過程が、近年大きく方向転換しつつある さらに、環境問題も現代においてのっぴきならない解決を迫っている こうした状況をトータルに捉えるにはどうしても哲学が必要となる 物事を考えるとき、哲学は広い視野と長いスパンでアプローチする。日々進行している出来事に対して、一歩身を引いたうえで、『これはそもそもどのような意味なのか?』『これは最終的に何をもたらすのか?』という形で問い直すことになる 一見したところ、悠長な問いかけのように感じるが、時代がドラスティックに変化するときには、こうした哲学の姿勢が欠かせない。このような考えに基づいて本書を執筆した

多くの哲学書がそうであるように、本書でも有名・無名の数多くの哲学者の理論が次々と登場します 何とか400ページを超える本書を最後まで読みましたが、はっきり言って、眠気との闘いでした 大抵は就寝前にベッドで読んだのですが、2~3ページ読んだところで寝落ちして、気が付くと深夜になっていて、明日にしよう、と後回しになることが常でした したがって内容がまったく頭に入ってこないまま読了したというのが本当のところです

ただ、一つだけ「なるほど」と納得できた理論がありました 第2章第1部の「スマートフォンの存在論」で紹介された、イタリアの現代哲学の旗手マウリツィオ・フェラーリスの「ドキュメント性」という概念です フェラーリスは、かつてマーシャル・マクルーハンが「メディア論」で提示した予言を取り上げます

「マクルーハンによれば、現代はグーテンベルクの活版印刷(書物)の時代が終わり、映像や音声(テレビや電話)の時代に突入している。そのため、一般にも、書くことの時代が終わったと信じられるようになった。近代が『書物』の時代とすれば、現代は『音声・映像』の時代というわけだ。その象徴が携帯電話と言えるかもしれない 固定電話と違って、いつでもどこでも、相互に話し合うことが可能になったのだ。ところが、フェラーリスは、このマクルーハンの規定に異を唱え、現代はむしろ、マクルーハンの予言とは反対の方向、つまり『書くことのブームへと向かっている』と考える 現代の携帯電話は、たんに話すためだけでなく、メールを書いたり、Twitterに書き込んだり、ネット情報を読んだり、映像や音楽をアップ・ダウンロードしたりするために使われている。こうした理解に基づいて、フェラーリスは、現代のスマートフォンが、もはや話すためのものではなく、『書き、読み、記録するための機械』になっていると述べている 彼はそれを『ドキュメント性』という概念で表現している

マクルーハンの名前は懐かしいです 大学時代、新聞学科で学んだ関係でメディア論についても勉強していましたが、マクルーハンの「メディアはメッセージなり」というキャッチは今でも鮮明に覚えています たしかに、フェラーリスの指摘の通り、現代はむしろ、マクルーハンの予言とは反対の方向、つまり『書くことのブームへと向かっている』と言えるかもしれません

さらに、フェラーリスは「ドキュメント性」の特徴として①公共的なアクセス可能性、②消滅せずに生き残ること、③コピーを生み出せることーの3点を挙げています 

筆者は、これを「アラブの春」に当てはめて次のように説明します

「まず、青年の焼身自殺は映像として記録され、青年は死亡しても生き残ると言える この映像は、ネットにアップされることで、公共的にアクセス可能なものとなる また、この映像がFacebookやツィッターなどでコピーされて、多くの人に拡散していった これは話す機能だけの携帯電話では不可能であり、たんにカメラに収めるだけでも可能とはならない むしろ『ドキュメント性』を中心的な機能とするスマートフォンだからこそ可能になったと言える したがって、スマートフォンがなかったならば、『アラブの春』は始まらなかったかもしれない

上記のように考えることが、「哲学的に考える」ということでよろしかったでしょうか

ところで、最近話題になっている対話型 A I(人工知能)「Chat GPT」の登場は、マクルーハンのキャッチ「メディアはメッセージなり」になぞらえれば「Chat GPTはメッセージなり」となるのではないだろうか

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フリードリヒ・グルダ「俺の人生まるごとスキャンダル」、中山七里「隣はシリアルキラー」、辻村深月「傲慢と善良」、原田ひ香「まずはこれ食べて」、門井慶喜「東京、はじまる」他を買う

2023年04月23日 06時42分20秒 | 日記

23日(日)。昨日午後1時からマンション管理組合の理事会が開かれたので、理事長として出席しました 今回も出席者は5名のみでした 2か月後に開く定時総会にむけて議案書の内容を確認しました。役員任期は2年間なので、大規模修繕については総会後に引き続き検討を進め実施することにしました

ということで、わが家に来てから今日で3022日目を迎え、ロシア最高検察庁は21日、北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟を「好ましからざる団体」に指定したが、同連盟のロシア国内での活動を禁止し、対ロ制裁を続ける日本を牽制する狙いとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     その前に 世界はロシアを「好ましからざる ならず者国家」に指定しているけどね

 

         

 

手元の本が残り少なくなったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で文庫本を8冊購入しました

1冊目はフリードリヒ・グルダ著「俺の人生まるごとスキャンダル ~ グルダは語る」(ちくま学芸文庫)です これは鬼才ピアニスト、フリードリヒ・グルダのエッセイ集です

 

     

 

2冊目は中山七里著「隣はシリアルキラー」(集英社文庫)です 「中山七里は七人いる」と言われる多作作家の最新文庫で、何とサイン本です

 

     

 

3冊目は辻村深月著「傲慢と善良」(朝日文庫)です これは突然失踪した女性をめぐる恋愛ミステリーです

 

     

 

4冊目は原田ひ香著「まずはこれ食べて」(双葉文庫)です 「ランチ酒」など著者得意の”食”にまつわる物語です

 

     

 

5冊目は門井慶喜著「東京、はじまる」(文春文庫)です これは東京駅庁舎や日本銀行本店の建築を手がけた辰野金吾の生涯を描いた作品です

 

     

 

6冊目は青山美智子著「お探し物は図書室まで」(ポプラ文庫)です これは町の小さな図書室で働く司書の物語らしいです

 

     

 

7冊目は清水ミチコ著「私のテレビ日記」(幻冬舎文庫)です これはお笑い芸人・清水ミチコのエッセイ集です

 

     

 

8冊目はヨシタケシンスケ著「しかもフタが無い」(ちくま文庫)です これはヨシタケシンスケさんが絵本作家になる前に描いた漫画です

 

     

 

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介していきます

 

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小林研一郎 ✕ 青木尚佳 ✕ 読売日響でメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」、マーラー「交響曲第1番」を聴く ~ 読響「第661回 名曲シリーズ」:東響からの移籍組2人も同時デビュー!

2023年04月22日 00時07分04秒 | 日記

22日(土)。わが家に来てから今日で3021日目を迎え、黒ウサギに脱皮したモコタロです

 

     

 

いきなり大変失礼しました このウサギは娘の仕事仲間が海外旅行に行く20日から30日までの11日間、ケージごと預かってお世話することになったト〇〇君です モコタロより一回り大きく、同じオス同士なので別々の部屋で飼っています モコタロは牧草はあまり食べず、生野菜は一切食べませんが、ト〇〇君は牧草をよく食べ、人参の皮とかも食べます はっきり言って大食いです

ということで、わが家に来てから今日で3021日目を迎え、香港政府が2019年の大規模デモについて、教育の「失敗」が一因と総括して中国式の愛国教育を全面導入したため、変質した教育現場を離職する教師が後を絶たない  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「教育の失敗」は 中国の習近平政権と ロシアのプーチン政権の 専売特許じゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜サラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 生姜焼きは豚小間切れ肉を使っています。舞茸はごま油で炒めてから入れましたが、とてもまろやかで美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第661回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」、②マーラー「交響曲第1番 ニ長調 ”巨人”」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=青木尚佳、指揮=読響特別客演指揮者・小林研一郎です

名曲シリーズも新年度を迎え、席替えしました    かなり前方の左ブロック右から2つ目です。コバケン人気か、会場はほぼ満席です

 

     

 

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは長原幸太、隣は葵トリオの小川響子が客演しています よく見ると、オーボエには東響から移籍した荒木奏美がスタンバイしています。この日が読響デビューでしょうか

1曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1844年に作曲、1845年3月13日にライプツィヒで初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ ~ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の青木尚佳は1992年生まれ。2009年日本音楽コンクール第1位。2014年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位入賞 現在、ドイツの名門ミュンヘン・フィルのコンサートマスターを務めています

青木がシックながらエレガントな衣装で登場   コバケンの指揮で第1楽章に入りますが、コバケンはこの曲ではタクトを使いません    また、ソリストや楽団員との目線が上下にならないように、という配慮からか、指揮台は高さの低いものを使用します

青木尚佳の演奏を一言で言えば「流麗」そのものです 特に高音部のヴィブラートが美しく、第2楽章の演奏などは美しいメロディーが留まることなく流れ、まるでカラヤンの音楽づくりみたいだな、と思いました また、コバケンはあくまでも「ソリスト・ファースト」の精神で、オケを抑え気味にコントロールしている様子が窺えました コバケンの指揮を見ていると、動きが少なく、小さな動きで大きな効果を狙っているように見えました。”炎のコバケン”も83歳。寄る年波には勝てないのかな、と思いました

満場の拍手のなか、カーテンコールが繰り返されましたが、アンコールはありません 予定したプログラムを立派に演奏したのですから、アンコールを演奏する必要はありません。見識です

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第1番 ニ長調 ”巨人”」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1883年から1888年にかけて作曲、その後1893年から96年にかけて改訂した作品です 第1楽章「緩やかに、引きずるように」、第2楽章「力強く動いて」、第3楽章「あまり緩やかになることなく、荘厳かつ荘重に」、第4楽章「嵐のように激動して:アレグロ・フリオーソ」の4楽章から成ります

オケが16型に拡大し、管・打楽器奏者も増え、サントリーホールの舞台が狭く感じます よく見ると舞台下手のハープには東響から移籍した影山梨乃がスタンバイしています どうやらこの日は東響から読響に移籍した2人の同時デビュー公演のようです こういうところにも、読響の心憎い配慮が窺えます

コバケンの指揮で第1楽章が開始されますが、この曲ではタクトを使用します さすがにマーラーはタクトなしでは細かなニュアンスが伝わらないのかもしれません 中盤辺りからのエネルギッシュな指揮ぶりを見て、「寄る年波には勝てない」どころか、まだまだコバケン節が健在だと再認識させられました 第2楽章ではオーボエ、クラリネット、そしてホルンのベルアップ奏法が見られ、ストレートに音が届きました 第3楽章では、冒頭の若き首席・大槻健によるコントラバス・ソロが素晴らしく、荒木奏美のオーボエのトリッキーな演奏が際立っていました 第4楽章ではマーラーの指定通り「嵐」のようなアグレッシブな演奏が展開します ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバといった金管楽器が咆哮し、木管楽器が雄叫びを上げ、弦楽器が渾身の演奏を展開、打楽器が炸裂します フィナーレでは金管楽器全員が立ち上がり、勝利のファンファーレを奏で、圧倒的なフィナーレを飾りました

ところで、余計な心配かもしれませんが、コバケンはゆっくりと音楽が盛り上がるところでは、膝を曲げてイナバウアーのように後ろに反り返りながら指揮をする姿が何度か窺えましたが、あれは危険です 指揮台には柵がないので、後ろに倒れたら頭を打って脳震盪を起こします

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます マーラーの交響曲の後にアンコールはあり得ません コバケンはいつものように管楽器、打楽器、弦楽器の各セクションごとに立たせて賞賛し、首席と握手をします そして、長原コンマスに声をかけ、全員そろって前に一礼、後ろに一礼、右に一礼、左に一礼、最後に前に一礼してオケを解散しました まず最初に、お客様に喜んでもらうこと、次にオーケストラの奏者に気持ちよく演奏してもらうこと、そして最後に自身が良い指揮をすること・・・これが”コバケン”の信条ではないか ”コバケン人気”は、こうした彼の信条と、極めて日本的な”礼儀正しさ”に支えられているのかもしれない、とあらためて思ったコンサートでした

 

     

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オードレイ・ディヴァン監督「あのこと」を観る ~ 中絶が違法だった1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした女子学生が下した結論:これを機会に内密出産について考える

2023年04月21日 06時55分19秒 | 日記

21日(金)。わが家に来てから今日で3020日目を迎え、国連専門機関の国際農業開発基金のアルバロ・ラリオ総裁は19日、東京都内で共同通信の単独インタビューに応じ、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻による物価高がアフリカなどの途上国で「食糧難を招き、貧困や飢餓をさらに悪化させた」と批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国家ロシアのせいで世界中が迷惑を被ってる 独裁者プーチンは責任を取れ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 隔週金曜日に作っていますが、今週は金曜日(今日)が夜 コンサートがあるので1日繰り上げました   栗原はるみ先生のレシピによる旨味醤油に鶏もも肉を5時間漬けておいたので、タレがよく浸み込んで美味しく出来ました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でオードレイ・ディヴァン監督による2021年製作フランス映画「あのこと」(100分)を観ました

物語の舞台は1960年代のフランス。アンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は貧しい労働者階級の家庭に生まれたが、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、狼狽する 当時フランスでは中絶は違法だった。アンヌは危険を承知であらゆる解決策に挑む

 

     

 

この作品はフランスの作家アニー・エルノーが、自身の実話を基に書き上げた「事件」を題材に、オードレイ・ディヴァン監督が映画化したものです

これはすごい映画です 全編があくまでもアンヌの目線で描かれています 観客はアンヌ自身になって悩み、決断を迫られます その意味では”映画を通しての実体験”と言えるかもしれません 自分が望む夢と未来を実現したいアンヌにとっては「望まない妊娠」であり、「産むという選択肢」は全くありません 法律で中絶が違法とされていた1960年代のフランスという時代背景を考えると、アンヌが自らの身体を傷つけてまでも「今は産まない」ことを選んだのは、「今 産んだとしても、子どもを愛せる自信がない」し、「もし産んだら、子どもに足を引っ張られる恐れがある」と考えたからであり、何より「何者にも束縛されることなく、今やるべきことををやりたいから」なのです 果たしてアンヌの出した結論は正しいのか、正しくないのか・・・映画を観ている一人ひとりが問われます

アンヌを演じたアナマリア・ヴァルトロメイの体当たり演技が凄い この映画は2021年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しましたが、受賞に値するリアリティのある作品です

さて、たまたま昨日の朝日新聞朝刊第1面に、熊本市にある慈恵病院で内密出産した10代の女性が取り上げられていました 同病院で、誰にも知られず 病院の担当者だけに身元を明かして出産する「内密出産」が始まってから1年あまりが経過しました 22年2月に1人目を公表して以降、9人の女性が内密出産をしているそうです。病院の担当者も同席のもと、実際に内密出産で子どもを産んだ女性が初めて取材に応じ、出産に至った経緯や子どもへの思いを語っています

地方都市に住む10代の女性は、子どもの頃から親に殴られて育ち、小学校高学年のときに両親は離婚。親に対する「怖い」とう気持ちが消えず、妊娠を告げることが出来なかった 交際していた彼に妊娠を伝えると「育てよう」と言われたが、1週間ほどで連絡がつかなくなった いくつもの病院に電話したが、「親御さんに相談しましょう」と言われ 諦めた たっぷりした服を着るなど妊娠が目立たないようにして友人宅を転々とした いつまでも隠せないので死のうと思ったこともある 6か月経った頃、聞き覚えのある「内密出産」と言う言葉をネットで調べると慈恵病院に辿り着いた 親には嘘をついて家を空け、飛行機で熊本に向かった 出産後、病院の新生児相談室長にだけは身元を明かし、身分証のコピーを残した。子どもには自分で名前をつけた。熊本を離れてからも、子どもと自身の今後について室長と相談を続けている

この記事を読んで、真っ先に思ったのは、妊娠を告げられて「逃げた」彼氏の無責任極まりない態度です この映画のアンヌのように女性ばかりが深刻に悩み、辛い決断をしなければならないという現状。おかしくないか

女性の”告白”を受けて、記事は次のように書いています

「国は昨年9月、内密出産の手順をまとめたガイドラインを公表し、身元を明かして出産するよう説得しても同意が得られない場合、仮名とわかる形で診療録(カルテ)を作成しても違法ではない、などと示しているが、法整備や出自情報の公的な管理などには踏み込まなかった」「国内で内密出産に取り組むのは慈恵病院だけだ。出産前後にかかる費用は病院が負担している 東京都内で実施を検討する動きはあるが、自治体側に慎重な声もあり、実現のめどはたっていない

慈恵病院の室長の元には「中絶するお金がない」「家族を頼れない」といった相談が日々寄せられているといいます 本当に困っている人を助けるのが国の仕事ではないか 内密出産に詳しい千葉経済大短期大学部の柏木恭典教授は「内密出産を法制化することで女性のセーフティネットとして定着させ、全国に取り組みを広げることが大事だ」と訴えているとのことですが、まったくその通りだと思います 少子化が進む日本においてはなおさらだと思います

 

     

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