人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

エリザベス・ウェイン著「コードネーム・ヴェリティ」を読む ~ 第2次世界大戦下における二人の女性の友情物語

2020年08月31日 07時15分50秒 | 日記

31日(月)。今日で8月も終わりですが、まだまだ暑さは続きそうです しばらくはコロナ対策と熱中症対策の両方が欠かせないようです

寝室用のCDプレーヤー(DENON-50)の修理が完了し23日ぶりに戻りました。これで3回目です 3か月以内に3度も故障するのは明らかに欠陥商品です 呑み込んだCDを吐き出さない、再生ボタンを押しても2回に1回は再生しない、という致命的な故障です。この23日間は、ポータブルプレーヤーにテレビ用のスピーカーを付けて単三電池2個で聴いていましたが、合計12本も消費しました。まったく無駄な支出です こうなったら、故障のたびに何度でも修理に出してやろうと居直っています

ということで、わが家に来てから今日で2161日目を迎え、AFP通信は28日、香港「リンゴ日報」の創業者らが香港国家安全維持法違反容疑で逮捕された10日、香港警察の捜査員3人が令状を持って日本経済新聞香港支局のオフィスを訪問したが、消息筋によれば日経が昨年8月に香港の抗議デモへの国際支援を呼びかける意見広告を掲載したことが理由だと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     香港だけでなく 日本の報道関係者にも 中国傀儡政権の強権が及ぶことが判明した

 

         

 

エリザベス・ウェイン著「コードネーム・ヴェリティ」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のエリザベス・ウェインは1964年ニューヨーク生まれ。ペンシルベニア大学で民俗学の博士号を取得。小型飛行機の操縦が趣味。1993年にアーサー王伝説を題材にした物語「ザ・ウインタープリンス」でデビュー 2012年に刊行された本書はアメリカ探偵作家クラブのエドガー賞ヤングアダルト小説部門を受賞している

私がこの本を購入したのは、新聞の読書欄で推薦していて面白そうだと思ったからです

 

     

 

舞台は第2次世界大戦中のイギリス。バイク屋を営む祖父母と暮らすマディ(マーガレット・ブロダット)は、家業を手伝いながら夢見る飛行機の操縦訓練を受け、パイロットのライセンスを取得する。やがて整備の腕を買われて空軍婦人補助部隊に入ると無線技術士になる 彼女はそこで、戦争のためにスイスの寄宿学校を1年早く卒業させられオックスフォード大学に入学したあと、同部隊に入り無線技術士になったクイ―二―に出会う マディがユダヤ人で庶民階級であるのに対し、クイ―二―はスコットランド女王メアリー・スチュアートの血を引く貴族階級だったが、激しい戦争のさなか、二人は親友となっていく 1943年10月11日、二人は奇しくも片やパイロットとして、片やスパイとして、一緒にナチスドイツ占領下のフランスへ飛び立つことになる マディの操縦で当初は順調な飛行が続くが、フランス上空でドイツ軍による対空砲火を浴び、飛行機が故障したことから潜入計画は失敗してしまう 一人はパラシュートで降下したものの、単純な間違いからナチスに捕まって拷問を受け、イギリスに関する情報を漏らすよう強制される ナチスが彼女に与えた猶予は2週間で、告白文を書くために紙を与えられる。彼女はその2週間の間、拷問を受けながらも まるで小説のような形で告白文を書く なぜ彼女はそうしたのか? ここまでが第1部。そして、第2部に入ると、もう一人の生き残った女性の手記により、その2週間に何があったかが語られる

第1部を読んでいると、告白文を書いているのはマディなのか、あるいはクイ―二―なのかこんがらがってきますが、途中で本人の告白が出てきて、「そういうことだったのか」と納得します そして、第2部に入り、もう一人の女性の手記によって物語の全貌が明らかになります

この小説のテーマは、戦時下における二人の女性の命を懸けた相手を思いやる友情です 

ところで、尋問を行うナチスの親衛隊大尉フォン・リンデンの娘の名前はイゾルデといいます 言うまでもなく、”ドイツ”の巨匠ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」から採っていることは明らかです

その一方、ちょっと気になる表現がありました

「『老兵は死なず』を見にあたしを連れていき、監禁されてるドイツ人将校がメンデルスゾーンを聴いている場面でずっと泣いていたときみたい」

『老兵は死なず」は1943年製作のナチズム批判の映画と聞いています メンデルスゾーンは確かにドイツの作曲家なので、ドイツ人将校が聴くのは自然だと思いますが、彼はユダヤ人です 反ユダヤのナチスの将校がユダヤ人作曲家の曲を聴いている場面、というシチュエーションがちょっと不自然に思えたのです 私はこの映画を観ていないので、具体的にどういうシーンなのかが分かりませんが、こういうのはすごく気になります

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エリック・ロメール監督「満月の夜」&「海辺のポーリーヌ」を観る ~ 「喜劇と格言」シリーズ第3、第4作:新文芸坐

2020年08月30日 07時17分03秒 | 日記

30日(日)。わが家に来てから今日で2160日目を迎え、安倍首相が28日に辞任を表明したことに対し、トランプ米大統領は同日、大統領専用機中で「彼は私の素晴らしい友人で、とてもいい関係を築いてきた。辞めるのはとてもつらいことだろうし、とても残念だ」と記者団に語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     世界中で数少ない友人だったもんね  11月の大統領選で後を追うことになると思う

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で、エリック・ロメール監督「満月の夜」と「海辺のポーリ―ヌ」の2本立てを観ました

「満月の夜」はエリック・ロメール監督による1984年製作フランス映画(101分)です

インテリアデザイナーのルイーズ(パスカル・オジエ)はパリ郊外のモダンなアパートで建築家の恋人レミ(チェッキー・カリョ)と暮らしている 生真面目なレミと他人に束縛されたくない自由奔放なルイーズの間には口喧嘩が絶えない レミとの生活に息苦しさを感じたルイーズは、職場があるパリに自分だけの部屋を借り、妻子持ちのボーイフレンド、オクターブ(ファブリス・ルキー二)と遊び歩くようになる あるパーティーで、ルイーズはバスチアン(クリスチャン・ヴァデム)という美青年と知り合う。オクターブの忠告も聞かずルイーズはバスチアンの誘いに乗り、その夜バスチアンとオートバイに乗り、ダンスを踊り、ルイーズの部屋でベッドを共にする しかし、明け方、眠れずに起き出した彼女は、郊外のレミとの部屋が恋しくなり、ひっそりと抜け出して街のカフェに入る そこで、絵を描いている風変わりな中年男に出逢う。彼はルイーズに「きのうは眠れなかったでしょ」と話しかけてきた。「満月の夜は誰も眠れないんですよ」と 彼女は始発電車でレミの部屋に戻ったが、レミは不在だった しばらくして帰ってきたレミは、「好きな女性ができた。君よりも自分に合っている」と語る。ルイーズは泣き崩れるが、オクターブに電話をかけ、会う約束を取り付ける

 

     

 

この映画はエリック・ロメール監督による「喜劇と格言」シリーズの第4作です そもそもなぜ性格が正反対の二人が同棲を始めたのかが不思議に思われるストーリー展開です ルイーズは「自由奔放」と言えば聞こえが良いけれど、ほとんど自分勝手で傲慢です 自分だけの部屋を借りるのは「たまには一人になりたい時があるから」というのは良く分かります しかし、同棲相手に相談することもなく実行するのはルール違反です。さらにレミのことを「愛している」と言葉では言うけれど、まったく態度に表れていません だからレミも我慢の限界がきて、自分に合う女性を見つけたのでしょう。エリック・ロメールという監督は、時にこういう極端な女性を登場させますが、この映画が「喜劇」なのは、レミがだめならオクターブがいるわ、とばかりに電話を掛けるところです レミの頭にドを付けたらドレミになって、あとの音符が揃えばオクターブになりますね

傲慢なまでのルイーズを演じたパスカル・オジェは、本作でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞しましたが、本作公開2カ月後に25歳の若さで急逝したそうです 独特の囁くような甘い声が忘れられません

 

         

 

「海辺のポーリ―ヌ」はエリック・ロメール監督による1983年製作フランス映画(95分)です

15歳の少女ポーリ―ヌ(アマンダ・ラングレ)は、歳の離れた従姉マリオン(アリエル・ドンパール)と一緒にノルマンディの別荘へバカンスにやってくる 海辺へ出かけた2人は、マリオンの元恋人ピエール(パスカル・グレゴリー)と出会う ピエールは現在もマリオンへの思いを引き摺っていたが、マリオンはピエールの知人でプレイボーイの子持ちのアンリ(フェオドール・アトキン)に恋をしてしまう 一方、ポーリ―ヌは海辺でウィンドサーフィンをしていた少年シルヴァン(シモン・ド・ラ・ブロス)と親しくなる    アンリはキャンディ売りのルイゼットを部屋に誘い入れ、戯れているところを通りかかったピエールが偶然目撃する アンリはマリオンに、ルイゼットと部屋にいたのはシルヴァンだったと嘘をつく ピエールが目撃したことをマリオンに伝えても、アンリに夢中なマリオンは信じようとしない 一方、マリオンはシルヴァンに欺かれたと思い込んで悲しむポーリ―ヌを慰める パリに用事ができたマリオンは一時別荘を離れるが、急いで戻ってくると、アンリはスペインへと旅立ってしまっていた マリオンはショックを受けるが、アンリを信じると自分に言い聞かせる

 

     

 

この映画はロメール監督の「喜劇と格言」シリーズの第3作です 主人公のポーリ―ヌは15歳という設定ですが、従姉のマリオンをはじめ大人たちと対等に話をするところが頼もしい マリオンは離婚経験があるのに、「危ない男ほど惹かれる」と 情熱的な恋愛に憧れているし、ピエールは真面目だけれどちょっとうざいところがあるし、アンリに至っては女性なら誰かれかまわずちょっかい出すし・・・と考えると、一番しっかりしているのはポーリ―ヌではないかと思ってきます そこが一番の「喜劇」かもしれません。アンリが寝込みを襲い身体を触ろうとした時、気付いたポーリ―ヌが足蹴りですっ飛ばすシーンは、ジャッキーチェンも顔負けでした

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エリック・ロメール監督「美しき結婚」&「飛行士の妻」を観る ~ ヌーヴェル・ヴァ―グの名匠による「喜劇と格言劇」の第1、第2作

2020年08月29日 07時18分53秒 | 日記

29日(土)。わが家に来てから今日で2159日目を迎え、安倍晋三首相が辞任を表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが11月の大統領選で敗れれば  新しい日米関係が樹立されることになるな

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました キュウリは娘がぬか床に漬けたものですが、なぜか味の濃さにムラがあります

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でエリック・ロメール監督映画「美しき結婚」と「飛行士の妻」の2本立てを観ました

「美しき結婚」はエリック・ロメール監督が1982年に製作した映画(フランス・100分)で、連作シリーズ「喜劇と格言」の第2作です

パリで美術史を学ぶサビーヌ(ペアトリス・ロマン)は不倫相手のシモン(フェオドール・アトキーヌ)に嫌気がさし、とにかく結婚しようと決める 彼女は、玉の輿に乗り 好きな絵の仕事を続けている友人クラリス(アリエル・ドンバル)に、従兄弟で弁護士のエドモン(アンドレ・デュソリエ)を紹介してもらう デートの後、クラリスからエドモンが自分のことを気に入っていると聞いたサビーヌは彼のと結婚を決意するが、弁護士業に多忙なエドモンからは電話1本もかかってこない クラリスから後押しされたサビーヌは自分から弁護士事務所に電話をするが多忙を理由に相手にされない 思い余った彼女はついに彼の弁護士事務所に乗り込んで直談判に及ぶが、エドモンから仕事第一主義を貫くので結婚の意志は全くないと言われ振られてしまう しかし、クラリスは内心は失恋に悲しみながらも「彼は好みじゃなかったのよ」と強気を言う

 

     

 

「結婚」という妄想に取りつかれ、相手がどう思おうがどうしても結婚するんだ、と意気込んで突き進む若い女性の姿をシニカルに描いています サビーヌの頭の中は誇大妄想でいっぱいで、そこから出てくる行動は痛々しいくらいです この映画の救いは、失恋で傷心のはずのサビーヌが 気持ちをさっさと切り替えて、列車内で見かけた若い男に目を付け、新しい恋を仕掛けるシーンで終わっているところです  「 頑張れ サビーヌ   男なんて世界中に捨てるほどいるよ」と声を掛けたくなる名シーンです

 

         

 

「飛行士の妻」はヌーヴェル・ヴァ―グの名匠エリック・ロメールが1980年に製作した作品(フランス・107分)で、連作シリーズ「喜劇と格言」の第1作です

法科に通う苦学生フランソワ(フィリップ・マルロー)は夜はパリ東駅の郵便局で働いている    彼には少し前まで付き合っていたOLのアンヌ(マリー・リヴィエール)という恋人がいて、いまだ未練を断ち切れないでいた そのアンヌには妻子持ちの愛人クリスチャン(マチュー・カリエール)がいたが、いきなり彼女に絶縁を迫ってきた フランソワはアンヌに付きまとうが相手にされず、偶然見かけた、別の女といるクリスチャンを追跡するうちに、同じバスに同乗していたリュシー(アンヌ=マリー・ムーリ)と知り合いになる 成り行きでフランソワとリュシーは一緒にクリスチャンを追跡することになる。クリスチャンと女は弁護士事務所に入っていくので、離婚相談かと勘違いするが、後でクリスチャンと一緒にいたのは彼の妻ではなく妹で、相続問題の相談だったことが分かる その後、フランソワはその顛末を書いた絵葉書をリュシーの家に届けに行こうとする途中で、リュシーが彼の親友とキスしているところを目撃してしまう 彼は葉書を捨てようかと一瞬迷うが、ポストに投函する

 

     

 

この映画ではフランソワが20歳、アンヌが25歳、リュシーが15歳という設定ですが、フランソワは歳相応見えるものの、アンヌとリュシーはそれぞれ5歳以上は上ではないかと思ってしまいます 現実の世界でも映画の世界でも女性の方がませているということなのかもしれませんが

フランソワがアンヌの部屋を訪ねて会話をするシーンがありますが、超ロング・カンバセーションです その中で、アンヌがフランソワに「リュシーという女の子に葉書を書くのよ」と言うシーンがあります これを見て私は、アンヌは「私のような年上の女性を追いかけていないで、年下の女性にアプローチしなさい」と言っているのではないか、と思いました それから連想して、リヒャルト・シュトラウスの傑作オペラ「ばらの騎士」の第3幕を思い浮かべました このオペラでは元帥婦人マルシャリンと若い貴族オクタヴィアンは不倫関係にありますが、若いゾフィーが現れたことにより、オクタヴィアンの心がマルシャリンからゾフィーに移るというストーリーになっています つまり、この映画の役柄に移せば、アンヌがマルシャリン、フランソワがオクタヴィアン、リュシーがゾフィーということになります もっとも、マルシャリンは心からオクタヴィアンを愛していましたが、アンヌは心からフランソワを愛していたかどうかは曖昧だし、内気なゾフィーに比べてリュシーはかなり活発な女性である、という違いがありますが

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「音楽の友」9月号の座談会「日本のオーケストラを守れ」を読んで思うこと / フィリップ・ヴァン・レウ監督「シリアにて」を観る ~ 岩波ホール

2020年08月28日 07時17分46秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから今日で2158日目を迎え、11月の米大統領選に向け共和党副大統領候補に指名された保守派のペンス副大統領はオンラインによる党大会3日目の26日、指名受諾演説し、「米国には自由を守る大統領があと4年間必要だ」と述べ、トランプ大統領の再選支持を求めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが守る自由は 自身の利益を守る自由とフェイクニュースを垂れ流す自由だ

 

         

 

昨日、夕食に「サバの塩焼き」「マグロの刺身」「生野菜サラダ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました 肉中心の毎日なので魚を必ずローテに入れるようにしています

 

     

 

         

 

「音楽の友」9月号が特別企画として「座談会『日本のオーケストラを守れ』」を特集していたので購入しました 特集記事の冒頭には、次のようなリードが書かれています

「コロナ禍により、いま日本のオーケストラは瀕死の状態だ どのオーケストラも3月からほぼ3か月間活動を休止、その間の興行収入が途絶えたからだ。いっぽう、6月後半から7月にかけて、次々と公演を再開したものの、感染防止のためのガイドラインにより、いまだ完全な状態での再開とはなっていない オーケストラはいまどんな状態か、またどのようなことを考えているのだろうか 5つのオーケストラの事務局とプロ・オーケストラが加盟する日本オーケストラ連盟からそれぞれ代表して計6名が集まり、奥田佳道氏の司会のもと、緊急座談会を行った

7月4日に音楽の友ホールで開かれた座談会の出席者は次の通りです

福山修:大阪フィル  事務局次長兼事業部長

榊原徹:神奈川フィル 理事・音楽主幹

深澤功:九州交響楽団  音楽主幹

林 豊:新日本フィル  専務理事

井形健児:広島交響楽団  事務局長

桑原浩:日本オーケストラ連盟  専務理事・事務局長

(司会:音楽評論家 奥田佳道)

この座談会では、①日本のオーケストラの現状、②ネット配信の手応え、③演奏上のマスクの問題、④観客への対応、⑤ライブ配信の問題点、⑥公益法人の問題点、⑦オーケストラのアイデンティティ、⑧ホールとの協力、⑨助成のあり方ー等について話し合われています

①日本のオーケストラの現状については、各オケから3月から6月ごろまでの公演中止の実態が報告され、日本オーケストラ連盟の桑原専務理事が全体状況をまとめる形で、「7月18日現在で、公演等の中止は一部延期を含め、1100公演を超えてきている この損失は全体で30億から40億円の間に達している これまで経験したことのない、非常に大きなダメージを業界全体で受けている」と語っています

②ネット配信の手応えについては、司会の奥田氏から「実際のステージとライブ配信を両方とも重要なコンテンツとしてやっていくのか、あくまでライブ配信は、生演奏に近づくためのツールなのか?」という問題提起があり、出席者から「ライブの空気感が大事」「会場に来て初めて真価が分かるということを拭い去ることができない」「配信はメインにはならない。根本は演奏会を演奏会場でやるべき」「お客の空気は演奏に影響する」という意見が出され、あくまでライブの補完的なツールであることで一致していました

これに関連して⑤ライブ配信の問題点については、新日本フィルの林専務理事が「ライブ配信は過渡期のビジネスと考えている 8月か9月には平時に戻ると考えている。N響などの協力で新日本空調のクリーンルームで実験が行われているが、あれで初めて科学的なデータが出てくると思う。それが出れば行政が考え方を変えると思う。距離を離す必要はないと」と語っているのが印象的でした これについては、当ブログでもご紹介したとおり、飛沫感染リスク検証実験のデータは出ましたが、コンサートの入場制限の緩和は9月末まで1か月間延期されました

⑥公益法人の問題点については、奥田氏が「オーケストラは固定費だけでも月に4000万、5000万かかる 赤字、そして債務超過が実際に進んでいる。客の多くは、株式会社的な視点でオーケストラを見ている 『自助努力や企業努力が足りないのではないか』と」と口火を切ると、新日本フィルの林氏が「公益財団法の考え方としては、2年間で収支相償みたいな考え方なので、ものすごく大きな利益を上げていくというのは、当然音楽の質を悪くする 今回のコロナ禍などで公演収入がなくなってしまうと赤字になり、そうなってくると収支相償だから、収支差を毎年1000万円から2000万円出したとしても、それは20年とか かかる償却になる。いまの『2年間で300万円残さなければ強制解散』みたいなものがある限り、間違いなく解散になってしまう だから、資本注入的なものでカヴァーしていただくとかでないと、なかなかオーケストラが成り立たない」と述べています これを補足する形で、連盟の桑原氏が「いま、この業界の公益財団法人の皆さんと政府に申し上げているのは、やはり収支相償の問題、そして、公益財団法人は2年続けて純資産額が300万円未満となると解散というのは非常に大きな問題。まず今回は特別に伸ばしてほしいということを言い始めている。その後、根本的な公益法人法の改革が必要だ」と述べています

【注:tora】収支相償とは「公益法人が利益を内部に貯めずに、公益目的に充てるべき財源を最大限活用して、無償・格安でサービスを提供し、受益者を広げようとするもの。公益法人が受けている税制優遇の重要な基礎となっている」。

⑦オーケストラのアイデンティティについては、奥田氏が「音楽ファンやオーケストラ好きの方が最近、多く言われるのは、もうマーラーやブルックナーやベートーヴェン(第九)は聴けないのか。休憩なしの1時間でばかりなのかということだ」と問題提起すると、「12月の第九ができないとなると本当に困った社会現象だ」「大きなレパートリーは、これから少しずつ復活させる」という意見のほか、「大阪フィルは14から16型のフル編成で得られるサウンドに個性があると思っているので、こういうコアな人に向き合っていきたい」という見解が披露されました

⑨助成のあり方では、神奈川フィルの榊原理事が「神奈川フィルは、ふるさと納税を行っている」という話が新鮮でした また、連盟の桑原氏から「対立しがちな事務局と楽団員にしても、みんなでこんなに一つのことを悩んでアイディアを出し合ったことなんて今までなかったのではないか」と述べ、コロナ禍のもと、悪い面ばかりではなく良い面もあることを再確認して座談会を閉じました

この座談会は7月4日に実施されたので、月刊誌の宿命としてタイミングを逸する面もありますが、大枠においては今オーケストラが置かれている現状を反映していると思います

今、日本の音楽業界、コンサート業界が一番関心を持っているのは、座談会にも出てきた「飛沫感染リスク検証実験結果」(オケは通常の配置で差し支えない。聴衆はマスク着用し、ブラボーを叫ばなければ問題ない)を政府側がどのように受け止めるかということです コンサート会場における入場制限(現在は定員の50%)を本当に9月末までに撤廃できるのかどうかです これ以上延ばしたら、経営破綻するオーケストラが出てくる可能性が大きいと思います 座談会を読んで一番心の底に響いたのは、新日本フィル・林氏の「4月からはほとんど演奏会収入がゼロでした。演奏会再開までは全員給与カットして、なんとか存続のために続けているという状況です」という言葉です 思わず楽団員のあの人、事務局のあの人を思い浮かべました これは新日本フィルだけの話ではないでしょう 政府にはオーケストラの置かれた厳しい状況を認識した上で 科学的データを尊重し、一日でも早くコンサート会場への入場制限を緩和してほしいと思います

 

     

 

        

 

昨日、神保町の岩波ホールでフィリップ・ヴァン・レウ監督による2017年ベルギー・フランス・レバノン合作映画「シリアにて」(86分)を観ました

舞台はシリアの首都ダマスカス。いまだ内戦の終息は見えず、アサド政権と反体制派、そしてISとの対立が続いていたが、ロシアの軍事介入によりアサド政権が力を回復しつつあった。そんな中、戦地に赴いた夫の留守を預かるオーム(アヒム・アッバス)は、義父、3人の子どもたちとともにアパートの一室をシェルターとして立て籠もり、身を寄せていた隣人で、幼子を持つハリマ夫妻とともに、ひっそりと生活を続けていた ある日、ハリマの夫がレバノンへの脱出ルートを見つけ、今夜こそ逃げようとハリマに計画を打ち明けた。脱出する手続きをするために、夫はアパートを出て行くが、外に出た途端、スナイパーに撃たれ、駐車場の端で倒れてしまう 建物が爆撃で振動する恐怖に怯えながら生活する中、強盗が押し入るが、ハリマが犠牲になる形でオームの家族は助かる。強盗は去るが戦火は止まない

 

     

 

この映画の凄いところは、戦闘シーンが一つもなく、爆撃や銃撃戦の音が振動を伴って身体に伝わってくるだけで、観ている側がその場に居合わせているような緊張感に包まれるというところです 入口のドアはカギの他に2本の木材で閂(カンヌキ)が掛けられ、出入りの際はいちいちそれを外さなけらばなりません 戦時下におかれた市民の生活がいかに悲惨で不自由を強いられているかがよく分かるシーンです

ハリマは強盗に囚われ、他の仲間はどこにいるかと問い詰められても黙秘を貫き 自ら犠牲になります 一方のオームは家族を守るために声を出すこともハリマを助けに行くこともできません 二人はそれぞれ理不尽を抱えながら、生きるために目の前の問題に向き合わなければなりません こうしたことが日常的に起こるとしたらどうでしょうか そこには絶望しかないでしょう。しかし、これは映画ではあるけれど、限りなく真実に近い物語ではないだろうか この映画が制作されたのは2017年。3年後のシリアはどうなっているのだろうか?  市民生活は少しでも改善しているのだろうか? 遠く離れた平和な日本においても、彼らのことを忘れてはならないという強いメッセージを受け取った映画でした

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藤江扶紀 ✕ 岡本侑也 ✕ 清水和音でラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」「ピアノ三重奏曲」を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート

2020年08月27日 07時16分12秒 | 日記

27日(木)。わが家に来てから今日で2157日目を迎え、香港警察は26日朝、民主派の立法会(議会)議員ら16人を暴動罪の容疑などで一斉逮捕したと複数の香港メディアが報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     背後で中国が操っているのは明らか  米中の共通点はトップが強権主義者という点

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 塩と黒コショウをまぶしてじっくり焼いて、酒、砂糖、醤油、オイスターソース、トマトケチャップのたれをかけます。目玉焼きとの相性がぴったりで とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサート―ホールで「芸劇ブランチコンサート 第26回『美しきラヴェルを聴く』」を聴きました プログラムはラヴェルの①亡き王女のためのパヴァーヌ」、②「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」、③「ピアノ三重奏曲イ短調」です 演奏はヴァイオリン=藤江扶紀、チェロ=岡本侑也、ピアノ=清水和音です

藤江扶桑は東京藝大、パリ国立高等音楽院大学院を修了。第80回日本音楽コンクール優勝。2018年1月トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団のコンサートマスターに就任し現在に至る

岡本侑也は1994年生まれの26歳。第80回日本音楽コンクール第1位。2017年エリザベート王妃国際音楽コンクール第2位入賞など受賞多数。現在ミュンヘン音楽大学大学院に在籍中

清水和音は1981年、ロン=ティボー国際コンクールのピアノ部門優勝

主催者側から再指定された自席は2階E列42番、右ブロック左端です

     

     

 

1曲目は「亡き王女のためのパヴァーヌ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1899年に作曲、1902年にパリで初演されたピアノ曲ですが、その後1910年に管弦楽曲用に編曲されました この日の演奏は清水和音のピアノ独奏でしたが、優雅でノーブルな雰囲気がよく出た演奏でした

ここで、清水がマイクを持ってトークに入ります この日 共演する藤江、岡本の両氏は8年前にNHKから声を掛けられて初めて会い、演奏に接したそうですが、当時高校生だった岡本は「チェロ界の藤井聡太」とでも言うべき素晴らしい演奏家で、とても高校生とは思えない巨匠のような演奏に驚いた、と語っていました

2曲目は「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」です この曲は1920年から22年にかけて作曲され、1922年にパリで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「きわめて生き生きと」、第3楽章「レント(穏やかに)」、第4楽章「生き生きと、活気をもって」の4楽章からなります

白のロングドレスに金のラメをあしらった鮮やかな衣装の藤江と岡本が登場、さっそく演奏に入ります 第1楽章は緊張感に満ちた曲想ですが、ヴァイオリンとチェロのアンサンブルが見事です 第2楽章はピッツィカートを基調とする音楽で、内容的にはスケルツォですが、2人の丁々発止のやり取りが面白く聴けました 第3楽章は、まるで「君が代」変奏曲です メロディーがよく似ています。第4楽章はチェンバロンの演奏と音色を思い浮かべました 白熱の演奏でした

 

     

 

3曲目は「ピアノ三重奏曲イ短調」です この曲は1914年に作曲され、翌15年1月にパリで初演されました 第1楽章「中庸の速度で」、第2楽章「パントゥーム、きわめて生き生きと」、第3楽章「パッサカイユ、きわめて遅く」、第4楽章「フィナーレ:生き生きと速く」の4楽章から成ります

3人のソリストが登場し、さっそく演奏に入ります 第1楽章はラヴェル特有の独特な浮遊感を伴う幻想的な曲想です 第2楽章はエキゾチックな音楽が展開します 第3楽章はピアノの重低音から始まり、チェロがメロディーを紡いでいきます。そしてヴァイオリンが加わり荘重な三重奏が展開します 第4楽章は一転、明るい音楽で開始され、まるでモノラルの世界からカラーの世界が急に開けたような感覚を覚えます 色彩感溢れる素晴らしい演奏でした

【余話】第1楽章が始まってまもなくのことこです 1つ空けた隣席の人のお腹が「グーッ」と鳴りました 時間的には午前11時半過ぎです。すると、それに呼応するかのように私のお腹が「グビーッ」と鳴りました 演奏を差し置いて客席でデュオをやるつもりはなかったのですが、ブランチコンサートって、会場のそこかしこで 無名の音楽家による腹芸が繰り広げられているのではないか、と思って苦笑しました

演奏終了後、ロビーの臨時チケット売場で、12月と2月の「ブランチコンサート」のチケットを購入しました なお、10月14日のコンサートは6月17日に中止となった公演の振替公演なので手元にチケットがあります。当日、代わりの新たなチケットと引き換えることになります

 

     

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イベント上限5000人 ⇒ 9月末まで継続へ / ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督「読まれなかった小説」を観る ~ バッハ「パッサカリア ハ短調」BWV.582が全編を通して流れる

2020年08月26日 07時14分31秒 | 日記

26日(水)。先日、山形にいる息子にハムのセットを送ったら、さっそく料理に使ったようで、「味噌漬け焼豚を丼にして食べました」と写真入りでメールが届きました 一方、コロナ禍のため、数か月ぶりに美容室に行って髪を切ってきた娘が、「美容院の人から『野際陽子さんみたい』と言われた。(髪型)どう?」と訊くので、「作家の川上未映子さんみたいだな」と答えたら、スマホで2人をググっていました さて、どういう自己評価をしたのでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2156日目を迎え、昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公職選挙法違反の罪に問われた前法相で衆院議員の河井克行被告と、妻で参院議員の安里被告の初公判が25日、東京地裁で開かれ、克行議員は地元議員らへの現金供与について「選挙運動の依頼趣旨ではありません」、安里議員も「選挙運動の報酬として現金を渡したことはありません」とそれぞれ起訴内容を否認し、無罪を主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金を受領した人の多くが認めているのに よくもそういうデタラメが言えたもんだ!

 

         

 

昨日、夕食に「牛バラ肉カレー」と「生野菜サラダ」を作りました わが家ではビーフカレーの時はブロック肉は使わず切り落としかバラ肉を使います 食べやすくて美味しいからです

 

     

 

         

     

昨日の日経朝刊によると、「政府は24日、新型コロナウイルスの感染者数の高止まりを踏まえ、イベントの参加人数の制限を継続すると決めた。8月末で5000人の上限を撤廃する予定だったが、9月末まで1か月延長する。同日開いた新型コロナ分科会で政府が提案し、専門家が了承した」とのことです

現在、コンサートの入場者数は収容人数の50%以下に制限されており、この状態が続けば経営状況が悪化するばかりで、最悪の場合は経営破たんするオーケストラや団体が出てくる可能性があります こうした状況を打開するため、昨日の当ブログでご紹介したように、「クラシック音楽公演運営推進協議会」等が「飛沫感染リスク検証実験」を実施し、科学的なデータに基づき「従来の間隔でもソーシャルディスタンスで演奏した時と比べ「感染リスクが大きく上昇することを示すデータは得られなかった」「せきやかけ声もマスク着用により、従来よりは飛沫を抑えられることが判った」と結論付けています 同協議会から政府の専門家会議へは、当然このデータは届けられていると思いますが、しつこいくらいプッシュすべきだと思います

かつて、コロナの感染が拡大する中、政府が「Go To トラベル」(私は「Go To トラブル」と呼ぶ)キャンペーンを前倒しして実施した時、世間の批判に対して菅官房長官は「旅行業界で働く人たちの生活がかかっている。今やらなければ大変なことになる」と のたまっていましたが、「それはそうだろう。だって自民党の二階俊宏幹事長は全国旅行業協会(会員5800社)の会長だものな    前倒しして やる気を見せなければ会長としての存在意義を問われるし、政治献金もあてにできなくなるものね」と思ったものです。次に思ったのは「大変なのは旅行業界だけじゃないだろう 文化・音楽業界も忘れないでくれよな」ということです 1か月延長は決まってしまったことなので覆すことは出来ませんが、これからも先の協議会を中心に精力的に政府や専門家に音楽業界の苦境と科学的なデータに基づく制限緩和を訴えていくべきだと思います

 

         

 

一昨日、早稲田松竹でヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督による2018年製作トルコ・フランス・ドイツ・ブルガリア・マケドニア・ボスニア・スウェーデン・カタール合作映画「読まれなかった小説」(189分)を観ました

作家志望の青年シナンは、大学を卒業してトロイ遺跡近くの故郷へ戻り、処女小説を出版しようとするが、誰からも相手にされない    シナンの父イドリスは引退間際の教師で、競馬好きなイドリスとシナンは関係が上手くいかずにいた    シナンは父と同じ教師になって平凡な人生を送ることに疑問を抱きながらも、教員試験を受ける     父子の気持ちは交わらないように見えたが、誰も読まなかったシナンの小説が2人の心をつないでいく

 

     

 

この映画は、1冊の本を巡って繰り広げられる父と子の軋轢と邂逅を、膨大な台詞と美しい映像で描いたドラマです    知人の父子の実話に魅了されたジェイラン監督が、自身の人生も反映させながら完成させた作品です

とにかく驚くのは膨大な会話(と言うより議論)のシーンです その内容はシナンと地元の有名作家スレイマンとの文学論議であったり、教会関係者との宗教論議であったりと様々ですが、とにかく議論が延々と続きます 観ているこちら側は内容がさっぱりわからないので眠気が差してきます

給料を競馬につぎ込み家計に入れない父親に対し、シナンはぼろ糞にこき下ろしますが、母親はそんな父親に呆れながらも「周りを見てごらん。教師として一生懸命働いて、お前を大学までやったのは父親だよ。誰でもできることじゃない。そこまで非難することはないだろう」と諭しますが、シナンは料金不払いから電気まで止められてしまうことが我慢なりません

シナンは借金をして処女小説「野生の梨の木」を自費出版しますが、書店では1冊も売れず、母親と妹は途中まで読んで止めてしまいますが、父親は最後まで読み「自分のことが批判的に書かれていたな。気になったところは2度読んだ」とも言います それを聞いたシナンは、世の中でただ一人、自分の文学の才能を認めてくれた父親を許します。そして、父親が途中で諦めた井戸掘りに挑戦します シナンの心が変化したのは、単に父親が自分の処女作を熱心に読んでくれたということだけではないでしょう 母親に言われた「お前を大学までやったのは父親だよ」という事実がシナンの心に重く響いていたのだと思います

この映画では、全編を通して物語の通奏低音のようにJ.S.バッハの「パッサカリア ハ短調」BWV.582が静かに流れていました オリジナルはパイプオルガンの曲ですが、この映画ではレオポルド・ストコフスキー編曲による管弦楽編曲版の音楽が使われていました この作品は上に書いた通り、トルコはじめ8カ国合作映画ですが、バッハの音楽は世界共通言語だということでしょうか

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ジャファル・パナヒ監督「ある女優の不在」を観る ~ イランにおける表現の自由と職業選択の自由をテーマとした作品:早稲田松竹

2020年08月25日 07時18分21秒 | 日記

25日(火)。新日本フィルの9月から11月までのトパーズ・ジェイド・ルビーの各公演については、新型コロナ禍対応の座席配置による再予約の手続きが済んでいます その後、出演者やプログラムに変更が出た公演があることから、新日本フィルから「再予約後の払い戻しの対応をすることとした」という連絡がありました 私はルビーの公演を再指定しましたが、今回 払い戻し請求はせず、予定通り聴くことにします 9月11日の公演の指揮者に予定されていた沖澤のどかが降板したのが残念ですが、涙を呑みます いまクラシック・ファンとして大事なのは、プログラムが変更になろうが、出演者が変更になろうが、とにかく予定通り聴きに行くことです

ということで、わが家に来てから今日で2155日目を迎え、2016年の大統領選の頃からトランプ大統領を支えてきたコンウェー大統領顧問は23日、8月末で退任すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     なぜ今辞めるかって?  11月の大統領選時に敗戦大統領の顧問でいたくないからね

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ甘酢ネギ胡麻だれ」「生野菜サラダ」「冷奴」「もやしの味噌汁」を作りました 「豚バラ~」は吉野家級の「うまい、やすい、はやい」料理です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でジャファル・パナヒ監督による2018年製作イラン映画「ある女優の不在」(100分)を観ました

イランの人気女優べーナズ・ジャファリ(本人)のもとに、見知らぬ少女から動画メッセージが届いた    その少女マルズィエ・レザイ(本人)は女優を目指して芸術大学に合格したが、自分の家族や婚約相手の家族の裏切りによって夢を砕かれ自殺を決意する    動画は彼女が首にロープをかけ、カメラが地面に落下したところで途切れていた    そのあまりにも深刻な内容に衝撃を受けたジャファリは、友人である映画監督ジャファル・パナヒ(本人)が運転する車でマルズィエが住むイラン北西部の村を訪れる。ジャファリとパナヒは現地で調査を進めるうち、イラン革命後に演じることを禁じられた往年の女優シャールザードにまつわる悲劇的な真実に辿り着く

 

     

 

この映画は、過去・現在・未来の3つの時代をシンボリックに体現する3人の女優の心の旅路を描いたミステリーです

この映画のテーマは、イランにおける表現の自由と女性の職業選択の自由の問題です 女優ジャファリは現地に行って、自殺したはずの少女マルズィエが生きているのを目の当たりにして、なぜ大それた悪戯映像で自分を困惑させるのかと怒りますが、マルズィエが芸術大学に合格したのに家族らの反対で入学できないという理不尽に抗う態度に共感を覚えるようになります 一方、同行したパナヒ監督は イラン革命前に活躍しながら理不尽な抑圧によって今は隠遁生活を送る元スター女優シャールザードの寂しげな後姿を見て悲劇的な過去を思い浮かべます

この映画では、イラン北西部の曲がりくねった山道が頻繁に登場しますが、対面する車がすれ違えないほど狭く、一寸先も見通せない険しい道は、イランの映画史を振り返ったイランの名匠パナヒ監督が、過去の時代における芸術家たちの苦難を象徴的に映像化したものだということです

イラン社会の不条理な現実を描いたことにより政府当局と対立し、2度も逮捕されたパナヒ監督は、2010年には20年間もの映画製作を禁じられました しかし、それに懲りず、彼は「これは映画でない」(2011年)、「閉ざされたカーテン」(2013年)、「人生タクシー」(2016年)を次々と発表、どこまでも権力に屈しない断固たる姿勢を貫き通してきました 私は「人生タクシー」を観ましたが、「決まった撮影場所がないなら、自分がタクシーの運転手役になってタクシーを舞台に映画を作ってしまおう」というユーモアと意欲に溢れた作品でした

「人生タクシー」にしても、今回の「ある女優の不在」にしても、かなりの低予算で作られていると思われますが、出来上がった映画は、高額予算によるCG頼りの大作を超えて超一流です

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「クラシック演奏会 飛沫リスクは? ~ 検証実験結果明らかに」~ 朝日の記事から / 「ブログは何を書いてもいいのか その2」~ ネットの中の中傷

2020年08月24日 07時13分31秒 | 日記

24日(月)。昨日、山形県鶴岡市に単身赴任している息子からメールが届きました 今年のお盆休みはコロナ禍の影響で帰京できなかったので、毎日自炊している息子に「たまには料理の手を抜いてもいいんだよ」というメッセージを込めて、ハムのセットを送っておいたことへのお礼メールでした

私は社会人になった2年目に職場の労働組合の執行委員に選出され、片道2時間の通勤が大変だという理由で、1年間だけ親元を離れて下宿生活を送ったことがあります 江東区白川町にある大学時代の友人T君の親が管理している古いアパートの6畳の部屋を月3万円で借りました 水道・ガス・トイレはすべて室外だったので、自炊が面倒(ガスはコンロに100円を入れると点火する)なのですべて外食にしました 夏のある日、隣の部屋に住む親切なお婆さんがソーメンを茹でて持ってきてくれたのですが、「さあ、食べよう」と思ったものの、箸がないのに気が付きました 仕方ないので鉛筆2本で食べましたが、「箸がない」では済まない「はしたない」話になってしまいました

そんなダメな若者だった親に比べて、20代の息子は料理は何でも作るので安心しています 帰京した時はいろいろな料理を作ってくれますが、見ていると、私のようにいい加減ではなく、スマホのレシピを見ながら、材料の肉や野菜や調味料の分量を正確に測り、調理時間も守り、まるで実験しているように微調整しながら料理をしています しかも、私のようにメインとサラダだけというのでなく、3~4品を同時並行して作ります 理科系の大学で学ぶとこういう風に料理をするのかと感心するくらいです 一日も早くコロナが収束し、年末年始には帰京できるといいな、と思っています

ということで、わが家に来てから今日で2154日目を迎え、安倍晋三首相の連続在任日数が24日、2799日となり大叔父である佐藤栄作氏の記録を超え、歴代最長記録となった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     モリ・カケ・桜・検察庁・GoToキャンペーンと 身内・友達優先の政権運営だった

 

         

 

昨日の朝日朝刊「新型コロナ」のぺージに同社編集委員・吉田純子さんが「クラシック演奏会  飛沫リスクは ~ 検証実験し数値化  対策に活用」という見出しの記事を書いていました    超訳すると、

「音楽業界団体でつくる『クラシック音楽公演運営推進協議会』などが7月、大規模な飛沫感染リスク検証実験に臨んだ    フルート、オーボエ、サックス、ホルン、クラリネットなどの管楽器のほか、バイオリンなどの弦楽器についてもそれぞれを演奏する際、どれほどの量の飛沫が、どの方角の、どれほどの距離まで届いているのか。客同士のおしゃべりや『ブラボー』は? いずれも数値化することで、対策につなげたい考えだ    客席に関しては、現在は前後1席ずつ空け、収容率を抑える『市松模様』がスタンダード。しかし、これではチケット収入は半減する。収容率50%が続けば経営破綻するオーケストラが出てくる可能性もある    政府は5月下旬、8月1日をめどに一部制限を緩和する方針を示していたが、再び感染拡大の傾向が出てきたため、いまだに実現には至っていない   先の協議会は、関係省庁を説得する材料となる客観的データが不可欠との認識に至る。実験は、長野県茅野市の新日本空調内クリーンルームで行われた    NHK交響楽団の首席奏者らが1人ずつ中に入り、テンポや曲調の異なる3曲を、それぞれ1分間演奏した 奏者の前後左右に配置した9個の計測器で6秒に1度、微粒子の量の測定を試みた 演奏家の個性によって状況が変わることを考慮し、全ての楽器で3人の奏者が実験に臨んだ 医師などでつくる専門家集団が17日にまとめた報告書によると、従来の間隔でもソーシャルディスタンスで演奏した時と比べ、『感染リスクが大きく上昇することを示すデータは得られなかった』。せきやかけ声もマスク着用により、従来よりは飛沫を抑えられるということも裏付けられた

この実証実験結果は、コロナ禍で苦境に喘ぐオーケストラにとって大きな光明と言えます この結果が行政側に受け入れられれば、聴衆がマスクを着用し「ブラボー」を避けさえすれば、ステージ上の演奏家は従来通りの人数と配置により演奏し、全ての席で聴くことが出来るようになるのです そうすれば、現在 募集が一時中止となっているオーケストラの定期公演も復活し、他の公演も採算が取れるようになります 行政には、科学的なデータに基づく音楽業界の要望を是非とも受け入れてほしいと思います

 

         

 

8月20日付の当ブログに「ブログは何を書いてもいいのか?」というテーマで、新日本フィルを誹謗中傷する「他人様」のブログについて書きましたが、昨日の朝日朝刊「フォーラム欄」が「ネットの中傷あなたは?」という特集を組んでいて、興味深く読みました

内容は2020年7月30日~8月17日に実施した朝日新聞デジタルのアンケート結果(回答863)の内容の紹介のほか、3人の有識者の見解を紹介しています

アンケート結果では、①ネット上で誹謗中傷を受けた経験があるか:ある385、ない478、②「ある」と答えた人は、その時どうしたか:無視した=244(最多)、③ネット上で他人の悪口を書いたことがあるか:ない=682(最多)、④ネット上の誹謗中傷に対し規制の強化が必要だと思うか:絶対に必要=333(最多)などとなっています

3人の有識者のうち駿河台大学の小俣謙二教授(社会心理学)の見解にとくに興味を惹かれたので以下に簡単にご紹介します

「匿名性の高い空間で攻撃行動が高まることはよく知られている 匿名で容易に発信できるSNSは、攻撃的な言葉を発信できる条件がそろっている。『他の人も同じようなことを言っているから』などと、自らの言動を正当化しやすいとも言える。中傷や炎上を引き起こす発信者に共通する心理としてよく挙げられるのが、正当に評価されていないという不遇感や、世の中への不満感である。攻撃的な言動がストレスのはけ口として機能している可能性があるし、他者からの『いいね』などの賛同の声に、承認欲求を満たす側面もあるだろう 相手の顔が見えないことも問題を助長している。顔をつきあわせたやりとりであれば、相手が悲しそうな表情を見せたり、怒りで顔を赤くしたりしたら、それ以上の攻撃を控えるだろう。有効な対策は、おのおのが自制心や自己抑制能力を形成し、他者への共感や想像力、思いやりを育むことだろう。しかし簡単ではない それよりも、下手な発信をすると相手を傷つけるだけでなく、自分も損をする、失うものがあると理解させることで、中傷を統制するのが現実的だと思う

これを読んで私が「なるほど」と思ったのは、8月20日のブログでご紹介した「他人様」は、「正当に評価されていないという不遇感や、世の中への不満感」を抱いており、「攻撃的な言動がストレスのはけ口として機能している」のではないか さらに「他者からの『いいね』などの賛同の声に、承認欲求を満たしている」のではないか、ということです

この「他人様」のブログの「最新コメント欄」には2017年10月から2019年12月までの間に10のコメントが寄せられていますが、その中の一つに「だから、お姉さん、もっと、面白く・・・」というのがありました 明らかにもっと過激なことを書くように煽っています こういうコメントが「他人様」の承認欲求を満たし、ますます内容がエスカレートするように促していると思われます なお、余計なことかもしれませんが、この「他人様」は”お姉さん”ではありません。ブログの自己紹介欄に「自由で快適な音楽家です。孤独好きの美人年増と人は言います」と書かれていますから さらに興味深いのは この人はこれら10のコメントに一つも返信コメントを書いていないことです 「言いたいやつには言わせておけ」というスタンスが見え見えです コメントの中には、アメリカの音楽学校への留学経験もあり、その昔、学校で音楽の教鞭をとっていたこともあり、ピアノ教室を開いて教えていた経験のあるこの「他人様」に、ピアノ奏法で分からない点を尋ねている真面目なコメントがありますが、全く無視しています この事実から分かることは、「他人様」にはコミュニケーション能力が全くないということです。というよりは、そもそも他の人と会話をする意志がないのです いくらピアノ教室を開いて教えようとしても、コミュニケーションがとれなければ教えることは出来ません 当然 生徒だって離れていくでしょう    ある意味 可哀そうな人だと思いますが、それはそれとして、小俣先生の言われる通り「自制心や自己抑制能力を形成し、他者への共感や想像力、思いやりを育む」ことに努力し、他者や団体を誹謗することでストレスを発散するのは止めてほしいと思います あまりにも大人げないです

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大谷康子&水谷晃 ✕ 東響でモーツアルト「2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネ」、「ヴァイオリン協奏曲第5番」を聴く ~ 第42回モーツアルト・マチネ / 「つまらないものですが」の背景

2020年08月23日 07時19分40秒 | 日記

23日(日)。昨日の日経朝刊別刷りの「マナーのツボ」コーナーでマナーデザイナーの宮下宣子さんが「『つまらないものですが』の背景」を解説していました 超訳すると、

「贈り物をする時に『つまらないものですが』と一言添える習慣が根強くある 新渡戸稲造は著書『武士道』の中で日本人と米国人との違いを次のように述べている

「日本では『素晴らしいあなたの前ではこの品物がつまらないものに見えてしまう』という意味で使う 一方 米国では、『品物が素晴らしいものでなければ、素晴らしいあなたを侮辱することになる』と考える

根本のところではどちらも相手を素晴らしい、と尊敬している

別の考え方もある。斎藤たま氏の『まよけの民俗誌』によると、邪悪なモノを追い払うおまじないとして言葉にしていたようだ 贈り物には魔物が取りつかないよう、魔よけの熨斗(のし)などを付ける。それだけでは心配なので『粗末なものですが』などと言葉にして、魔物が興味を持たないように念には念をいれたという 病気などの不幸は邪悪なモノに取りつかれて起こるとみていた人たちにとっては、命を守る習慣だったといえる」

つまらないものですがと言いながらつまらないものを贈ったら本当につまらないものです

ということで、わが家に来てから今日で2153日目を迎え、政権奪還を目指す民主党の大統領候補となったバイデン前副大統領が党大会で、トランプ政権下の現状を「暗黒の時」と批判したことに対し、トランプ氏は21日、首都ワシントン近郊で開かれた保守系組織の会合で演説し、現在は「最も成功している時だ」と強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     その通り! 世界一のコロナ感染・死亡者数を単独で維持することに成功している

     

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「第42回モーツアルト・マチネ 青年期 ✕ 名手モーツアルト」を聴きました プログラムはモーツアルト①「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネ ハ長調 K.190」、②「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 ”トルコ風」です 演奏はヴァイオリン独奏・弾き振り=東響名誉コンサートマスター・大谷康子、ヴァイオリン独奏=コンマス・水谷晃です 日本のオーケストラで名誉コンサートマスターがいるのは東京交響楽団(今年デビュー45周年を迎えた大谷さん)だけではないでしょうか

東響から再指定された自席は2CB3列41番、センターブロック右通路側です オケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びですが、管楽器を含めて32人と小編成です 1曲目は水谷氏がソリストを務めるので、田尻順氏がコンマスを務めます   弦楽奏者は全員マスクを着用しています

 

     

 

1曲目はモーツアルト「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネ ハ長調 K.190」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1774年5月に作曲した作品です 「コンチェルト―ネ」とは「大協奏曲」という意味です オケにトランペットが入っているということは、バッハのカンタータのうち祝祭的な作品にトランペットが入っているのと同様、何らかのお祝いのために作曲されたのではないかとも考えられています 第1楽章「アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンティーノ・グラツィオーソ」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット~ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

オレンジ系の鮮やかな衣装を身に着けた大谷康子が水谷晃とともに登場、大谷の弾きぶりで第1楽章の演奏に入ります 2人のヴァイオリンの音色が実に美しく響きます 終盤のカデンツァは2つのヴァイオリンに荒絵理子のオーボエが加わりますが、この掛け合いが楽しく聴けました 第2楽章でもカデンツァが演奏されますが、こちらは2つのヴァイオリンに荒のオーボエと伊藤文嗣のチェロが加わり4人のアンサンブルとなります チェロが入ることにより、深みのある色彩感豊かな演奏になりました 東響のオーボエには荒絵理子、荒木奏美という二人の頼もしい首席奏者がいるので盤石ですね 第3楽章はヴァイオリン同士のやり取りを中心に、オーボエ、チェロも交えて丁々発止の演奏が繰り広げられ、楽しいモーツアルト・ワールドが展開しました 特に良かったのは、ソリストの大谷、水谷両氏をはじめ演奏者が楽しそうに演奏していたことです モーツアルトの演奏では これが重要だと思います

 

     

 

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219 ”トルコ風」です モーツアルトはピアノの名手であるとともにヴァイオリンの名手でもありました 彼は13歳の時から、生まれ故郷ザルツブルクの宮廷楽団のコンサートマスターを務めていましたが、1773年~75年にかけて5曲のヴァイオリン協奏曲を集中的に作曲しました 第5番K.219は1775年12月(19歳)に作曲されましたが、第4楽章にトルコ風の楽想が用いられていることから「トルコ風」の愛称が付けられています 第1楽章「アレグロ・アペルト」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:テンポ・ディ・メヌエット」の3楽章から成ります

1曲目のソリストを務めた水谷晃が職場復帰し、コンマスを務めます 再び大谷康子が登場、弾きぶりで演奏に入ります 大谷は左手にヴァイオリンを持ち、右手の弓を大きく振って指揮をしたかと思うと、ソロのパートに入るや、瞬時に気持ちを切り替え 集中力に満ちた演奏を展開します また、ヴァイオリンを弾きながら、コンマスの方を見たり、反対側のヴィオラの方を見たり、個々の楽員とのコンタクトを図りながら演奏している様子が手に取るように分かります 長年にわたり東響でコンマスを務めてきた大谷なので、オケの面々ともどもアイコンタクトで十分なのでしょう 各楽章のカデンツァも見事でした

東響の新旧コンマスによるモーツアルトのコンチェルトの饗宴は楽しく、時間が経つのも忘れました    頑張れ! 東京交響楽団

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ジェニファー・ケント監督「ナイチンゲール」 & リュック・ベッソン監督「ANNA/アナ」を観る ~ ヴェルディ「リゴレット ~ 女心の歌」、プッチーニ「トスカ ~ 歌に生き、恋に生き」も流れる

2020年08月22日 07時17分07秒 | 日記

22日(土)。わが家に来てから今日で2152日目を迎え、トランプ米大統領は19日、ツイッターで、11月の大統領選に向けた自身のスローガンを記した帽子の職場での着用を従業員に禁止したとして、米タイヤ大手グッドイヤーの商品のボイコットを呼びかけたが、公職の立場で企業の商品ボイコットを一方的に訴えるのは不適切との批判が出ている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領選で敗北したら グッドイヤーでなくバッドイヤーになる! リ・タイアだな

 

         

 

昨日の夕食は「牛タン塩焼き&ハラミ焼肉」「生野菜サラダ」「卵スープ」にしました 焼肉は 立ちっぱなしで働いている娘の大好物なので、時々夕食のメニューに加えています

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「ナイチンゲール」と「ANNA/アナ」の2本立てを観ました

「ナイチンゲール」はジェニファー・ケント監督による2018年製作オーストラリア・カナダ・アメリカ合作映画(136分)です

舞台は19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。盗みを働いたことから囚人となったアイルランド人のクレア(アシュリン・フランシオーシ)は、一帯を支配するイギリス軍将校ホーキンス(サム・クラフリン)に囲われ、刑期を終えても釈放されることなく拘束されていた それに不満を抱いて苦情を訴えたクレアの夫エイデンに ホーキンスは逆上し、仲間たちとともにクレアをレイプし、さらに彼女の目の前でエイデンと子どもを殺害してしまう    愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アポリジニのビリー(バイカリ・ガナンバル)に道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る

 

     

 

この映画は、夫と子どもの命を奪われた女囚の復讐劇を描いた作品ですが、道案内人のビリーとともにホーキンス一行に追いつくものの、なかなか復讐まで及ばず、先延ばしされて、観ている方はイライラします しかし、それは最後にどのように復讐するのかという期待感を醸し出します 銃の一発で仕留めるのでは面白くない。それではどうやって?と。そして最後には納得します

この作品は暴力シーンが生々しく凄まじいので、本当に女性監督が撮ったのかと疑問に思うほどです 気の弱い人は観ない方がよいかもしれません

 

         

 

「ANNA/アナ」はリュック・ベッソン監督による2019年製作フランス・アメリカ合作映画(119分)です

時は1990年。ソ連の諜報機関KGBにより造り上げられた最強の殺し屋アナ(サッシャ・ルス)。ファッションやモデルやコールガールなど様々な顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の殺し屋へと成長していく そんな中、アメリカCIAの巧妙な罠に嵌められ危機に陥ったアナは、さらに覚醒し、KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく

 

     

 

この映画は、ヒロインのアナが抜群の身体能力を活かして いとも簡単に敵を射殺していきます そんなに簡単に一人で何十人もの屈強な男を相手に闘えるものか? と疑問を抱きますが、そこは映画です

アナを演じたサッシャ・ルスはロシア出身のスーパーモデルとのこと この映画ではミラノでアナがモデルとして登場し写真撮影に応じるシーンがありますが、そこに流れていたのはヴェルディの歌劇「リゴレット」のマントヴァ公爵のアリア「女心の歌」と、プッチーニの歌劇「トスカ 」のトスカのアリア「 歌に生き、恋に生き」でした    さすがに イタリアのシーンではイタリアの作曲家の音楽を使いますね    別のパーティー・シーンではベートーヴェン「交響曲第8番」が流れていました    この映画製作の翌年のベートーヴェン・イヤー=2020年(生誕250年)を意識したのでしょうか

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