司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

歓送迎会後に残業に戻る途中の交通事故で労災が認容(最高裁判決)

2016-07-09 11:34:25 | 労働問題
最高裁平成28年7月8日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86000

【裁判要旨】
労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例

cf. 日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08H5Z_Y6A700C1CR8000/
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民事再生手続におけるグループ企業の債権による相殺の可否(最高裁判決)

2016-07-09 11:28:12 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成28年7月8日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85999

【裁判要旨】
再生債務者に対して債務を負担する者が自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は,民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当するか

「再生債務者に対して債務を負担する者が,当該債務に係る債権を受働債権とし,自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は,これをすることができる旨の合意があらかじめされていた場合であっても,民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当しないものと解するのが相当である。」

cf. 日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04649240Y6A700C1CR8000/
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法人格を有しない権利能力なき社団に対して代表訴訟制度の類推適用が認められるか

2016-07-09 10:06:42 | 法人制度
 判例時報2016年7月1日号に,株主代表訴訟制度あるいは一般社団・一般財団法人における理事者の責任追及の訴えの規定を権利能力なき社団に類推適用することを否定した事例として,東京地裁平成27年11月9日判決が紹介されている。

 解説の要旨は,次のとおり。

「代表訴訟制度を有しない法人に同制度の類推適用を認めるか否かについて,判例は一貫してこれを否定してきた」

「法人格を有しない権利能力なき社団に対して代表訴訟制度の類推適用が認められるか否かについても,裁判例は,平成18年の一般社団法人法制定の前後を問わず,一貫して類推適用を否定している」

「これらの裁判例はいずれも,代表訴訟は法が特に認めた制度であり,その採否は立法政策であって,規定が存しない場合には類推適用は認められないとの立場で共通しており,規定のない法人あるいは権利能力なき社団への代表訴訟制度の類推は一律に不可能であるとの立場に立っていると解される」

 学説は,肯定,否定と分かれているようだ。
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