司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社の設立手続のオンライン&迅速化

2018-04-30 10:12:46 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180430-00000013-asahi-bus_all

「政府は、株式会社の設立にかかる期間を今の10日から1日に短縮できるようにする方向で最終調整に入った。」(上掲記事)

 現状においても,司法書士が関与するケースでは,内容が固まってさえいれば,定款認証から設立登記の申請まで,1日で了することは概ね可能であり,それほど無理な話ではない。

 しかし,そこまで「超特急で」というケースは,極めて稀であると思うのだが・・。拙速に手続を進めた結果,登記が完了してから,「やっぱりこうすればよかった」ということが増えるように思われる。

 とまれ,規律が維持されつつ,合理化されるのはよいことである。

 ところで,「認証後の法務局への設立登記手続きも、同時並行でオンラインで済ませられるようにし、24時間で登記できる。」(上掲記事)は,いかがなものか。

 出資金の払込みの時期の問題等,また補正の山(おそらく補正では済まない。)を作り出すことになりそうな・・・。

 現行の会社法の枠組みの中で,できること,できないことを峻別した上で,合理化を議論していただきたいものである。
コメント

「少数株主」

2018-04-30 04:38:54 | 会社法(改正商法等)
牛島信「少数株主」(幻冬舎)
http://www.gentosha.co.jp/book/b11339.html

 会社法における「公開会社でない株式会社」の株式は,譲渡性がないといわれる。定款の株式譲渡制限に関する規定に服するからである。

 少数株主が株式会社や大株主である経営陣に対して買取りをお願いしても,彼らは,知らぬ顔の半兵衛。

 会社法において許容されているのは,組織再編等が実行される場合の「反対株主の買取請求」のみである。

 そこで,ダミーの株式譲渡で株式会社に対して承認を請求し,裁判所の鑑定をかませて,公正な価格で買い取らせることを実現,という手法があり得ることは,多少会社法をかじっていれば常識的な話であるが・・。

 とはいえ,現実的にはなかなか・・・であったのだが,近年,内部留保が厚い株式会社の場合,少数株主においても,いざ相続が発生すると,巨額の相続税が課税されるリスクがあることが問題視されるようになっており,少数株主が納税のために株式会社や大株主である経営陣に対して買取りをお願いしても,上記のとおり知らぬ顔の半兵衛。そこで,少数株主にも買取請求権を認めてはどうかとの議論もあるところである。

 この小説は,正にこの問題を主軸に,「少数株主にも買取請求権を」「非上場会社にもコーポレート・ガバナンスを」と訴えている。

 そして,そのために活動する団体として,小説中に「一般社団法人同族会社ガバナンス協会」が登場するが・・・既に実在していた。

cf. 一般社団法人同族会社ガバナンス推進機構
https://www.fgpo.jp/

「鶏が先か,卵が先か」の感であるが。

 会社側の「少数株主の整理をしたい」というニーズと,少数株主側の「買い取って欲しい」というニーズがうまく合致すれば,一番よいのだが,やはり値段の折り合いが・・。

 とまれ,読み物としては面白いです。
コメント

まるで「シムシティ」 メキシコ郊外の新興住宅地

2018-04-30 02:54:51 | 国際事情
産経新聞記事
http://www.sankei.com/wired/news/180429/wir1804290001-n1.html

 空撮写真で見ると,

「ゲーム「シムシティ」の世界か、はたまたディストピアを思わせるような「不気味な楽園」」(上掲記事)

である。「街づくり」の観点は皆無の,住むための「箱づくり」を進めた結果である。

 とまれ,御覧ください。
コメント

日本企業の法務部門に改革の機運

2018-04-30 02:25:26 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29858730W8A420C1TCJ000/

 最高法務責任者(CLO)が経営幹部として商機の拡大や経営戦略づくりに関与する等,「経営に直結する法務部門」を目指せ,ということらしい。

cf. 日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29593220Z10C18A4EE8000/?n_cid=SPTMG002

平成30年4月18日付け「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」
コメント

京大名物「タテカン」撤去へ

2018-04-29 18:21:11 | 私の京都
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASL4W7WZNL4WPLZB01G.html?iref=comtop_list_edu_n01

 5月1日から新ルールが適用され,「タテカン」は撤去されるそうだ。

 時代の流れとはいえ,「タテカン」がなくなると,「普通の大学」になってしまう感。
コメント

法人(社会福祉士会)が後見人となっている事案で,その担当者が横領

2018-04-29 15:54:37 | 家事事件(成年後見等)
佐賀新聞記事
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/210243

 佐賀県社会福祉士会が法人として後見人となっている事案で,その担当者である社会福祉士が横領したとのことである。これは,衝撃・・。担当者に丸投げでは,法人が後見人となっている意味がないと思われる。
コメント

医療費未払い外国人の入国拒否へ

2018-04-28 13:08:59 | 国際事情
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASL4W3Q6ZL4WULBJ002.html?iref=comtop_8_05

 医療費未払いも問題となっているが,「医療ツーリズム」の問題も,法的にブロックすべきであろう。

cf. 平成30年6月6日付け「外国人が高額医療を受けるために会社設立」
コメント

同姓カップルの「相続」を巡り訴訟提起

2018-04-28 13:04:01 | 民法改正
毎日新聞記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180426-00000031-mai-soci
産経新聞記事
https://www.sankei.com/west/news/180426/wst1804260051-n1.html

 社会に対する問題提起かもしれないが,本来は事前の策を講ずべきだったかと。

 相続人に対する不当利得返還請求は,成り立ち得るかも。
コメント

「民法改正・・・そんなに急いでどこへ行く!?成年年齢が20歳から18歳に?・・・どうして!?どうなる!?」

2018-04-28 04:49:35 | 民法改正
 平成30年4月26日,日弁連主催の院内学習会「民法改正・・・そんなに急いでどこへ行く!?成年年齢が20歳から18歳に?・・・どうして!?どうなる!?」が開催されており,
https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2018/180426.html

 その概要がこちら。京都産業大学の坂東俊矢教授が基調発言をされている。
https://www.bengo4.com/c_8/n_7808/
コメント

太陽神戸銀行の変遷

2018-04-27 18:05:22 | 会社法(改正商法等)
~今日はこんなことがありました~(livedoor本店)
http://masablog.livedoor.biz/archives/51993120.html

 太陽神戸銀行が三井銀行に吸収合併され,さくら銀行が三井住友銀行に吸収合併され,三井住友銀行がわかしお銀行に吸収合併されて現在に至る,という経緯がわかりやすくまとめられている。

 担保権の抹消の登記の申請書の原因等の記載は,数次相続の登記の申請書の記載の振り合いによると考えれば,わかりやすいであろう。

cf. 銀行変遷史データベース by 全銀協
https://www.zenginkyo.or.jp/library/hensen/

コメント

取締役の「就任の時点」と株主総会に出席した取締役

2018-04-27 17:41:42 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2018年4月25日号に,斎藤誠「株主総会終了後の実務」があり,株主総会議事録の作成に関して,株主総会に出席した取締役等の氏名(会社法施行規則第72条第3項第4号)の記載について,次の一節がある。

「任期満了による退任者の後任でない場合,たとえば追加選任あるいは任期満了前に退任した者の補欠者選任(会社法329条3項の補欠者ではない)として選任される者が出席した場合は,決議の時に就任するとかいされるから,出席取締役として記載すべきとされる」(42頁(注6))

 この点は,補正が実に多いようである。「就任の時点」を明確に意識するようにすべきである。

cf. 平成28年9月1日付け「就任承諾援用問題」

平成25年2月24日付け「取締役の就任の「時点」」
コメント

新任の取締役の住所を株主総会議事録に記載するのか否か

2018-04-27 17:13:54 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2018年4月25日号に,斎藤誠「株主総会終了後の実務」があり,株主総会議事録の作成に関して,次の一節がある。

「再任を除く就任(いわゆる就任)の場合には,住所の記載のある就任承諾書か,議事録を援用する場合には住所を記載した議事録の添付が必要である。株主総会議事録は閲覧・謄写の対象になることもあり,議事録に新任者の住所を記載することなく就任承諾書の添付で対応するほうが無難であろう」(34頁)

 一理ありますね。
コメント

法務局で季節を感じる

2018-04-27 11:09:02 | 会社法(改正商法等)
日刊工業新聞
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00471488

「花鳥風月には無縁でも、季節を感じさせる場所がある。法務局の窓口もそのひとつ。」(上掲記事)

 お~,出だしは,よい感じ。

「絶対的登記事項の書式や漏れを人工知能でチェックする仕組みを用意すれば、登記官も司法書士も必要ない。ITのもたらす社会イノベーションには無限の可能性がある。
 遠からずオンライン登記が一般化するだろう。そうなれば法務局から春の混雑がなくなり、季節を感じなくなるのかもしれない。」(上掲記事)

 ん~,ネガティブ・キャンペーン?

 もちろん,登記申請手続の合理化が更に進み,オンライン申請が更に普及することで,窓口の混雑度合いが減少していくことは,十分に予想されるし,望ましいことである。

 しかし,会社法に基づく手続を全て適法に完了させ,議事録等の添付書面を適格に作成し,登記すべき事項を遺漏なくピックアップして登記申請を行い,無事登記完了に至るという過程は,傍から素人が見て思うほど,容易なものではない。

 登記官も司法書士も不要な社会は,会社法の改正により商業登記制度が根本から変革されない限り,あり得ないであろう。しかしながら,不断の合理化は,当然求められることであるので,AIに委ねるべきは委ねつつ,高度な判断を求められる場合に適確に対処することができるように,より専門性を高める不断の努力を続けて行かなければならないであろう。
コメント

登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会(第5回)

2018-04-26 18:02:08 | 不動産登記法その他
登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会
http://www.kinzai.or.jp/specialty/registration.html

 第5回(平成30年3月27日開催)の会議資料が公表されている。

「相隣関係の在り方」「登記手続の簡略化」をテーマに検討されたようである。
コメント

口座開設,ネットで完結へ

2018-04-26 09:53:08 | いろいろ
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29824470V20C18A4EE9000/

「警察庁は関係省庁での具体的な調整を経て、犯罪収益移転防止法(犯収法)の施行規則を改正して規制を緩める方針だ」(上掲記事)

 諸々の手続に波及しそうである。
コメント