司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

性同一性障害による改名の可否

2018-12-31 17:38:11 | 家事事件(成年後見等)
愛媛新聞記事
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201812310032?fbclid=IwAR23Q8aTBcrQ45pKScGl0BiwYOF6WPkOKd82qOtyxEKcyfos5AaQJQbIx0U

 横浜家裁が認めたそうだ。

 同一人による申立てにつき,最高裁平成29年6月7日第2小法廷決定は,特別抗告を棄却していた。

cf. 愛媛新聞記事(平成29年6月14日付け)
https://junko-mitsuhashi.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_828/junko-mitsuhashi/E6849BE5AA9BE696B0E8819E20170614.jpg?c=a0
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配偶者居住権と抵当権は対抗関係

2018-12-31 12:04:53 | 民法改正
幻冬舎GOLDONLINE
https://gentosha-go.com/articles/-/19162

「居住権は登記されなければなりません。ここで第三者の立場に視点を転じてみます。金融機関が不動産を担保に取って貸付等をすることがありますが、担保設定時には居住権が付着していなかったとしても、その後、貸付側の意図しないところで居住権が設定される可能性があります。このとき、抵当権と居住権はどちらが優先されるのでしょうか。契約時に「居住権を設定させない」という条項を入れることも考えられますが、居住権の設定を抵当権者がコントロールするのは違和感があります。
 これを借り入れしている家主さん側からみると、居住権設定に伴って担保不足が生じ、追加の担保を求められる展開もあるかもしれません。すると、故人がよかれと思って行った居住権の遺贈が、家族にとっては思わぬ負担となる可能性もあります。」(上掲記事)


 配偶者居住権と抵当権は,対抗関係に立つので,上記の解説は,おかしいですね。


改正後の民法(2020年7月10日施行)
(配偶者居住権の登記等)
第1031条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

 (不動産賃貸借の対抗力)
第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
※ 2020年4月1日改正


 なお,預貯金債権の仮払いに関する法務省令で定める上限額は,既に「150万円」と決定されている。
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「家族信託」は,誰のための制度か

2018-12-31 11:50:54 | 家事事件(成年後見等)
NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO39334790V21C18A2NZKP00?type=my

「実は成年後見制度は家族にとって不自由な面があるの。後見人を選ぶのは家裁で、家族のだれかを候補者として申請しても、家裁の判断で弁護士、司法書士など専門家になることが多いわ。それでも申し立ての取り下げはできないし、専門家への報酬も月数万円かかるの。」

「成年後見人の役目は認知症になった本人の財産や日々の生活を保護すること。だから相続税の節税目的で子供や孫に生前贈与をしたり、所有する土地に新しい賃貸アパートを建てたりすることはできなくなるわ。相続税は子供らが納めるものだから、本人の保護と直接の関係はないというスタンスね。」(上掲記事)

 どうも,「成年後見制度」は,家族にとって不自由,不都合な「悪」であり,だから「家族信託」を利用しましょう,という趣旨の記事が散見される。

 しかしながら,尊重されるべきは,本人の意思であり,守られるべきは,本人の利益である。「家族信託」は,家族が本人の財産を「我が物にする」ための制度ではないはずである。

「家族信託」に関わることがブームの感があるが,専門家としては,そのあたりをはき違えないように,留意しなければならないであろう。
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取締役の報酬等の決定方針の開示

2018-12-31 11:36:41 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASLDN4GLVLDNULFA01R.html

 株主総会における説明義務や,事業報告による情報開示に関する規定の充実が図られる。


○ 報酬等の決定方針
① 取締役の報酬等(第361条第1項に規定する報酬等をいう。以下1において同じ。)の内容に係る決定に関する方針として法務省令で定める事項(以下1において「報酬等の決定方針」という。)を定めた場合には,第361条第1項各号に掲げる事項を定め,又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は,当該株主総会において,報酬等の決定方針の内容の概要及び当該議案が当該報酬等の決定方針に沿うものである理由を説明しなければならないものとする。

② 第348条第3項各号,第362条第4項各号及び第399条の13第1項第1号の細分に掲げる事項並びに同条第2項の事項に,報酬等の決定方針の決定を追加するものとする。

③ 次に掲げる株式会社においては,取締役会は,報酬等の決定方針を決定しなければならないものとする。
 ア 監査役会設置会社(公開会社であり,かつ,大会社であるものに限る。)であって,金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないもの
 イ 監査等委員会設置会社

○  情報開示の充実
 会社役員の報酬等に関する次に掲げる事項について,公開会社における事業報告による情報開示に関する規定の充実を図るものとする。
 ① 報酬等の決定方針に関する事項
 ② 報酬等についての株主総会の決議に関する事項
 ③ 取締役会の決議による報酬等の決定の委任に関する事項
 ④ 業績連動報酬等に関する事項
 ⑤ 職務執行の対価として株式会社が交付した株式又は新株予約権等に関する事項
 ⑥ 報酬等の種類ごとの総額
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社外取締役の義務付け

2018-12-31 11:22:00 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASLDT4TJTLDTULFA013.html?iref=comtop_list_biz_n04

「社外取締役が死亡するなどで不在になった場合に法律違反を問われかねないとの懸念もあったが、法務省が一時的に欠けたことで直ちに違法状態にはならない、との見解を示し、部会の意見がまとまった。」(上掲記事)

 既報のとおりである。

cf. 平成30年12月28日付け「社外取締役の義務付けと欠けた場合の取締役会決議の効力」
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「会社は株主だけのものではない」

2018-12-31 11:16:03 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39450950X21C18A2916M00/

「両社の対立は『会社は誰のものか』という根源的な問いを双方が考えなければ解決しない」(上掲記事)

とあるが,特に上場企業にあっては,

「企業を支えているのは株主だけではなく、取引先、従業員など様々なステークホルダー(利害関係者)である」(上掲記事)

という状況である。

 様々なステークホルダーが,各々の立場から株式会社の経営に対して物を申し,経営陣が大局的に経営判断(持株比率によっては,支配株主による判断)を下すのであり,「会社は誰のものか」という議論は,不毛であろう。
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最近における弁護士の登録及び登録抹消の状況

2018-12-28 21:17:28 | いろいろ
白浜の思いつき
https://www.shirahama-lo.jp/%EF%BC%97%EF%BC%91%E6%9C%9F%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%96%89%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%82%92%E7%B5%82%E3%81%88%E3%81%A6%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%99%BB%E9%8C%B2%E7%8A%B6%E6%B3%81%E3%81%AA%E3%81%A9/
※ 元京都弁護士会会長のブログである。

「ただ、67期以降は、弁護士の廃業は減っているようですが、弁護士になることができる人の中での実際に弁護士になった人の比率は低いままなので、最初から弁護士になることを諦めた人の割合が高くなっていたということが言えるように思います。」(上掲記事)

 というまとめであるが,「弁護士人口に関する統計的な分析表」によると,司法修習終了時の一斉登録の時点では,最近は70%台であるが,その後の登録もあり,一応,合格者の約97%は,登録に至っているようだ。

 若干の登録抹消(廃業?)もあるとはいえ,他士業に比べると,堅調といえるのではないだろうか。
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社外取締役の義務付けと欠けた場合の取締役会決議の効力

2018-12-28 18:34:40 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39458370X21C18A2SHA000/?nf=1

 法制審議会の議論が大詰めを迎えている会社法改正のポイントがまとめられている。

 見出しは,「社外取締役、非上場の大企業も義務化」とあるが,仮案(2)では,「監査役会設置会社(公開会社であり,かつ,大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは,社外取締役を置かなければならないものとする。」とされていることから,非上場の株式会社で義務付けの対象となるのは,それほど多くはないであろう。

 記事には,「法務省幹部は「今回の法改正で非上場では数百社が義務化の対象になる」とみている。」(上掲記事)とあるが。


 ところで,会社法において社外取締役を置くことを義務付けた場合には,社外取締役が欠けたときにされた取締役会の決議の効力が問題になり,「補足説明」では,次のとおり説明されている。

 遅滞なく選任されない場合に,いつから無効の問題が生ずるのかが明確ではないが,解釈に委ねられるということであろうか。

 (補足説明)
 当部会においては,仮に,会社法において社外取締役を置くことを義務付けた場合には,社外取締役が欠けたときにされた取締役会の決議が無効となることを回避するために,事実上,複数の社外取締役を選任する必要が生じ,上場会社等に対し,社外取締役を一名選任することにとどまらない影響等を及ぼす懸念があるという指摘がされている。
 法律的には,補欠の役員の選任(第329条第3項),権利義務取締役(第346条第1項)又は一時役員(同条第2項)に関する規定が用意されており,社外取締役の員数が欠けた場合についても,これらの規定の適用があると考えられる。
 他方で,当部会においては,仮に,上場会社等について社外取締役を置くことを義務付けた場合であっても,社外取締役を欠くときに有効に取締役会の決議をすることができなくなるという帰結は現実的でないという指摘がされており,社外取締役は取締役会の単なる一構成員であると扱うべきであり,社外取締役を欠くときに有効に取締役会の決議をすることができないとまで考える必要はないという指摘がされている。
 当部会における議論を踏まえると,社外取締役が欠けている状況が長期間に及ぶ場合等には,社外取締役が欠けていることが取締役会の決議の効力におよそ影響を及ぼさないとまで言うことは難しいが,社外取締役が欠けた場合であっても,遅滞なく社外取締役が選任されるときは,その間にされた取締役会の決議は無効とならないと解釈することができると考えられる。
 また,当部会においては,仮に,会社法において社外取締役を置くことを義務付けた場合には,社外取締役が欠けたときに直ちに過料の制裁が課されることを懸念する指摘がされている。しかし,当部会における議論を踏まえると,社外取締役が欠けた場合であっても,遅滞なく社外取締役が選任されるときは,直ちに過料の制裁が課されることにはならないと解釈することができると考えられる。

cf. 法制審議会-会社法制(企業統治等関係)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00297.html
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合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ,当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定

2018-12-28 17:47:51 | 法人制度
合併に際し、被合併法人の従業者との雇用契約を終了させ,当該合併後に合併法人において当該従業者を新たに雇用する場合の従業者引継要件の判定 by 国税庁
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/hojin/181115/index.htm

〇 事実関係
 医療法人である当社は、当社と出資関係のない医療法人Z社との間で、当社を合併法人、Z社を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を行うことを予定しています。
 本件合併に際し、被合併法人の従業者の雇用関係については、以下のとおりとすることとしています。
(1)本件合併の日の前日における従業者の総数は81名ですが、当該従業者全員は、同日付けで、被合併法人との間の雇用契約を終了(退職)するとともに、被合併法人から退職金の支払いを受けます。
(2)被合併法人の従業者であった81名のうち79名は、本件合併の日において、合併法人との間に新たな雇用契約を締結し、同日から合併法人の従業者として合併法人の業務に従事します。

〇 照会要旨
 本件合併後においては、本件合併の前日まで被合併法人の業務に従事していた被合併法人の従業者の総数の80%以上が合併法人の業務に従事することが見込まれていることから、本件合併は従業者引継要件を満たすと考えてよいでしょうか。
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事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について

2018-12-28 17:27:01 | 会社法(改正商法等)
事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組の支援について by 日本経済再生本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/#other

「「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省策定)にて、制度上は、会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす一つの書類を作成して、株主総会前に開示することは可能となっていることが示され、関係省庁は、会社法に基づく事業報告及び計算書類(以下「事業報告等」)と金融商品取引法に基づく有価証券報告書の一体的開示を行おうとする企業の試行的取組を支援するための方策を、当該企業及び投資家とともに、検討してきたところである。
 検討の中で、当該企業の試行的取組に基づき、別添の記載例が作成された(注)。当該記載例は、今後、一体的開示を行おうとする企業が参考にできるものとして有益であると考えられるため、当該記載例を紹介する。
(注)当該企業が、既に開示した自社の事業報告等と有価証券報告書に基づいて、事業報告等と有価証券報告書の記載内容の共通事項、有価証券報告書においてのみ記載している事項、事業報告等においてのみ記載している事項の整理を行った上で試行的に作成した一体的開示書類をもとに、関係省庁において、汎用的になるよう当該企業の個別情報を除いたもの。」
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ルノーは,裁判所の許可を得て,日産自動車の株主総会を招集することができる

2018-12-28 16:37:24 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39497770Y8A221C1000000/?n_cid=DSTPCS001

 株主には,株主総会の招集の請求権があり(会社法第297条第1項),株式会社が遅滞なく招集の手続を行わない場合には,裁判所の許可を得て,招集することができる(同条第4項)。

 というわけで,「拒みようがない」という記事である。
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登記情報提供サービスを地方公共団体の職員が職務上利用する場合の登記手数料及び協会手数料の支払い に係る義務付けの廃止

2018-12-28 11:30:50 | 法務省&法務局関係
平成30年12月25日閣議決定「平成30年の地方からの提案等に関する対応方針」
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kakugiketteitou/kakugiketteitou-index.html

「電気通信回線による登記情報の提供を地方公共団体の職員が職務上利用する場合の登記手数料等の取扱いについては、官公署から管轄登記所に法令に基づく登記情報の提供依頼があった場合に、オンラインでこれを無償提供することを可能とし、2020年度から運用を開始する。」(本文22頁)

cf. 法務省 最終的な調整結果
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/tb_30_ko_kekka_08_1_moj.pdf
※ 1~3頁
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京都司法書士会「相続・遺言推進月間」司法書士無料法律相談会

2018-12-28 00:03:38 | 司法書士(改正不動産登記法等)
「相続・遺言推進月間」司法書士無料法律相談会
http://siho-syosi.jp/topics/index.htm#20181226

 毎年2月は,「相続登記はお済みですか月間」改め「相続・遺言推進月間」です。司法書士による登記・法律無料相談会を京都市内・府内各地で開催します。

 無料電話相談も実施。

日時:平成31年2月1日(金)~14日(木)10:00~16:00(期間中の土・日・祝を除く)
電話番号:075-251-1222
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「株式会社との対比でみる 合同会社の法務・登記・税務」

2018-12-27 22:54:31 | 会社法(改正商法等)
加藤政也編「株式会社との対比でみる 合同会社の法務・登記・税務」(新日本法規)
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_5100043.html

 設立件数が飛躍的に増えつつある合同会社の法務等について詳説されている。

 司法書士の執筆者は,尾方宏行さん,新保さゆりさん,野中英樹さん等である。
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消費者庁,押し買い3社に業務停止命令

2018-12-27 22:45:04 | 消費者問題
日経記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181226/k10011760661000.html

「「不要な衣服を買い取る」と言って客のもとを訪問しながら、執ように貴金属を売るよう求める、いわゆる「押し買い」行為を行ったなどとして、消費者庁は、大阪市や福岡市の3つの会社に対し、一部業務停止などを命じました。」(上掲記事)

○ 認定された違反行為
・氏名等の明示義務に違反する行為
・勧誘の要請をしていない者に対する勧誘
・勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで行う勧誘
・契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘
・書面の交付義務に違反する行為(記載不備)
・物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為
・債務の全部又は一部の履行を不当に遅延させる行為

cf. 消費者庁
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/2018/pdf/release_181226_0003.pdf
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