司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

規制改革の動き「起業家の負担軽減に向けた定款認証・法人設立手続の見直し」

2024-06-04 18:22:50 | 会社法(改正商法等)
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 95頁
ア 起業家の負担軽減に向けた定款認証・法人設立手続の見直し
【a:令和6年度中に着手、
b前段:令和6年度上期措置、b後段:aによるシステム等の構築後、速やかに措置、
c:令和6年度中に措置、
d:令和6年度中に措置、
e:令和7年度中に措置、
f:令和6年度中に検討着手】

a 法務省は、スタートアップの法人設立時における起業家の負担を軽減する観点から、所定のフォームに一定の必要事項(商号・事業目的・発行可能株式数等)を発起人等(会社法第26条の規定により定款の作成を行う発起人及びその代理人をいう。以下同じ。)が入力又は選択することで定款の必須記載事項等を満たした定型的な株式会社の定款案(以下「モデル定款」という。)を簡易・確実・迅速に作成することが可能なシステムないしアプリケーション(以下「システム等」という。)を構築する。その際、スタートアップのニーズを踏まえた組織形態に十分対応できるものを念頭に置いた上で、モデル定款の検討を行う。

b 法務省は、発起人等がモデル定款(令和5年12月に公開された「定款作成支援ツール」によって作成された定款案を含む。以下この項において同じ。)を用いて定款認証を行う場合に、定款案の提出から法人設立登記までを原則として72時間以内に完了させる新たな運用を開始する。その際、発起人等からの情報提供を要することなく、公証人・法務局間での連携によって当該運用を実現するものとする。あわせて、法務省は本取組を拡充し、デジタル庁と連携して、デジタル庁が運営する「法人設立ワンストップサービス」でaにて構築したシステム等により作成されるモデル定款を利用した場合には、原則として、24時間以内に、定款認証及び法人設立登記を完了させる運用を開始するとともに、同サービスを利用できない代理人による申請についても同様に24時間以内に完了させる運用を可能とする。加えて、いずれの申請による場合であっても、定款案の作成から設立登記の申請まで一括して行うことができるようにする。

c 法務省は、モデル定款について、民間事業者が提供する法人設立支援サービスにおいてもbと同様の機能の実装が可能となるよう、希望する民間事業者に対して必要な情報提供その他の協力を行う。

d 法務省は、スタートアップの法人設立時における財政的基盤の乏しい起業家の負担を軽減し、スタートアップの創出を加速する観点から、公証人の定款認証手数料について、事業実態・事業規模等一定の条件を満たす場合に、現行3万円の最低区分を半額程度にまで引き下げることを目指して検討する。

e 法務省は、デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和5年6月9日閣議決定)において「犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。」とされていること等を踏まえ、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本として、デジタル技術を用いた手法で、定款認証における発起人の本人確認及び真意の確認を行うことにより、公証人による面前確認について、違法・不当な目的による会社設立であることが疑われる等の事情がない場合には、原則として省略することを可能とする方向で具体的方策等を検討し、令和6年度中に結論を得た上で、必要に応じて令和7年度中を目標に公証人法の改正法案を提出するなど所要の措置を講ずる。

f 法務省は、令和5年の行政事業レビューにおける「将来的な定款認証制度の廃止を含め、制度の在り方を年度内に早期に検討すべきである。」旨の取りまとめ及び「起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しに関する検討会~議論の取りまとめ~」(令和6年1月31日)において示された今後の制度設計の方向性等を踏まえ、将来的な株式会社設立の際の定款認証制度の在り方について、制度そのものの必要性を含め、検討を行う。
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規制改革の動き「死亡・相続手続のデジタル化」

2024-06-04 18:13:09 | 不動産登記法その他
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 42頁
エ 死亡・相続手続のデジタル化
b 法務省は、デジタル庁と連携し、相続手続の基礎となる法定相続人の特定に当たり、被相続人の生涯における全本籍地の戸籍証明書等を市区町村から書面で収集した上で、相続手続ごとに戸籍証明書等を提出する書面のやり取りが相続人の負担となっているとの指摘がある一方で、戸籍証明書等は、多くの市区町村でオンライン請求が行われておらず、かつ、その交付をオンラインで行っている市区町村がない現状を踏まえ、相続に伴う遺族等の負担を軽減する観点から、マイナポータル等を用いた戸籍証明書等の操作性に十分配慮したオンライン請求を全国で実現することを目指し、戸籍情報連携システムの改善を含め、その方策に関する具体的検討に着手し、結論を得次第、市区町村と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。また、戸籍証明書等の電子交付を、平成6年の戸籍法改正から令和2年9月にかけて行われた全国の市区町村における戸籍事務のコンピュータ化に伴い順次テキストデータ化されている戸籍情報及び各市区町村のコンピュータ化以前の戸籍のうちイメージデータ化されている約1.1億件の戸籍情報を対象に全国で実現することを目指し、具体的検討に着手し、結論を得次第、市区町村と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。さらに、戸籍法(昭和22年法律第224号)第10条の2第3項の士業者が職務のために戸籍証明書等を請求する場合についても、操作性に十分配慮したオンライン請求を実現するため、他の行政手続における対応も参考に、不正請求の防止策を含めて具体的検討を行い、結論を得次第、市区町村及び士業団体と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。
 あわせて、記載された日付の誤り、電子化できない文字があることなどの事由により電子情報処理組織による取扱いに適合しない戸籍(改製不適合戸籍)約8.8千件の当該事由の解消による機械可読なテキストデータ化及び紙を原本として取り扱っている約5万件の除籍のイメージデータ化を完了していない市区町村名について、各市区町村に情報提供し、進捗に応じて更新する。

c 法務省は、デジタル庁と連携し、戸籍証明書等に基づき相続人が作成した「法定相続情報一覧図」を登記官が認証し、無料で交付している法定相続情報証明制度に関し、その利用により行政機関又は民間事業者における相続に関わる業務を効率化することができる一方、現状では、法務局への申出の方法及び交付される証明書が書面に限定されていることを踏まえ、マイナポータル連携を含めて申出や証明書の交付をオンライン化するための方策を、民間事業者等の意見も聞きながら、費用対効果や証明書の提出先となる各種機関における電子署名の検証等の体制の整備状況を考慮して検討し、結論を得次第、情報システムの整備など所要の措置を講ずる。

d 法務省は、現状では、相続人が自ら戸籍証明書等を収集して行政機関や金融機関等の民間事業者に法定相続関係を証明する必要があり、相続人の負担となっているところ、行政が保有している戸籍情報に基づき、戸籍上の証拠が残存する範囲において相続人の関与なく機械的に法定相続人を特定し、相続人の手続負担を回避する仕組みの構築の実現可否について、デジタル庁と連携して検討し、結論を得る。
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「戦後占領期の民法改正過程 ー「家」の廃止ー」

2024-06-04 10:22:21 | 民法改正
私法(1999 年 1999 巻 61 号 p. 230-236)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shiho1949/1999/61/1999_61_230/_article/-char/ja

 朝ドラ「虎に翼」で,ちょうど戦後の家族法改正作業が取り上げられているが,和田佳彦「戦後占領期の民法改正過程 ー「家」の廃止ー」がそのあたりの事情に詳しい。

 神保教授のモデルは,若干設定は異なるが,牧野英一か?
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会社法等の研修会

2024-06-04 09:31:13 | 会社法(改正商法等)
 今後の講師等の予定。

 6月29日(土)新潟県司法書士会会員研修会(新潟市)※法人登記
 7月30日(火)某会会員研修会(大阪市)※会社法
 8月31日(土)某会会員研修会(京都市)※家族法
 9月21日(土)某会会員研修会(北海道旭川市)※会社法
10月11日(金)某会某支部会員研修会(岐阜市)※会社法
10月15日(火)某会会員研修会(京都市)※改正不動産登記法
10月21日(月)オンデマンド研修収録(東京)※会社法
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法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化(異聞)(続)

2024-06-04 00:08:22 | 不動産登記法その他
X(金勇秀さん)
https://twitter.com/kimyongsoo1226/status/1797514384274800739

「2月2日受付にも関わらず、未だ却下もされずその後の連絡もなく今に至る。」(上掲X)

 数次相続に関する法定相続分での登記がされた場合の更正手続については,想定されていなかったということか。それにしても・・・。

cf. 令和6年3月8日付け「法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化(異聞)」
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嫡出否認調停

2024-06-03 22:41:29 | 民法改正
裁判所「嫡出否認」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_15/index.html

 令和4年改正民法による嫡出否認の手続も,調停前置である。

 しかし,当事者の合意のみによっては成立せず,「合意に相当する審判」の対象となる。この調停に関しては,家事事件手続法第277条に規定されており,「277条調停」と呼ばれている。

cf. 民法等の一部を改正する法律について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html

家事事件手続法
 (合意に相当する審判の対象及び要件)
第277条 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。
 一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。
 二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。
2 前項第一号の合意は、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項及び第二百七十条第一項に規定する方法によっては、成立させることができない。
3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
4 第二百七十二条第一項から第三項までの規定は、家庭裁判所が第一項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。
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ライアンのモデルは,内藤さん

2024-06-03 21:51:10 | いろいろ
DRA FILM
https://filmstar.jp/toratsuba-raian-model/

 朝ドラ「虎に翼」に,「ライアン」が登場。モデルは,内藤頼博さん(信州高遠藩藩主の末裔)であるらしい。

 なお,私とは全く無関係である。20代も,30代も遡れば,ひょっとしたら繋がることもあるのかもしれないが。
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215歳の失踪宣告

2024-06-02 11:08:05 | 空き家問題&所有者不明土地問題
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD118K20R10C24A4000000/

 戸籍上,死亡が記載されていない「行方不明者」に関する失踪宣告申立てが増えているというお話。

 厚生労働省の公式発表では,日本最高齢者は116歳(明治41年生まれ)であるから,これを超えている場合には,生存可能性はほぼゼロであろう。

cf. 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36846.html

 しかし,確かに,当該者のみを見れば,生存可能性は全くないかもしれないが,当該者の相続人が存在するかもしれず,適正な手続を経る必要はあるであろう。


民法
 (失踪そうの宣告)
第30条 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

 (失踪の宣告の効力)
第31条 前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

cf. 裁判所HP
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_06/index.html
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有栖川宮旧邸(京都地方裁判所所長旧官舎)の売却

2024-06-01 13:39:13 | 私の京都
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASS503CH6S50PLZB00PM.html

 平安女学院の所有であったが,森トラストが購入するそうだ。

 売買金額は,数十億円だとか。平安女学院が平成22年に購入した際は,7億5000万円であったが。

cf. 過去ログ「所長官舎」
https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/s/%E6%89%80%E9%95%B7%E5%AE%98%E8%88%8E
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民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

2024-05-31 17:57:49 | 民法改正
民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について by 法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html

「令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。
 この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
 この法律は、一部の規定を除き、上記公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日に施行されます。」
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