司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

定款認証と誤記証明書

2024-07-12 10:34:09 | 会社法(改正商法等)
民事法情報研究会だよりNo.60(令和6年1月)
http://mhjk.org/?p=11434

「明確な誤りが発覚したのは株式会社の「定款認証」の事案です。原始定款の認証については、その後、法務局に対する株式会社の設立登記の申請に認証後の定款が添付されますので、その審査に付されます。「法務局から、公証人の誤記証明書の提出を求められました」という、いくつかの事案がありました。そのうち、特に悔いが残っている2事例を紹介したいと思います。いずれも士業者が作成した株式会社の原始定款ですが、一つ目は、商号中に「‘」(アポストロフィの逆の記号、バックアポストロフィと言うようです。)を使用しているのを見逃したもの、二つ目は、目的中に、「保育園、幼稚園及び認定こども園の経営」とあり、「幼稚園の経営」が株式会社の事業目的として適切でないことを見逃したものです。いずれも、知識としてダメであること、認証できないことは認識していただけに見逃してしまったことには悔いが残ります。当該士業者から連絡をいただいたときは、恥ずかしくて申し訳ない、という何とも言えない気持ちになりましたが、誤記証明書に署名して、「二度と同様の誤りはしない」と誓って、気持ちに区切りを付けました。」(上掲大橋公証人)

 司法書士も,このようなことがないように,気を付けなければ。

 しかし,「誤記証明書」も,緩やかな運用であるようだ。
コメント (9)

民事・家事分野の裁判手続における文字の取扱いについて

2024-07-11 13:58:59 | 民事訴訟等
民事・家事分野の裁判手続における文字の取扱いについて by 裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/mojinotoriatukai/index.html

「令和6年7月16日から裁判所で導入が開始(※)されるe事件管理システムは、情報システムの整備に関する政府の方針等も踏まえ、使用可能な文字がJISX0213(約1万文字)の範囲に限定されています。この新システムの導入を契機として、また、常用漢字表における字種・字形についての考え方 (平成28年2月29日付け文化審議会国語分科会「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」参照)を踏まえ、事務を合理化する趣旨から、最高裁判所では、民事・家事分野の裁判事務処理に当たっては、字種が同じ文字は、字形や字体の違いにかかわらず、区別せずに同一のものと取り扱うことを原則とするとともに、裁判文書の作成に当たって、裁判事務システム又は裁判所職員のパソコンでそれぞれ標準的に入力することができる範囲の文字のみを使用することを原則とすることとされました。

また、この趣旨は、最高裁判所に限らず裁判事務一般においても妥当するものと考えられることから、全国の裁判所に対し、この取扱いが周知されています。

このような裁判所システム等の仕様上の制限及び上記取扱いによる場合、当事者の氏名等について、裁判関係書類に記載された事項と登記や供託書、戸籍等に記載又は記録されている事項とで、同一の文字(同一の字種)ではあるものの、字形や字体が異なるもの(例えば、「高」と「髙」など)が用いられる場合があります。

なお、そのような場合であっても、戸籍や登記、供託手続等における支障は生じません。」
コメント (1)

法務大臣閣議後記者会見の概要「共同親権導入を含む改正民法に関する質疑について」

2024-07-11 11:09:03 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和6年7月9日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00529.html

〇 共同親権導入を含む改正民法に関する質疑について
【記者】
 昨日、共同親権導入を含む改正民法の施行準備のための関係府省庁連絡会議が開催されました。運用開始は2年以内とされていますが、改めて制度の狙いや目的、今後のスケジュールについてお聞かせください。

【大臣】
 父母が離婚後も、可能な限り、適切な形で子の養育に関わる、そしてその責任を果たす。これは、こどもの利益にとって非常に重要だという認識です。そうした認識に基づいて、民法等の改正を行ったわけです。端的に言えば、こどもの利益の確保がその目的です。
 あっという間に過ぎてしまうと思いますが、この2年以内という準備期間の間に十分な環境整備が必要です。大勢の関係者にその趣旨を理解してもらうとともに、(今般の)共同親権の導入が関係法令の適用にも影響を及ぼす可能性があるので、こどもの不利益をもたらさないかという観点から、やはり問題点を整理して対応を考える必要があります。こういった観点から、関係省庁等連絡会議をいち早く設置いたしました。
 私は議長で、民事局長が副議長となって、関係省庁の局長クラスに集まっていただくことになりました。役所の数では9つ、セクションの数では11、オブザーバーは最高裁が入る、こういう陣立てです。厚労省と法務省は2つのセクションが入りますので、11のセクションから集まっていただいて、実務的なレベルでしっかりと共同親権導入の趣旨が生かされるような適用を考えていくということについて、各省に御協力をお願いしました。
 これがスタートしていくことが非常に重要なポイントだと思いますので、議論を始めたいというふうに思っています。
コメント

父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議

2024-07-09 16:42:21 | 民法改正
父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900355_00001.html

「父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法が成立したことを踏まえ、その円滑な施行に必要となる環境整備に関し、関係府省庁等相互の密接な連携・協力を確保し、総合的かつ効果的な取組を推進するため、父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議(以下「連絡会議」という。)を開催する。」
コメント

法務大臣閣議後記者会見の概要「能登創造的復興タスクフォースについて」

2024-07-09 15:57:46 | いろいろ
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和6年7月5日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00528.html

「現地では、7月1日に、県を中心とする6市町、またその他の関係者による、能登創造的復興タスクフォースが立ち上がりました。我々もこのタスクフォースに最大限協力していこうという考え方で臨んでいるところでもあります。金沢地方法務局輪島支局では、当時300人の被災者の方を受け入れたということも、大きな役割を果たしてくれたというふうに思いますが、今後は、復興に向けて、金沢の法務本局または、輪島支局において、法務実務の面から、サポートができるというふうに考えています。
 その一番の眼目は、被災して、瓦れきになってしまった建物もありますけれども、半壊の状態であったり、補修すれば使えるかもしれないというような骨格が残った建物などもあるわけです。様々な形で被災の状況がありますので、それを壊して更地にしないと復興は進まないのですけれども、その所有者がいれば、同意を求める必要がある。様々な方が、色々なところに避難されていますので、なかなか同意を得るのも困難で、そこから復興がなかなか進まないという問題点の指摘がありました。
 法務省も様々な知恵を巡らせまして、5月28日に事務連絡を発出しました。いわば、建物性の喪失に着目した公費解体加速化スキームというようなものを各自治体に周知しているところです。建物性が失われ、構造上の大きな毀損がある場合には、その物件に対する所有権が成り立たず、消滅する。そうすると、所有者の同意を求めることなく解体を実行することができる。今まで様々な震災がありましたけれども、初めて今回、通達で公表され、発動されるという大切なスキームだと思いますので、このことは輪島市長にも改めてよくお話をしてまいりました。そういった我々ができることについて、この創造的復興タスクフォースの中でも、こういったことをよく周知し、役割を十分果たしていきたいというふうに思います。」
コメント

内規に従った退職慰労金の額を減額する取締役会の決議の可否

2024-07-08 23:25:59 | 会社法(改正商法等)
最高裁令和6年7月8日第1小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93176

【判示事項】
退任取締役の退職慰労金について株主総会決議による委任を受けた取締役会がした、内規の定める基準額から大幅に減額した額を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないとされた事例

「上告人会社においては、退任取締役の退職慰労金の算定基準等を定めた取締役退任慰労金内規(以下「本件内規」という。)が存在する。本件内規には、退任取締役の退職慰労金は、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額を基準とする(以下、この額を「基準額」という。)旨の定めがある一方で、取締役会は、退任取締役のうち、「在任中特に重大な損害を与えたもの」に対し、基準額を減額することができる旨の定め(以下「本件減額規定」という。)があった。なお、本件内規には、減額の範囲ないし限度についての定めは置かれていない。」
コメント

滋賀県司法書士会「司法書士の日 市民公開シンポジウム ~堀ちえみさんと学ぶ相続・遺言~」

2024-07-06 09:03:25 | 司法書士(改正不動産登記法等)
滋賀県司法書士会
https://sigakai.com/2024/06/12/6350/

日時 令和6年8月3日(土)13:30~16:00
場所 栗東芸術文化会館さきら中ホール(滋賀県栗東市)
※ 無料・要予約

 締切り間近です。

cf. 堀ちえみさんのブログ
https://ameblo.jp/horichiemi-official/entry-12858771379.html
コメント

宗教法人の法人格の承継

2024-07-06 08:50:33 | 法人制度
ABEMA TIMES
https://news.yahoo.co.jp/articles/94d3a2c8361c37832c7ac2b99caac43e6186f658

「宗教法人売買の定義は『代表役員の変更登記』であり、土地や建物はおまけだ」

「宗教法人の売買は、寄付金でお金をもらい、退職金としてお金を引き出す。スタンスとしては、取引は全て『寄付金』で、高額を出した『熱心な信者』が跡を継ぐ形になっている」。(上掲記事)

 なるほどね。

 寺院や神社にしても,「熱心な信者」に乗っ取られてしまわないように,「事業承継」の然るべきシステムを構築しないとね。
コメント

「三淵嘉子・中田正子・久米愛 日本初の女性法律家たち」

2024-07-05 13:38:12 | いろいろ
PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/83352

 朝ドラ「虎に翼」の主人公のモデルとなった三淵嘉子さんの評伝「三淵嘉子・中田正子・久米愛 日本初の女性法律家たち」(日本評論社)を書いた弁護士佐賀千惠美先生のインタビュー記事。

 佐賀先生は,熊本高校の先輩です(以前,同窓会で同じテーブルになり,お話したことが。)。
コメント

「私をNTT取締役に」 安くなった株主提案

2024-07-05 13:14:47 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG033ZK0T00C24A6000000/

「上場企業の株式分割が相次ぐ中、その「副作用」の懸念が浮上している。投資がしやすくなる利点の一方、株主提案の乱用を招く恐れが指摘され始めた。25分割したNTTでは今年、個人株主が約500万円分の株取得によって自分自身を取締役にするよう求める提案を出した。」(上掲記事)

 株主提案の要件は,総株主の議決権の「100分の1以上又は300個以上」の議決権である(会社法第303条第2項)。

 中には,「濫用」的な提案がされることもあろうが,だからといって,即「規制を」は,短絡的な感がある。

会社法
 (株主提案権)
第三百三条 株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
3 公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
4 第二項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
コメント