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2017福井県立・特別展「恐竜の卵」(後)



やっとトロオドン類まで来た。シノヴェナトルの復元骨格・・・これは昔からあるのか、最近作ったものなのか。これは、頭骨も撮ったが細かい形態まで論じるのは無理があるように見える。今回の展示では、重要な特徴として恥骨が後方を向いていることを解説してある。
 一応確認したところ、足はちゃんとサブアルクトメタターサルになっているようだ。また尾椎は見つかっていないはずであるが、神経棘が途中でなくなって溝になっているように作られている。



トロオドンの全身骨格。これも最近作られたものなのか、どうなのか。昔のトロオドンの印象と少し違うような気もする。眼窩や頭の丸みはこんな感じでしたっけ。
 黒い塗料の塗りが厚いのはともかく、骨格が黒で背景が白なので写真を撮ると真っ黒になり、骨の表面の構造や境界線がよく見えないですね。



一応頭骨を観察したところ、一部トロオドンらしくない点があるように見えた。トロオドン類の特徴としては、まず歯骨の側面の溝ははっきりしている。これは真っ黒な写真ではわからないが、クッキーの箱の写真を見ると、確かに神経血管孔が溝の中に並んでいるのがわかる。それから涙骨の前方突起は、前眼窩窓の前縁までカバーしているようだ。lateral flangeもある。上顎骨歯の一部にはトロオドンらしい鋸歯がつけてあるように見える。



しかし歯列が今ひとつトロオドンらしくないように見えた。トロオドン類の歯列は、上顎も下顎も、前方では小さく密集していて後方で大きくなるのであるが、どうでしょう。このキャストの歯は割と一様な感じがする。特に歯骨の歯列が、大きさも密度もほとんど均等な感じに見える。歯の形も微妙に長くてドロマエオサウルス類的にも見えてくる。
 トロオドンの顎に歯が生えそろった状態というのは見たことがないが、1987年の歯骨では前方の歯槽は密集している。またザナバザルでは、前方の歯と後方の歯で大きさが全く異なる。歯の大きさ・分布の点ではあまり意識して作っていない気がするが、どうでしょう。

あとは外鼻孔の下の上顎骨に、溝のような線が見える。これはドロマエオサウルス類のように前上顎骨の突起が長く伸びているようにも見えた。近くでよく見ると、縫合線ではなくてなんとなく溝になっている。下の方から辿っていくと前上顎骨と上顎骨の境界線は途中で消えていて、あいまいな感じになっていた。ここは、ほとんどのトロオドン類では外鼻孔の腹側縁に上顎骨が参加している、つまり面しているはずである。(シシアサウルスなど微妙な場合もあるが)少なくとも側面から見てそう見えることになっている。この点でもこのキャストでは疑問が感じられる。



ヒナが1頭、孵っていて、お母さんはそれを見つめているんですね。。
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